2013年3月12日火曜日

aβ42:アルツハイマー病発症前から睡眠の質低下が見られる

睡眠障害と概日障害はアルツハイマー病にとって 非常に多い問題で有り、動物研究で睡眠とβアミロイドの相互二重関連性が、アルツハイマー病の病因的な鍵分子で示唆されている。

認知障害出現前の、臨床症状発症前アルツハイマー病における睡眠と睡眠の質に関わる報告。
睡眠の量でなく、睡眠の質の変化が、アルツハイマー発症前・aβ42高値例で見られる。 

Sleep Quality and Preclinical Alzheimer Diseas
Yo-El S. Ju, et. al.
JAMA Neurol. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamaneurol.2013.2334.
アミロイド沈着Aβ42値評価による検討で、22.5%でそれが存在。
睡眠効率、就寝時間での真の睡眠時間を睡眠効率と定義し、総睡眠時間を睡眠の量としてプライマリとする。
アミロイド沈着群では、睡眠効率は、80.4% vs 83.7%で、年齢、性別、APOEε4 alleleキャリア補正後有意差 p=.04
対照的に、総睡眠時間測定の睡眠の量では有意差認めず
昼寝、3回以上では、アミロイド沈着と相関あり(31.2% vs 14.7%; p=0.03)



結論としては、アルツハイマー病臨床前の状況でのアミロイド沈着は、睡眠の質と関連するが、睡眠時間の変化とは関連せず。




脳脊髄液中の2つの特異的Aβオリゴマーである、AβトリマーとAβ*56を評価
加齢・アルツハイマー病への影響評価
CSF τとの関連性仮説

Correlation of Specific Amyloid-β Oligomers With Tau in Cerebrospinal Fluid From Cognitively Normal Older Adults
Maureen Handoko, et. al.
JAMA Neurol. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamaneurol.2013.48. 

四種+PCV7+Hib+ロタウィルスワクチン同時接種批判すると怒られる風潮

 リスク拡大する方向性の医療の方向性って 批判されるのが普通だと思うのだが、ことワクチンに関しては、違うようだ。同時接種の安全性って前向き研究はなく経験的に行われそれが安全だと信じ込んで行われているのが現状。ワクチン接種禍と朝日・毎日・読売があおってた時代の反動なのか、現状は、同時接種に賛成しないと、医師としての人格まで攻撃される、ワクチン同時接種問題。同時接種可能で、それを批判すると怒られる。「DPT-IPV+Hib+PCV7+HBV+ロタウィルス(経口)+BCG+インフルエンザ+日本脳炎」同時接種も可能な現状を危惧視していたのだが・・・

例えば・・・
“信じがたいことに、小児科以外の医師や医療機関の中にも「後で何か異変があってクレームを付けられても困る」と、同時接種を控えるところがあるのだとか” 
“ワクチン同時接種しない医者を批判する意見”を批判する 2013年4月8日



 因果関係と無縁でも確率的に様々な副事象がまぎれこむ。その副事象に対してまでも、責任を負うことになる「それぞれ単独接種が可能であることを示した上で、同時接種を行う場合には、その必要性を医師が判断し、保護者の同意を得て実施する」という公的文書。

 「同時接種必要性」って、意味不明の表現で、「なんどもワクチン接種のため会社休むのもねぇ」という親のためなのか、「子供になんども注射するのも病院嫌いにするからなぁ」という接種医師側おもんばかりの事情なのか?・・・それにしても、未だに分けわからない文言である。


  以下の事例は、「4種混合+PCV7+Hib+ロタワクチン」同時接種が必要と医師が判断した場合で、理論上の多剤同時接種よりかなり控えめ?


4種ワクチン接種後に男児死亡 他ワクチンと同時
2013/3/12 0:44
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1106A_R10C13A3CR8000/
 厚生労働省は11日、昨年11月に定期接種が始まった不活化ポリオ(小児まひ)、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の4種混合ワクチンと他の ワクチンの同時接種を受けた男児の死亡例が報告されたと明らかにした。4種混合ワクチン接種後の死亡例としては初めて。同省が詳しい経過など情報収集を進 める。


 厚労省によると、死亡したのは生後6カ月未満の男児。今月上旬に4種混合ワクチンと小児用肺炎球菌ワクチン、インフルエンザ菌b型ワクチン、ロタワクチンの同時接種を受けた後、死亡した。医療機関から6日に報告があったという。


 4種混合ワクチンは従来のジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合に不活化ポリオを加えたもので、標準で生後3カ月から1歳までに3回と、3回目の接種後1年~1年半の間にさらに1回追加接種する。〔共同〕

くそ役人現場丸投げ責任回避通達:ワクチン同時接種  2010年 10月 27日
結局、全部 ・・・・ 「医師の責任」になる ワクチン同時接種  2011年 03月 25日


米国内のコロノスコピー検診不適切施行問題(年齢、陰性所見後再検査)

コロノスコピーの過小施行は良く話題にのぼるが、過剰使用が問題になってきているとのこと。異常所見無しなら7年未満施行は過剰検査とMedicareは認定。さらに現行ガイドラインでは、10年間とされる。さらに、高齢者、75歳以上の場合の合併症増加が問題となり、直腸結腸がん以外の死亡原因の方が影響のある高齢者ではバランスシフト(life-years gained と colonoscopy risk)が存在する。
 
US Preventive Services Task Force.  Screening for colorectal cancer: U.S. Preventive Services Task Force recommendation statement.  Ann Intern Med. 2008;149(9):627-637
 
Qaseem A, Denberg TD, Hopkins RH Jr,  et al; Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians.  Screening for colorectal cancer: a guidance statement from the American College of Physicians.  Ann Intern Med. 2012;156(5):378-386



Potentially Inappropriate Screening Colonoscopy in Medicare PatientsVariation by Physician and Geographic Region
Kristin M. Sheffield, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-9. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2912
高齢者被施行コロノスコピーの大多数は不適切
ここでいう不適切施行は、「施行年齢と所見無しなのにすぐに再検査すること」

Texasコホートの23.4%
70-75歳、76-85歳、86歳以上での比率は9.9%、38.8%、24.9%

コロノスコピスト797名に横断的に、不適切性にばらつきあり
多レベルモデル(患者性、人種・民族、合併少数、教育レベル、都市部・田舎居住)で、73名のコロノスコピストは平均的に23.9%(28.7%ー45.5%)で、119名は有意に平均より少ない  (23.9%, 6.7% 〜 18.6%)

平均パーセンテージを超えるコロノスコピストは、外科医、USメディカルスクール出身者、1990年前のメディカスクール卒業者、高volume

コロノスコピストランキングは時代的にほぼ安定  (2006-2007 vs 2008-2009)
Texas、米国横断的に地域的変動有り、テキサス:13.3%から34.9% 、米国 19.5%から30.5%

現実には、リスク・ベネフィットの説明するよりは、医療側は、検査しましょうと言う方が簡単。内在する無駄及び有害性はそのままで・・・
「高齢だからがん検診やめましょう」と言われた側の反応 2013/03/12



検診に関しては、TPPにより日本内の非科学的構造を破壊してほしいと・・・個人的には思ってるが、そうはならないだろうなぁ・・・結局は、特定の業者の利益が国の利益を優先するTPPだし・・・ 

「高齢だからがん検診やめましょう」と言われた側の反応

高齢者に関して、他人に被害を与えるであろう運転でさえ 、情緒的な主張がまかり通る国。日本国民は官僚から住民まで功利的考えがまったくできておらず、情緒的に考える国民らしい(エビデンスはない)。一定程度以上の高齢者の運転にマークを義務化しようとしたとき、マスコミ誘導的に、一概に年齢で区切るのはおかしいとかやっていた。高齢医療に関しても同様で、情緒的反論の方が大きかった。がん検診などは、マスとしてその功利性を追求すべきで、費用対効果の最大化がその主観点のはず。 肺がんなどは非喫煙者より喫煙経験者にリスクが高くその費用対効果があらわれるはずなのに、リスクの少ない若年者までもが肺がん検診行われ、マスとしての放射線被曝量をかさ上げし、リスク・ハザード比を著しく悪くしている。

高齢者や広汎な合併症を有する人に対して過剰にがん検診がなされているという認識は広まってるが、がん検診終了に関する患者側の認識についての情報は限られている。高齢者の観点からのがん検診終了に関する情報は、臨床医にも役立ち、介入デザインの観点からも重要。

平たく言えば、「年齢故、功利性が認めないから検診今年からやめましょう」といわれた側の高齢者の反応はどうなのか?・・・高齢者側からの聞き取り報告。


Older Adults and Forgoing Cancer Screening“I Think It Would Be Strange”
Alexia M. Torke, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2903. 
セッティング  Senior health center affiliated with an urban hospital.
被験者  33名の高齢者医療施設での高齢者にインタビュー。年齢中央値76歳(range, 63-91歳)、33名中27名は女性;アフリカ系 15名、白人 16名、アジア系 1名、アメリカ系インディアン1名

主要アウトカム測定  インタビュー録音、テーマを明らかにし、イラストを用いた引用などでグランデド理論手法を用いた解析
結果  検診を受けることはモラル的に義務的なものと認識
多くは、意思決定無縁の習慣・慣例と認識しているが、検診を取りやめることは重大な意思決定と考えている。
多くは、主治医と検診終了の議論をしたこともなく 、彼ら自身で中断を考慮することもないと断定的に答え、医師が検診をやめるよう助言するなら中断しても良いと答えている。
医師のがん検診終了受容する人もいるが、信頼性に影響を与え、他の意見を取り入れると答えたものもいる。
被験者は統計や検診意思決定に関する政府委員推奨に疑念をもつが、リスク・ベネフィットバランス故、合併症、検査範囲に関して検診終了することに対しては前向きであった。 
 

日本で行われている、非科学的根拠に基づくがん検診・住民検診
地方だけの現状かもしれないが、地方自治団体のクソ役人どもが、義務だ義務だと住民に強制的に検診を行い、多種多様な合併症存在し通院を中断させてまでも検診させる・・・そういう地方自治団体が私の身近に存在する。


内視鏡麻酔:合併症そのものは少ないが、誤嚥性肺炎との関連性は存在

被験者としては、内視鏡時麻酔はありがたいもので、その利用希望も増えているが、副事象イベント尤度に関してその頻度に関して住民レベルでは調査されてないとのこと。



合併症率そのものはかなり少ないが、やはり頻度に関しては多くなっており、特に、誤嚥性肺炎に関してその頻度が多い。この部分は対処しようがない部分のようである。だが、70歳を超える場合、合併症のある場合には注意が必要だろう。

Complications Following Colonoscopy With Anesthesia AssistanceA Population-Based Analysisa
Gregory S. Cooper, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamainternmed.2013.2908.


住民ベース研究で、ポリープ切除を伴わないコロノスコピーで、deep sedationを用いた場合と、用いない場合の比較

主要アウトカム測定は、30日内、脾臓破裂・外傷、腸穿孔、誤嚥性肺炎

患者数100,369名、総数 165,527検査
麻酔21.2%で35,128検査

検査後合併症は、284検査後(0.17%)、誤嚥(n=173)、穿孔(n=101)、脾外傷(n=12)(複数を含む)

包括的合併症は麻酔事例で多い( 0.22% ([95% CI, 0.18%-0.27%])  vs 0.16% ([0.14%-0.18%]) p < 0.001)
誤嚥 (0.14% [0.11%-0.18%] vs 0.10% [0.08%-0.12%]; P = .02) 

腸管穿孔・脾破裂は同等。

合併症予測因子としては、70歳超、多くの合併症、病院での施行など

多変量解析にて、麻酔使用は合併症増加リスクと相関(オッズ比 1.46[95% CI, 1.09-1.94)


通院困難:パーキンソン病患者への遠隔医療の効果


通院困難となる神経疾患
遠隔医療を通して特異的ケアを提供することにより、この問題を解決できないかというお話

Randomized Controlled Clinical Trial of “Virtual House Calls” for Parkinson Disease
E. Ray Dorsey, et. al.
JAMA Neurol. 2013;():1-6. doi:10.1001/jamaneurol.2013.123. 

7ヶ月2施設ランダム化対照化トライアル

プライマリアウトカム変数は、feasibility(遠隔医療受診比率 vs 計画受診)
セカンダリアウトカム変数は、臨床的ベネフィット( 39-item Parkinson Disease Questionnaire)・経済学的価値(時間と旅行)

20名のパーキンソン病患者対象

20名を遠隔医療(n=9)、個別ケア(n=11)に割り付け

予定遠隔医療受診27のうち、25(93%)完遂
計画受診33のうち、30(91%)完遂

小規模研究では、質の改善は差認めず(4.0 vs 6.4 p= .61)

計画受診と比べ、遠隔受診は過被験者の受診、平均的に100マイル旅行と3時間を節約できた。


遠隔医療を用いた在宅医療の話だが、あまりに数が少なく、受診時間節約という当たり前の結論しか引き出せてない。

話は変わるが、在宅医療ってのは、環境が恵まれた地域の限定的な話なのを、厚労省もマスコミも、都市部医療関係者も気づいていない。この特殊形態を強引に日本全国適応することで様々な齟齬を生じている。僻地・高齢化地域では若者が極端に少なく、「独居」・「老々介護」家庭だらけである。それを在宅医療だけで片付けるっては暴論以外何物でも無い。 では、かわりにICTってなると、さらに、話はインチキくさくなる。
効率を求めるなら、共同住居施設や地域集団的ケアなどを勧める必要があるはずだが、国はそれを妨害しているように思える・・・地方の現状。声のでかい関係者や北欧理想主義のあたまのおかしい人たちの意見しか聞いてない厚労省役人や政治家に、その意味がわかるのは数年後だろう。

noteへ実験的移行

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