2012年6月9日土曜日

食物アレルギーは、田舎より都市部に多い

食物アレルギーも都市部が多い・・・という話。

喘息、湿疹、アレルギー性鼻炎、結膜炎でも、都市部は田舎よりその罹患率が高いことが知られていた。一つの仮説は、いわゆる“衛生仮説”(下記参照)で、もう一つはアレルギー発症トリガーが都市部に多いことなどで説明されている。


Geographic Variability of Childhood Food Allergy in the United States
Ruchi S. Gupta, et. al.
CLIN PEDIATR May 17, 2012 0009922812448526


多変量ロジスティック回帰モデルを地域的分布と食物アレルギーの推定で行い、38464名の子供を検討。
人口密度増加に伴い食物アレルギー頻度増加
田舎 6.2%(95% 信頼区間 [CI] = 5.6-6.8)
都市部  9.8% (95% CI = 8.6-11.0)

田舎 vs 都市部のオッズにて、食物アレルギーオッズ( (オッズ比 [OR] = 1.7, 95% CI = 1.5-2.0)で、 大都市部 vs 田舎 (OR = 1.4, 95% CI = 1.2-1.5)

人種/民族、性別、世帯収入、緯度補正後も有意差残る




【衛生仮説あれこれ】
寄生虫と衛生仮説 2006年 09月 15日

衛生仮説:進歩版 “古い友人たちとの絶交がアレルギーを引き起こす” 2004年 05月 21日

あらたな衛生仮説:幼年期微生物暴露は成人CRPを低下? 2009年 12月 10日


衛生仮説:トリクロサン高濃度ほど小児のアレルギー疾患増加、成人ではBPAによる免疫系へ影響? 2010年 11月 29日

衛生仮説:H.pylori新生児期感染は気道過敏性減少と関連? 2012年3月21日

頸部マニピュレーションはやめるべき Yes vs No議論 ・・・ リスクある手技であることを認識すべき

頚部へのマニピュレーション(高速度、低振幅、エンドレンジ押しつけ(end range thrust))手技がメカニカルな頚部痛に対する処置として行われているが、多くの重篤な心血管系への合併症、特に、椎骨動脈動脈解離、椎骨・脳底動脈梗塞を引き起こす危険性を伴う


Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? Yes
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3679 (Published 7 June 2012) 
代替治療に対する非劣性結果と、安全性懸念から、頸椎へのマニピュレーションは不要で、行うべきないという主張。
 

Head to Head :Should we abandon cervical spine manipulation for mechanical neck pain? No
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e3680 (Published 7 June 2012) 
頚部痛に対する、薬物、運動、mobilisation、マニピュレーション比較でベネフィット・有害性検討されたが、何れの処置にもQOL最大とする勝者は存在しなかった。
急性・亜急性頚部痛へのマニピュレーションに対して高品質

いずれにせよ、頚部へのマニピュレーション術はリスクを伴うという認識が必要


疑似医療行為や無資格疑似医療行為で行われているかもしれない日本の現状。
副事象分析が日本でも必要だろう。

ググると、“整体 AND マニピュレーション AND 頚部”と検索されるところが見つかる。


関連)
頸部へのマニピュレーション:無資格治療の危険性  2007年 03月 15日





民主党や一部自民でも、リスクに無知で、公的資格に格上げしようとする動きがある。そういう動きに同調する前に、リスク把握をするべきとおもうのだが・・・集票につながれば、国民に非利益性をもたらすことでも行おうとする議員が目立つ昨今・・・

非侵襲的出生前胎児診断が現実的に・・・

母体血清からの細胞フリーの胎児DNAによる非侵襲的検査が現実的に・・・


コストはともかく、リスクが少なく、誰でも簡単に胎児出生前診断ができるようになると、ますます、多くの倫理的問題が持ち上がることとなる。


Genomics
Noninvasive Whole-Genome Sequencing of a Human Fetus
Jacob O. Kitzman, et. al.
Sci Transl Med 6 June 2012:Vol. 4, Issue 137, p. 137ra76 


妊娠18.5週での、母体血清DNAによる胎児のgenome-wide maternal haplotyping, and deep sequencing

2.8×106両親のheterozygousサイトのInheritance(遺伝的形質) の予測は96.1%の正確性

胎児ゲノムのde novo point mutationについても39/44同定されたが、特異性に限界あり。

これらのデータのサブ解析とsecond family trioの解析で、両親ハロタイプの300kbのブロックは、母体DNAのshallow sequencingと組み合わせにより、胎児ゲノムの遺伝的要素決定に十分でった。

しかし、胎児のde novo genome-wide mutationの特異的検出のためには、母体血清DNAのultradeep sequencingは不可欠である。

テクニックや解析上チャレンジングな部分は残るが、 遺伝的変異やdeno mutationの非侵襲的分析はメンデル性遺伝性疾患劣性・優性出生前診断に役立つ。

 BBC(http://www.bbc.co.uk/news/health-18353055)に解説記事

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