2019年4月5日金曜日

喫煙が認知症リスク増加ってホント?

喫煙は認知症の危険因子とされていると思うのだが、喫煙者の早期死亡リスク増加! 故、検証が難しいところ

Cox比例ハザードなどは競合リスク補正が重要になり、さらに、認知症の場合は病理的根拠も必要

否定的見解が・・・


Tobacco Smoking and Dementia in a Kentucky Cohort: A Competing Risk Analysis
Abner, Erin L. et al.
Journal: Journal of Alzheimer's Disease, vol. 68, no. 2, pp. 625-633, 2019



喫煙を認知症と神経病理学的burdenのリスクとして、初期認知機能正常高齢者 531名を長軸的にフォローアップ(University of Kentucky’s Alzheimer’s Disease Center)、コホート期間平均 11.5年間、認知症診断 111(20.9%)、認知症なし死亡 242(45.6%)
ベースラインで、現行喫煙報告 49(9.2%)で中央値 pack-years 47.3、喫煙既往 231名(pack-year 24.5)

認知症Coxモデルに基づくハザード比
喫煙既往 vs 非喫煙 1.64 (95% CI: 1.09, 2.46)
現行喫煙 vs 非喫煙 1.20 (0.50, 2.87)

Fine-Grayモデル(認知症なし死亡competing riskを考慮すると、subdistributionハザード比(sHR) 喫煙既往 1.21 (0.81, 1.80)、現行喫煙 0.70 (0.30, 1.64)

現行喫煙では認知症なしでの死亡発生率増加 (sHR = 2.38; 1.52, 3.72)

ベースライン年齢、教育、性、糖尿病、頭部外傷、高血圧、体重増加、APOE ε4、認知症家族歴、ホルモン補充療法補正。認知症なし死亡competing risk補正すると、喫煙は認知症発生と相関せず。
この知見は302名の神経病理からも支持された

単球が特発性肺線維症:生存率バイオマーカーとして浮上

単球数は特発性肺線維症だけでなく、全身性硬化症、骨髄線維症他の線維性疾患において生存率マーカーとなり得る
喘息に於けウル好酸球マーカー、肺癌に於ける循環中腫瘍細胞などと同様、疾患活動性反映の可能性

KL-6、SP-Dなどが活動性マーカーとして使えないのでかなり期待
但し、この報告で真に治療効果マーカーになっているかどうかは不明
化合物(PBI-4050およびTD139など)が少なくとも部分的にマクロファージに作用する可能性がある場合、単球数は今後の臨床試験における治療バイオマーカーとして評価される可能性はある

Increased monocyte count as a cellular biomarker for poor outcomes in fibrotic diseases: a retrospective, multicentre cohort study
Madeleine K D Scott, et al.
The Lancet Respiratory Medicine
Open AccessPublished:March 29, 2019
DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30508-3

【背景】特発性肺線維症患者について、臨床所見同様の症例でも肺移植割り付けのためせねばならぬ為層別化改善のためのバイオマーカーが差し迫って必要。特発性肺線維症患者から特異的免疫細胞タイプアウトカム悪化リスク高い患者が同定できるか?サイトメトリーと電子カルテ記録で所見評価

【研究方法】Gene Expression Omnibus at the National Center for Biotechnology Informationからのtranscriptome dataを用い特発性肺線維症患者の末梢血単核細胞(PBMC)サンプル 120についてdiscovery analysis施行
statistical deconvolutionを用いた13の免疫細胞比率推定、移植free生存率と細胞種との相関を研究
2つの独立したコホート(COMET、Yale)の特発性肺線維症患者からのPBMCサンプル使用しvalidation検証
COMETでは45名の特発性肺線維症患者サンプルでフローサイトメトリーを使用し単球数profile(2010年3月2日〜2011年3月10日)、単球数増加が疾患進行のプライマリアウトカムと相関するか検討
Yaleコホートでは特発性肺線維症15名(対照 5名)で52のgene signatureを用い高リスク/低リスク・分類(2014年4月28日〜2015年8月20日)、単球比率(measured by cytometry by time of flight) が高リスク患者で高値かどうか検討

45,068名の特発性肺線維症、全身性硬化症、肥大型心筋症、骨髄線維症患者を電子カルテにて血球値調査し、絶対的単球数0.95 K/μL以上で全死亡率と相関するか検討
Stanford (Jan 01, 2008, to Dec 31, 2015), Northwestern (Feb 15, 2001 to July 31, 2017), Vanderbilt (Jan 01, 2008, to Dec 31, 2016),  Optum Clinformatics DataMart (Jan 01, 2004, to Dec 31, 2016) cohorts

【結果】discovery analysisにて、CD14+ classical monocyte推定比率平均以上では、移植free生存率短縮と相関 (ハザード比 [HR] 1.82, 95% CI 1.05–3.14)するが、T細胞比率増加、B細胞比率増加は相関せず (0.97, 0.59–1.66; and 0.78, 0.45–1.34)

COMETトライアルとYaleコホートの2つの検証コホートで、単球数増加はアウトカム不良リスク高い (COMET Wilcoxon p=0.025; Yale Wilcoxon p=0.049)

 COMET、 Stanford、 Northwestern dataset横断的に、単球数 0.95 K/μL 以上は、FVC補正後も死亡率と相関 (HR 2.47, 95% CI 1.48–4.15; p=0.0063)、性・年齢・生理学指数補正後も死亡率と相関 (HR 2.06, 95% CI 1.22–3.47; p=0.0068)

特発性肺線維症7459名のカルテ解析で単球数 0.95 K/μL 以上はcensoring eventとしての肺移植に関し死亡リスク増加を診断時年齢、性別補正後認める (Stanford HR=2.30, 95% CI 0.94–5.63; Vanderbilt 1.52, 1.21–1.89; Optum 1.74, 1.33–2.27)

単球絶対数は肥大型心筋症でも3つのコホート横断的に生存率短縮と相関し、3つのコホート中2つは全身性硬化症、骨髄線維症患者でも相関認めた

【結論】単球は特発性肺線維症や他の線維性疾患では単球数を評価に入れ込むべき。
繊維症での単球のメカニズムの検証が進めば、新しい治療の開発の手助けになるかもしれないという感想




Figure 2Classic monocyte (CD14+ CD16–) count association with poor outcomes in patients with idiopathic pulmonary fibrosis



Figure 3Survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis patients up to 5 years after diagnosis



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