2021年6月23日水曜日

血液脳関門通過性レニン・アンギオテンシン系降圧薬による高齢者認知機能改善効果(ARB使うならテルミサルタン、カンデサルタン・・・)

Blood-Brain Barrier Crossing Renin-Angiotensin Drugs and Cognition in the Elderly: A Meta-Analysis

Jean K. Ho , et al.

Originally published21 Jun 2021

https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.121.17049

Hypertension. ;0:HYPERTENSIONAHA.121.17049

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/HYPERTENSIONAHA.121.17049


高血圧は、高齢者の認知機能低下や認知症の危険因子として知られており、予防のための降圧治療の重要性が指摘されている。降圧治療をめぐる研究では、認知機能や神経病理に対する有益な効果が示唆されている。特に、AT1受容体拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬などのレニン-アンジオテンシン系薬剤が、後年の認知機能を改善する可能性があるとする研究がいくつかある。また、血液脳関門を通過するレニン-アンジオテンシン系薬剤は、非浸透性の薬剤に比べて認知症リスクが低いことが示唆された研究も少なくない。今回のメタアナリシスでは、血液脳関門を通過するレニン-アンジオテンシン系薬剤が、非浸透性の薬剤と比較して、認知機能に及ぼす潜在的なメリットを評価することを目的とした。本研究では、6カ国14コホート(オーストラリア、カナダ、ドイツ、アイルランド、日本、米国)の縦断的な参加者データ(ベースライン時で合計12,849人)を調和させ、認知機能が正常な参加者が使用している降圧薬について、血液脳関門通過の可能性を評価した。 

7つの認知領域(注意、実行機能、言語、言語記憶学習、想起、精神状態、処理速度)について、ANCOVA(年齢、性別、教育で調整)およびメタアナリシスを用いて分析した。血液脳関門を通過するレニン・アンジオテンシン系薬剤を服用している高齢者は、血管リスク負担が比較的高いにもかかわらず、非浸透性薬剤を服用している高齢者と比較して、最長3年間の追跡調査で良好な記憶想起を示した。 

逆に、血液脳関門を通過しない薬剤を服用している人は、同じ追跡期間において注意力が優れていたが、血管リスク負担が低いことがこの結果の一部を説明していると考えられる。今回の結果は、血液脳関門を通過するレニン・アンジオテンシン系薬剤と記憶力低下の抑制との関連を示唆するものである。


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note