Katherine A. Moon, et. al.
Ann Intern Med. Published online 24 September 2013 doi:10.7326/0003-4819-159-10-201311190-00719
背景:ヒ素高濃度長期暴露と、心血管リスク増加との関連性は存在するが、飲水中 100μg/L程度の低濃度から中等度ヒ素レベルの長期暴露は不明
目的:低から中等度ヒ素濃度長期暴露と心血管疾患発症相関関係評価
デザイン: Prospective cohort study.
Setting: The Strong Heart Study baseline visit between 1989 and 1991, with follow-up through 2008.
患者: 3575名のアメリカ系インディアン(45−74歳、男女、アリゾナ、オクラホマ、北・南ダコタ州)
測定: ベースラインの尿中試料における無機・メチル化ヒ素合算を長期ヒ素暴露ののバイオマーカーとして使用。アウトカムは、致死性・非致死性心血管合併症
結果: 致死性・非致死性心血管疾患 総数 1184名。
ヒ素濃度 最高4分位(15.7超) vs 最低4分位(5.8未満)比較社会住民統計指標・喫煙・BMI・脂質レベル補正ハザード比は、
心血管疾患死亡率 1.65 (95% CI, 1.20 to 2.27; P for trend < 0.001)
冠動脈性心疾患死亡率 1.71 (CI, 1.19 to 2.44; P for trend < 0.001)
卒中死亡率 3.03 (CI, 1.08 to 8.50; P for trend = 0.061)
発症頻度ハザード比
心血管疾患発症 1.32 (CI, 1.09 to 1.59; P for trend = 0.002)
冠動脈性心疾患発症 1.30 (CI, 1.04 to 1.62; P for trend = 0.006)
卒中発症 1.47 (CI, 0.97 to 2.21; P for trend = 0.032),
これらの相関は研究地域によりばらつきがあり、糖尿病、高血圧、腎疾患測定項目補正後その相関は減衰
Limitations: 飲水個別ヒ素レベルの直接測定が行われてない
結論: 低濃度・中濃度ヒ素暴露でも、心血管疾患発症、死亡率と相関
Primary Funding Source: National Heart, Lung, and Blood Institute and National Institute of Environmental Health Sciences.
ヒ素及びその化合物に係る健康リスク評価について - 環境省
http://www.env.go.jp/council/former2013/07air/y070-31/mat03-1.pdf
発がん性以外の有害性について :発がん性以外のヒトへの有害性に係るいずれの知見も曝露評価が不十分 なこと等から、用量-反応アセスメントを行うことは困難である。また、動物実験データ ではヒ化水素での知見があるが、環境大気中において人がヒ化水素に曝露することは考え にくく、定量評価を行う知見としては不適切と判断した。さらに、動物実験の生殖発生毒 性も報告数が少なく十分な証拠があるとは言えない。このように、吸入曝露による発がん 性以外の有害性に係る適切な低濃度曝露領域における定量的データは、ヒト及び動物実験 ともに得られなかった。