2013年5月22日水曜日

【小児喘息】急性発作:入院率アウトカム:吸入ステロイドと全身投与ステロイド同等 ・・・ 急性期でもICS代用可能?

Inhaled Versus Systemic Corticosteroids For Acute Asthma In Children: A Systematic Review
Read More: http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/ajrccm-conference.2013.187.1_MeetingAbstracts.A1272

入院率や他のアウトカムという意味では、吸入もステロイド全身投与も、小児の急性喘息発作では同等。

8研究プール化解析では、800名の子供(2-18歳)
吸入ステロイド投与 403名
全身ステロイド投与 389名


経口ステロイドの方が入院2%ほど減少で有意差無し (p = 0.96)



吸入ステロイドを、急性増悪時の新しいオプションと考えることも可能かもしれない

喘息は、閉塞型無呼吸8年後予後因子

Teodorescu M, et al "Asthma predicts 8 year incidence of obstructive sleep apnea in the wisconsin sleep cohort" Am J Respir Crit Care Med 2013; 187: A6015. 

喘息患者は閉塞型無呼吸発症と関連する

1988年開始Wisconsin Sleep Cohort、喘息有病 自己判断
4年毎検査室PSG、評価アンケート、構造化インタビュー 

閉塞型無呼吸発症率
喘息有り 41% vs喘息無し 29%

ICU人工換気患者:患者志向音楽にて不安軽減、ノイズキャンセラ・ヘッドホンでも一部効果

人工呼吸患者にとって、鎮静剤の代わりに、音楽などで不安が改善できるか?

呼吸不全のため急性換気サポートを受けてるICU患者で、PDM(患者志向音楽)は、通常ケアに比べ、不安を大いに減少させるが、ノイズキャンセラ・ヘッドホン(NCH)に比べれば、差は認めない。
また、PDMは、通常ケアやノイズキャンセラ・ヘッドホンに比べ、鎮静回数激減させる。鎮静強度も通常ケアに比べ減少させられる。しかし、ノイズキャンセラ・ヘッドホンとは差は認めない。

Effects of Patient-Directed Music Intervention on Anxiety and Sedative Exposure in Critically Ill Patients Receiving Mechanical Ventilatory Support
A Randomized Clinical Trial
 Linda L. Chlan,  et. al.
JAMA. 2013;():1-10. doi:10.1001/jama.2013.5670.

【デザインセッティング・被験者】5病院、12のICU、373名で、呼吸不全のための急性人工換気補助受けてる患者へのランダム化対照トライアル 
白人 86%、女性 52%、平均年齢(SD) 59(14)歳
APACHE III スコア 63(21.6)、研究平均(SD) 5.7(6.5)日間 
【介入】人工呼吸管理中音楽療法士による好み選択をテーラー化した自己開始患者志向的音楽(PDM)  (n = 126)
ノイズキャンセリングヘッドホン自己使用開始 (NCH; n = 122)
通常ケア (n = 125) 
【主要アウトカム】不安連日評価(100-mm VAS)と2つの鎮静剤暴露の2項目 
【結果】 PDM群患者において、音楽聴取時間平均(SD) 79.8(126)(中央値 [レンジ], 12 [0-796])分/日
NCH群患者では、ノイズキャンセリングヘッドフォン装着時間 平均(SD) 34.0 (89.6)(中央値 [レンジ], 0 [0-916]) 分/日
mixed-models analysisでは、どの時点においても、PDM群では、通常ケア群より、不安スコア 19.6点低く(95% CI, -32.2 〜 -6.8) (p = 0.003)
研究第5日目までに、不安は、PDM患者で36.5%減少
治療x時間相互作用で、PDM有意に、鎮静剤数値減少。
通常ケア比較で、PDM群は、鎮静強度減少  −0.18 (95% CI, −0.36 〜 −0.004) 点/日 (P = .05)、回数減少 −0.21 (95% CI, −0.37 〜 −0.05) 点/日 (P = .01)
PDM群は、NCH群比較でも、鎮静回数減少 −0.18 (95% CI, −0.36 〜 −0.004) 点/日 (P = .04)
第5病日までに、PDM群では、2回ほど鎮静量少なく、鎮静強度36%減少

個室を作れない場合、ノイズキャンセラ・ヘッドホンが代用?



ICU人工呼吸必要患者:気管切開施行は急ぐな 10日め以降・・・

ICU人工呼吸必要患者の 気管切開早期施行(4日以内) vs 遅延的施行(10日以降)比較


 

Effect of Early vs Late Tracheostomy Placement on Survival in Patients Receiving Mechanical VentilationThe TracMan Randomized Trial
Duncan Young, et. al.
for the TracMan Collaborators
JAMA. 2013;309(20):2121-2129. doi:10.1001/jama.2013.5154

早期施行割り付け群では 気管切開施行 455名中91.9%(95% CI, 89%-94.1%)
遅延施行割り付け群では 気管切開 454名中44.9%(95% CI, 40.4%-49.5%) 

ランダム化後30日全原因死亡率 は、早期施行割り付け群 30.8% (95% CI, 26.7%-35.2%) 、遅延施行割り付け群 31.5% (95% CI, 27.3%-35.9%)
(絶対的リスク減少 for early vs late, 0.7%; 95% CI, −5.4% to 6.7%)

2年死亡率は、早期割り付け群  51.0% (95% CI, 46.4%-55.6%)、遅延施行割り付け群 53.7% (95% CI, 49.1%-58.3%)  (P = .74).

生存率集中治療室滞在期間中央値は、早期施行 13.0日 vs 遅延施行 13.1日間 ( p = .74)

気管切開関連合併症は、 6.3% (95% CI, 4.6%-8.5%)  (早期施行 5.5% , 遅延施行 7.8%)

特発性肺線維症:MUD5プロモーター多形型と生存率

 MUC5Bに関しては、NEJMで報告されている。

 A Common MUC5B Promoter Polymorphism and Pulmonary Fibrosis
Max A. Seibold, et. al.
N Engl J Med 2011; 364:1503-1512
April 21, 2011DOI: 10.1056/NEJMoa1013660
MUC5B のプロモーターにみられる頻度の高い多型が,家族性間質性肺炎と特発性肺線維症に関連している.本研究の結果から,肺におけるMUC5B の発現調節障害が,肺線維症の発症に関与している可能性が示唆される.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.)

mucin 5B (MUC5B)をエンコードするpromoterのcommon variantと、sporadic IPFの関連性

1)SNPとMUC5B過剰産生の関連から考え、粘膜宿主防御を生害する結果、吸入物質からの肺障害過剰となる可能性 
2)呼吸細気管支MUC5B過剰状態により肺胞修復を障害し、気管支肺胞ユニットのcollaplseを生じ、II型肺胞上皮細胞による再上皮化による修復がなされる。 この上皮修正の失敗による、肺胞collaplseと近接気管支肺胞ユニットの線維化
3)IPFの病変の特徴の空間的heterogenousであり、MUC5Bはやはりtranscription-factor binding siteと一致する。
・・・などが 考察されている。




MUC5B promoter polymorphism (rs35705950)は、有意に生存率改善と関連

Association Between the MUC5B Promoter Polymorphism and Survival in Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Anna L. Peljto, et. al.
JAMA. 2013;():1-8. doi:10.1001/jama.2013.5827. 

後顧的生存率分析
INSPIREコホート(interferon-γ1b trial登録者):n = 438; December 15, 2003–May 2, 2009; 81 centers in 7 European countries, the United States, and Canada)
・Chicago cohort, consisting of IPF participants recruited from the Interstitial Lung Disease Clinic at the University of Chicago (n = 148; 2007-2010)

INSPIRE: GG、GT、TT遺伝子型群 は、それぞれ 148 (34%)、 259 (59%)、 31 (7%)
Chicago: 41 (28%)、 98 (66%)、 9 (6%)

フォローアップ中央値は、INSPIREで1.6年、 Chicagoで2.1年
フォローアップ中、INSPIREでは73名(CG 36、GT 35、TT 2)、Chicagoでは64名( GG 26、GT 36、TT 2)

非補正2年間累積死亡頻度 は、INSPIREコホート、Chicagoコホートとも、IPF risk allele (T) 1コピー以上では低い
INSPIRE cohort (0.25 [95% CI, 0.17-0.32] for GG, 0.17 [95% CI, 0.11-0.23] for GT, and 0.03 [95% CI, 0.00-0.09] for TT) 
・ Chicago cohort (0.50 [95% CI, 0.31-0.63] for GG, 0.22 [95% CI, 0.13-0.31] for GT, and 0.11 [95% CI, 0.00-0.28] for TT)

INSPIREコホートでは、TT及びGT genotype (IPFリスク)は、GGに比べ生存率改善と相関  (ハザード比, 0.23 [95% CI, 0.10-0.52] 、 0.48 [95% CI, 0.31-0.72]; P < .001)
この知見は、Chicago コホートでも再現  (ハザード比 0.15 [95% CI, 0.05-0.49] 、0.39 [95% CI, 0.21-0.70]; P < .002)

MUC5Bと生存率の観察相関は、年齢、性別、FVC、DLco、MMP-7、治療状態に独立。

MUC5B  遺伝子型を生存率モデルに加えると、INSPIREコホート、Chicagoコホートともに有意に予測正確性改善(C = 0.71 [95% CI, 0.64-0.75] vs C = 0.68 [95% CI, 0.61-0.73]; P < .001、C = 0.73 [95% CI, 0.62-0.78] vs C = 0.69 [95% CI, 0.59-0.75]; P = .01)



Gene Linked to Lung Fibrosis and Its Survival
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATS/39316


COPD急性増悪時ステロイド全身投与期間 5日間 vs 14日間 非劣性検討にて差認めず



COPD急性増悪救急部門受診患者へのステロイド投与期間を5日間とするか、14日間とするか?

Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary DiseaseThe REDUCE Randomized Clinical Trial
Jörg D. Leuppi, et. al.
JAMA. 2013;():1-9. doi:10.1001/jama.2013.5023.

【重要性】国際的ガイドラインではCOPD急性増悪に対し7〜14日間の全身投与をadvocateしている。しかし、適切な量・期間に関しては不明
  【目的】COPD急性増悪全身的ステロイド治療短期間(5日間)の通常治療期間(14日間)との臨床的アウトカムにおける非劣性比較、ステロイド暴露減少するかどうか?
【デザイン・セッティング・被験者】REDUCE (Reduction in the Use of Corticosteroids in Exacerbated COPD)、ランダム化非劣性多施設トライアル
スイスの5教育病院 、COPD急性増悪によるEDでの314名、過去喫煙・現行喫煙者(20 pack-years以上)、喘息既往無し、2006年3月から2011年2月まで
【介入】 プレドニゾロン40mg 5日間 or 14日間 プラシーボ対照化二重盲験様式
事前定義非劣性クライテリアは、15%程度の急性増悪絶対的増加で、50%のイベント発症比率相当criticalはハザード比 1.515
【主要アウトカム・測定】180日内急性悪化までの期間
 【結果】314名のランダム化研究のうち、289(92%)は入院、311名をITT解析し、296名をper-protocol解析行った

短期間治療 vs 通常期間治療のハザード比 ITT解析 0.95 (90% CI, 0.70 to 1.29; P = .006 for noninferiority)、 per-protocol解析では 0.93 (90% CI, 0.68 to 1.26; P = .005 for noninferiority)で、非劣性クライテリアに一致

プライマリエンドポイント
短期間治療群 56名(35.9%) vs 通常期間治療群 57名 (36.8%)

180日間内再急性増悪率推定値は、短期治療期間群  37.2% (95% CI, 29.5% - 44.9%) vs 通常期間治療群 38.4%(95% CI, 30.6%-46.3%)
差分   −1.2% (95% CI, −12.2% - 9.8%) 

急性増悪患者のうち、イベントまでの期間中央値
短期間治療群 43.5日間(13-118) vs 通常治療期間群 29日間(IQR, 16-85) 

死亡、急性増悪・死亡複合エンドポイント、その両者、肺機能改善において差を認めず

通常気管治療群では、 平均累積プレドニゾロン投与量多く(793 mg [ 95% CI, 710-876 mg] vs 379 mg [95% CI, 311-446] , p < .001
治療関連副事象、高血糖、高血圧の頻度増加は見られなかった。





5-Day Steroid Tx Works in COPD
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATS/39314

Dupilumab(IL-4受容体αサブユニット・ヒトモノクローナル抗体):急性増悪改善効果 喘息pIIトライアル

dupilumab (SAR231893/REGN668): IL-4受容体ターゲット薬剤で、87%の患者で、急性増悪軽減とのプラシーボ対照pIIトライアル結果

Dupilumab in Persistent Asthma with Elevated Eosinophil Levels
Sally Wenzel, et. al.
N Engl J Med. May 21, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1304048

対象:持続性中等症・重症喘息、血中好酸球数 300/μl以上、喀痰好酸球3%以上、高用量ICS/LABA投与患者
介入:dupilumab 300mg vs プラシーボ 週1回投与
(4週目でLABA中止、6-9週めでICS減量)
12週間継続、プロトコール定義喘息急性増悪発生まで
プライマリエンドポイント:喘息急性増悪発生
セカンダリエンドポイント:喘息コントロール指標、Th2関連バイオマーカー、安全性/耐用性

結果:
dupilumab 群 52名、対照群 52名 、ベースライン特性同等

喘息急性悪化:dupilumab 6% vs プラシーボ 44%
減少率 87% オッズ比 0.08; 95% 信頼区間 0.02-0.28; p < 0.001)
肺機能、喘息コントロールに関し多くで有意改善

Th2-誘発炎症関連バイオマーカー減少

dupilumabは注射部位反応、鼻咽頭炎、吐気、頭痛が多い

http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATS/39304



持続性中等症・重症喘息は様々なphenotypeからなるが、半数以上では、Th2免疫と関連する。実際好酸球数増加や Th2-経路活性化マーカーが示され、特に、IL-4や IL-13などが、喘息やアトピー性疾患と関連している。IL-4受容体αサブユニットを含む2つの異なる、あるいは重複する受容体シグナルの可能性、type 1受容体は、IL-4でのみ活性化し、リンパ球に主に存在し、TH2-細胞分化制御する。type II受容体は、IL-4とIL-13により活性化し、広く、そして、myeloid cellにも存在する。
IL-4受容体ターゲット抗体は、両サイトカインの関連するdownstream pathwayを抑制する可能性がある。


Antibody Gets High Marks for Asthma Control
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATS/39304

新しい睡眠薬:二重オレキシン受容体アンタゴニスト:メルク社 Suvorexant(MK-4305)の昼間眠気の懸念

医療費コストの引き上げ要因の一つは、生活改善薬の存在

不眠症などは住民の1割ほど訴える訳で、製薬メーカーとしては、ドル箱
多くの薬剤がGABAに対する薬剤で、様々な問題点が指摘されている。
マイスリーは、転倒の独立した危険因子 ・・・ 即刻対処必要 2012/11/21
医師たちが作る薬物依存 ・・・ 依存症原因の2位に 2013/02/22

新しい機序の薬剤開発に期待がかかるわけだが・・・


Suvorexantは、Dual Orexin Receptor antagonist (DORAs)と呼ばれ、Orexin、オレキシンとよばれる化学的メッセンジャーブロックで効果発現する。Orexinは、覚醒を保つよう働き、昼間は濃度増加、夜間は低下する。
Orexinは視床下部に多く、他の脳の部位に投射する。アカゲザルの実験では、注意力・記憶力に関しGABA抑制剤に比し反応時間の迅速性に異常が見られなく、ミスも少なかった。マウスのcolored objectでも同様の結果。

Suvorexant (MK-4305)は、記憶や注意力に影響を与えずという利点を有する薬剤。




FDAは、製造会社 Merkからの実験途上の睡眠薬剤の効果報告に反し、昼間の眠気、自殺思考を含む副作用に関し、FDA助言委員会が警告を与えている。
プラシーボ比較で良好な睡眠開始と維持効果が示されたが、8倍もの昼間の眠気、朝方の運転に影響を与える場合もしめされた。

FDA raises concerns about experimental sleep aid suvorexant
CBS/AP/ May 20, 2013, 4:04 PM 

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note