2012年3月8日木曜日

米国ですら、がん検診の考えから半分の医師が間違えてる ;日本の検診政策立案医師はもっとひどいけど・・・




死亡率減少と違って、生存率、早期発見は必ずしも、生命予後改善につながらない。
しかしながら、これら2つの指標が検診促進のプロパガンダとして用いられることがある。

ただしく、米国医師たちは、このことを正しく理解しているか?




厚労省の役人や、東大あたりの教授、検診団体に関わる医師たちで調査して欲しい。おそらく及第点はもらえないはず。リスク層別化の考えがない、日本の、PSA検診や乳がんマンモグラフィー検診・・・そもそも発見率さえ上げればそれで良いと考えてるのではないか?と思える、大馬鹿ものたちである。


2つの仮定的検診検査シナリオ
1)5年生存率改善と早期発見率増加
2)がん死亡率減少と疾病頻度増加
これを用いて、医師の検診推奨と、シナリオに於けるベネフィット認識と検診統計の一般的知識をテストする

Do Physicians Understand Cancer Screening Statistics? A National Survey of Primary Care Physicians in the United States
Ann Intern Med March 6, 2012 vol. 156 no. 5 340-349

プライマリケア医は“5年生存率68%から99%へ増加”という不適切なエビデンスを、“死亡率が1000人対2から1.6に減少する”という適切なエビデンスより支持しているという状況。

不適切なエビデンスを提示した場合に、69%の医師はこの検査を推奨するのに、適切なエビデンスの方の検査は23%しか推奨しない(P<0.001)。


検診統計についての一般的知識の質問で、多くの医師は、検診により生命を救うことの意義を説いたときの、不適切、適切な検診統計の区別が出来ない(P=0.39)。

 医師の約半分(47%)が間違って、被検診集団とは対照的に、検診で癌症例を多く見つけることが"そのスクリーニングが命を救うことを証明"と述べた。

The Japanese tsunami: After shock


The Japanese tsunami: After shock
07 March 2012

http://www.nature.com/news/the-japanese-tsunami-after-shock-1.10170





Japan's nuclear crisis: Fukushima's legacy of fear No Alt text available for this image Japan's worst-ever nuclear accident displaced more than 100,000 people. Many could now safely return home. Yet mistrust of the government prolongs their exile.
Geoff Brumfiel  Ichiko Fuyuno
http://www.nature.com/news/japan-s-nuclear-crisis-fukushima-s-legacy-of-fear-1.10183


瓦礫の中から立ち上がる
日本の津波から1年、大災害から得られた教訓
http://forcast.emailalert.jp/c/agk5amuVdimLtAad

Rebuilding Japan: After the deluge No Alt text available for this image Japan is rebuilding its coastal cities to protect people from the biggest tsunamis.
David Cyranoski
http://www.nature.com/news/rebuilding-japan-after-the-deluge-1.10172


Tsunami forecasting: The next wave No Alt text available for this image What can scientists learn from the Tohoku tragedy to improve tsunami forecasting and save lives?
Richard Monastersky
http://www.nature.com/news/tsunami-forecasting-the-next-wave-1.10171 



 ◇2011年東北地方太平洋沖地震による深海環境の擾乱
http://forcast.emailalert.jp/c/agk5amuVdimLtAal

COPD:ステロイドとMMP-9、好中球エラスターゼ

Glucocorticosteroids Differentially Regulate MMP-9 and Neutrophil Elastase in COPD
Vlahos R, Wark PAB, Anderson GP, Bozinovski S
PLoS ONE 7(3): e33277. doi:10.1371/journal.pone.0033277



Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) は、感染症増悪中好中球性炎症著明となり、ステロイド不応性となる。

破壊性の好中球性炎症によりproteinase遊離し、過剰なmatrix degradationを生じる。

好中球中のGelatinaseやアズノール親和性顆粒は、MMP-9や好中球エラスターゼ(NE)の供給源であり、COPDで活性化している。

好中球はCOPD重症化とともに活性化し、NE、MMP-9活性の供給源であり、NE、MMP-9によりtissue inhibitor of metalloproteinases (TIMPs)と関連せず、proteinaseを分泌する。

さらに、NE、MMP-9遊離は、ステロイド抵抗性と関連し、PI3K pathwayは、重症COPDproteinase imbalanceに対処する代替手段となるかもしれない。







PI3K経路とは
http://www3.kmu.ac.jp/bioinfo/pi3k0.html
PI3K–PTEN signalling network.
Nature Reviews Cancer 6, 184-192 (March 2006)
http://www.nature.com/nrc/journal/v6/n3/fig_tab/nrc1819_F1.html

高ホモシステイン血症と脳灰白質量減少の関連

ホモシステイン介入は、冠動脈疾患などは否定的方向性にあると思っていた


ホモシステインと冠動脈疾患:メンデルランダム化
http://kaigyoi.blogspot.com/2012/02/blog-post_4663.html


どれほどの意味をもつか分からないが、ホモシステイン血中濃度と脳の構造関連の報告

Homocysteine, Grey Matter and Cognitive Function in Adults with Cardiovascular Disease.
Ford AH, Garrido GJ, Beer C, Lautenschlager NT, Arnolda L, et al. (2012)
PLoS ONE 7(3): e33345. doi:10.1371/journal.pone.0033345

総血中ホモシステイン(tHcy)高値(≧ 15 μmol/L)は、正常tHcy値の人に比べ、灰白質容積の相対的減少と関連し、年齢、性別、糖尿病、高血圧、喫煙、心血管疾患既往補正でも群差は影響認めず
高tHcy値は、属性横断的に認知機能スコア悪化と関連し、灰白質容積減少している。しかし、この差は寄与因子補正にて有意差無くなった。





tHcyと脳灰白質の差

ホットドッグ・ベーコンなど加工肉・塩漬肉:COPD再入院のリスク要素 ・・・ 保存料・抗菌剤由来の活性酸化窒素種の影響?

COPDは、労作性呼吸苦に伴う廃用、それと栄養不良に伴う、骨格筋の萎縮ということで、蛋白摂取を進めることがある。

だが、すべての肉が良いというわけではなさそうだ。


cured meat product 加工肉製品ということで、塩漬け肉 ホットドッグ、ベーコン、ハムスライス、腸詰めなど・・・

De Batlle J, et al "Cured meats consumption increases risk of readmission in COPD patients"
Eur Respir J 2012; DOI: 10.1183/09031936.00116911.
情報ソース:http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-03/elf-ecm030512.php




スペインの研究報告

COPDは、感染、大気汚染、喫煙など増悪要素があるが、この加工肉摂食が増悪要素となり得る?


274名の呼吸器疾患初回入院患者で、加工肉の情報と、その後モニター2年間の入院平均を観察。


加工肉摂取(1日ハム1スライス以上と同等)の場合再入院原因急性増悪回数が多い

年齢、肺機能、カロリー摂取補正後もこの関連存在。


この筆者らは、加工肉摂食のネガティブな影響は、肉中の保存料・抗菌剤として用いられている亜硝酸によるものと考えている。活性酸化窒素種を生じ、肺障害をもたらす機序をこの原因と考えている。




ヨーロッパはこの種の研究が多いようだ・・・

いわゆる Western pattern (ピザ・塩漬けパイ、デザート、加工肉)が喘息の頻回発作や病歴に関連するという報告。
Dietary patterns and asthma in the E3N study 
Eur Respir J 2009 33:33-41

Farming in childhood, diet in adulthood and asthma history
ERJ January 1, 2012 vol. 39 no. 1 67-75



反復ストレスは前頭前野グルタミン酸伝達への悪影響を与え認知機能に障害を与える

慢性ストレスは、記憶障害を生じるが、これは、前頭前野(PFC)のグルタミン酸シグナル化によるものであることを示した報告。

前頭前野は反復ストレスに鋭敏な領域で、特に、成長期で・思春期では、この部分の発達が急速な時期である。慢性ストレスが、遂行機能、記憶・注意などに影響を与え、ストレス関連のメンタル疾患に関連する不適応を示すことにもつながる可能性がある。


繰り返すストレスにより、グルタミン酸受容体turnoverを促進することで、PFCグルタミン酸神経伝達を抑え、PFCにもとづく認知過程に対し負の影響をもたらすことがわかったとのこと。

Yuen EY, et al "Repeated stress causes cognitive impairment by suppressing glutamate receptor expression and function in prefrontal cortex" Neuron 2012; DOI: 10.1016/j.neuron.2011.12.033. 

 慢性ストレスは、ストレス関連精神疾患と関連する不適応性変化をもたらすが、その基礎となるメカニズムはあいまいだったが、若年雄ラットで、反復ストレスで、 temporal order recognition memory、前頭前野(PFC)による認知過程を障害することを示した。同時に、反復ストレスを受けた動物からのPFC錐体ニューロンにおいて、AMPAR- 、NMDAR-によるシナプス伝達・グルタミン酸受容体発現の減少が生じた。

このような影響はすべてglucocorticoid receptor活動性に依存し、続いて、GluR1、NR1 subunitのubiquitin/proteasome-mediated degradationを促進する。それらは、それぞれ、 E3 ubiquitin ligase Nedd4-1と Fbx2により調整される。

ストレス下動物では、PFC内のproteasome抑制、Nedd4-1とFbx2のknockdownにより、グルタミン反応・認知記憶は喪失する。


アルツハイマー認知症:メマンチン+ドネペジル併用しても意味が無い? ・・・薬価を考えれば日本ではメマリー有利?

 ドネペジル投与の中等症・重症アルツハイマー病患者で、ドネペジルを継続割り当て群の方が、ドネペジル中止割り付け群の方より認知機能低下は少ない。
ドネペジルとメマンチン併用は、ドネペジル単独を凌駕するベネフィットを認めない


Donepezil and Memantine for Moderate-to-Severe Alzheimer's Disease
Robert Howard et. al.
N Engl J Med 2012; 366:893-903March 8, 2012

295名の施設でなく地域居住のドネペジル3ヶ月最低使用している中等症・重症アルツハイマー疾患(SMME(0-30スコア) 5-13)

・ ドネペジル継続(10mg/日)
・ ドネペジル中止
・ ドネペジル中止+メマンチン開始(week 1では5mg、その後週5mgずつ増量し10mg/日)
・ ドネペジル継続 +メマンチン開始

52週継続

プライマリアウトカムは、SMMSEと Bristol Activities of Daily Living Scale (BADLS, レンジ 0 ~ 60, 最大スコアが最大障害を意味する)
最小有意臨床差は、SMMSE 1.4、BADLS 3.5点

ドネペジル継続は、ドネペジル中止と比較すると、SMMSEスコア 1.9点s (95% 信頼区間 [CI], 1.3 ~ 2.5) 高く、BADLSは3.0点(95% CI、1.8-4.3)低下(P<0.001)。 

メマンチン投与割り付け群は、メマンチン・プラシーボ はSMMSEで平均 1.2点(95% CI、0.6-1.8 P<0.001)高く、BADLSスコアは1.5点(95% CI、0.3-2.8; P=0.02)低い。

ドネペジルと、メマンチン有効性に互いの有無の差を認めない。

ドネペジルとメマンチン併用に関してドネペジル単独を上回る効果を認めない



BBC newsでは、中等症程度の認知症なら、薬物を変更すべきではないという話で報道されている。
http://www.bbc.co.uk/news/health-17275807 

しかし、見方を変えると、違う結論づけも可能?


ドネペジルにはアリセプト後発がある。維持は5mg~10mgで、製薬会社は10mgをいかにも推奨。先発だと、1日 764円。後発でも500円台。


メマンチンの薬価は
メマリー錠  5mg  133.90円
メマリー錠10mg  239.20円
メマリー錠20mg  427.50円
で、維持量20mgが推奨されている。

薬価を考えれば、ドネペジルが推奨されるかと言えば、そうでもないと思う。

ただ、アリセプト後発は現時点では「高度アルツハイマー型認知症患」への適用は認められてない。

しかし、薬価だけで比べれば、 後発推奨が必ずしも、コスト削減につながらないことがありえる。

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