2012年12月29日土曜日

食道癌:血清p53抗体の診断実力


血中p53抗体による食道癌発見の可能性というより、治療後の遺残がんの確認としての可能性
特に、p53抗体の特異性が高いため、非侵襲的治療後の病勢確認手段として可能性が高い。


Potential Diagnostic Value of Serum p53 Antibody for Detecting Esophageal Cancer: A Meta-Analysis.
Zhang J,  et. al.
PLoS ONE 7(12): e52896. doi:10.1371/journal.pone.0052896


15研究(症例 1079、対照 2260)をメタアナリシス
良質研究(QUADSスコア 8点以上)は53.33%(8/15)

血中p53抗体の定量分析総推定
陽性尤度 6.95(95%CI 4.77-9.51)
陰性尤度 0.75(95%CI 0.72-0.78)

陰性尤度のばらつき有意に存在
 

多剤耐性結核:バイオチップ迅速検査 感度は今一つだが、特異度が高い

 リファンピシンの感度も、まぁ合格レベルという結論らしいが・・・


Evaluation of Biochip System in Determining Isoniazid and Rifampicin Resistances of Mycobacterium Tuberculosis in Sputum Samples
 Lu W, Chen C,  et al.
PLoS ONE 7(12): e52953. doi:10.1371/journal.pone.0052953

polymerase chain reaction (PCR) などの技術で、多剤耐性結核迅速同定可能となってきた。rpoB と katG geneの変異、inhA遺伝子のpromoter regionの変異を同定する、biochip systemの臨床応用の中国での研究

2つの方法での一致率比較
リファンピシン 93.37%、イソニアジド 94.49%

biochipの感度・特異度
イソニアジド 74.31%、96.92%
リファンピシン 79.76%、96.53%

多剤耐性同定に関して、感度 64.62%、特異度97.7%

冠動脈疾患予後指標で良いのは・・・HOMA-R>血糖>>インスリン

空腹時血液検査指標だけの比較

結果的には食後血糖を示唆するHOMA-Rが一番良い指標というのは皮肉的

Insulin Resistance and Risk of Incident Cardiovascular Events in Adults without Diabetes: Meta-Analysis.
Gast KB, et.al.
PLoS ONE 7(12): e52036. doi:10.1371/journal.pone.0052036

52万名の登録、65研究のメタアナリシスで、random-effect meta-analysisでは、
冠動脈疾患への最大/最小濃度pooled 相対リスク(95%信頼区間 CI;I2)は、
血糖  1.52 (1.31, 1.76; 62.4%)
インスリン 1.12 (0.92, 1.37; 41.0%)
HOMA-IR 1.64 (1.35, 2.00; 0%)

1標準偏差(SD)に対するpooled相対リスクは、それぞれ、 血糖 1.21 (1.13, 1.30; 64.9%)、インスリン 1.04 (0.96, 1.12; 43.0%) 、HOMA-R 1.46 (1.26, 1.69; 0.0%)

2012年12月28日金曜日

RELAX-AHF トライアル:relaxinリコンビナント serelaxin 急性心不全6ヶ月予後改善


急性心不全患者での、妊娠ホルモンrelaxinのリコンビナント製剤で、動脈コンプライアンス改善、心拍出量改善、腎血流改善を示すserelaxinの短期的臓器障害・うっ血マーカーと、180日間死亡率関連要素への効果確認トライアル

pIIとpIII組み合わせ RELAX-AHF trial

Effect of Serelaxin on Cardiac, Renal, and Hepatic Biomarkers in the Relaxin in Acute Heart Failure (RELAX-AHF) Development Program : Correlation With Outcomes
Journal of the American College of Cardiology Volume 61, Issue 2, 15 January 2013, Pages 196–206

指標改善とともに、6ヶ月後多変量因子補正全原因死亡率改善
(combined studies: N = 1,395; ハザード比: 0.62; 95%信頼区間 0.43 to 0.88; p = 0.0076).













その他の指標も改善







高齢者の脳脊髄圧は若年者の2/3程度

 “ spinal cerebrospinal fluid leaks”や、“intracranial hypotension”に関して、JAMA誌2006年掲載(JAMA 2006, 295(19);2286-2296)以降も、国際的にはその方向性さえみえてこないが、RCTなどの臨床的エビデンス不足のままReview(Cephalagia Dec. 2008 vol. 28. no.12 1345-1356)も存在する。
 厚労省が診断基準などの検討に入ったという記事を目にしたが、検討対象の明確化という課題に進んでるに過ぎないと思う。しかしながら、一部司法判断は先走りしているようにも見える。 臨床病態の明確化をしなければ、正しい救済もえられないし、“水俣病”に見られるような基準や臨床病型曖昧が故の問題の長期混迷化は避けられなくなる。



 脳脊髄液圧に関して、高齢者では若年者に対してかなり低圧であるという報告がなされた。


 脳脊髄圧に関しても、まだ、こんなことも分かってなかったんだというのは衝撃的。

Cerebrospinal Fluid Pressure Decreases with Older Age.
Fleischman D,  et al. (2012)
PLoS ONE 7(12): e52664. doi:10.1371/journal.pone.0052664

13年間(1996-2009)に及び腰椎穿刺、33922名の電子カルテ記録

うち、12118名が登録クライテリアに一致

平均脳脊髄圧は、20-49歳 平均 11.5±2.8 mmHg、 50歳まで徐々に減少
50-54歳群では2.5%の減少(平均 11.2±2.7 mmHg)
90-95歳群では26.9%の減少(平均 8.4±2.4 mmHg、 p< 0.001)

どの年齢群でも、女性は、男性より咳髄圧低い

BMIは、どの年齢群でもCSF圧と正の独立した関連要素である。


2012年12月27日木曜日

“エリキス” FDAに先駆け承認



現時点では、日本語のニュースサイトで確認出来ない(http://bit.ly/VB8lnL)が、FDA承認決定を2度にわたって先送りとなってる薬剤である“エリキス”、これが日本で承認されたニュースを見つけた。


Japan OKs warfarin alternative Eliquis from BMS, Pfizer
FDA has twice delayed decision on blood thinner
December 26, 2012

Read more: Japan OKs warfarin alternative Eliquis from BMS, Pfizer - FiercePharma http://www.fiercepharma.com/story/japan-oks-warfarin-alternative-eliquis-bms-pfizer/2012-12-26#ixzz2GEfjiVUd
Subscribe: http://www.fiercepharma.com/signup?sourceform=Viral-Tynt-FiercePharma-FiercePharma

参考:【8月29日】ファイザーとBMSはエリキスの第Ⅲ相試験の結果を発表しました。
http://ameblo.jp/health-support01/entry-11005217948.html


BMSとファイザー 第Ⅹa因子阻害薬・アピキサバンでFDAに追加データ提出求められる
公開日時 2012/06/27
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/42784/Default.aspx
"▽有効性評価に影響を及ぼすワルファリン群の用量を含めた管理状況▽出血データ▽試験からの離脱と追跡不能患者の欠損データ――などに懸念を示している"

       ↑
厚労省はこの点を懸念してないのだろうか?

 たしか、天下りがいた“ファイザー”・・・
 ↓
参考:http://intmed.exblog.jp/12975312

横断研究: うつとhsCRPの関連性


Elevated C-Reactive Protein Levels, Psychological Distress, and Depression in 73 131 Individuals
Marie Kim Wium-Andersen, et. al.
Arch Gen Psychiatry. 2012;():1-9. doi:10.1001/2013.jamapsychiatry.102
横断分析、2つの一般住民2×2研究

自己報告抗うつ薬使用、登録ベース抗うつ薬処方、登録ベースうつ入院

CRP増加は、心理的distressとうつリスク増加と相関(P=3×10-8 ~ P=4×10-105)

自己報告抗うつ薬使用は、CRP 0.01-1.00 mg/Lに比べ、CRP 1.01-3.00 mg/L オッズ比 1.38(95%CI, 1.23-1.55)、 3.01-10.00 mg/L オッズ比 2.02(1.77-2.30)、10.00 mg/L超では 2.70(2.25-3.25)

抗うつ薬処方に対し、呼応するオッズ比は、 1.08 (95% CI, 0.99-1.17), 1.47 (1.33-1.62)、 1.77 (1.52-2.05)
、1.84 (1.39-2.43)、2.27 (1.54-3.32)

前向き解析で、CRP濃度増加毎に、うつ入院リスク増加と相関 (P=  4 × 10−8 for trend)


横断研究の限界で、うつとCRPの関連の方向性を確立する必要がある。寄与要素として微弱な炎症が心理的distressやうつと関連することが判明している。ただ、相反する結果があることも事実であった。

BMIや慢性疾患既往補正モデルで、うつとCRPの関連性が浮かび上がっている。
causality研究が今後必要。


BMIとCRPの関連性:男性において特にBMIとIL-6、CRPの関連性
Serum Levels of Interleukin-6 and C-Reactive Protein Correlate With Body Mass Index Across the Broad Range of Obesity
JPEN J Parenter Enteral Nutr November 2004 28: 410-415,


健康・非訓練成人でのエアロビック運動ではCRP影響なし
Aerobic training does not alter CRP in apparently healthy, untrained men
The Journal of Sports Medicine and Physical Fitness 2012 February;52(1):53-62

“カロリー制限=長寿” → “食事量・成分配慮による健康加齢への影響” と変化

カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念? ;サルで再現できず H24/08/30

米国ではマスメディアでも騒がれた・・・今年話題の報告


 騒動がおちついたこの時期、NEJMでの解説記事

 題目が“カロリー制限・寿命延長”じゃなく、“食事と健康加齢”となってることに注目されたい。すなわち、 “カロリー制限・寿命延長”はクリアに実証されてない事象だから・・・

 日本のいんちき専門家達(e.g. 加齢なんたら学会のみならず、糖尿病学系・循環器系・内科系学会までも・・・)ならそんな慎重な言い回しはしないだろう。詐欺もどきの確定事象としてNHKや民放などにでしゃばり うそをひけらかす・・・そんなことが今年も多くなされている。

 解説記事に話は戻るが、予想通りの結果にならなかったのは実験対照の処理により説明されている。騒がれた当時、実験動物への疑念が問題視されたと思うのだが、その記載がない。動物実験といえど、疑念提示されない完璧な実験系は存在しないと思う。“食事制限・健康加齢”というのは理にかなっていると思うが、その説明が欲しかったなぁと・・・





Diet and Healthy Aging
Linda Partridge, Ph.D.
N Engl J Med 2012; 367:2550-2551December 27, 2012DOI: 10.1056/NEJMcibr1210447


 1930年代から齧歯類の実験で食事摂取量をへらすことで、加齢を軽減するという報告が有り、寿命延長だけで無く、機能障害改善・加齢関連の疾患(がん、神経障害、骨格筋減少、代謝疾患、神経変性)予防的に働くことが示された。これは、亀、魚、イヌなど様々な生物で示され、さらには、かび、原生的虫、ショウジョウバエ、マウスに及ぶ。メカニズムは動物種横断的と想定された。 インスリン、インスリン様成長因子、rapamycinターゲットに基づくnutrient-sensing signaling networkが関与しているという想定がなされた。

 Fontana L, Partridge L, Longo VD. Extending healthy life span -- from yeast to humans. Science 2010;328:321-326

 2009年以降、カロリー制限加齢減弱が急激にブームとなり、これはアカゲザルの研究出版がその契機であった。
対照ではアドリブ的食事摂取、実験系ではその70%の摂取。結果、加齢関連死減少、糖尿病、がん、心血管疾患、脳萎縮の減少を示した。

Colman RJ, Anderson RM, Johnson SC, et al. Caloric restriction delays disease onset and mortality in rhesus monkeys. Science 2009;325:201-204
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2812811/

もう一つの研究、“National Institute on Aging”では、同様のカロリー制限で、特定の代謝的健康指標改善、糖尿病頻度減少、がんの発症著明減少だったが、心血管疾患や加齢関連死率に差は認めなかった。
Mattison JA, Roth GS, Beasley TM, et al. Impact of caloric restriction on health and survival in rhesus monkeys from the NIA study. Nature 2012;489:318-321
http://www.nature.com/nature/journal/v489/n7415/full/nature11432.html

 この結果は相反するところがあるが、実験デザインで説明できるとされ、食事が健康かれにとってのヒントをもたらすものと思われる。
 2つの実験対照群の処置は異なるモノで、摂取に関して制限無く、アドリブ摂取であったが、後の研究では、食事の固定摂取(アドリブ摂取より少ない、肥満防止のための設定)であった。故に、対照群にもカロリー制限のベネフィットがもたらされた可能性がある。
 さらに、食事の内容に関しても、2つの実験は異なっていた。最初の実験の蔗糖含有は40%、後の実験では約4%のみで、最初の実験で糖尿病発症頻度の多さはこれで説明出来るのでは無かろうかと解説。
 齧歯類を含む実験での対照群では、特定種アミノ酸の摂取不足があり、カロリー制限以上にその影響が加味され、カロリー制限のベネフィット検知パワー低下となってる可能性がある。

 ヒトでは、加齢下の健康に関して、カロリー制限意味があるのだろうか?
 ヒトでは、低コンプライアンスのため、食事制限が寿命延長へ効果有るか知ることははなはだ難しい。 より短い中程度期間の研究では食事制限が代謝的・心血管健康を改善し、炎症減少をもたらすという報告。疫学的研究で、BMIと18歳以降の体重増加程度が、心血管疾患、糖尿病、がん、全体的死亡リスクと相関することが示されている。
食事制限の健康ベネフィットは現行のBMIに依存してるようだ。動物、アカゲザルを含め、アドリブ食事の時はヒトと結果と類似している。故に、ヒトでは定量的情報は存在しないが、適切な食事構成のメッセージが重要。

 動物実験では、食事蛋白比率・成分が重要であることが判明し、成分補正による動物実験研究により、過体重・肥満に限定されない、ヒトでの影響が判明するかもしれない。



早産極低体重児へのCPAP治療は、サーファクタント治療の代替となり得る

CPAP治療は、早産低体重児へのサーファクタント治療の代替となり得る。むしろ、好ましい臨床的アウトカムが目立つ。

Vaucher Y, et al
"Neurodevelopmental outcomes in the early CPAP and pulse oximetry trial"
N Engl J Med 2012; 367: 2495-2504.




妊娠24週0日から27週6日誕生新生児のランダム化多施設トライアル(2×2区分デザイン)
割り付け
・誕生後1時間内の挿管&サーファクタント
・CPAP 治療(分娩室開始→プロトコールによる換気治療をなるべく制限)

酸素飽和度ターゲットレンジ2つに割り付け

プライマリアウトカムは、死亡・気管支肺異形成症(BPD)(36週時点で酸素付加必要と定義):30%酸素未満投与では酸素投与中止の試み)


1316名の新生児登録

プライマリアウトカム率は、CPAP群とサーファクタント群で有意差認めず(妊娠期間・センター・家族集積性補正後 47.8% vs 51.0%、 CPAP相対リスク 0.95;95%信頼区間[CI], 0.85-1.05)

36週後酸素投与必要BPDも同様(プライマリアウトカム率、48.7% vs 54.1%、相対リスク 0.91、95%CI 0.83-1.01)

CPAP施行新生児は、サーファクタント投与群に比べ、BPDへの挿管・出生後ステロイド投与の必要性減少(p<0.001)、人工呼吸必要日数減少(p=0.03)、day 7まで、生存率高く、人工呼吸必要性すくない(p=0.01)

他の新生児副事象アウトカム率は2群で有意さ無し。

2012年12月26日水曜日

パンデミックインフルエンザA予測:ウィルス特異的CD4+細胞の反応性

パンデミックインフルエンザAの重症化は、ウィルス特異的末梢血中CD4+反応により予測可能

重症化対策として、この反応の制御が一つの鍵となるのかも・・・

High Levels of Virus-Specific CD4+ T Cells Predict Severe Pandemic Influenza A Virus Infection
Am J Respir Crit Care Med. 2012 Dec 15;186(12):1256-63.

パンデミックH1N1/09 IAVプロテオームへのインフルエンザ特異的T細胞の反応及び、T細胞関連サイトカイン値を、軽度(n=32)、重症(n=16)IAV感染健康対照者からの血液で測定
肺・血液のウィルス特異的T細胞反応は、感染重症患者で fluorescent-conjugated pdmH1N1/09 Matrix-MHC-I tetrameric complexを用いて測定施行

血中で、CD4+の強く広汎な反応が見られ、CD8+T細胞では見られない。そして、反応は重症疾患で強い反応がみられた。
重症患者では肺内の抗原特異的CD8+細胞は平均で血中より45倍強い。
奇異的に、重症患者では、IL-17、IL-2、IL-4、INF-γ値が低下している。

2つのウィルス内部たんぱく(核蛋白nucleoprotein (NP) 及びマトリックス蛋白matrix protein (M1))への循環血中ウィルス特異的CD4+細胞高レベルは、その後の重症インフルエンザAウィルス感染の症状出現に相関を認める。これは、臨床的病状進展への早期、特異的なマーカーとなり得る。

一方、肺内・血中の抗原特異的CD8+細胞の反するレベルとなったのは、T細胞ワクチンの臨床トライアルのデザイン、分析によるものである。末梢のT細胞の測定は必ずしも肺のイベントを反映するものではない。

BNPガイド水分管理でウィーニング率改善


Natriuretic Peptide–driven Fluid Management during Ventilator Weaning
A Randomized Controlled Trial
Published ahead of print on September 20, 2012, doi: 10.1164/rccm.201205-0939OC Am. J. Respir. Crit. Care Med. December 15, 2012 vol. 186 no. 12 1256-1263


BNP機転判断群では、フロセミドとアセタゾラミドは、対照群に比べ、頻回で、投与量多くなる。結果、ウィーニング中の水バランスの中央値(IQR)よりマイナスとなる (–2,320 [–4,735, 738] vs. -180 [–2,556, 2,832] ml; P<0.0001)

抜管成功までの期間は有意にBNP機転判断群の方がより有意に短い (58.6 [23.3, 139.8] vs. 42.4 [20.8, 107.5] h; P = 0.034)

BNP機転判断戦略群では、人工呼吸フリー日数増加するが、滞在期間・死亡率の変化は差を認めない。

ウィーニング回数への影響は、左室収縮機能障害患者で最も影響が大きい。
電解質インバランス、腎不全、ショックについて、2つの戦略に有意差無し



http://xa.yimg.com/kq/groups/22459940/1735739872/name/rccm+201205-0939OC+full+%282%29.pdf
対照群:BNP目隠し、すべての治療は通常ケア通り
BNPガイド群:
・200pg/mL以上の日は、水分摂取制限厳格(24時間 500mL以下、経口栄養 1000mL/2時間以下、栄養・薬剤意外に塩分水分摂取せず)・フロセミド投与(10-30mg/3時間毎、尿量が 4.5-9mL/kg/3時間目標)

200pg/mL閾値は、以前の研究にて判断。それ以上なら人工呼吸ウィーニング失敗率が高いことから選別。抜管後24時間やはり同じやり方で、水分制限・利尿剤投与を施行。

メラトニン受容体活性作用物質、tasimelteon:概日リズム障害病型 Non-24-Hour Disorder効果

概日リズム障害の一つである、Non-24-Hour (sleep-wake) Disorder (Non-24)
参照:http://www.sleepassociation.org/index.php?p=non24hour 

free-running type あるいは non-24-hour circadian rhythm disorderとも呼ばれる。



メラトニン受容体活性作用物質、tasimelteonの治験

Vanda Announces Positive Phase III Results For Tasimelteon In The Treatment Of Non-24-Hour Disorder
 http://phx.corporate-ir.net/phoenix.zhtml?c=196233&p=RssLanding&cat=news&id=1768062

  
SET (Safety and Efficacy of Tasimelteon) Phase III study


プライマリエンドポイントとして、 メラトニン主要代謝産物 6-sulphatoxymelatonin (aMT6S) へのEntrainment(リズム同調)(Entrainment+N24CRSスコア3以上)
84名のランダム化二重マスク化プラシーボ対照化研究




  さらに、総睡眠時間・うたた寝時間・睡眠タイミングなどのパラメータ、全般自覚症改善を示した。

2012年12月25日火曜日

米国内実地医家 過剰医療・過小医療・誤使用の変遷

ここ10年間で、 薬剤選択に関し、underuse(過小使用)、overuse(過剰使用)、misuse(誤使用)は、どのような変遷をたどってるのか?

米国内では、医療システムの非効率性に関する関心が高まっていて、日常診療における医療サービスの過剰使用、誤使用がここ10年で減ってるかどうかの確認した報告。

 Trends in the Overuse of Ambulatory Health Care Services in the United States
Minal S. Kale,  et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/2013.jamainternmed.1022.
現行の質+ガイダンス推奨を加え、22の質指標で検討


underuse質指標では、9つ中、6つで統計学的に改善。
心房細動の抗血栓治療の改善、冠動脈疾患でのアスピリン、β遮断剤、スタチン使用、うっ血性心不全のβ遮断剤使用、糖尿病に於けるスタチン使用

overuse質指標では、11中2つのみの改善、一つは悪化、8つは不変。

統計学的に、overuseとして減少したのは、65歳超の子宮頚部がん検診と、喘息急性増悪時の抗生剤使用
しかし、74歳超の前立腺癌検診の過剰投与の増加あり

2つのmisuse指標では、不適切抗生剤を処方された尿路感染患者比率は減少している。


尿路感染は、少なくとも薬剤選択でmisuseって少ないと思うのだけど・・・誤使用指標にされている。

ガイドライン外来診療2009
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/search/guideline2009/10-2.html


欧米ガイドラインでは、“Oral ciprofloxacin (500 mg twice daily) for 7 days”が基本
International Clinical Practice Guidelines for the Treatment of Acute Uncomplicated Cystitis and Pyelonephritis in Women: A 2010 Update by the Infectious Diseases Society of America and the European Society for Microbiology and Infectious Diseases
Clin Infect Dis. (2011) 52 (5): e103-e120. doi: 10.1093/cid/ciq257



日本国内で、上気道炎・AOMへの抗生剤使用、肋骨骨折へのバンデージ治療とか、慢性心房細動でのCHADSによる抗血栓治療、糖尿病へのACE阻害剤・ARBとか、喘息への吸入ステロイド、消化性潰瘍のピロリ菌検査・治療とか・・・日本では検診に関して、年齢層別化が十分じゃないから、過剰とされにくい制度が出来ている。

医療機関・老人施設:ノロウィルス対策 小まとめ

高齢者介護施設における感染対策マニュアル(平成16年度厚生労働省科学特別研究事業)
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/tp0628-1/dl/0.pdf

p33
【平常時の対応】
 入所者の便や嘔吐物などを処理するときは、使い捨て手袋を着用することが必要です。おむつの処理も同様です。
嘔吐の場合には、広がりやすいのでさらに注意しましょう。手袋のほか、予防衣、マスクを付け
1) まず、布や濡れた新聞で被い、確実に集めてビニール袋に入れます。
2) 床は次亜塩素酸の薬品でふき取り、それらもビニール袋にいれます。
感染防止には、まず正しい手洗いを実行することが大切です。介護職員・看護職員はウイルスを残さないように、手洗い・消毒をすることが必要です。介助後・配膳前・食事介助時には必ず手を洗いましょう。手袋を脱いだときも必ず手を洗いましょう。
 なお、食品の取り扱いにおいては、付録1の「大量調理施設の衛生管理マニュアル」(平成9 年3 月24 日衛食第85 号 pdf)、「中小規模調理施設における衛生管理の徹底について」(平成9 年6 月30 日衛食第201 号 pdf)を参照してください。

p34ノロウィルス
【発生時の対応】
 「感染症発生時の対応」の「行政への報告」の項【5-4)】を参照してください。
 感染性胃腸炎は5類定点把握疾患であり、定点医療機関から保健所へ週単位で報告することになっています。

p25 【5-4)】
4) 行政への報告
施設長は、次のような場合、迅速に、市町村等の社会福祉施設等主管部局に、報告することとされています。あわせて、保健所にも対応を相談します。
(付録1 「社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について」
第4項 参照)
報告が必要な場合
同一の感染症や食中毒による、またはそれらが疑われる死亡者・重篤患者が1週間以内に2名以上発生した場合
同一の感染症や食中毒の患者、またはそれらが疑われる者が10名以上又は全利用者の半数以上発生した場合
通常の発生動向を上回る感染症等の発生が疑われ、特に施設長が報告を必要と認めた場合
*同一の感染症などによる患者等が、ある時点において、10 名以上又は全利用者の半数以上発生した場合であって、最初の患者等が発生してからの累積の人数ではないことに注意する。
報告する内容
・ 感染症又は食中毒が疑われる入所者の人数
・ 感染症又は食中毒が疑われる症状
・ 上記の入所者への対応や施設における対応状況等
施設所管課への報告用紙書式については、付録4②の書式例を参考にしてください。
なお、医師が、感染症法、結核予防法又は食品衛生法の届出基準に該当する患者又はその疑いのある者を診断した場合には、これらの法律に基づき保健所等への届出を行う必要があるので、留意してください。
(付録1 「社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告について」第9項 参照) 
 5) 関係機関との連携など
次のような関係機関に報告し、対応を相談し、指示を仰ぐなど、緊密に連
携をとりましょう。
・ 施設配置医師(嘱託医)、協力機関の医師
・ 保健所
・ 地域の中核病院の感染管理担当の医師や看護師
そのほか、次のような情報提供も重要です。
・ 職員への周知
・ 家族への情報提供


【米国のガイドライン】
GUIDELINE FOR THE PREVENTION AND CONTROL OF NOROVIRUS GASTROENTERITIS OUTBREAKS IN HEALTHCARE SETTINGS
Taranisia MacCannell,  et. al.
and the Healthcare Infection Control Practices Advisory Committee (HICPAC)
http://www.cdc.gov/hicpac/pdf/norovirus/Norovirus-Guideline-2011.pdf


ノロウィルス胃腸炎の臨床診断は、多い状況、そして流行下では、以下のKaplan Criteriaが、その胃腸炎クラスターあるいは未知の流行に対する判断に用いられる。


・ 患者コホート・隔離precaution
個室管理、患者を流行期48時間監視下におく、 遷延排菌に関してその影響は不明、流行期中の患者移動は最小限に、ダイニング使用など注意、ノロウィルス直近感染し回復したスタッフが患者ケアにあたるのは適切。
・手洗い
医療スタッフ・患者だけで無く、見舞客も手洗い、流行期は患者接触時は石けん・流水使用・・・
・ 患者移動・病棟閉鎖
・間接的患者ケアスタッフ
調理など、症状改善後48時間経過してから就業を・・・
・診断
迅速な臨床診断、ウィルス同定が必要、Kaplan臨床・疫学クライテリアの利用を・・・ルーチン環境測定は不要、便検体の方が吐瀉物より望ましいが入手不能の時代替手段となる・・・
Kaplan Criteria
1. Submitted fecal specimens negative for bacterial and if tested, parasitic pathogens,
2. Greater than 50% of cases reporting vomiting as a symptom of illness,
3. Mean or median duration of illness ranging between 12 and 60 hours, and
4. Mean or median incubation period ranging between 24 and 48 hours.
・個別防御装備(PPE)
・環境整備
・ スタッフの就業制限方針
・見舞客
・教育
・積極的患者発掘
・コミュニケーションと注意事項



http://www.cdc.gov/norovirus/

 リソース・リンク
http://www.cdc.gov/norovirus/resources.html



簡易検査について・・・

クイックナビTM - ノロ
http://denka-seiken.jp/japanese/html//secure/products/poct03.htm
 ※以下のいずれかに該当する患者について、当該ウイルス感染症が疑われる場合に算定する。
 ア.3歳未満の患者
 イ.65歳以上の患者
 ウ.悪性腫瘍の診断が確定している患者
 エ.臓器移植後の患者
 オ.抗悪性腫瘍剤、免疫抑制剤又は免疫抑制効果のある薬剤を投与中の患者

アイビーノロ(イムノ・プローブ)
http://immuno-probe.com/e_products/products.html

イムノサーチNV(森永乳業)
http://www.morinagamilk.co.jp/corporate/release/2008/1027_718.html


カタログスペックは優秀だが、事例での感度はかなり低いようだ。除外診断に使いにくい。
施設内では、Kaplanクライテリア中心で診断していくべきなのだろう。

宮崎の事例では、有症状44人中5人しか、陽性反応でなかった。カタログスペックとの乖離は、サンプル採取に工夫が必要なのか?はたまた、検査キット自体の問題なのか?新生児ICUでの報告などでも、実際の検査感度の低さが指摘されているし、また、臨床実地家のイメージも感度の低さが指摘されている。スクリーニングに使えないというのは一般の感想だと思う。



Evaluation of 4 immunochromatographic tests for rapid detection of norovirus in faecal samples.
J Clin Virol. 2012 Nov 21. pii: S1386-6532(12)00398-8. doi: 10.1016/j.jcv.2012.11.001.
ノロウィルスgenogroup Iのサンプル
感度: RIDA(®)QUICK 17%、 ImmunoCardSTAT!(®) 26%、 NOROTOP(®) 52%、 SD BIOLINE 23%

genogroup IIでは、それぞれ、64%、39%、50%、54%

GII.4では、78%、59%、61%、67%

すべての検査で、特異度は100%、他のエンテロウィルスに交叉反応なし

フレッシュな便サンプルでの、GII.4へのRIDA QUICKの感度は71%



主要臨床アウトカム指標 (eg, decrease the need for IV hydration and/or hospitalization)  などを減少させたときだけ効果があったいうべき。

こういう時点で、こういうステマやるのは大学の品位を疑う・・・ノロウィルスの発熱は、主要治療ターゲットではない!
 ↓
ロウイルスやインフルエンザに“体の中から”も感染症予防
2012.12.20 16:00
http://www.news-postseven.com/archives/20121220_161451.html

 順天堂大学大学院医学研究科プロバイオティクス研究講座を中心とする研究グループは、「高齢者が乳酸菌飲料を日常的に飲んでいると、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の発熱症状が軽減される」という研究結果を発表した。

2012年12月22日土曜日

不良薬剤・・・市場撤退させるのに数年かかる ・・・

直接日本とは関係ない薬剤の話だが・・・シンボリックなので・・・

メルクの"Tredaptive"とは、ナイアシンとlaropiprantの合剤
laropiprantはflushing pathway inhibitorという新しいメカニズムを持った新規化合物で,高脂血症のニコチン酸治療に伴うflushingを軽減する目的で開発された。
  http://www.medmk.com/mm/topic/0710e1_review.htm
血管拡張作用を減少させる、DP1拮抗作用を有する (https://en.wikipedia.org/wiki/Laropiprant





つぎはぎだらけの薬剤というイメージだったが、市場に出現することはないだろう。
 ヨーロッパでは承認されていたが、2008年頃FDA承認せずという記事が掲載されている。
http://www.theheart.org/article/860199.do


そのヨーロッパで、心発作、卒中、 関連疾患のリスク減少せず、重篤な副作用をもたらすということで、市場から撤退。
http://pipeline.corante.com/archives/2012/12/21/mercks_tredaptive_comes_to_a_halt.php


結果、市場撤退させるのに4年以上の時間が必要だったことになる。
この間に、製薬企業は開発費用を一部回収したことになる。
果たして倫理性は・・・


国際的に、問題が認識されている呼吸器系薬剤というか剤型がある。メーカー側は英語では記載しているが、日本語では釈明がなされてない薬剤がある。あれなども、市場から撤退させるのに、数年かかるのだろうか・・・。

問題提起されてる薬剤使用はやはり慎重であるべき・・・ そして、メーカーはネガティブな情報提供に積極的で無いため、多チャンネルの情報入手が実地医家には必要。

米国医師会は銃規制反対なのでは・・・ まどろっこしくヒポクラテスを持ち出してるけど・・・


JAMAの論説、勝手に要約すると
 アメリカって、他分野は疫学重視した公衆衛生的施策が理路整然と straightforwardに行われていると思われるが、銃に関しては随分状況がかわる。
 「外傷予防への効果は、交通事故で31%減少、火災、溺水での死亡は38%、52%減少している。これらは、車を無くしてもなく、マッチやプールを無くしたから生じてるわけでもない」という理屈。
 
 一方で、「1997年議会で銃器外傷予防のためのモラトリアムへの動きがあったが、そのとき42万7千名が銃器外傷で死亡、うち、16万5千が自殺。同時期にイラク・アフガンで米国民4586名死亡」しているという事実。

 医師側の動きとしては、フロリダ州などでは、銃規制の長短所に関する意見の相違をひとまず棚に置き、ヒポクラテスの誓いに定義されるような、 “the sanctity of the patient-physician relationship”を無視する政府の方向性に反対するという姿勢を示している。最高裁判断の「銃の所持に関する個人の権利を保護」する、憲法修正第二条(the Second Amendment)“Second Amendment”(憲法修正第二条)の意味するところは、医師の“ First Amendment rights”(米国憲法修正第一条で保証される権利)の重要性そのものである。
Silencing the Science on Gun Research
Arthur L. Kellermann, et. al.
JAMA. 2012;():1-2. doi:10.1001/jama.2012.208207.


“銃を持っている隣人がいれば、 銃を持たざる得ない”というのは分かる。

だが、私には、この“ヒポクラテスの誓い”を持ち出すやりかたは理解できない。

そもそも、“ヒポクラテスの誓い”のようなあいまいなもの、後付け解釈のものを持ち出すところにいんちきさを感じる。
"Primum non nocere" 2005年 09月 01日
http://intmed.exblog.jp/2212718

 “ヒポクラテスの誓い”は、後世、都合良いように後付けされた解釈だけが幅をきかせているということで、“日本国憲法9条”護憲論者と“ヒポクラテスの誓い”至上主義者は同様に思える。
 
難しい言葉を使ってるが、実は、AMA(米国医師会)は銃規制反対ってことになる。

2012年12月21日金曜日

飲み過ぎ注意: アルコールは低濃度でも冠動脈血管痙攣性に働く

アルコールの血管痙攣惹起作用、低濃度でも生じ、高濃度では用量依存的に痙攣を生じ安くなる。

Ethanol produces coronary vasospasm: evidence for a direct action of ethanol on vascular muscle.
Am Heart J 1978; 95: 555-562
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2044708/
エタノールやアセトアルデヒドのイヌの小血管・大血管のbasal toneへの影響
エタノールは、 8.5 mM程度の低濃度でも、閾値での冠動脈収縮を惹起しやすくなる。
高濃度では濃度依存的にKCL濃度上限超過収縮と同等の冠動脈性血管痙攣を生じる。
アセトアルデヒド(10-5 ~10-2M)で、濃度依存的なbasal toneの弛緩を生じる
様々な薬物拮抗剤(i.e., phentolamine, methysergide, diphenhydramine, metiamide, propranolol と indomethacin)はエタノールのspasmogenicな作用を軽減促進的に働くということはない。

アルコールが心臓の機能を低下させ、不整脈を生じ、心筋症まで生じ、アルコールのみに見られる突然死の増加の理由づけになるかもしれない。


研修医の頃、発症15分の心筋梗塞を見たのはやはり繁華街近くの病院だった。

クリスマスから年始にかけて、アルコール、過食、睡眠不足、カフェインなどが、心血管系へ悪影響を与える。“Holiday Heart” syndromeとは、“an irregular heartbeat pattern presented in individuals who are otherwise healthy. ”ということで、アルコール過飲による原因と考えられる発作性心房細動。 こういったこととも関連するのではないかと・・・

知能に関わる3つの要素:短期記憶力・推論力・言語能力

IQというのは、直線上の値で、標準化された数値で、優劣が決まるわけだが・・・そんなはずないというのは直感的にも分かる。



どのような要素が関係するか、すこし、踏み込んだ研究

Fractionating Human Intelligence
Neuron, Volume 76, Issue 6, 1225-1237, 20 December 2012

知能計測というのは、一つの物差しだけで、測れるものなのだろうか?
ヒトの広汎な知能の曲面を、のうの機能的結びつきを反映する一般的能力や要素をわけて、個別の要素モデルと比較し、脳のはたらきのネットワークのアナログとしていくつかの構成要素を示した。アンケート指標を用いてこれらのインテリジェンスに関わる独立した要素を確認した報告



記憶、論拠づけ、注意集中、プラン能力、バックグラウンドの調査、ライフスタイル習慣に関わる12の認知機能検査

広汎な認知機能を研究し、3つの独立した要素“短期記憶力、推論能力、言語能力”で説明出来るとした。


一つの構成要素、IQではすべては説明困難。

故に、fMRIのような脳画像化システムを用いて、認知機能の差が、異なる脳回路にマップ化することで説明可能であった。

また、年齢、性別、コンピューターゲーム遊びの影響などについても新しい情報が提示された。

習慣的脳トレーニングは認知機能を必ずしも改善せず、むしろネガティブな影響を記憶、推論能力に与えることが分かったと、 Owen (Canada Excellence Research Chair in Cognitive Neuroscience and Imaging and senior investigator on the project)


興味あることに、コンピュータゲームを習慣的に行うひとは、推論や短期記憶に関して有意なパフォーマンスを示した。
喫煙者は、短期記憶、言語要素のパフォーマンス低下。
不安状態にある場合は、短期記憶特に低下。

【アイアンシェフ】テレビの有名シェフのレシピは、スーパー販売即席食品より、不健康

BMJのクリスマス特集の一つ

テレビに出演するセレブシェフのレシピは、即席スーパーマーケットの食事より、高脂肪(27.1g vs 17.2g)、高飽和脂肪酸(9.2g vs 6.8g)、高蛋白(37.5g vs 27.9g)である(すべて P<0.01)

しかも、食物線維量が少ない(3.3g vs 6.5g、 p<0.01)
そして、カロリーは多い(604 kcal vs 493 kcal、 p<0.01)



 Howard S, et al "Nutritional content of supermarket ready meals and recipes by television chefs in the United Kingdom: cross sectional study" BMJ 2012; DOI: 10.1136/bmj.e7607.

【目的】 テレビでシェフが作ったメインミールのエネルギー・マクロ栄養素をスーパーマーケット販売の出来合いの食品と比較、そして、WHO及び英国食品標準局(UK FSA)の栄養ガイドラインとの比較。

【デザイン】 横断研究.

【セッティング】 2010年の英国3つの食料売り場をもつスーパーマーケット

【サンプル】 英国テレビ出演シェフの5つのベストセラー料理本からの100のメインミールと、3つの主要英国スーパーマーケットからのブランド既製食品の比較

【主アウトカム測定】 WHO推奨に適合した栄養成分の食品数と、red、amber、greenと分類(UK FSK分類)した食品群の比率

【結果】 レシピ、既製食品ともにWHO推奨に完全一致したものはない。

既製食品は、推奨比率としては、より適合している
炭水化物エネルギー適合比率  (18% v 6%, p= 0.01) 、糖分(83% v 81%, p= 0.05)、食物繊維分 (56% v 14% p<0.01)

レシピの方は、塩分濃度に関しては適合率高い  (36% v 4%, p<0.01)
しかし、ソースでの使用塩分は評価していない。

FSAの食品ラベルとしての信号機色の推奨分布としては
モード信号はレシピは赤(47%)、既製食品は緑(42%)

全体としては、レシピの方が、既製食品に比べ、よりカロリー多く (2530 kJ v 2067 kJ)、蛋白多く(37.5 g v 27.9 g)、脂肪多く (27.1 g v 17.2 g)、飽和脂肪多い (9.2 g v 6.8 g; p<0.01 for all) 、そして、食物線維比率が少ない(3.3 g v 6.5 g, p<0.01)。

【結論】 テレビにでる料理人達のレシピも、英国内のトップ3のスーパーマーケットで売られている既製食品もWHO推奨推奨に合致したものではない。
レシピは、既製食品より不健康で、カロリー分、蛋白分、脂肪分、飽和脂肪分ともに多く、食物線維は少ない。




テレビに出てるシェフ達も別に健康食作ってるわけじゃないから・・・ちょっと気の毒。

科学的根拠無く、健康だ健康だと言い放つ料理人達やら評論家風のタレントたちの方が有害だと思うけど・・・

ETに遭遇したら、どのような診断を下しどのような治療すべきか・・・


映画“ET”も古くなりましたが、確かに、病気をおもわせる体型をしてましたね。

Christmas 2012: Tomorrow’s World
Case report of E.T.—The Extra-Terrestrial
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8127 (Published 18 December 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e8127
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e8127


ETの病態
・ペルテス病の可能性:両側下肢関節障害
・下肢リンパ浮腫
・中心性肥満、おそらく、メタボ
・単指ばち状
・先天性右胸心、単心室・右心耳を伴う


ETは電話で、かかりつけメディカルスタッフに連絡を取ろうとしている。風呂場で倒れ、全身状態悪く、蒼白、頻呼吸、意識レベル低下。
医療機関搬送されるも、心室頻拍、心停止。心肺蘇生で胸骨圧迫回数60/分で、バッグ呼吸し、除細動施行。リドカイン、ノルアドレナリン投与。自然循環回復せず。


随分、昔の映画で、詳細・・・忘れたなぁ

胸骨圧迫60/分というところが・・・

アルツハイマー病:“アミロイド仮説” EXPENDITIONトライアル実質失敗と その他の動き

ちょい数年前まで、“アルツハイマー病はβアミロイド対策ですべて解決”などと医師向け講演会でしゃべっている医師がいた。だが、最近の報告をみていると、むしろ、“アミロイド仮説”、“βアミロイドをターゲットとする治療”の方が終焉を迎えてるのではないかと思える。


Year in Review: Alzheimer's Disease: Amyloid 'Proponents' Soldier On
By John Gever, Senior Editor, MedPage Today
Published: December 20, 2012
http://www.medpagetoday.com/Neurology/AlzheimersDisease/36562

イーライリリーの、8月のEXPEDITIONトライアル(抗アミロイド薬:solanezumab)は有意なベネフィットを示せなかった。モノクローナル抗体であるBapineuzumab もまた、rogue proteinターゲット薬だったが、結果が得られてない。
Eli Lilly and Company Announces Top-Line Results on Solanezumab Phase 3 Clinical Trials in Patients with Alzheimer's Disease
August 24, 2012
http://newsroom.lilly.com/releasedetail.cfm?releaseid=702211


かりに仮説が正しくても、巣でのプラークが広汎となってる状況では、抗アミロイド治療は有効では無いのかもしれない。治療ターゲットを間違えてることには違いないが・・・

だが、イーライリリーは、薬が不発だということを認めてない。 二次解析にて、中等度アルツハイマーに希望を託しているようだ。

そして、MK-8931。
メルクは前駆物質からβアミロイド蛋白をcleaveする、(γセクレターゼとは別の主成分)の酵素であるβsecretase、BACEの経口阻害剤で、βアミロイド産生減少効果を示す薬剤。
第1相では、健常者で、MK-8931は髄液中βアミロイド蛋白を90%減少。これを期にPII/IIIトライアルと進んでいる。1700名もの大規模研究へ。


やはり、βアミロイドは疑いなくアルツハイマー病の病理要素であるが、これのみをターゲットとするのではなく、多くの要素を治療ポイントとして考慮すべきだろうと・・・過リン酸化としてのτ蛋白のが次のターゲットになるのかもと。


 そして、乳がんをたとえにして、HER2のみが乳がんの原因ではないと・・・



2012年12月20日木曜日

FREEDOM 糖尿病・多枝冠動脈病変:薬物溶出性ステント冠動脈インターベンションと、冠動脈バイパス手術

米国内では冠動脈多枝病変への血管再建は年間70万行われており、うち、25%が 糖尿病。Bypass Angioplasty Revascularization Investigation (BARI)トライアルで、糖尿病+多枝病変のCABGの優位性が報告されていた。

FREEDOMトライアルにて、薬物溶出性ステントによる冠動脈インターベンションと、冠動脈バイパス手術を比較

Strategies for Multivessel Revascularization in Patients with Diabetes
Michael E. Farkouh, et. al.
for the FREEDOM Trial Investigators
N Engl J Med 2012; 367:2375-2384December 20, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1211585

【背景】糖尿病患者の血管再建術戦略比較ランダム化トライアルにおいて、CABGのほうがPCIよりアウトカム良好であるという報告がなされている。糖尿病+冠動脈多枝病変症例での積極的薬物療法とdrug-eluting stentで、血管再建アプローチ法を変えることが出来るか?

【方法】ランダム化トライアルにおいて、糖尿病・冠動脈多枝病変を
・PCI+drug-eluting stent
・CABG
割り付け

最低2年フォロー(生存率中央値、3.8年間)

薬物療法にて、LDL、収縮期血圧、糖化ヘモグロビンのコントロール

プライマリアウトカムは、全死亡率、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中

【結果】2005-2010年、1900名登録(世界140センター)
平均年齢63.1±9.1歳、女性 29%、83%が3枝病変

プライマリアウトカムは、PCI群で多く(p=0.005)、5年後 PCI群 26.6% vs CABG群 18.7%。

CABGベネフィットは、心筋梗塞(p<0.001)、全死亡率(p=0.049)で認められた。
卒中は、CABG群でやや多く、PCI群 2.4%、CABG群 5.2%(p=0.03)


【結論】
糖尿病・冠動脈病変進行例では、CABGがPCIより有意に死亡率・心筋梗塞に関して優越するが、卒中発生率が高い。

新聞社って詐欺行為日常的でしょ 医療機関ならみな被害被ってる

週刊朝日が詐欺行為か!? 「100万円以上の広告料要求」 無断で名を使われた社団法人が抗議
2012年12月19日(水) 20時07分
http://www.rbbtoday.com/article/2012/12/19/99837.html

、同誌が2013年2月発売予定のムック「手術数でわかるいい病院2013全国」に掲載する広告企画の案内を、同団体および同団体の宮崎勝理事長に無断で「取材協力:日本肝胆膵外科学会 理事長 宮崎勝」と表し、多くの病院施設に広告掲載を持ちかけているという。さらに、その広告料として100万円以上を要求していることが判明したとして、同団体は「本学会および宮崎個人は、週刊朝日の同企画に対し、一切の関わりを持っておりません。その旨ご承知いただき、ご注意くださいますようお願い申し上げます」と、注意喚起するとともに、「週刊朝日に対し、抗議文の送付ともに説明を求める予定」としている。
”良い病院” ランキングなんてのも広告次第ってこと。




週刊誌の内容のひどさは自明だろうが、それでも、聞き捨てならんということがかなりある。
偏った一意見から、妄想的な内容を構築し、合理的解釈や推奨から乖離した文面を構築し、記事とする新聞社・記事。一般人や団体なら それも自由だが、既得権で得た再販制度や記者クラブの上であぐらをかき、自省まったくない一群の団体。

 
週刊誌も、新聞でも、広告要求のうるさいことうるさいこと、医療関係者なら経験しないことないくらいの話だろう。


たとえば、私なども、多く経験した。

Y新聞社の広告部ってのが一番ひどく、
・最初の電話も、「出身大学の病院関係者」をなのり、直接電話取り次ぎさせる。これを繰り返す手口。(悪徳マンション詐欺と同じ)
・「出身医局の○○教授が今度○○という企画をする。同門なら金出しますよねぇ」と広告費を要求する
・「先生の専門とする学会で○○という企画がある。良い宣伝になりますよ」と広告費請求。

・・・でも、わたしらのいなかではY新聞の購読者数なんて数えるくらいしかない。

経験だと思って、広告を一度出すとしつこいしつこい!

ある日、「語り手口」を録音し、詐欺と同じだと恫喝してから、電話かかってこなくなったが、同様に、A新聞、M新聞、地元有力紙・・・




週刊誌も同様で、新聞社系列の週刊A,週刊Mから広告費の押しつけFaxをもらったことは多数。

新聞紙面で社会正義を振りかざしているが、まさに、やりくちは、詐欺!
やくざのほうがまだ道義をわきまえている。

・ 「記者クラブ」で官僚・政府からもらった情報を仲間の報道機関と横並び報道、時に、御用記事を独占させてもらい、「世論制御」報道をおこない記事作成。
・ 販売では、「再販制度」・「代理店・販売店制度」に守られ、「押し紙」やら代理店押しつけで、部数ごまかし
・ 広告収入では、上記ごとき、詐欺

参考:新聞ができるまで
http://www.geocities.jp/yamamrhr/ProIKE0911-121.html



民主党政権でただ一つよかったのは、この記者クラブの御用記事がめだたなくなったこと。
これは政府のガバナンス不足のためだと思うが
もし 、自公政権が悪い方向でガバナンス発揮し、小泉政権下で行われた、御用記事・国民洗脳が再び動き出すとしたら・・・  危惧している。

プライマリケア:咳に対する抗生剤投与は効果少なく、見合わない重篤な副作用の可能性

プライマリケア急性下気道感染(非肺炎)へのアモキシシリン投与に利益性少ない。60歳以上でも効果があるというわけではない。

・・・ というRCT報告

Amoxicillin for acute lower-respiratory-tract infection in primary care when pneumonia is not suspected: a 12-country, randomised, placebo-controlled trial
Prof Paul Little et. al.
 on behalf of the GRACE consortium
The Lancet Infectious Diseases, Early Online Publication, 19 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473309912703006/fulltext

下気道感染はプライマリケア管理の急性疾患の一つであるが、抗生剤のプラシーボ対照化トライアルは少数で、包括的有効性、特に、高齢者で議論がある。
急性下気道感染へのアモキシシリン投与のベネフィット・有害性について検討

【方法】
18歳超の急性下気道感染(28日間以下の咳嗽)で肺炎で無い場合を1:1にランダム割り付け
・アモキシシリン(1g×3/7日間)
・プラシーボ

プライマリアウトカムは、”中等度”のratingの症状期間もしくは”悪化”と判断される期間
セカンダリアウトカムは、2-4病日の症状重症度と、新規もしくは症状悪化

【結果】
アモキシシリン群 1038名
プラシーボ群 1023名

”中等度”ratingもしくは”悪化”症状期間 (ハザード比 1.06, 95% CI 0.96—1.18; p=0.229) も、平均的症状重症度 (プラシーボ 1.69  vs アモキシシリン 1.62; 差 −0.07 [95% CI −0.15 to 0.007]; p=0.074) も群間差有意で無い。
新規症状もしくは悪化症状は、アモキシシリン群は、プラシーボ群比較で、有意に多くない (162/2021 [15.9%] vs 194/1006 [19.3%] of 1006; p=0.043; number needed to treat 30)

アモキシシリン群では、対照群に比べ、吐気、皮疹、下痢症例多い (number needed to harm 21, 95% CI 11—174; p=0.025)、1例アナフィラキシーショック
プラシーボ群2例、アモキシシリン群1例で入院必要
研究関連の死亡例なし

60歳以上に関し、選択的ベネフィット存在しなかった。



COPDなどの気道系基礎疾患や他臓器基礎疾患有る場合は別だろうが・・・もっとも、 この場合は、アモキシシリンよりレスピラトリーキノロンがより効果的だが・・・

カフェイン毒性: エナジードリンク問題 ・・・ 外国だけの話なのだろうか?

”エナジードリンク”問題


カフェイン入りを隠匿しているため、利用者側もどれほど摂取してるか不明。
そして、中毒量に至っているか不明
さらに、”天然成分”(“natural” ingredients)が含まれ、成分表示義務化された医薬品で無く、食事サプリメントとして扱われている製品群でもある。カフェイン含有商品をひとまずすべて医薬品表示扱いにすべきだろうとの意見。

スウェーデンの研究では5千の司法解剖例で、カフェイン血中濃度10μg/mL超が1%程度に見られ、コーヒー1杯では血中濃度1-2μg/mLとなる。20例で80μg/mL存在し、これは致死量と考えられたが、他剤服用も、このうち7名に認められた。
短時間にカフェイン3から10gを服用すると致死的になる可能性はある。テオフィリンやテオブロマイドなどの活性物へ肝臓となり、アルコールや他の薬物でカフェイン半減期5時間は遷延化する。エナジー・ドリンクはサービングあたり約100mgのカフェインで、サービングあたり250mgの例も認められた。
カフェイン致死投与量3gにいたるには、カフェイン高含有エナジードリンクを数時間で12杯飲めばいたる計算になる。さらに薬物相互作用、CyP450 1A2経路を介し代謝されるが、この薬物相互作用が関連、さらに、肝疾患・心疾患の合併がそのリスクを増強する可能性がある。

Energy Drinks and Caffeine-Related Adverse Effects  
Kent A. Sepkowitz, MD
JAMA. Published online December 19, 2012. doi:10.1001/jama.2012.173526


Risks of Energy Drinks Mixed With Alcohol
Jonathan Howland, PhD, MPH; Damaris J. Rohsenow, PhD
JAMA. Published online December 19, 2012. doi:10.1001/jama.2012.187978


栄養ドリンク飲んで?13人死亡 米、FDAが調査へ
http://www.asahi.com/international/update/1116/TKY201211160393.html



日本では関係ないようだが・・・

コカコーラのエナジードリンク:100mlあたり、カフェイン32mg
http://www.cocacola.co.jp/products/lineup/burn01.html

これなんかも、500mlでも飲めば、カフェイン150mg一気に体内へ・・・ということになる。
致死量の1/20がこれだけで供給されることとなる。

大正製薬・リポビタンD:100mlあたり、カフェイン 50mg
http://www.catalog-taisho.com/00347.php

PL顆粒:1gあたり無水カフェイン 60mg
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1180107D1131_1_06/


仕事をしない消費者庁 ・厚労省 ・・・ どうする!



アロプリノール服用、徐放性テオフィリン製剤、クラリス服用、シプロキサン服用、アルコール摂取、お茶大量常用の高齢者(いずれも代謝低下作用)が、リポビタンDとともにPL顆粒服用したら・・・

2012年12月19日水曜日

ニューモバックス(ポリサッカライド型ワクチン)の問題点:感染伝播抑制力のなさ、反復投与免疫抑制作用、再投与副作用増強・・・

ポリサッカライド型ワクチンである「ニューモバックス」を肺炎のワクチンとして宣伝する外資系製薬会社、そして、それを鵜呑みにする医者達。

肺炎球菌性肺炎予防のエビデンス無き肺炎球菌ワクチン:PCV7の方がより免疫反応が優秀 2009年 09月 09日
・・・肺炎球菌ワクチンの肺炎球菌性肺炎への有効性のエビデンスはあやしい

Efficacy of pneumococcal vaccination in adults: a meta-analysis
CMAJ • January 6, 2009; 180 (1). doi:10.1503/cmaj.080734.
Pneumococcal vaccination does not appear to be effective in preventing pneumonia, even in populations for whom the vaccine is currently recommended.

その医者達は、ポリサッカライドワクチンの特徴を全く知らず、“地域住民のためワクチンをしろ!”と脅迫的行動をとる輩もいる。なかには、ポリサッカライドワクチンの特徴である再接種による過敏反応を無視し、”再接種によるブースター効果がない”ことも知らず、ひたすら、再接種を勧めるといういい加減さ。現実にこういう医師たちが存在する。


これって、日本の医療の問題点のひとつの断面・・・製薬会社からの情報をもとに、勝手な解釈を行い、地域に問題を振りまく。政治家・行政官がことの本質を知らず、ワクチンの特性勉強せず、十把一絡げの対応。

当方の地域はひどい状態なのだが・・・製薬会社の方は、”ニューモバックスの嘘”を放置どころか、DTCを利用して、促進的活動しているように見える。


ポリサッカライドワクチンの問題点と、なぜ、結合型ワクチン開発が必要なのかが書かれている。
 ↓
From Medscape Education
Immunization for Pneumococcal Disease in Older Adults: Available Vaccines and a Call to Action
http://theheart.medscape.org/viewarticle/771540


肺炎球菌による主要病型
・侵襲性(IPD)
菌血症
髄膜炎
・非侵襲性
肺炎
急性中耳炎(AOM)
副鼻腔炎
肺炎球菌感染症は侵襲性と、非侵襲性(=粘膜感染)に分類
肺炎は、通常、非侵襲型だが、菌血症あれば侵襲性



敗血症性肺炎球菌性肺炎におけるセロタイプと死亡率
・ 9つのメタアナリシスで、14のセロタイプ検討
・ 死亡高リスク関連セロタイプは 3、6A、6B、9N、19F
・ 死亡低リスク関連セロタイプは 1、7F、8
高リスクセロタイプ群では、伝播性が高く、侵襲度が少なく、莢膜があつい


莢膜ポリサッカライドはワクチン抗原として適切でない
・ポリサッカライドは免疫反応収束的に働く(B細胞反応のみ)
・潜在力、持続性、メモリー(ブースター)いづれも乏しい
故に、

•乳児に効果無し
–小児ワクチンスケジュールに使えない
免疫記憶効果無し
数年しか防御効果無し(平均3年間)
ワクチン繰り返しでブースター効果期待できず、住民予防効果もない
過敏性を誘発した上に、効果減弱の可能性
感染伝播減少させず
–ワクチン接種者のみ防御、ワクチン非接種同居人に効果無く、さらに、地域住民に当然効果無し

結合型ワクチンの有用性

特性ポリサッカライド型ワクチン結合型ワクチン
乳児での有効性NoYes
免疫メモリーNoYes
免疫防御有効期間延長NoYes
ブースター効果NoYes
感染減少NoYes
Herd effectNoYes
繰り返し投与による低反応YesNo



成人におけるPCV13の応用はPCV7の遺産と小児のデータのうえに、期待されている。ワクチンによる予防は、高齢者・特定リスク群と考えられ、リスクベース戦略より年齢ベースの戦略にアドバンテージあるとする


案の定、日本呼吸器学会の新しいガイドライン候補に「肺炎球菌ワクチン」推奨・再投与まで推奨という項目があった。

以下の意見書を送った
ワクチンの項目の「肺炎球菌ワクチン」に関し、侵襲性肺炎球菌(IPD)へのエビデンスはあるものの、肺炎予防へのエビデンスはないと思います。


さらに、再接種も推奨されているようですが、はたして、十分な議論がされたのでしょうか?
Efficacy of pneumococcal vaccination in adults: a meta-analysis
CMAJ • January 6, 2009; 180 (1). doi:10.1503/cmaj.080734. (http://www.cmaj.ca/cgi/content/abstract/180/1/48?ijkey=c1f237964cda5103ddeb1040cd05923b2453f42f&keytype2=tf_ipsecsha)
Pneumococcal vaccination does not appear to be effective in preventing pneumonia, even in populations for whom the vaccine is currently recommended.


PPSV23へのワクチンの効果に関し、誤解を振りまく可能性を危惧します。

この項目の再考を希望いたします。

Look AHEAD: ライフスタイル強化介入追加により、糖尿病寛解増加

2型糖尿病患者へ、通常の糖尿病指導である、“糖尿病サポート・教育コントロール(diabetes support and education control condition (DSE))だけじゃなく、より積極的に、ライフスタイル強化介入を行ったところ、やはり、糖尿病寛解は増加した。

ライフスタイル介入に関して解説してるところがあるので、ご参考に →  http://rockymuku.sakura.ne.jp/naibunnpitunaika/Look%20AHEAD%20trial.pdf
 

でも、寛解にいたる絶対数少なく、7%から10%・・・ この病気の難しさを実感する。
大多数は、ライフスタイル介入だけでは、寛解導入はやはり困難。

要約を逐語訳してみた・・・

Association of an Intensive Lifestyle Intervention With Remission of Type 2 Diabetes  
Edward W. Gregg, et. al. for the Look AHEAD Research Group
JAMA. 2012;308(23):2489 doi:10.1001/jama.2012.67929
【序文】  ライフスタイル介入による2型糖尿病寛解導入の程度は明らかでない。

【目的】  2型糖尿病から長期減量介入と、2型糖尿病からのprediabetes or normoglycemia状態への寛解頻度の関連性研究

【デザイン、セッティング、登録者】 4つのRCT(ベースライン受診、2001年8月から2004年4月)の 副次的観察研究(Ancillary observational)解析で、、“diabetes support and education control condition (DSE)”と、“intensive lifestyle intervention (ILI)”( 4503 名のUS 成人、BMI 25以上、2型糖尿病)比較

【介入】IL1ランダム割り付け登録者は、最初の6ヶ月は、週毎のグループ、個別カウンセリングを行う、続く6ヶ月は月3回のセッション、そして2-4年間月2回の接触と定期的リフレッシュ化群シリーズ・キャンペーン施行(n=2241)

DSE( education control condition)、年毎の3つのグループセッションで、食事、運動、社会的サポート (n=2262)

【主要アウトカム測定】  部分、完全寛解
prediabetesあるいはnondiabetic levelの血糖に合致する状態への移行と定義 (血糖降下剤無使用 空腹時血糖< 126mg/dL 及び HbA1c< 6.5%)

【結果】 ライフスタイル強化介入群では、DSE登録者に比べ、有意に、以下変化
1年後体重減少 (net difference, −7.9%; 95% CI, −8.3% to −7.6%)
4年後体重減少 (−3.9%; 95% CI, −4.4% to −3.5%)

1年後フィットネス増加 (net difference, 15.4%; 95% CI, 13.7%-17.0%)
4年後フィットネス増加(6.4%; 95% CI, 4.7%-8.1%) (P < .001 for each)

 ILI (ライフスタイル強化介入)群では、寛解(部分・完全)経験が多い
1年目頻度 11.5% (95% CI, 10.1%-12.8%)
4年目頻度 7.3% (95% CI, 6.2%-8.4%)
vs DSE群では両ポイントとも2.0%
(1年目 95% CIs, 1.4%-2.6% 、4年目 1.5%-2.7% at year 4) (P < .001 for each)

ライフスタイル強化介入群のうち、寛解持続は、2年目  9.2% (95% CI, 7.9%-10.4%)、 3年目 6.4% (95% CI, 5.3%-7.4%)、 4年目 3.5% (95% CI, 2.7%-4.3%)
vs DSE群では2%未満 (2年目 1.7% [95% CI, 1.2%-2.3%]; 3年目 1.3% [95% CI, 0.8%-1.7%]; 4年目 0.5% [95% CI, 0.2%-0.8%] )

【結論】  体重増加成人への上記研究解析にて、ライフスタイル強化介入は、糖尿病サポート・教育システムに比べ、2型糖尿病寛解尤度増加に有意に相関。
しかしながら、絶対的寛解はそれでも軽度である。



Look AHEAD 研究:2型糖尿病肥満患者でのライフスタイル変容とmobility 2012/03/29 

貿易センタービルテロ:発がん超過リスク

 2001年9月11日世界貿易機関(WTC)へのテロ攻撃により、ダスト、デブリ、建築資材微粉、一部毒性物の暴露が膨大に広がり、短期・中期的に健康への悪影響が懸念される。
 ダスト、煙、エロゾールは、揮発性化学物質やPM2.5、アスベスト・シリカ、ベンゼン、ポリ塩化ビフェニール、多環芳香族炭化水素(PAH)、揮発性誘起物質、無数の金属などを含む。
発がん物質の存在があり、将来のがんリスク増加が懸念されている。
Fire Department of the City of New York (FDNY)の9853名の男性消防士の研究で、19%ほどの超過リスクが報告されていた。



今回の報告では、世界貿易センタービル登録者は、ニューヨーク州居住者比較で、2007-200年において、結局は有意な関連は認められないのだが、超過リスクとしてあげられているのは、前立腺癌、甲状腺癌、骨髄腫。


Association Between World Trade Center Exposure and Excess Cancer Risk  
Jiehui Li, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2479 doi:10.1001/jama.2012.110980



Table 3. Standardized Incidence Ratio (SIR) Adjusted for Age, Race/Ethnicity, and Sex and 2007-2008 Rate Difference of First Primary Cancer Site Among Rescue/Recovery Workers With Known Race/Ethnicity Using the New York State Population Rate as Reference (n = 21218)

アスピリン10年間以上定期服用で、加齢黄斑変性リスク 軽度減少

発症前5年前のアスピリン使用と加齢黄斑変性(AMD)発症の関連はないが、10年以上アスピリン定期服用者は統計学的に有意なAMD発症、血管新生型AMDのリスク増加と影響程度は少ないものの有意。

Long-term Use of Aspirin and Age-Related Macular Degeneration  
Barbara E. K. Klein, et. al.
JAMA. 2012;308(23):2469-2478. doi:10.1001/jama.2012.65406


10年以上 アスピリンを飲み続けられる人の他の社会生活上の寄与要素ってべつにあるのじゃ?

2012年12月18日火曜日

体重減少のためには好気的運動がやはり理想的



体重減少のためには、好気的運動がやはり適切

ただし、除脂肪量(すなわち、骨と筋肉の量) を増やすためにはレジスタンス・トレーニング分を増やさないといけないという常識的に思える話を証明

 

Effects of aerobic and/or resistance training on body mass and fat mass in overweight or obese adults
Leslie Willis, et. al.
Journal of Applied Physiology December 15, 2012 vol. 113 no. 12 1831-1837
119名の運動不足、過体重・肥満成人を3つの運動プロトコール割り付け
1) RT: resistance training :レジスタンス・トレーニング 
2) AT: aerobic training :好気的運動
3) AT/RT: aerobic and resistance training (combination of AT and RT) :好気的運動+レジスタンス・トレーニング
プライマリアウトカムは総体重、脂肪体重、除脂肪体重

ATとAT/RT群は、RTより、総体重と脂肪体重 減少(p<0.05)
しかし、他はさ無し

RTとAT/RTは、ATより、除脂肪体重増加(p<0.05)

経過観察期間を2倍すると、ATとRTの組み合わせプログラムはAT単独に比べ脂肪量・総体重量に関して有意差認めなくなる。

健康ベネフィットとしての必要経過期間のバランスをとれば、ATが脂肪量・総体重減少に最も適切な運動と考えられ、RTを含むプログラムは中年、過体重/肥満者にとって、除脂肪体重増加のために必要な運動と考えられる。

アメリカ小児科学会:チメロサールは防腐剤であるチメロサールの有害性否定のWHO要求を承認



AAP Endorses WHO Statement on Thimerosal in Vaccines
12/17/2012 For Release:  December 17, 2012
http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/AAP-Endorses-WHO-Statement-on-Thimerosal-in-Vaccines.aspx

“Global Vaccine Recommendations and Thimerosal”


“Ban on Thimerosal in Draft Treaty on Mercury: Why the American Academy of Pediatrics (AAP) Position in 2012 Is So Important”


  “Global Justice and the Proposed Ban on Thimerosal-Containing Vaccines”





水銀含有防腐剤はワクチン成分として中止すべきでないというアメリカの小児科学会だが、1999年チメロサールのため自閉症や他の神経発達障害に関わる可能性のためAAPはその除去を要請していた。そのときはエビデンスのない要求であった。
2004年の独立U.S. Institute of Medicine安全性レビューで、チメロサール含有ワクチンの自閉症原因としてのエビデンス無しとした。2010年連邦防疫センター(Centers for Disease Control and Prevention )も同様の結論を出した。

現在、インフルエンザワクチンの一部を除いて、米国内では、単回投与剤型としては、チメロサールは含有されてない。複数回用のバイアルは安価で製造容易であるが、細菌や真菌のコンタミネーションのリスクが高いため使用されているとのこと。

チメロサールの代替を進めたが、結果的には安全性を担保できず、商品とならないものが出てきた。有益性及び無害性にかかわらず、まだ、United Nations Environment Programの中止すべきリストに名を連ねている。子供の生命を守るためこのリスト除外はすばらしいことと述べてるが、チメロサール代替が進む米国内には影響少なく、世界のワクチンへの影響の方が大きいと書かれてる。



2012年12月17日月曜日

“高齢医師を監視下に!”

米国ドラマ“ER”にもかつての名医が認知症と発覚、自覚し引退を示唆する場面があったと思う。

冒頭、アメリカの日野原先生と言えるのだろう、引退を考えてない101歳の“Dr. Ephraim Engleman”を紹介している。趣味の音楽に積極的に生きる、心身ともに丈夫な超高齢医師。

中身は、“高齢医師を監視下に!”という、医師側にとってショッキングな話題。
Aging Doctors Come Under Greater Scrutiny
By MedPage Today Staff
Published: December 16, 2012
http://www.medpagetoday.com/Surgery/GeneralSurgery/36476



AMANDAによると、100万名いる米国医師のうち、55歳超 42%、65歳超 21%。
2006年は、それぞれ35%、18%であった。
64歳超の年齢階層の実務就業増加が、個人的・経済的理由からも増大している。

だが、パイロットは45歳から定期的身体検査、65歳で引退、FBIの引退平均年齢は57歳

医師たちも定期的な健康状態、適正能力がモニターされていると一般に思われているが、そんなものは米国でも存在しない。

Narcossは、100から150名の医師を評価・推定し、約8千名の医師たちが完全に認知症になってると推定。
(米国では、一般的には65歳超では3-11%に認知症)

日本人でも、60-65歳以上で3-8%程度と考えて良いと思う。
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html

H22 http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/10/dl/kekka_1.pdf

就業状態にある医師のうち、60-69歳 33217名、70歳以上で26649名 合計59866名
認知症 1800名から4800名程度と考えられる。脳リザーブ理論から考えればこれより低率になる可能性はもちろんあるが・・・


さらに、Narcossは、聴覚・視力・共調運動、認知機能などに問題を有しても、医師の1/3は主治医を持ってない状況にあると述べている。



維持フィットネス能力を2年毎チェック、診療権投与という病院側の取り組み紹介。
一方、知的・身体的能力に疑いも無く、102歳まで医師を続けてるEpharaim Englemanのケースの紹介。彼の母校、スタンフォードは75歳超の医師たちに試験を要求していることにうれしくないようだが、反対もしないという意見を示している。



脂肪摂取量制限による体重減少効果確認





マスコミなどが極端な低炭水化物ダイエットを勧めるのを見聞きすることがある。結果的に、総脂肪量増加の可能性がある。

DIRECT研究: 低炭水化物食 vs バランスのとれたダイエット食 vs 低脂肪食 2012/10/05
低炭水化物・高蛋白食は心血管疾患リスク増加をもたらす 2012/06/28




長年リスク状態にある人を含め健康状態に関わらず、総脂肪制限することはあきらかに体重減少と関連することが高品質エビデンスとして存在する。 総脂肪摂取量を低下することで、程度は少ないが、統計学的に有意な体重減少を成人にもたらす。

このケースは成人脂肪摂取量ベースラインでエネルギー摂取量の28%-43%の6ヶ月から8年間の研究 。小児でも不充分だがエビデンス存在。


Effect of reducing total fat intake on body weight: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials and cohort studies
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7666 (Published 6 December 2012) Cite this as: BMJ 2012;345:e7666

 先進国データがすべてで、33 RCT(73589名)、10 コホートを含む
メタアナリシスから、総脂肪量低減食は、相対的に体重減少と相関  (by 1.6 kg, 95%信頼区間 −2.0 to −1.2 kg, I2=75%, 被験者 57 735)

 対照群比較で脂肪低減群で体重増加が少ないことは、トライアル横断的な現象だが、影響にばらつきがある。
  メタ回帰にて、総脂肪摂取量減少大きいほど、ベースラインの脂肪摂取少ないほど、体重減少効果相対的に大きく、これによって、結果のばらつきの多くは説明可能。

 低脂肪の体重への有意な影響は、感度分析で消失せず (観察期間のながいもの、低脂肪群でのトライアルを除いても・・・)。

 低脂肪総摂取量制限は、BMI低下と関連し  (−0.51 kg/m2, 95% 信頼区間 −0.76 to −0.26,9トライアル, I2=77%)、同様に、ウェスト径  (by 0.3 cm, 95% 信頼区間 −0.58 to −0.02, 女性 15 671名, 1トライアル)
 心血管疾患リスク要素への負の影響は示唆されない  (脂質、血圧)

 GRADE assessment にて、総死亡摂取量と体重の相関に関する高品質エビデンスの存在が示唆された。

 一つのRCT、3つのコホート研究で、小児・若年においてのみだが、総脂肪摂取量と体重増加の正相関性が示された。 



There is high quality, consistent evidence that reduction of total fat intake has been achieved in large numbers of both healthy and at risk trial participants over many years. Lower total fat intake leads to small but statistically significant and clinically meaningful, sustained reductions in body weight in adults in studies with baseline fat intakes of 28-43% of energy intake and durations from six months to over eight years. Evidence supports a similar effect in children and young people.

2012年12月16日日曜日

the Lancet: Global Burden of Disease Study 2010解析

今週のthe Lancet共著者だらけで、タイトルさえ、読みにくい

著者を大幅省略したが、読む気がしなかった

Carenetで解説されてるようだ
http://www.carenet.com/news/journal/carenet/32995

 2010年に世界で死亡した人は5,280万人であった。そのうち最大の統合死因別死亡率(感染症・母体性・新生児期・栄養的)は24.9%であったが、 同値は1990年の34.1%(1,590万/4,650万人)と比べると大幅に減少していた。その減少に大きく寄与したのが、下痢性疾患(250万人 →140万人)、下気道感染症(340万人→280万人)、新生児障害(310万人→220万人)、麻疹(63万人→13万人)、破傷風(27万人→6万 人)の死亡率の低下であった。
 ・・・・
 2010年の主要な死因は、虚血性心疾患、脳卒中、COPD、下気道感染症、肺がん、HIV/AIDSであった。そして2010年の早期死亡による生命 損失年(years of life lost:YLL)に影響した主要な死因は、虚血性心疾患、下気道感染症、脳卒中、下痢性疾患、マラリア、HIV/AIDSであった。これは、HIV /AIDSと早期分娩合併症を除き1990年とほぼ同様であった。下気道感染症と下痢性疾患のYLLは1990年から45~54%減少していた一方で、虚 血性心疾患、脳卒中は17~28%増加していた。
 ・・・
標準年齢の死亡率は一部の鍵となる疾患(とくにHIV/AIDS、アルツハイマー病、糖尿病、CKD)で上昇したが、大半の疾患(重大血管系疾患、 COPD、大半のがん、肝硬変、母体の障害など)は20年前より減少していた。その他の疾患、とくにマラリア、前立腺がん、外傷はほとんど変化がなかっ た。

行政の疾患への取り組みに関して、量インパクトのある疾患、介入効果のある疾患を重視すべきであろう。また、治療・予防に進歩の見られない疾患があぶり出されてきた。
重大心血管疾患、COPD、大半のがん、肝硬変、母体障害などは、減塩・禁煙・節酒・妊娠時検診などの啓発に起因するのかもしれない。しかし、アルツハイマー病、糖尿病、CKDなどは増加し、今後、疾患カテゴリーの明確化を含め、対策が急務と考えられる。前立腺癌って、検診の効果さほどなかった・・・とも解釈できる。日本のPSA検診はベネフィット・ハーム議論ほとんどされず、上限年齢さえ設定されてないなど、倫理上の問題も存在する。

Age-specific and sex-specific mortality in 187 countries, 1970–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Haidong Wang,  et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2071 - 2094, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961719-X/abstract


Global and regional mortality from 235 causes of death for 20 age groups in 1990 and 2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Rafael Lozano, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2095 - 2128, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961728-0/abstract

Common values in assessing health outcomes from disease and injury: disability weights measurement study for the Global Burden of Disease Study 2010
Joshua A Salomon, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2129 - 2143, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961680-8/abstract

Healthy life expectancy for 187 countries, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden Disease Study 2010
Joshua A Salomon, et.al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2144 - 2162, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961690-0/abstract

Years lived with disability (YLDs) for 1160 sequelae of 289 diseases and injuries 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Theo Vos, et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2163 - 2196, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961729-2/abstract

Disability-adjusted life years (DALYs) for 291 diseases and injuries in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 201
Christopher J L Murray, et.al
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2197 - 2223, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961689-4/abstract

A comparative risk assessment of burden of disease and injury attributable to 67 risk factors and risk factor clusters in 21 regions, 1990–2010: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2010
Stephen S Lim, et. al.
The Lancet, Volume 380, Issue 9859, Pages 2224 - 2260, 15 December 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961766-8/abstract

2012年12月15日土曜日

オリンピック競技メダリスト達は一般人より長生き

オリンピック競技メダリスト達は一般人より長生き、これは、国、メダル種類、スポーツ種類を問わず共通の現象。



Survival of the fittest: retrospective cohort study of the longevity of Olympic medallists in the modern era
Christmas 2012: Sport
BMJ 2012; 345 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8308 (Published 13 December 2012)
Cite this as: BMJ 2012;345:e8308
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e8308 

一般住民の対照に比べ、メダリスト達は、勝利後30年後も生存する確率は高い
(相対的条件下生存 1.08 95%信頼区間 1.07-1.10)

眼ダリ質は対照より平均で2.8年長生き

8/9ヶ国のメダリストでは対照より生存アドバンテージ有意に存在

金、銀、銅メダリストとも同様なサイズの生存アドバンテージ有り

持久力スポーツ・持久力を含む混合的スポーツのメダリストは、パワースポーツ(1.05、1.01-1.08)より、メダル獲得30年後、より生存期間がながい( 1.13;1.09-1.17、1.11;1.09-1.13)



恒例のおふざけ的要素を含む、クリスマス企画論文の一つ


そういえば、“はげしい運動で寿命がみじかくなる”と吹聴している輩がいますね

比較的若年:合併症無し失神初回受診 その後死亡率増加

合併症のない健康な人であっても、26-44歳で、1年後までの死亡率ハザード比 2.02と最も高く、45歳から74歳までHR 1.29。

若年者での失神の臨床的重要性がクローズアップされている。

Prognosis Among Healthy Individuals Discharged With a Primary Diagnosis of Syncope
Martin Huth Ruwald, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2012;():. doi:10.1016/j.jacc.2012.08.1024

【目的】 合併症既往ない人対象の国内コホートにおける失神受診の心血管副事象・死亡リスク
【背景】 失神という病態の臨床的遭遇は多いが、健康人での予後の知識は十分じゃない。
【方法】 デンマーク(2001-2009)の合併症既往無しの失神受診者を国内行政登録において同定、デンマークからの5つのコホート対象者の性別・年齢をマッチ化。
死亡、失神再発、ペースメーカー植え込み、ICD、心血管疾患入院のリスクを多変量Cox比例ハザードモデルにて解析

【結果】 失神初回診断患者 37017名、対照 185085
年齢中央値47歳(中間4分位 32-63歳)、男性 47%
死亡は、失神時総数 3023(8.2%)、対照群 14251(7.1%)
(イベント発生率は1000人年 14.3)

多変量Cox回帰解析にて、全原因死亡率(ハザード比 [HR]: 1.06; 95% 信頼区間 [CI]: 1.02 to 1.10)、心血管疾患入院(HR: 1.74; 95% CI: 1.68 to 1.80)、失神再発 (HR: 1.35; 95% CI: 1.27 to 1.44)、ペースメーカー・ICD植え込み率(HR: 5.52; 95% CI: 4.67 to 5.73;P < 0.0001)有意増加。

【結論】健康者失神初回入院は、全原因死亡率、卒中、心血管疾患入院、デバイス植え込み、再発性失神の有意な予測因子。

2012年12月14日金曜日

筋骨格機能の重要性: sitting-rising test (SRT)スコアで予後推定可能

中年から高齢者で、座位からから立位への挙動で寿命推測可能。
筋骨格機能の生命予後への重要性がクローズアップされた。


関連:Ability to sit and rise from the floor is closely correlated with all-cause mortality risk
Test of musculo-skeletal fitness is 'strong predictor' of mortality in the middle-aged and older
http://www.escardio.org/about/press/press-releases/pr-12/Pages/ability-to-rise-correlated-mortality.aspx?hit=dontmiss





Ability to sit and rise from the floor as a predictor of all-cause mortality
European Journal of Preventive Cardiology December 13, 2012 2047487312471759
51-80歳(男性 68%)で、 sitting-rising test (SRT)の補助的に手や膝を使うかで、0-5ポイントにスコア化。最終的にSRTスコアを0-10にして、4カテゴリーに層別化(0-3、3.5-5.、6-7.5、8-10)

フォローアップ中央年は6.3年、死亡159(7.9%)

低SRTスコアは、死亡率増加と関連(P<0.001)
生存率連続トレンドは多変量(年齢、性別、BMI)補正ハザード比として、低スコアから好スコアまでで 5.44 (95% CI 3.1–9.5)、 3.44 (95% CI 2.0–5.9)、 1.84 (95% CI 1.1–3.0) (p < 0.001)
SRTスコア増加単位毎に生存率21%改善と関連



日本臨床整形外科学会の“ロコモ”症候群は、まず、こういう地道な調査をして、世にその正誤を問うべき。いまの、“まず概念ありき”じゃ、そのへんのいんちき宗教や詐欺商売と同じ。

高齢者入浴可否基準

入浴サービスに関して、介護系施設から入浴可否の診断求められることがある。
その可否判断は存在するのだろうか?

明確な根拠ある基準は無いと思われる。相変わらず、根拠指針を示されてない。

感染症に関してだが、妄想とおもわれる専門家の意見が→ e.g.)  http://www.e-clinician.net/vol31/no334/pdf/sp03_334.pdf
実態調査などは看護・介護の分野でなされている→ e.g.) http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2008-j18-1/11_okuda.pdf

この分野、あいも変わらず「であるはずだ」論ばかり・・・客観的エビデンス提示に乏しい。中でも、入浴前血圧だけに固着したサービスクライアントとそれに振り回されている看護・介護関係者の議論が多くなされている。

そして、サービス利用者のほとんどが超高齢者であることをわすれた議論が多い。
 参考: 超高齢者・85歳以上の高血圧・脈圧増加は、障がいADL・認知機能減弱を予防する ・・・ 高血圧・脈圧拡大の防御的作用 2012/11/30




高齢者の入浴関わる論文は英語検索すると ・・・日本発だらけ・・・日本独特の問題ということになる


以下の英字化された論文を読むと、心臓突然死を起こしそうな人が入浴にまつわる死亡と関連・・・と読める。

既存冠動脈・呼吸器系障がいのあるひとに、寒冷・熱いふろ・静水圧が影響し、突然死などに関連するが、高齢者といえど、有意なパラメータに変化を認めない
 ↓
Risk factors of sudden death in the Japanese hot bath in
the senior population
T. Chiba et al.
Forensic Science International 149 (2005) 151–158
http://ettc.sysu.edu.cn/cusi/paper/04.pdf


一般的には、若年者は、入浴後は血圧低下
高齢者は入浴直後に血圧増加

Effects of hot bath immersion on autonomic activity and hemodynamics: comparison of the elderly patient and the healthy young.
Nagasawa Y, et. al.
Jpn Circ J. 2001 Jul;65(7):587-92.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcj/65/7/65_7_587/_pdf



The change of hemodynamics and heart rate variability on bathing by the gap of water temperature.
Biomed Pharmacother. 2005 Oct;59 Suppl 1:S92-9
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcj/65/7/65_7_587/_pdf

日本臨床 Nihon Rinsho. 2005 Jul;63(7):1239-42.
[Sudden death while bathing].
http://www.nippon-rinsho.co.jp/backnum/g_mokuji/6307.html


以上、考えれば、入浴前血圧を議論するより、各クライアントに対し、「突然死」リスク評価をまず行うべき!

心臓突然死の予知と予防法のガイドライン
Guidelines for Risks and Prevention of Sudden Cardiac Death (JCS 2005)
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2005_aizawa_h.pdf

・問診(失神・意識消失既往、不整脈・冠動脈疾患既往・リスク、脳血管疾患既往(病型を含め)、突然死家族歴など)
・心電図を全例にすべきか?さらに、ホルター心電図、運動負荷心電図の選択基準は?
こういったことを議論し、一定見解をまとめる必要があるのに・・・放置されている。
そして、その費用弁済は・・・

2012年12月13日木曜日

5-18歳の子供の研究:寝室テレビの存在は肥満と相関する


寝室にあるテレビ及びテレビ視聴時間に関し、369名の子供・思春期5-18歳を対照に解析。

Television, Adiposity, and Cardiometabolic Risk in Children and Adolescents
Amanda E. Staiano, et. al.
(Am J Prev Med 2013;44(1):40–47) © 2013 American Journal of Preventive Medicine
http://www.ajpmonline.org/webfiles/images/journals/amepre/AMEPRE_3629%5B3%5D-stamped.pdf

多変量モデルで、テレビの寝室での存在、テレビ視聴時間は、ウェスト径(OR 1.9-2.1)、皮下脂肪量(OR 2.0-2.5)と有意相関(p< 0.05)。

一方テレビ5時間以上視聴は、内臓脂肪量増加(OR 2.0)と有意相関。

寝室テレビは、 心血管疾患リスク(OR 2.9)、高中性脂肪血症(OR 2.0)と有意相関。


結論としては、寝室テレビの存在・テレビ視聴時間は、ウェスト径・脂肪良・腹部皮下脂肪量増加と有意相関。
テレビ視聴時間は、内臓脂肪と相関。寝室テレビの存在は子供の心代謝系リスク要素増加と関連し、その程度は運動や不健康食補正しても関連性は残る。



就寝時のテレビ視聴は、入眠時間・概日周期を乱す。そして、代謝系への悪影響をもたらす。


小児:テレビ視聴長いと、外面化問題行為(注意欠陥・多動・攻撃性、反社会性)多くなる 2012/10/10

夜中のPC/iPad操作、テレビ視聴・・・ ipRGCを介し、うつ、学習能力低下、ストレス増加・・・  2012/11/19

FDA:バレニクリン(チャンピックス)の心血管リスク増加 安全性情報提示とメーカーへの研究要請

チャンピックス:重大な心血管疾患リスクとは関連なさそう 2012/11/16

これで片付いたと思ってたが・・・アクションは違う方向に


“FDA Safety Review Finds Small, Nonsignificant Increased Risk With Chantix (Varenicline)”
http://www.forbes.com/sites/larryhusten/2012/12/12/fda-safety-review-finds-small-nonsignificant-increased-risk-with-chantix-varenicline/

重大心血管疾患リスク少ないが、統計学的に有意差があるということを重視するに至ったようだ。



米国FDA、バレニクリン(日本商品名:チャンピックス)の心臓リスク増加注意

FDA Drug Safety Communication: Safety review update of Chantix (varenicline) and risk of cardiovascular adverse events  http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm330367.htm
安全性情報(12-12-2012)という形で情報提示

U.S. Food and Drug Administration (FDA)は、バレニクリンのプラシーボ比較の大規模・データ組み合わせ解析(いわゆる、メタアナリシス)についての結果を公表した。FDAは製薬メーカーへ、心血管系安全性に関わるメタアナリシスを要求。

 問題のデータ要約は・・・
http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/ucm330367.htm#data 

フルメタアナリシス 15研究(バレニクリン n=4190、 プラシーボ n=2812)
主要心血管イベント:バレニクリン群 13(0.31%) vs プラシーボ 6(0.21%)
暴露人年:バレニクリン群 1316 vs プラシーボ 839
ハザード比 1.95(0.79, 4.82)
1000人年発生率差 6.30(6-2.40、15.10)



喫煙自体が心疾患リスク要素であるので複雑だが、製薬メーカーであるファイザーに対し、死亡・心筋梗塞・卒中を含む主要副作用心血管イベントの発生率増加がメタアナリシスで示されたことに対する処置。

ランダム化対照トライアルで、心血管イベントリスクを高めることが示された後、2011年5月薬剤警告表示についてFDAにより変更要請がなされた。

ファイザーによる研究で、うつ・自殺についてはリスク増加否定的報告が最近出されているが、2009年神経精神疾患に関する表示FDAから命令されている。







Chantix May Up Heart Risk, FDA Warns
By Kristina Fiore, Staff Writer, MedPage Today
Published: December 12, 2012
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/Smoking/36430 
 
 

昨日、話を聞いた、“黒い雨による発がん超過リスク”は100名あたり1名という数字になった。
チャンピックスの害は一桁少ないリスクであるが、FDAは重視している。ところが、“黒い雨”の方は 一桁多い超過リスクなのに無視されている・・・ なんだかなぁ

2012年12月12日水曜日

閉塞型無呼吸症候群患者の高地旅行にダイアモックス投与有効

海水面に近い高度で居住する閉塞型無呼吸症候群の多くの患者が高地旅行した場合、低酸素血症・睡眠時無呼吸症候群増悪を生じる可能性がある。


閉塞型無呼吸症候群患者の高地旅行には、アセタゾラミド+autoCPAP有効なようだ


Effect of Acetazolamide and AutoCPAP Therapy on Breathing Disturbances Among Patients With Obstructive Sleep Apnea Syndrome Who Travel to AltitudeA Randomized Controlled Trial
Tsogyal D. Latshang, et. al.
JAMA. 2012;308(22):2390-2398. doi:10.1001/jama.2012.94847.


2回の高地山村への3日間の短期滞在期間での検討
1630mで2日間、2590mで1日、2週間洗い流し期間800m未満での滞在
アセタゾラミド(750m/日) or プラシーボ +autoCPAP

アセタゾラミド+autoCPAPは、プラシーボ+autoCPAPと比較すると、1630m、2590mでの夜間酸素飽和度増加:中央値 94% (中間四分位 [IQR], 93%-95%) と 91% (IQR, 90%-92%) vs 93% (IQR, 92%-94%) と 89% (IQR, 87%-91%)

中央値増加は、それぞれ、 1.0% (95% CI, 0.3%-1.0%) と 2.0% (95% CI, 2.0%-2.0)

2590mでの酸素飽和度 < 90%夜間時間中央値は、 13% (IQR, 2%-38%) vs 57% (IQR, 28%-82%; P < .001)

アセタゾラミド+autoCPAPは、プラシーボ+autoCPAP比較で、1630m、2590mで、睡眠時無呼吸コントロール良好: apnea/hypopnea index 中央値(イベント/時間) 5.8  (5.8/h) (IQR, 3.0/h-10.1/h) と 6.8/h (IQR, 3.5/h-10.1/h) vs 10.7/h (IQR, 5.1/h-17.7/h) と 19.3/h (IQR, 9.3/h-29.0/h); 減少分中央値 3.2/h (95% CI, 1.3/h-7.5/h) と 9.2 (95% CI, 5.1/h-14.6/h)



1500m程度で、高地と判断するかどうか不明

“日本一標高の高い所に役所がある市町村 :川上村(長野県) 村役場の標高1,185m”だそうだ、

ちなみに、ホテルとして・・・
上高地帝国ホテル(1496m: 長野県松本市安曇上高地 http://wisteriahill.sakura.ne.jp/GMAP/GMAP_ALTITUDE/index.php で検索)

ホテル立山(2430.0000:  富山県中新川郡立山町芦峅寺室堂 ) 
  ↑
標高の高いところにある有名どころのホテル

喫煙と心臓突然死 本数・年数で直線的関連 禁煙20年で非喫煙者レベルに

喫煙は心臓突然死のリスク要素で、非喫煙者の2.5倍のリスク
喫煙本数・年数と直線的に関連
だが、禁煙20年間で非喫煙者域に回復


"Smoking, smoking cessation, and risk of sudden cardiac death in women"
Sandhu R, et al
Circ Arrhythm Electrophysiol 2012; DOI: 10.1161/CIRCEP.112.975219.

前向きの研究で、喫煙と禁煙の心臓突然死の関連研究

冠動脈性心疾患・卒中・がんを基礎として有さない101018名の女性(NHS)
ベースライン1980年

フォローアップ30年間で、心臓突然死 351イベント

非喫煙者比較で、現行喫煙者の心臓突然死リスクは、冠動脈リスク要素補正後、2.44(95% CI, 1.80-3.31) 倍

多変量解析にて、現行喫煙者では、日毎喫煙定量 (P for trend, < 0.0001)
喫煙量の軽度から中等量(1-14/日)では、心臓突然死リスクは1.84倍 (95% CI, 1.16-2.92)と有意に増加。

喫煙5年間増加する毎に、心臓突然死リスクは8%増加(HR 1.08; 95% CI, 1.05-1.12,  p<0.0001)

禁煙後心臓突然死リスクは時間と共に減少し、20年間禁煙状態持続後、心臓突然死リスクは、非喫煙者と同等となる(p for trend、P < 0.001 )

米国内視力障害の増加は糖尿病増加が一因と報告

米国の健康栄養調査: National Health and Nutrition Examination Survey (NHANES)の分析


米国内の視力障害増加の一因は、全身性疾患としての糖尿病管理が不充分で、国家的取り組みの甘さが露呈していると著者ら。
喫煙、収入、教育レベルなどの寄与要素は、社会的貧困層ならでは障がいも関連し、パフォーマンスベースの検討、HRQOLの検討を医療コストとともに検討しなければならないと、著者ら。

Prevalence of Nonrefractive Visual Impairment in US Adults and Associated Risk Factors, 1999-2002 and 2005-2008
Fang Ko, et. al.
JAMA. 2012;308(22):2361-2368. doi:10.1001/jama.2012.85685.

非屈折性視力障害の荷重頻度は
・20歳以上で21%増加し、1999-2002年の1.4%から2005-2008年の1.7%へと増加 (P = .03)
・20-39歳の非ヒスパニック系白人では0.5%から0.7%へと増加(P = .008)

多変量解析にて
1999-2002年の比屈折性視力障害の統計学的有意なリスク要素は
・加齢 (年毎オッズ比 [OR], 1.07; 95% CI, 1.05-1.09)
・貧困 (OR, 2.18; 95% CI, 1.31-3.64)
・無保険 (OR, 1.85; 95% CI, 1.16-2.95)
・糖尿病診断からの10年以上の病歴 (OR, 1.93; 95% CI, 1.15-3.25)

2005年では
・加齢 (OR, 1.05; 95% CI, 1.04-1.07)
・貧困 (OR, 2.23; 95% CI, 1.55-3.22)
・高校未満の学歴 (OR, 2.11; 95% CI, 1.54-2.90)
・糖尿病診断からの10年以上の病歴 (OR, 2.67; 95% CI, 1.64-4.37)

糖尿病診断からの10年以上の病歴 の頻度は、22%増加(2.8%から3.6%へ)(P=.02)
ヒスパニック系20-39歳は133%(0.3%から0.7%)(p<0 .001=".001" br="br">

2012年12月11日火曜日

低放射線量CT肺がん検診発端肺がんの25%は過剰診断

低放射線量CT検診による肺がん診断は、体積倍加時間:volume-doubling time (VDT)でみると、25%程度は過剰診断である。


Estimating Overdiagnosis in Low-Dose Computed Tomography Screening for Lung Cancer: A Cohort Study
Giulia Veronesi, et. al.
Ann Intern Med. 4 December 2012;157(11):776-784

175名の原発性肺癌と診断された症例

ベースラインで55名ががん診断、120名がその後診断。
この後者のうち、新規(以前のスキャンで確認不可)かつ急速進行例(DVT中央値 52日間)19例(15.8%)
進行例101(84.2%)で、迅速進行70(58.3%)、その他31(25.8%)で、緩徐進行15.0%、遅発的10.8%

肺がん特異的死亡は新規患者で有意に高率(9.2%/年 vs 緩徐・遅発 0.9%/年)

急速進行 60%、新規発症ではstage  I が45%で、生存率良好 

がん検診とは、死亡アウトカムをプライマリエンドポイントにしなきゃ、なにやってるかわからない。ところが日本の「がん検診」は発見率だけを自慢してるところが多い。 近藤先生の“がんもどき”は正しい部分があったわけだが・・・みつかった、あらゆるがんを“放置理論”に・・・となると、やはり抵抗を感じる。

人種差(黒人・白人):黒人は血圧による卒中リスク増加効果、白人より強い

45-65歳の間に、卒中頻度は白人より黒人で2-3倍多い、それはなぜか?

高血圧との関係で、検討

 Racial Differences in the Impact of Elevated Systolic Blood Pressure on Stroke Risk
George Howard, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-6. doi:10.1001/2013.jamainternmed.857.

4-5年フォローアップ下で、収縮期血圧(SBP)の10mmHgの増加は、白人の卒中リスクは8%(95%CI、0-16%)増加し、黒人では 24%(95%CI、14%-35%) 増加(交互作用 (interaction) P値 .02)

45-64歳の場合、白人に対する黒人のハザード比は 正常血圧では 0.87(95%CI 1.57)、高血圧前症では1.38(95%CI,0.94-2.02)、stage 1高血圧では 2.38(95%CI, 1.19-4.72)

卒中リスクにおける人種差をあらわす。

考察だが、人種差は、高血圧有病率の問題と、高血圧コントロールの困難さが考えられる。

日本国内研究:市民による早期除細動・院外心停止患者に対しては胸骨圧迫単独心肺蘇生が有効

日本国内の研究

市民による早期除細動(PublicAccessDefibrillation)された、病院外心停止患者では、胸骨圧迫単独心肺蘇生は、標準CPRに比べ、より有効。

胸骨圧迫単独CPRは、突然倒れた場合に出くわしたとき、市民による早期除細動使用状況では、もっとも好ましいシナリオということになる。

"Chest compression-only cardiopulmonary resuscitation for out-of-hospital cardiac arrest with public-access defibrillation: A nationwide cohort study"
Iwami T, et al
Circulation 2012; 126; DOI: 10.1161/CIRCULATIONAHA.112.109504.

日本の観察研究で、5年間、1376の、CPRを受け・市民による早期AED使用状況のショック状態の、病院外心原性心停止bystander-遭遇を登録

506(36.8%)が胸骨圧迫単独CPRを受け・市民、870(63.2%)が通常CPR。

神経学的アウトカム良好な1ヶ月生存率は、胸骨圧迫単独CRP群 40.7%(206/506)で、通常CRP群 32.9%(286/870)より良好であった 補正オッズ比, 1.33; 95% 信頼区間, 1.03–1.70)

減量介入:ICT利用で減量促進

 総務省・経産省・厚労省が提示する、ICTの医療への応用ってのは、お役人さん達あるいは御用学者さん達の頭の固さ(悪さ)を反映して、(コスト効果理論とは無縁の)目先のコスト削減だけが目標となっている。20年近く遠隔医療、業務効率化、事故防止 と言い続けてるが、コストは現場持ち。利益はFとかNなどの企業利益だけ。 現場の利益性が主眼じゃない、日本の役人主導のICTって・・・なんにも期待を抱けない。

e.g. ) 総務省: http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/ictseisaku/ictriyou/index.html




 世界的にみたら、医療へのICT応用ってのは、進化しているというのに・・・ 


 わざと、参考文献を付記したが・・・ 読みづらい・・・ 要は、食事・運動自己評価は有効で、携帯デバイスでネット接続・リアルタイム評価・介入可能で、その有効性の報告もぼちぼち出てるということ。


 食事、運動量自己モニタリングは、減量成功と関連する(Burke LE, et. al. Self-monitoring in weight loss: a systematic review of the literature.  J Am Diet Assoc. 2011;111(1):92-102)。そして、そのモニタリングは携帯デバイス接続にて可能となる(Beasley JM,  et. al. Evaluation of a PDA-based dietary assessment and intervention program: a randomized controlled trial.  J Am Coll Nutr. 2008;27(2):280-286、 Burke LE, Styn MA, Glanz K,  et al.  SMART trial: a randomized clinical trial of self-monitoring in behavioral weight management-design and baseline findings.  Contemp Clin Trials. 2009;30(6):540-551、 Burke LE, Conroy MB, Sereika SM,  et al.  The effect of electronic self-monitoring on weight loss and dietary intake: a randomized behavioral weight loss trial.  Obesity (Silver Spring). 2011;19(2):338-344)

モバイル・デバイスは、瞬時決断サポートを可能(Baker RC, et.al. Self-monitoring may be necessary for successful weight control.  Behav Ther. 1993;24(3):377-394、 Baker RC, et.al. Weight control during the holidays: highly consistent self-monitoring as a potentially useful coping mechanism.  Health Psychol. 1998;17(4):367-370)とし、食事・運動のエネルギー値チェックし、リアルタイムにエネルギーバランスを追跡可能とする。
テクノロジーサポート減量介入研究は、ヒト介入に代わり、ディジタルツールがより効果的で、より受容性が高まる可能性を示唆するものであった(Mohr DC, et. al. Supportive accountability: a model for providing human support to enhance adherence to eHealth interventions.  J Med Internet Res. 2011;13(1):e30、 Rao G, et al; American Heart Association Obesity Committee of the Council on Nutrition, Physical Activity and Metabolism; Council on Clinical Cardiology; Council on Cardiovascular Nursing; Council on the Kidney in Cardiovascular Disease; Stroke Council.  New and emerging weight management strategies for busy ambulatory settings: a scientific statement from the American Heart Association endorsed by the Society of Behavioral Medicine.  Circulation. 2011;124(10):1182-1203)。


ネット接続モバイル技術システム、電話コーチング、標準肥満治療を比較


個人別治療プログラムによるスケール可読性のある、テクノロジーと遠隔介入を用いたハイブリット介入
可動性意思決定サポート(ie, カロリー・活動性フィードバック)を供給するシステムで、システム的なグループ肥満プログラムの相加的ベネフィットを検討。

 Integrating Technology Into Standard Weight Loss TreatmentA Randomized Controlled Trial
Bonnie Spring, et.al
Arch Intern Med. 2012;():1-7. doi:10.1001/jamainternmed.2013.1221.

70名の成人(BMI>25、40以下)を2つのarm、12ヶ月研究
・ standard-of-care group treatment alone (標準治療群)
・ standard and connective mobile technology system (+mobile群)

被験者は、退役軍人局外来クリニック開催の週2回減量グループに参加
+mobile群では、食事・運動自己モニターのための個別的ディジタル補助装置を提供
6ヶ月間週2回コーチングコールを受ける。

体重をベースライン、3、6、9、12ヶ月フォローアップ

69名(平均年齢 57.7歳、男性 85.5%)が介入を受け。
長軸的ITT解析にて、+mobile群は、標準群より、どのベースライン後の時点でも、体重3.9kg(対照群比較で、3.1%の体重減少; 95% CI, 2.2-5.5 kg) 余計に減量



ベースライン後どの時点でも、ベースライン比較5%体重減少の標準群比較オッズ比、+mobile群で有意に高い(オッズ比, 6.5; 95% CI, 2.5-18.6)


結論:通常のケアシステムに、パーソナル・ディジタル補助・電話コーチングシステム追加で、短期間の減量追加効果を認めた。
モバイルネット接続技術は、医師主導減量治療の促進効果を、scalable mechanismとして役割を果たすかもしれない。

インスリノーマ診断:Amended I:G ratioの正確性

Amended I:G ratio = (serum insulin uU/ml x 100)/(serum glucose mg/dl -30)
http://www.vetstream.com/canis/Content/Lab_test/lab00353.asp

Diagnostic Accuracy of an “Amended” Insulin–Glucose Ratio for the Biochemical Diagnosis of Insulinomas
Michael A. Nauck, et. al.
Ann Intern Med. 4 December 2012;157(11):767-775

114名を評価(49名がインスリノーマの手術切除組織確定診断、64名除外)
年齢レンジ0-16歳、平均10歳

インスリノーマ例は、対照例に比べ、空腹長時間後、インスリン、Cペプチド高値。
amended insulin–glucose ratio はインスリノーマを正確に48/49同定し、対照例を64/65除外
PPV、NPVはそれぞれ 0.98 (95% CI, 0.89 ~ 1.00) 、0.99 (CI, 0.92 ~ 1.00)
一方、 ぶどう糖・インスリン・Cペプチド濃度クライテリアでは、それぞれ 0.75 (CI, 0.63 ~ 0.85)、 0.98 (CI, 0.89 ~ 1.00)であった。

珍しいと思うけど、わたし自身も、開業初期のころ1例診断した手術確認例がある。
臨床医は、やはりインスリノーマは頭の片隅にでも置く必要があると思う。

子供の自殺による親への影響と、親の事前的条件

親の死の影響:自殺企図リスク増加のタイミング自殺 2012/12/11

逆に、子供の自殺死による親への影響


子供の自殺による死別は、健康上も、社会的アウトカムにも悪影響を与え、自動車衝突事故: motor vehicle crash (MVC)による死別と同様な後遺症を残す。
子供の自殺による死別は、その子供の両親において、もともと、精神疾患・身体疾患・低所得傾向である場合が多い。


Parents Bereaved by Offspring SuicideA Population-Based Longitudinal Case-Control Study
James M. Bolton,  et. al.
Arch Gen Psychiatry. 2012;():1-10. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.275.

自殺死別は、子供の自殺後2年間に、それ以前に比べ、うつ (ARR, 2.14; 95% CI, 1.88-2.43) 、不安障害 (ARR, 1.41; 95% CI, 1.24-1.60)、離婚(ARR, 1.18; 95% CI, 1.13-1.23) 増加をもたらす

自殺死別とMVC死別両親は、死亡前と死亡後に、アウトカムに、さほど違いはない。

うつ発生率では、MVC死別両親の方が、自殺死別両親より、発生率が高い  (19.9% vs 15.9%; P = .005)
一方、自殺死別の親は、精神疾患入院率増加率が高い (P = .049)
自殺死別の親は、MVC死別例より、子供の死亡前より、うつ病を有する場合が多い (ARR, 1.30; 95% CI, 1.06-1.61)、同様に、身体疾患 (ARR, 1.32; 95% CI, 1.19-1.45)、低所得(ARR, 1.34; 95% CI, 1.18-1.51) が多い。


親の死の影響:自殺企図リスク増加のタイミング

子供の頃の親の死というのは、長く、子供の心に影響を与える。子供へのモニタリング・介入が必要。そのクリティカルな時期とは5年間だが、それ以降も影響が残る。
一方、思春期以上の場合でも、影響が1-2年間とくに深刻で、その間のモニタリング・介入が必要。


Time to Hospitalization for Suicide Attempt by the Timing of Parental Suicide During Offspring Early Development  
S. Janet Kuramoto, et. al.
Arch Gen Psychiatry. Published online December 10, 2012. doi:10.1001/jamapsychiatry.2013.274

住民ベース後顧的コホート

小児期に、自殺もしくは偶発事故による親の死を経験した、その子供のリスクは、5年間ほど、他の年代での経験群より、それを上回り、数十年継続する。
思春期や若年成人世代で親の死を経験した子供は、親の死1-2年内リスク増加し、時と共にリスク減少する。
子供や若年成人の親の自殺経験した子供は、偶発事故死の子供よりその自殺企図入院は早増す。


自殺企図リスクの早期モニタリング・介入にとって重大な時期は、両親死亡後1-2年間で、子供の頃の親の死を経験した場合は数十年ほど長く警戒が必要。

2012年12月10日月曜日

「ネット依存症」って、確立した疾患概念だっけ?

各報道では、“DSM-5”の議論を無視して、「ネット依存症」の存在を既存化している。

e.g.)ゲーム、SNS…「ネット依存症」深刻化 スマホなど携帯型端末も要因
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/121210/ecc1212100732001-n1.htm

国立病院機構久里浜医療センター・ネット依存治療部門(TIAR)が立ち上っている
マスコミに売り込み活動盛んなようだが、「ネット依存症」既定概念化する一方的な活動は、国立機関として健全な方向性とはおもえない)


果たして、“ネット依存症”が、確定的概念であるが十分討議された上での設立だったのだろうか?



DSM-5: どのようになるか? セックス・ネット依存などは認めず、分類不能も排除の方向など 2012/03/11
性、食物、インターネット、カフェイン依存症の提案拒否
インターネットゲーム依存は、もともと、DSM-5 Section III(DSM-IV)で、さらなる研究必要性が記述されている。
その宿題に十分答えられてない状況にある 。

「ネット依存症」は、DSMなど海外の議論と整合性なく、暴走している状況にあるのでは?



日本語Wikipedia (インターネット依存)
"2008年アメリカ医療情報学会(ANA)は「インターネットおよびビデオゲーム中毒」を分類に入れ、正式な診断名とすることを推奨した。 [3] 結果として、DSM-Vでは「今後検討すべき診断名」として盛り込まれることとなった。[4]"

と、まるで 疾患概念として認められる方向性のような記述になっている。

しかし、en.wikipediaでは・・・
https://en.wikipedia.org/wiki/Internet_addiction_disorder
IAD was originally proposed as a disorder in a satirical hoax by Ivan Goldberg, M.D., in 1995.[2] He took pathological gambling as diagnosed by the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-IV) as his model for the description[3] of IAD. It is not, however, included in the current DSM as of 2009. IAD receives coverage in the press, and possible future classification as a psychological disorder continues to be debated and researched.
やはりなお議論継続が必要という記載で、他の記事とも合致する。

日本語だけしか読まない日本人って、疾患の存在前提の人間達に、ミスリードされてると思う。

LAPLACE-TIMI 57: PCSK9阻害ヒトモノクローナル抗体 第二相治験:不応性高コレステロール血症治療

 今年後半の話題になっている、PCSK9( Proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 ) 阻害する ヒト・モノクローナル IgG2 抗体 AMG145の臨床応用治験

スタチン不耐性患者へのモノクローナルPCSK9抗体治療 ・・・ ゼチーアがゴミのようだ脂質 2012/11/06
メモ: AHA2012心血管疾患 2012/11/04

高コレステロール血症治療: 抗PCSK9抗体治験 (+スタチンでの効果)脂質 2012/11/01
   
Anti-PCSK9抗体:LDL治療薬 phase I脂質 2012/03/22

スタチン投与下高コレステロール血症患者での有効性・安全性・耐用性の検討

Efficacy, safety, and tolerability of a monoclonal antibody to proprotein convertase subtilisin/kexin type 9 in combination with a statin in patients with hypercholesterolaemia (LAPLACE-TIMI 57): a randomised, placebo-controlled, dose-ranging, phase 2 study
The Lancet, Volume 380, Issue 9858, Pages 2007 - 2017, 8 December 2012

phase 2、用量調整研究( 78センター USA, Canada, Denmark, Hungary,  Czech Republic)、18-80歳の患者で、LDL-C 2.2mmol/L超でスタチン使用(ゼチーア使用の有無不問)
ランダム割り付け
・AMG 145皮下注  70 mg、105 mg、プラシーボ ×2週毎
・AMG 145皮下注 280mg、350mg、420mg、プラシーボ ×4週毎

プライマリエンドポイントは、12週後のLDL濃度のベースラインからのパーセント変化
修正ITT解析

抗コレステロール血症631名ランダム割り付け
AMG 145 70 mg (n=79), 105 mg (n=79),  140 mg (n=78), matching placebo (n=78) ×2週毎
AMG 145 280 mg (n=79), 350 mg (n=79), 420 mg (n=80), matching placebo (n=79) ×4週毎

12週目の投与間隔終了時、平均LDL-C濃度減少
2週毎AMG 14投与  ( 41.8% ~ 66.1%; P< 0.0001)
4週毎AMG 145投与( 41.8% ~ 50.3%;  P< 0.0001)

治療関連重篤副事象イベントは生ぜず

治療関連副作用イベントはプラシーボ群と同等





喘息:服薬アドヒアランス改善で喘息合併症軽減、医療費軽減効果

喘息の有病率は米国内では成人7.7%、小児9.4%で、年間1700万件の受診回数で、45万件の入院の存在。抗炎症治療、吸入ステロイドなど有効な治療法により、肺機能改善、レスキュー薬投与回数減少、喘息関連QOL改善、喘息関連医療費軽減効果が確立し、抗炎症治療がガイドラインの中核となっている。しかしながら、服薬遵守性が問題。

服薬アドヒアランス改善で、どれほどのインパクトがあるか、シミュレーションした報告。


Modeling the Impact of Increased Adherence to Asthma Therapy
Schlender A, et. al.
PLoS ONE 7(12): e51139. doi:10.1371/journal.pone.0051139

【序文】喘息の薬物へのnon-adherenceは70%にものぼる。adherence回線の効果は定量化されてない。住民レベルで、医薬処方・adherence改善の効果を喘息で検討。 
【方法】U.S. NHLBI-funded SOCS trial のデータ構成とNHLBI SLIC trialの評価データを用い、数学モデルを喘息コントローラー処方・adherence増加の効果モデルに適応した。National Asthma Surveyサンプルから、住民シミュレーションとして4930名の喘息患者構成。主要アウトカムは、コントローラー使用、レリーバー使用、予定外受診、ED受診、病院入院。  
【結果】キャリブレーション時、SOCSトライアルアウトカム厳格適合シミュレーションアウトカムは、治療失敗ハザード比[95%信頼区間]は、プラシーボ群 0.92[0.58-1.26]、 サルメテロール群 0.97 [0.49–1.45]、トリアムシノロン群 1.01 [0–1.87]

評価時、中間ポイントと終了ポイントの治療失敗シミュレーションアウトカムは、ハザード比として、それぞれ、サルメテロール/トリアムシノロン群 1.21 [0.08–2.34] 、サルメテロール単剤治療群  0.83 [0.60–1.07]となる。

全研究期間を通して、サルメテロール/トリアムシノロン治療患者の不充分パフォーマンス・モデルでは、中間/終了時ハザード比は、それぞれ、0.83 [0.00–2.12] と 0.37 [0.10–0.65]

米国内では、至適なadherence/処方となるシミュレーションによると、adherenceと処方ギャップは類似することで、予定外受診 900万、ED受診 400万、喘息治療入院 100万を毎年減少させることが出来る。

【結論】薬物アドヒアランスと処方改善は、喘息合併症・医療費軽減につながる


SOCSトライアルの治療失敗率


SLICトライアルの治療失敗率



コントローラー・レリーバーに対する特定の処方率・アドヒアランス率毎の平均シミュレーションアウトカム率





うちらの田舎では、医者のガイドライン遵守性のほうが喫緊の課題

ICS使わず、テオドール  and/or オノン だもんなぁ・・・

2012年12月9日日曜日

MDLinx Internal Medicine  “Top Articles of 2012: Internal Medicine”

MDLinx Internal Medicine  “Top Articles of 2012: Internal Medicine”


当ブログで触れたのは4割のみ か・・・今年も打率が低い


1. Cardiovascular benefits and diabetes risks of statin therapy in primary prevention: an analysis from the JUPITER trial
The Lancet, Volume 380, Issue 9841, Pages 565 - 571, 11 August 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2961190-8/abstract

スタチンと糖尿病リスク :低リスクではほぼ問題なし 高リスクでもベネフィット上回る 2012/08/10

2. Warfarin and Aspirin in Patients with Heart Failure and Sinus Rhythm
New England Journal of Medicine
N Engl J Med 2012; 366:1859-1869May 17, 2012DOI: 10.1056/NEJMoa1202299
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1202299
洞性調律・左室駆出率低下例では、ワーファリンとアスピリンでは、プライマリアウトカム(虚血性卒中・頭蓋内出血、全原因死亡)の差を認めず。
ワーファリンによる虚血性卒中リスク減少効果は、重大出血リスクでオフセットされる。ワーファリンとアスピリンの選択は個別的になされるべき。


 3. The effects of lowering LDL cholesterol with statin therapy in people at low risk of vascular disease: meta-analysis of individual data from 27 randomised trials
The Lancet, Volume 380, Issue 9841, Pages 581 - 590, 11 August 2012
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736%2812%2960367-5/fulltext

メタアナリシス: 低リスク スタチンLDL低下治療効果 2012/03/18


4. Statin Use and Risk of Diabetes Mellitus in Postmenopausal Women in the Women's Health Initiative
Arch Intern Med. 2012;172(2):144-152. doi:10.1001/archinternmed.2011.625.
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1108676

閉経後女性;スタチンと糖尿病発症増加リスク WHI研究解析 2012年 01月 10日

5. A Two-Year Randomized Trial of Obesity Treatment in Primary Care Practice
N Engl J Med 2011; 365:1969-1979 November 24, 2011DOI: 10.1056/NEJMoa1109220
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1109220

プライマリケアにおける390名肥満成人
・通常ケア
・減量マネージメント・簡易カウンセリング・行動的体重コントロールに関する教育を含むPCP受診を月毎セッションでコーチする
・通常ケア+強化簡易ライフスタイルカウンセリング(食事変更・減量薬物(オリスタット、シブトラミンなど))

2年間で、通常ケア 1.7±0.7 kg、簡易生活習慣カウンセリング群 2.9±0.7 kg,強化型簡易生活習慣カウンセリング群 4.6±0.7 kgの減量

強化型減量カウンセリングは,肥満患者の約 1/3で、長期にわたる減量に効果あり

6. Serum 25-Hydroxyvitamin D Concentration and Mortality from Heart Failure and Cardiovascular Disease, and Premature Mortality from All-Cause in United States Adults
Am J Cardiol 110(6):834-9 (2012), PMID 22658246
http://www.ajconline.org/article/S0002-9149%2812%2901343-4/abstract

多変量補正Coxモデルでは、血中25(OH)D <20 1.01-4.25="1.01-4.25" 2.06="2.06" br="br" ml="ml" ng="ng">加えて、全死亡率早死は、1.40(1.17-1.68)倍で、20-30 ng/mlでも 1.11(0.93-1.33)倍。

7. Nonsteroidal anti-inflammatory drug use and the risk of cognitive impairment and Alzheimers disease
Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association
Volume 8, Issue 3 , Pages 219-226, May 2012
http://www.alzheimersanddementia.com/article/S1552-5260%2811%2900114-2/abstract
Mild cognitive impairment or cognitive impairment, not dementia (CIND)を含む患者での検討で、アルツハイマー・全認知症リスク低下は、NAIDS使用、バルビタール酸無しのサリチル酸使用サブグループで相関、
NSAIDとCINDリスクに関しては軽度相関 (ハザード比, 0.87; 95% 信頼区間, 0.76–1.00)


8. Blood pressure effects of combined β-blocker and angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy compared with the individual agents: a placebo-controlled study with nebivolol and lisinopril
The Journal of Clinical Hypertension Vol 14 | No 9 | September 2012
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1751-7176.2012.00666.x/pdf
RAS遮断剤+β遮断剤併用による血圧減少は一般に照明されてないため検討 
プライマリエンドポイントを拡張期血圧
ベースラインBPは163.8/104.4
降圧効果
・ nebivolol+lisinopril併用 17.2-10.2mmHg
・ プラシーボ 8.0-9.2
・ nebivolol 13.3-8.9
・ lisinopril 12.0-9.8

収縮期血圧は、 それぞれ 19.2-19.8 mm Hg、 9.9-16.4 (P<.0001 vs combination)、 14.4-14.1 (P=.0470)、 16.1-17.2 (P= .0704).

併用効果ありという結論

9. Effects of n-3 fatty acids on major cardiovascular events in statin users and non-users with a history of myocardial infarction
Eur Heart J (2012) doi: 10.1093/eurheartj/ehr499 First published online: February 1, 2012
http://eurheartj.oxfordjournals.org/content/early/2012/02/01/eurheartj.ehr499.abstract

スタチン治療を受けてない場合、低用量のn-3脂肪酸サプリメント(EPA 400mg、αリノレン酸 2g)投与でも、心血管疾患イベント減少の可能性。

10. Red Meat Consumption and Mortality
Arch Intern Med. 2012;172(7):555-563. doi:10.1001/archinternmed.2011.2287
http://archinte.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1134845

肉(レッドミート)を食うと、寿命が短くなる :毎日肉食で12%死亡率アップ 2012/03/13

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note