2013年10月31日木曜日

SGLT2阻害剤 ダパグリフロジン:DPP4阻害剤(メトホルミン使用不問)add-on効果

SGLT2阻害薬dapagliflozinは、DPP−4阻害剤 add-on効果、−0.5%程度

Dapagliflozin Is Effective as Add-on Therapy to Sitagliptin With or Without Metformin: A 24-Week, Multicenter, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Studys
Published online before print October 21, 2013, doi: 10.2337/dc13-0467 Diabetes Care October 21, 2013 


メトホルミン使用有無不問・DPP-4阻害剤使用(sitagliptin (100 mg/day) ± metformin (≥1500 mg/day))・2型糖尿病コントロール不良群でのダパグリフロジンの有効性安全性
24週間、多施設ランダム化二重盲験プラシーボ対照化平行群第三相24週間
432名をダパグリフロジン 10mg/day とプラシーボに割り付け 
ベースライン
・ HbA1c ダパグリフロジン群 HbA1c 8.0% (64.0 mmol/mol)  vs プラシーボ群 7.9% (63.0 mmol/mol)  
・ 空腹時血糖 ダパグリフロジン群 162.2 mg/dl (9.02 mmol/L) vs 対照群 163 mg/dl (9.02 mmol/L) f

24週時点で、HbA1c値は、ダパグリフロジン群では有意に減少  (–0.5% [–4.9 mmol/mol]) versus placebo (0.0% [+0.4 mmol/mol]) 
ダパグリフロジン群は、プラシーボに対して体重減少( -2.1 kg vs -0.3kg)
HbA1c値 8.0%以上群の患者でのHbA1c減少 (–0.8% [8.7 mmol/mol] and 0.0% [0.3 mmol/mol])、そして、空腹時血糖低下  (–24.1 mg/dl [–1.3 mmol/l] and 3.8 mg/dl [0.2 mmol/l])

背景治療層別化でも、同様の結果となる。
24週めの血糖、体重ベネフィットは、48週後も維持。

収縮期血圧8週目のベースラインからの差は治療群間で認められなくなる

48週を超えても、ダパグリフロジン治療中断少なく、プラシーボと比較して血糖ターゲット失敗によるレスキュー治療負荷は少ない。
副作用イベントは群間均衡、中止率少ない。48週後、性器感染徴候・症状がプラシーボより多い(9.8% vs 0.4%)。尿路感染に関しては群間均衡( 6.7% vs 6.2%).


システマティック・レビュー:トリグリセライド  1mmol/L(88.6mg/dL)増加毎 CVD死亡 13%、全原因死亡 12%増加




Effects of blood triglycerides on cardiovascular and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of 61 prospective studies
Jun Liu, et. al.
Lipids in Health and Disease 2013, 12:159  doi:10.1186/1476-511X-12-159
Published: 29 October 2013
中性脂肪と死亡リスクとの関連性はいまだ不明。血中TG値と、心血管疾患(CVDs)死亡率と全原因死亡率との関連性を決定する。4つのデータベース(PubMed, ScienceDirect, EMBASE, and Google Scholar)を言語無関係に調査。
全ての前向きコホート研究で、TG、CVDs、全原因死亡率との関連性を2013年6月以前に検討。

逆変数加重を用いたTGカテゴリー、ユニットTG、Log TGを、random-effects modelを用い、リスク比(RRs)、95%信頼区間(CIs)を抽出し、プール化

61の登録研究同定し、72万6030登録中CVD死亡 17,018、 33万566名登録中全原因死亡 53,419

12、14研究で、それぞれ、TGカテゴリーにより、CVDsと、総死亡率推定効果を報告。

CVD死亡率 pooled RRに関して、90−149 mg/dLカテゴリー比較で、 < 90 mg/dL、ボーダーライン高値 (150-199 mg/dL)カテゴリー、高TGカテゴリー(200 mg/dL以上)では、 0.83 (0.75 to 0.93)、 1.15 (1.03 to 1.29)、1.25 (1.05 to 1.50)

総死亡率に関しては、それぞれ、 0.94 (0.85 to 1.03),、1.09 (1.02 to 1.17)、1.20 (1.04 to 1.38),

22、22研究それぞれで、TG 1- mmoL/L増加毎(TGは1 mmol/L= 88.57 mg/dL) 、CVDs、全原因死亡リスクは 13%、12%増加
(p < 0.001)

結論としては、血中TG値増加毎、用量依存的にCVD、全原因死亡率のリスク高い。


血糖コントロール不良は、腎血流内NO活性増加と関連

血糖は血管内皮NO遊離させ、NOは糖尿病モデル腎臓のhyperperfusionと関連する。ヒトでこの知見が適用できるかどうかの検討

2型糖尿病で、腎臓血液流量(renal plasma flow)、糸球体濾過量(GFR)を造影剤注入input clearanceで測定。さらに、腎血流中のfunctional NO活性として、NOS阻害剤 N(G)-monomethyl-L-Arginine(L-NMMA)注入RPF変化量で間接評価。
加えて、尿中NO分泌量(UNOx)と、血中ADAMA比測定

結論から言えば、ヒトにおいても、糖尿病コントロール悪い場合、NO活性増加、腎臓の過灌流と関連する。腎臓のNOシステムは新しい治療ターゲットとなる可能性がある。

Poor Glycemic Control Is Related To Increased Nitric Oxide Activity Within the Renal Circulation of Patients With Type 2 Diabetes
Markus P. Schneider, et. al.
Published online before print October 15, 2013, doi: 10.2337/dc13-0806 Diabetes Care October 15, 2013

HbA1c濃度3分位比較

最大3分位では、RPF増加(低、中間、高3分位   576 ± 17 vs. 585 ± 22 vs. 627 ± 33 mL/min/m2, P = 0.05 by one-way ANOVA)

一方、GFRはHbA1c 3分位横断的に同等。


NOS阻害RPF反応は、HbA1c高いほど促進 (−55 ± 7 vs. −64 ± 8 vs. −86 ± 8 mL/min, P = 0.04 by one-way ANOVA)

l-アルギニン/ADMA比、UNOxもHbA1c増加ほど高値 

COPD患者:ヨガにより呼吸困難・QOL、CRP改善

COPDとヨガ

Mepage解説:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CHEST/42512


ヨガは、一つのライフスタイルで・・・瞑想がスピリチュアルな全般的健康をもたらす。そして、肺機能・運動能・運動量改善をもたらすのなら、その呼吸法を意義づけしたくなる。なにせ、強化運動ではないため、万人に適応しようとすればできるわけだし・・・

ただし、安定期といえど、前後比較の検討なので、エビデンスレベルとしてはかなりpoorと言わざる得ない。漢方薬などのトライアルでよくやられるペテン治験の可能性もある・・・この論文だけで真偽決定というわけには行かない。

Source reference: Arora S, et al. "Efficacy of yoga on inflammatory markers, dyspnea, and quality of life in COPD"
Chest. 2013;144(4_MeetingAbstracts):787A. 
doi:10.1378/chest.1703685

目的: COPD は、全身性炎症性疾患。COPDのヨガ治療の役割は不明。安定COPD患者で、構造化ヨガトレーニングが、炎症性マーカー、呼吸困難、QOLへ影響を示すか検討。

方法: 29名のCOPD安定患者。患者はインストラクターによりヨガ運動を興じ、事前デザインフォーマット(asanas(身体姿勢)、pranayama(呼吸テクニック)、kriyas(清浄技術)、瞑想・hsavasan(リラックス技術)を含む)に従う)
週2回1時間を初期4週間、次8週間は2週間おき。残りのセッションは自宅で。
ベースライン評価には歯機能、呼吸困難重症度、oxygen cost diagram、6分間歩行試験、MRC測定、QOL、血中炎症性マーカー(CRP、TNF-α、IL6、 IL-8)
繰り返し全てのパラメータを行い、最終的にはトレーニング12週後。


結果: ベースライン→12週後
・血中平均値CRP 1.0(0.0-12.0) mg/dl → 0.00(0.0-566.0) pg/ml
・TNF-α 0.00(0.0-566.0) pg/ml → 0.0 (0-557.0) pg/ml
・IL-6 0.0(0.0-170.03) pg/ml → 0 (0.0-174) pg/ml
・IL-8 0(0.0-1488.0) pg/ml → 0.0(0.0-1076.0)pg/ml

同様に
6MWT 390.00(180.0-690.0) → 450.0(270.0-630.0)
Borgスケール0 (0.0-174) pg/ml  2.0(.5-7.0) → 500(.0-4.0)
VAS 55.0(40.0-80.0) mm → 70.0(55.0-95.0)

これら全て有意な改善

QOLスコアは、ベースラインから改善 50.97(8.58-82.80) to 31.44(1.53-78.61)


結論: Yoga 運動は、肺機能、6MWT、Borgスケール、呼吸困難重症度、QOL、CRPレベルの改善をもたらす。
IL-6、IL-8、 TNF-αで有意差認めず

臨床的意義: Yoga is a simple, cost effective and a patient acceptable method to improve dyspnoea and quality of life in COPD. As COPD increases in developing countries this method of simple rehabilitation needs proper evaluation.


【論文撤回】CPAP療法によるメタボリック・減量効果

IMTと腹部脂肪評価に於ける複合的過誤ということらしいが、閉塞型無呼吸症候群患者で、血圧・代謝系異常の改善有意に見られた(CPAP治療にて、 11/85 → 1/86と、メタボリック症候群頻度減少)という交叉対照トライアルの論文撤回。

あまりの極端な効果に驚かれ、特に体重減少効果が、注目されたようだ。

論文撤回:Retraction: CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea. N Engl J Med 2011;365:2277-86
N Engl J Med 2013; 369:1770October 31, 2013DOI: 10.1056/NEJMc1313105


CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea
Surendra K. Sharma, M.D., Ph.D., Swastik Agrawal, M.D., Deepak Damodaran, M.D., Vishnubhatla Sreenivas, Ph.D., Tamilarasu Kadhiravan, M.D., Ramakrishnan Lakshmy, Ph.D., Priya Jagia, M.D., and Atin Kumar, M.D.
N Engl J Med 2011; 365:2277-2286December 15, 2011DOI: 10.1056/NEJMoa1103944

日本語訳:http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/365/365dec/xf365-24-2277.htm
当方ブログ:http://intmed.exblog.jp/14175783/

閉塞型無呼吸:CPAP (vs sham CPAP ) 血圧・脂質・糖代謝特性改善効果
  

MedPage解説:NEJM Paper on CPAP-Metabolic Syndrome Retracted
Published: Oct 30, 2013
http://www.medpagetoday.com/Pulmonology/SleepDisorders/42598


今考えると、臨床的実感とかけ離れた論文・・・まぁ、疑惑論文とはこういうもんだろう

BOSSトライアル:冠動脈造影:重炭酸塩補液で、死亡リスク減少

冠動脈血管造影中及びその後4時間、食塩の代わりに、重炭酸塩使用補液で、死亡リスク減少する。

BOSSトライアルは、eGFR 44 mL/min/1.73 m2、全てのタイプの血管造影を対象。 重炭酸塩と生理食塩水を、死亡・腎代替治療・進行性腎不全6ヶ月間の複合アウトカムで検討。

6ヶ月を通せば、プライマリ複合エンドポイントは有意差無くなっていたが、トライアル自体はは、全原因死亡率6ヶ月というプライマリエンドポイントに早期到達のため、早期中止 : 3.2% vs 10.8% (p = 0.021) 。

末梢動脈血管造影では差を認めなかった。造影剤による腎障害の差はなく、非腎性メカニズム関与が示唆。


Solomon R, et al "BOSS: a prospective, randomized trial of bicarbonate versus saline for prevention of contrast nephropathy" TCT 2013.
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/TCT/42602


トライアルの早期中断という面で解釈上難しくなった部分もあるので、解釈上注意が必要。

2013年10月30日水曜日

70歳以上:DPP4阻害剤、リナグリプチン(トラゼンタ)の有効性評価

65歳以上の高齢者2型糖尿病比率は多いが、血糖降下薬臨床研究から除外されることが多い。

70歳以上での、DPP4阻害剤、リナグリプチン(トラゼンタ)の有効性評価

Linagliptin for patients aged 70 years or older with type 2 diabetes inadequately controlled with common antidiabetes treatments: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet, Volume 382, Issue 9902, Pages 1413 - 1423, 26 October 2013

70歳以上の2型糖尿病ランダム化二重盲験平行群多国第三相研究
メトホルミン、SU剤、ベース・インスリン、これら薬剤の併用にてHbA1c 7%以上

コンピュータ形成ランダム化シークエンス
層別化 
・HbA1c < 8.5% vs 8.5% 以上
・インスリン使用
2:1比で、トラゼンタ 5mg vs マッチングプラシーボ 24週間
プライマリエンドポイントは、24週後のベースラインからのHb1cの変化

241地域住居外来患者をランダム化(トラゼンタ 162 vs プラシーボ 79)
平均年齢 74,9歳(SD 4.3)、平均HbA1c 7.8%(SD 0.8)

24週後、プラシーボ補正平均HbA1c変化量は、トラゼンタで - 0.65%(95% CI, - 0.81 to -0.48 , p< 0.0001)

包括的安全性・耐用性は同等 ; 副作用イベント 75.9% (linagliptin n=123, placebo n=60).

死亡例無し

重大副作用イベント:トラゼンタ群 8.6%(14) vs プラシーボ群 6.3(5)、ただし、比肩薬剤によるものと思われる例無し

低血糖は両群で観察されるが、群間差なし  (トラゼンタ群 24·1% [39]、プラシーボ群 16·5% [13] ; odds ratio 1·58, 95% CI 0·78—3·78, p=0·2083).


2型糖尿病・中国非劣性比較:初期治療としてのメトホルミンとアカルボース比較

open-labelの研究なため、解釈に注意が必要

グルコバイ

Acarbose compared with metformin as initial therapy in patients with newly diagnosed type 2 diabetes: an open-label, non-inferiority randomised trial
The Lancet Diabetes & Endocrinology, Early Online Publication, 18 October 2013

48週間ランダム化オープンラベル非劣性トライアル
卑劣性マージン0.3%で、24、48週でのHbA1c低下比較 
788名治療群割り付け
24週後、アカルボース -1.17% vs メトホルミン -1.19%
48週後、アカルボース -1.11% vs メトホルミン -1.12% 
重篤副作用イベント
アカルボース群 6(2%) vs メトホルミン群 7(2%) 
低血糖エピソード アカルボース 2(1%)vs メトホルミン群 4(1%)


α1GI系って、臨床的効果乏しく、心血管系ベネフィットのエビデンス乏しい
(Possible cardiovascular benefits need to be proven in major randomised-controlled trials with primary cardiovascular outcomes)


metforminに関しては、少なくともSU剤に比べれば、心血管イベント減少


心血管系マーカー改善効果はありそうだ
(J Intern Med. 2013 Aug 26. doi: 10.1111/joim.12128.

日々の運動以外身体的活動性(NEPA)増加は、生命予後改善、心血管疾患予防に役立つ

運動以外の身体的活動性:non-exercise physical activity (NEPA)

園芸植物の世話したり、車を修理したり、のんびり仕事をしたり、決して、運動とは言えないが、じっとはしてない状況を言うようだ。ガーデニング、DIYといったものが代表的。

これらの趣味は、高齢者にとって、心血管疾患予防だけでなく、寿命をのばす。

要するに、自宅で座ったままという時間をいかに少なくするかが鍵で、スウェーデンでは、家の修理や芝刈り、車のメンテナンス、スキー、ハンティング、キノコやイチゴ苅りが文化的習慣とのことで、このような習慣をアンケートとして調査している。

研究者らは、毎日居宅内でじっとしていると、代謝率低下し、代謝的健康を維持できないと考察している。

The importance of non-exercise physical activity for cardiovascular health and longevity
Press Release
Br J Sports Med doi:10.1136/bjsports-2012-092038
【背景】 全ての共同体でSedentary time (体を動かさない時間)増加し、日々の運動以外身体活動量(non-exercise physical activity (NEPA) of daily life)の減少をもたらしている。NEPAの心血管健康・寿命への重要性に関して、特に老人では、(その情報)限定的。

【目的】 ベースラインでのNEPAおよび心血管健康と、12.5年後の初期心血管疾患(CVD)イベント、総死亡率の相関を検討

【研究デザイン】 Cohort study.

【マテリアルとメソッド】各3次ストックホルム地域の60歳男女を検診研究に誘い込み、4232名(回答率 78%)
ベースラインで、NEPA、運動習慣自己回答アンケート、身体検査・Lab.検査にて心血管健康評価。
平均12.5年フォローアップにて、CVDイベント・死亡率評価。

【結果】ベースラインでは、NEPA高値は、低値と比較すると、定期的運動に関わらず、男女では、ウェスト径、HDLコレステロール、トリグリセリド好ましい状況
男性では、低インスリン、血糖、フィブリノーゲン値で良好。
さらに、運動しない場合、定期的運動する場合ともに、メタボリックシンドローム頻度は、NEPAレベル高い群では有意に低い。
さらに、NEPAレベル高い場合、低値と比較し、初期CVDイベントのリスク減少と相関。
 (HR=0.73; 95% CI 0.57 to 0.94) and lower all-cause mortality (0.70; 0.53 to 0.98).

【結論】 一般的な日常生活活動性は、運動定期的に行う、行わないに関わらず、高齢者において、心血管健康と寿命と相関する。

近くの開業医のほとんどが、高齢となると、園芸や農業に興味を持ちはじめる。
もちろん、私も例外ではない。田舎だと、それ以外に、雑草駆除、ゴミ拾い、芝刈り、秋口の落ち葉掃除など作業に事欠くことがない。(でも、光ファイバーさえないのは悲しい・・・)



低放射線量CT検診:保険カバー準備段階で生じる議論

米国では、低放射線量CT検診・医療保険カバー開始される。これに先立ち、様々な議論がなされている。

リスク層別化された議論は当然で、日本の某県の野放図な検診とはちがってまとも


Lung Cancer Screening: Prep for Change
Published: Oct 28, 2013
By Crystal Phend, Senior Staff Writer, MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CHEST/42537


肺がん検診プログラムは、診療報酬償還および関心の高まりなど大きな変動となると、委員会。「洪水防御ゲートが開かれることになるので、メディケアはルール変更前に適切に準備してもらいたい」と、
Yale Lung Screening and Nodule Program を指揮し、説明した、Lynn Tanoueは述べている。 
早期取り組み者の意見が HEST meeting で公開されている。 
U.S. Preventive Services Task Force (USPSTF) は、高リスク、55−79歳、喫煙歴 30 pack-yearもしくは15年内禁煙者を対象にした、年次低放射線量CT検診プログラムを支持する推奨原案を6月に発表。パブリックコメントは8月26日で終了、最終推奨が待たれる状況である。 
メディケアなどの保険者は、 Affordable Care Act下の任意の自己負担もしくは控除無しで、この検診カバーするよう義務づけられることになる。このムーブメントは、50米ドルから400米ドルになる最大障壁除去となる。
「この時点での自己負担について配慮すべきではなく、USPSTF最終推奨について注意をはらうべき」と、Douglas Arengerg(ミシガン大学クリニック検診プログラム準備関与者)も同意意見。 
「これは、”how to”セッションじゃない、正答を知らないものたちがベストな方法を求めている状況、利用者に害を与える機会を増大させ、有害性が内在し、それは検出困難である」。
「低放射線量スキャンや検診の宣伝提供は単純なことではない。検診は単にCTスキャンを行うことではない、適切に行われても、CTスキャンが正当でないこともある」と、Tanoue。

検診ガイドライン提出した専門家機構はすべて、検診は多専門職プログラムを含むことを要求している。患者選択を慎重に行うとともに、CTスキャンの品質管理の必要性、結節を有sる患者がほぼ20%に上り、スキャンだけでは96%除外困難という想定があり、それを如何に扱うかのプラン。

 
禁煙が最も協力ながん予防介入方法であるため、禁煙の方向付けがクリティカルな問題である。ミシガン大学と同様、NLST(National Lung Screening Trial)クライテリアに厳密に従うプログラムがある一方、他のオプションを形成するところもある。Cleaveland Clinicの Peter Mazzoneは、6年間に1.5%を超えるというnuanced risk-層別化クライテリアを導入。
Tanoueは、自らのプログラムでは、若干高い閾値状況を目的とする、10年5%リスクを設定したと述べている。

PLCOリスク式はあまりに計算しがたい、point-of-care iPad アプリにて利用できるいくつかのリスク公式計算をデザインしている。
クライテリアに合致しない対象者を如,何に取り扱うか、最も質問される部分であるとArenbergは述べている。Yaleプログラムは、看護師への回答として、初期検診での検診ホットラインを提示、意思決定プロセスを通して患者に診療受診を要求している。 
Cleavelad Clinicは、電子オーダーシステムで、"smart stop"としてリスク計算アンケートを行い、CT検査検診除外を試みていると、Mazzone。
まず、このグループは、医師たちがスキャンオーダーできない、hard stopとなり、抗放射線量診断CTスキャン開始着手するようなシステムを有する。
一度、保険者がCTスキャンをカバーし始めると、リスク状況での制限を求め、NLSTや他のリスク層別かシステムにて住民カバーをしぼることとなるだろう。


こんなに神経質に、低放射線量CT検診導入を進めているのに・・・鹿児島県の肺がん・低放射線量CT検診の雑なこと・・・

人種差:白人の子供はペット比率高く、喘息保有少ない

喘息自動において、白人は、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系に比べ、ねこ・犬、何れかを飼ってることが多いが、国民喘息保有率は、アフリカ系で12%ー14%、白人系で6−8%であり、民族的差がある。

このことは、ひょっとしたら、犬猫のアレルギー防御的効果を示すのかもしれない


 Differences in Asthma Prevalence in Different Ethnic Groups May in Part Be Related to Presence or Absence of Pets at Home
Shahid Sheikh ,et. al.
CHEST , October 2013, Vol 144, No. 4_MeetingAbstracts
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=1739621


衛生仮説による解釈がなされている。

2013年10月29日火曜日

IIPsガイドライン:IIPs分類

An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias
http://www.thoracic.org/statements../resources/interstitial-lung-disease/classification-of-IIPs.pdf


This Official Statement of the American Thoracis Society (ATS) and the European Respiratory Society (ERS) was approved by the ATS Board of Directors, June 2013 , and by the ERS Steering Committee, March 2013
http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201308-1483ST


揮発性有機化合物(VOC)呼気分析 臨床病型・病理との一致率さらに改善

Source reference: Mazzone P, et al "The analysis of volatile organic compound profiles in the breath as a biomarker of lung cancer" Chest 2013; DOI: 10.1378/chest.1703380.
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleid=1740103


呼気VOC解析による組織病型は、病理・臨床診断との一致率かなり向上しており、C-staticsで、非小細胞肺がん 0.828、 腺癌 0.824、 肺扁平上皮がん 0.874

ディスポーザブル・チップ上の色素を用いて「colorimetric sensor assay」を行うやり方

他のグループでは名のサイズのセンサーアレイに接触した分子に生じる電気抵抗変動感知「人工鼻」センサーのによるもの

 <hr>


呼気指紋:呼気揮発性有機化合物分析:だれでも、COPDと喘息の鑑別が可能になる?

5年前承認の薬剤でも安全性レビュー不完全、特に優先レビュー薬剤は副作用検討不十分なのが目立つ

当たり前だと思うが、2008年FDA承認新規薬剤は優先レビューされたものは迅速に承認される。しかし、兼頭数が少なく、やはり、安全性疑念が多く無回答のまま持続する、そして、市販後調査研究はまだ不完全のままである。

5年経過してもこの状況ってのは、やはり、新薬は安全性に関して 疑念が残る。特に、画期的新薬とされた優先レビュー新薬に関しては利用者も注意が必要である。

Development Times, Clinical Testing, Postmarket Follow-up, and Safety Risks for the New Drugs Approved by the US Food and Drug AdministrationThe Class of 2008 ONLINE FIRST

Thomas J. Moore,et. al.

2008年、米国FDAは20の治療薬を承認、優先レビュー8つ、標準レビュー12

優先レビュー薬剤は、臨床開発からマーケッティング承認獲得までの期間5.1年の中央値(range 1.6 to 10.6年間)対して、標準承認では、7.5年間(range 4.7 to 19.4年間)
p=0.05

優先レビュー薬剤では、治療効果判定上のactive drug割り付け中央値数は、104名(range 23 to 599)、標準承認薬剤では、580名 (range 75 to 12070 p = 0.003


非臨床検査にて、6つの治療薬で動物発がん性、5つで in vtro mugaten、14で動物催奇形性示された。

安全性情報としては、5つで Boxed Warning、8薬剤でリスク管理プラン要求

FDAは、85の市販後調査委員会を要求

2013年までに、薬剤5つで新規・拡大Boxed Warningを持つこととなった。市販後調査研究完遂 26/85(31%)、8(9%)がagency review待ち

米国小児科医学会ポリシーステートメント:「 小児・青年期とメディア」

「AAP:American Academy of Pediatrics :米国小児医学会」から、ポリシーステートメント

Policy Statement ;Children, Adolescents, and the Media

COUNCIL ON COMMUNICATIONS AND MEDIA
「 小児・青年期とメディア」
 テレビジョンから、携帯電話、iPad、ソーシャルメディアを含む新しいメディアまでメディアは、子供の生活に支配的影響を与える。テレビジョンは、未だに、小児・青年期において主要な支配的メディアで、新しいテクノロジーメディアも次第にポピュラーになっている。AAPは、メディアメッセージや画像からの悪影響に関心を向け続けるつもりであるが、一方、メディアのポジティブな、向社会的な効果に関しても認識すべきであろう。
小児科医は、メディアとの関わりを聴取し、2つのメディア質問を健康状態の比較的良い小児へ毎受診毎問いかけることを 勧める。
・毎日どの程度の娯楽視聴時間なのか?
・子供の心室にテレビジョンセットがあるか?インターネット接続デバイスがあるか? 
親は、全てのメディアへの関わり合いについて家庭内の取り決め・プランを確立することを推奨する。メディアの子供・10代への影響について、学校、行政、製品宣伝、娯楽制作者に その認識を持ってもらわねばならない。

解説:Managing Media: We Need a Plan 10/28/2013
http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/Pages/Managing-Media-We-Need-a-Plan.aspx



Media Kit: Children and Media
 http://www.aap.org/en-us/about-the-aap/aap-press-room/aap-press-room-media-center/Pages/Media-Kit-Children-and-Media.aspx

・4歳の子供に漫画をみせると即時的、9分でネガティブな行動を起こす
The Immediate Impact of Different Types of Television on Young Children's ExecutiveFunction                                                                                                                  Angeline S. Lillard, Jennifer Peterson  Pediatrics October 2011; 128: 4 644-649



ビデオゲーム(テレビゲーム)依存は他の依存行為と同様で、数年間持続する。合併する疾患の一所見ではない
Pathological Video Game Use Among Youths: A Two-Year Longitudinal Study
Douglas A. Gentile, Hyekyung Choo, Albert Liau, Timothy Sim, Dongdong Li, Daniel Fung, Angeline Khoo
Pediatrics Feb. 2011; 127: e319-e329

・動画視聴時間ルール及び運動活動への参加は、子供の動画視聴時間へ影響を与える。
 Influence of Limit-Setting and Participation in Physical Activity on Youth Screen Time
Susan A. Carlson, Janet E. Fulton, Sarah M. Lee, John T. Foley, Carrie Heitzler, and Marion Huhman
Pediatrics July 2010; 126:1 e89-e96

・メディア視聴7時間を超す場合、寝室にテレビ・コンピュータ・ネット環境・テレビゲーム装置、携帯電話がある場合、、攻撃性、性行動、薬物依存、病的食行動、学習困難に影響を与える
Health Effects of Media on Children and Adolescents (review article)
Victor C. Strasburger, Amy B. Jordan, and Ed Donnerstein
Pediatrics April 2010; 125: 756-767.

就学前貧困具合は、子供の脳の容積、学習に関わる領域の容積も減少する ・・・保護者やストレスイベントの影響示唆

世界的レベル貧困なのか、米国や日本のような先進国内での貧困なのかが問題だが、 この場合は、米国セントルイス市・託児所やプライマリケアから登録された対象者検討

3−6歳MRIを検討し、心理社会・行動・他の発達指標評価
5−10歳まで年次行動評価
主要アウトカムは白質は皮質灰白質の脳容積評価、海馬・扁桃体容積(MRI)
前向き検討対象は、就学前保護者サポート・敵意性、ストレス的生活イベント

就学前の貧困具合は、白質・皮質灰白質・海馬・扁桃体の容積減少と関連し、学習・記憶だけでなく脳の全般的機能低下をもたらす。多分に保護者のありかたが影響を与えていると思われ、また、ストレスフルな生活状況が脳の発達へ悪影響を与えていることが明らかになった

"The Effects of Poverty on Childhood Brain Development: The Mediating Effect of Caregiving and Stressful Life Events"  
Luby J, et al. 
JAMA Pediatr 2013; DOI: 10.1001/jamapediatrics.2013.3139. 

 貧困性は、白質・皮質灰白質容積減少と相関し、海馬・扁桃体容積減少と相関する

そして、海馬容積への影響は、保護者サポート・敵意性により左右の容積に影響され、特に左側の容積はストレスフルな生活により影響を受ける。

若年期貧困性は就学時脳の発達に影響を与え、小児発達への貧困の影響への配慮の重要性が確立したものと考えられる。
とくに、保護者の影響やストレスフルなライフイベントから海馬へ影響が見られる。
公衆衛生面での施策として参考になるだろう


身体的虐待だけでなく、心的虐待が、こどもの脳の発達へ悪影響を与えることの根拠ともなる。心的虐待への介入が行政的対策として早急に求められる・・・という解説。

貧困は、認知機能不良アウトカムリスク増大と相関し、就学機能悪化と関連することは既知であった。ワシントン医科大学の研究で、画像検査とこの関連性を明らかにした報告である。白質・灰白質全般に、そして、海馬・扁桃体といった局所的にも影響をあたえることが画像上示された。
そして、新たな知見の一つとして、保護者のあり方そして、ストレスフルなイベントが、海馬容積減少と関連することが明らかになった。


日本では、生活保護カットが政治的話題になっている。年金支給額の遙か上、その上最低賃金を凌駕する給付額への批判は当然だと思う。ただ、無為に生活保護カットされると、考えられるのは、その心的ストレス。そして、その子供の脳の発達への悪影響・・・生活保護スパイラル形成が生じるのではないか? 小泉政権で跋扈した福祉行政コストカッターがマスメディアを中心に跋扈するようになった。生活保護が親の遊興費に変わるのはもってのほかだが、子供への悪影響とならないような配慮が必要と・・・

貧困による心的ストレスって、その所得絶対値じゃなく、周辺との格差よる心的問題であるのかもしれない。ストレスにより、子供が悪影響を受けるって・・・子供にとってはとても迷惑な話。

高リスク・頭蓋内動脈狭窄再発予防トライアル SAMMPRIS:ステントより積極的内服治療の有意性明らか

頭蓋内動脈狭窄再発性予防のためのステントと積極的内服治療比較研究(the Stenting and Aggressive Medical Management for Preventing Recurrent stroke Study)の速報では、30日目で二、14.7% vs 5.8%と死亡率がステント群で高い結果であったが、長期ベネフィットに関しては不明であった。


Aggressive medical treatment with or without stenting in high-risk patients with intracranial artery stenosis (SAMMPRIS): the final results of a randomised trial
Colin P Derdeyn et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 26 October 2013doi:10.1016/S0140-6736(13)

フォローアップ期間中央値 32.4ヶ月


プライマリエンドポイント< 登録後30日内の卒中あるいは死亡、登録後30日を超えての動脈評価領域での虚血性卒中、フォロアップ期間血管再検後30日内の卒中・死亡のいずれか>到達:
内服治療群 34/227 (15%) vs  ステント群 52/224 (23%)


プライマリエンドポイントの累積確率は、内服群において、経皮的血管内腔血管再検・ステント挿入(PTAS)比較すると、小さい(p = 0.0252)


30日間超過すると、プライマリエンドポイントは、内服群 21/210 (10%) vs PTAS群 19/191(10%)


プライマリエンドポイントの2群間絶対的差は1年時点 7.1% (95% CI, 0.2 to 13.8% ; p = 0.0428)、2年時点 6.5%( -0.5 to 13.5% ; p=0.07)、3年時点で 9.0% (95% CI, 1.5 to 16.5; p=0.0193)


フォローアップ中副作用再発率はPTAS群で多い;卒中 26%(59/224) vs 19% (42/227) p = 0.0468、 重大出血 13%(29/224) vs 4%( 10/227 ) p=0.0009

2013年10月28日月曜日

甲状腺乳頭がん再発リスクマーカー:MicroRNA-222、 MicroRNA-146b

Source reference: Lee JC, et al. "MicroRNA-222 and MicroRNA-146b Are Tissue and Circulating Biomarkers of Recurrent Papillary Thyroid Cancer" Cancer online, October 28, 2013.
http://www.medpagetoday.com/HematologyOncology/OtherCancers/42507


甲状腺乳頭がん:papillary thyroid cancer (PTC) 再発

MicroRNA-222 と microRNA-146bが、再発性PTC組織において、再発10.8倍、8.9倍過剰発現という報告。この変異は、BRAF変異と関連し、悪性疾患発症を示唆。


対照群にくらべ新規診断PTCでのバイオマーカーレベルも高い


甲状腺切除後、2.7倍、5.1倍と減少する (p=0.03)


多結節甲状腺腫群でも、術前高値 、術後低下が見られる


残念ながら、悪性疾患腫瘍マーカーとしては役立たず

関西学院大学 プレスリリース:犬と飼い主は目が似ていることを発見~英国の学術誌Anthrozoösに掲載~

犬と飼い主は目が似てる…関学大教授の実験結果
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20131026-OYT1T00201.htm

読売新聞の記事で見つけたが・・・

プレスリリースがあった

犬と飼い主は目が似ていることを発見~英国の学術誌Anthrozoösに掲載~
http://www.kwansei.ac.jp/press/2013/press_20131023_008374.html
 中島教授は動物心理学が専門で、2009年に「犬と飼い主は顔が似ている」という研究結果を発表2。その後さらに犬と飼い主の研究を続け、新たに犬と飼い主が「顔」のなかでも「目」が似ていることを明らかにしました。
 
「犬と飼い主の顔が似ている」という研究は、中島教授の2009年の報告のほか、米国やベネズエラでも行われていますが、第三者が犬と飼い主の顔を「似ている」と判断する際、顔のどの部位が重要かを明らかにした点が今回の新たな発見となっています。さらにこれまでの研究では、「いかつい顔の人は獰猛そうな犬、優しい顔の人はかわいい愛玩犬」などのように全体的な雰囲気や先入観が類似性判断に影響した可能性がありましたが、今回の研究では「目」の写真だけで正しく判断できることから、上述のような可能性をほぼ排除できた点も新たな成果といえます。
 中島教授は「目のどのような特徴が類似性判断に重要かが今後さらに明らかになれば、なぜ犬と飼い主が似ているのかという問いについても示唆を与えるだろう。例えば、経験ではなく遺伝によって規定される特徴(目の色など)が似ているのであれば、飼っているうちに似てくるのではなく、飼い主が自分に似た顔の犬を選んでいるといえる」などと話しています。
http://www.kwansei.ac.jp/press/2013/attached/0000044921.pdf

Dogs and owners resemble each other in the eye region.
Anthrozoös, 26(4), 551-556
http://www.ingentaconnect.com/content/bloomsbury/azoos/pre-prints/content-264_anthrozoos_s6 





いつの間にか18年経った家の飼い犬・・・眠そうなやる気のない目が飼い主に似ている



後、白髪も・・・


いぬの飼い主からのあくび伝染は共感に基づくものである  2013/08
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/08/blog-post_10.html

国際Genmoicsアルツハイマー・プロジェクト:新規関連遺伝子発見など新知見

2011年4つのアルツハイマー病遺伝子学に関する最大研究consortiaで、関連する遺伝子発見とマップ作りを目的とした、最大の国際的アルツハイマー病genetics共同作業、 International Genomics of Alzheimer's Project (IGAP)

15ヶ国、2万5千5百アルツハイマー病患者からの遺伝子情報、4万9千名あまりの対照で、two-stage meta-analysisを行い、後年発症アルツハイマー病関連ゲノム領域新知見成果


アミロイド:SORL1, CASS4
タウ:CASS4, FERMT2


新規発見部分は、免疫・炎症と関連:HLA-DRB5/DRB1, INPP5D, MEF2C
これは、既発見部分の経路CR1, TREM2に追加された知見となる。

cell migration: PTK2B
脂質輸送・endocytosis :SORL1

以下は新知見:
・海馬シナプス機能 (MEF2C, PTK2B)
・cytoskeletonや axonal transport (CELF1, NME8, CASS4)
・myeloid and microglial cell function(INPP5D)


新しい関連HLA-領域として HLA-DRB5/DRB1 regionで、ゲノムの最も多いcomplex partで、免疫、炎症反応での役割を果たし、多発硬化症・パーキンソン病との関連性は指摘されていた。治療ターゲットになる可能性がある。




Nature Genetics Letter
Meta-analysis of 74,046 individuals identifies 11 new susceptibility loci for Alzheimer's disease
Nature Genetics (2013) doi:10.1038/ng.2802
Received  13 March 2013
Accepted   27 September 2013
Published online   27 October 2013
http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/ng.2802.html

結核菌薬剤抵抗性のcomplex genetics



Complex genetics of drug resistance in Mycobacterium tuberculosis
Digby F Warner , et. al.
Nature Genetics 45,   1107–1108   (2013)
doi:10.1038/ng.2769
Published online    26 September 2013


関連:
Effect of Mutation and Genetic Background on Drug Resistance in Mycobacterium tuberculosis
Antimicrob Agents Chemother. 2012 June; 56(6): 3047–3053.
doi:  10.1128/AAC.06460-11

糖尿病とシナプス機能障害をもたらすエピジェネティック機序のひとつ

キーとなるシナプス蛋白発現に関わるゲノム調整機構により、認知症リスク増加関連するという報告
すなわち、糖尿病に関連したepigenetic changeが、遺伝子発現異常、すなわち、認知症に関連するゲノムの、結合関連クロマチン関連異常をもたらす。

2型糖尿病食事誘因病型次第で、脳内のHDAC(histone deacetylase)のclass 2a発現増加する場合がある。oligometric beta-amyloid蛋白誘導性シナプス異常しやすさをもたらすものと言える。
死後24時間での剖検ヒト脳HDAC発現研究解析にて、糖尿病・非糖尿病で、糖尿病では、 Class IIa HDACは、対照のほぼ2倍。PSD-95、synaptophysin測定では、糖尿病では対照の半減。結果、Pasinettiらは、食事誘発糖尿病マウス(C57BL/6Jマウス)の脳内のHDACレベルを検討となった。海馬部分のin vitro研究で、oligometric βアミロイド蛋白発現時、fibril形成・ヒトではプラークとなり、ADなどと関連するわけだが、これが、認知機能障害マーカーでもあるlong-term potentiation減少を示す。


糖尿病と認知症における、イベント的シナプス機能障害を生じるをシステムとなる仮説の確認


Epigenetic mechanisms linking diabetes and synaptic impairments
Jun Wang et. l.
Published online before print October 23, 2013, doi: 10.2337/db13-1063 Diabetes October 23, 2013 

2013年10月26日土曜日

かぜ診療:上気道ネブライザー・イブプロフェン使用助言は必ずしも真ならず ただ、子供や胸部感染ならイブプロフェン有効

パラセタモールという欧米のかぜ診療なので、日本の診療アドバイスには必ずしも適用できないのかもしれない

急性気道感染患者の症状改善のため、上気道のネブライザー、イブプロフェンは必ずしも、パラセタモールを凌駕しない。月を超える場合の症状には注意が必要。
ただ、胸部感染症や子供ではイブプロフェン使用助言は有効かもしれない。



プラグマに基づくRCT検討、この場合は、プライマリケアに於ける鎮痛剤やスチーム吸入助言が、気道系感染症へ戦略評価


プライマリアウトカムは、2−4日目の症状重症度平均


Ibuprofen, paracetamol, and steam for patients with respiratory tract infections in primary care: pragmatic randomised factorial trial
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6041 (Published 25 October 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f6041
スチーム吸入も、処方アドバイスもアウトカムに有意相関与えず (adjusted difference 0.04, 95% confidence interval −0.11 to 0.19 イブプロフェン・パラセタモール併用 0.11, −0.04 to 0.26)

解析前事前設定においてイブプロフェンに関する限定的ベネフィットエビデンス無し 
 (耳痛;症状事前期間;37.5度超過、presence of otalgia; previous duration of symptoms; temperature >37.5°C; severe symptoms)
しかし、胸部感染サブグループ例では、症状重症度改善にはエビデンス認める (ibuprofen −0.40, −0.78 to −0.01; combination −0.47; −0.84 to −0.10)
中等度以上の問題として、2つの症状の一つ程度の問題と考える

子供ではイブプロフェン治療もベネフィットあるかもしれない  (ibuprofen: −0.47, −0.76 to −0.18; combination: −0.04, −0.31 to 0.23)

新規・改善しない症状・合併症への最コンサルテーション
・パラセタモール 12%
・イブプロフェン 20%
  (adjusted risk ratio 1.67, 1.12 to 2.38)
・併用助言
 (1.49, 0.98 to 2.18)
スチーム治療による軽度熱損傷4名で記載、そのための再受診は記載されてない

今年のACCP年次総会の話題:肺高血圧症

今年のACCPは、肺高血圧症がヘッドラインに!

主として、リオシグアト(バイエル薬品)の話題のようだ
参照:(N Engl J Med 2013; 369 : 319 - 29.)etc.

今年、米国FDAから、riociguat (Adempas) は、pulmonary arterial hypertension (PAH) とchronic thromboembolic pulmonary hypertension (CTEPH)への使用適用獲得
・ Riociguat for the Treatment of CTEPH: 1-Year Results From the CHEST-2 Long-term Extension Study
・ Riociguat for the Treatment of PAH: 1-Year Results From the PATENT-2 Long-term Extension Study


CTEPHに対して、初めて手術代替として認められた薬剤は、これが初めてということで意義がある



・ Tanolazine(Ranexa)の、駆出率温存型心不全によるPAH治療へのパイロット研究報告で、今まで治療オプションのなかったカテゴリーへの挑戦


蛇足と思うけど・・・なぜか、ツドルザ・プリセア治験結果の記載がある
・ 非PAHは、AUGMENT COPD (chronic obstructive pulmonary disease) trial
Tudorza Pressair(LABA/LAMA併用)で、 formeterol fumarateを対照とするもの

日本では、アクリジニウムに関して、杏林が関係していると思うのだが・・・

レッドミート・加工肉による直腸結腸がんリスク増加と関連する遺伝子発見、野菜抑制作用と関連する遺伝子は追認

遺伝子変異 rs4143094を有するヒトでは、レッドミート、加工肉は、直腸結腸がんリスク増加と関連するという報告。

症例 9287 vs 対照 9117
この変異は、第10染色体・GATA3領域に存在し、免疫システムと関連する。
10の観察研究、ロジスティック回帰研究を、食事摂取量4分位比較、多段階ステップ(相関境界検討・遺伝子食事相関性のスクリーニングステップ→ gene-by-diet相関検討ステップと進む) 
既知ローカス 8q23.3/EIF3H、 UTP23と野菜摂取の相関は有意  P-screen<0 .001="" alpha="" and="" br="" nbsp="" p-interaction="">腸管microbiomeを含む作用メカニズムの可能性、腫瘍原因性炎症、免疫学的反応のトリガーとなる可能性が示唆された。

Genetics and Epidemiology of Colorectal Cancer Consortium
Source reference: Figueiredo J, et al "Genome-wide analysis highlights gene interaction with processed meat and vegetable intake for colorectal cancer risk" GECCO 2013.
http://www.medpagetoday.com/Gastroenterology/ColonCancer/42496


2013年10月25日金曜日

喘息ひろいあげのための FEV1/FVC比 閾値  

喘息患者を一般住民から鑑別するための、FEV1/FVC比 Z-スコア 閾値の検討

1608名、年齢中央値39歳、女性71%、白人61%、喘息発症期間中央値 13年間の病歴患者、ACQスコア 1.71、 ASUIスコア 0.80、FEV1% 予測値中央値 84% 

Accuracy of Using FEV1/FVC Z-Score Thresholds to Diagnose Asthma
Allison Lambert, et. al.
Chest. 2013;144(4_MeetingAbstracts):67A. 
doi:10.1378/chest.1702284


喘息有病率50%なら、Z-score -0.1 (16パーセンタイル)予測比率からの6%減少に相当(accuracy 68%) 
喘息有病率5%なら、至適 Z-scoreは、 -2.0 (2パーセンタイル)、予測比率からの12%減少に相当

喘息・COPDに対する有望薬剤:PDE3・PDE4阻害剤 ネブライザー投与が玉に瑕・・・ 


喘息・COPD患者の多くは、気管支拡張剤と吸入ステロイド併用が行われているが、重症疾患において、これらのクラスの薬剤では不十分なことも多い。

dual phosphodiesterase 3(PDE3)とPDE4阻害剤、nebulized RPL554

喘息において、プラシーボ比較で14%改善 ( p < 0.0001)、しかも副作用はプラシーボと同等。ただ、健康ボランティアでの喀痰中好中球LPS刺激誘導の軽減効果示せず、免疫細胞全体は減少。故に、抗炎症効果は充分示せたとは言えず。

"Efficacy and safety of RPL554, a dual PDE3 and PDE4 inhibitor, in healthy volunteers and in patients with asthma or chronic obstructive pulmonary disease: findings from four clinical trials"
Franciosi LG, et al
Lancet Respir Med 2013 DOI: 10.1016/S2213-2600(13)70187-5.

・喘息患者において、 0.01 mg/kg投与で、1時間でFEV1 520ml増加、その差は14% 
メサコリン吸入用量依存カーブが,投与量1.5倍平均まで観察される

・軽症・中等症COPD患者で、FEV1 5%の差が見られ、ピーク効果 194mLで、17.2%ベースライン比較増加に相当

・健康ボランティアでは、LPS暴露誘発喀痰5時間後好中球に変化無し( 803% vs 84.2% p = 0.15)。だが、好中球絶対数と免疫細胞全体数のセカンダリアウトカム減少あり(p = 0.001 から  0.044)


SPARKトライアルの固定用量吸入 indacaterol (Arcapta) と長時間作動型 beta2 agonist glycopyrronium (marketed in Europe as Seebri Breezhaler)合剤が、主役になる可能性あるが、これに対抗するためには、ネブライザーじゃ普及しにくいぞと、medpageに解説。

ACCP年次集会:気腫合併(特発性)肺線維症 喫煙者関連肺疾患・臨床的発現型特徴

CPFEを気腫合併(特発性)肺線維症と訳すのはどうなのだろう。合併肺線維症・気腫症の方が直訳なのだが・・・

CPFEは喫煙関連疾患の明確なphenotypeで、上肺小葉中心性 and/or 傍中隔型肺気腫に、下肺の肺線維症が合わさった病態

やはり予後不良の臨床特性であり、アウトカムは呼気流量制限や肺容量減少はさほどないが、拡散能低下が著明。血栓や肺がんの合併が他の報告でも特徴として報告されている。肺高血圧症の高頻度合併を示唆する。


Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema: A Distinct Phenotype of Smoking-Related Lung Disease
Serir Özkan,  et, ak,
Chest. 2013;144(4_MeetingAbstracts):38A. doi:10.1378/chest.1689732 

検討例は平均65歳、全て男性。喫煙歴全員有り(平均, 41 pack-years)、1名30pack-yearだったが鉛・硫酸ガス8年間暴露歴有り

平均FVC、FEV1、FEV1/FVC、DLCOは、それぞれ64%、66%、81%、%30


HRCT 画像では、9名は傍中隔型気腫・ブラ形成、5名は小葉中心型、8名honeycombing、10名網状、traction bronchiectasia、ガラス状陰影、6名bronchial distorsion
主肺動脈直径平均は32.6 mm

1例では、1年前に存在しない1.2 cmの新規結節陰影出現

フォローアップ中、8名では酸素投与必要。2名死亡

2名気胸・胸膜癒着術施行、1名再発性

深部静脈血栓1名

生存期間中央値3.6年

インド:不健康食品への税金増加で心血管死亡数減少

不健康な食品への税金アップは、不健康食を是正する可能性がある。


不健康食品の代表として、パーム油の飽和脂肪酸比率は、49g/100g

対して
ピーナッツ油 17g/100g
大豆油 16g/100g
キャノーラ・菜種油 7g/100g
 高脂血症対策として、20%のパーム油税を導入したところ、高脂血症、心血管疾患死軽度低下した。


Palm oil taxes and cardiovascular disease mortality in India: economic-epidemiologic model
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6048 (Published 22 October 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f6048

パームオイル購入20%税は、約36万(95%信頼区間 24.7万〜 47.9万)名の心筋梗塞・卒中死亡減少: インド 2014-23 in India (心血管死亡減少 1.3%)


パームオイル20%値段増加後、多価不飽和脂肪酸(PUFA)摂取量増加によるベネフィットである死亡率減少は 42.1万(25.6万 〜 58.6万)名

税金によるベネフィットは女性より男性、田舎より都市部で大きく、摂取量や心血管リスクにより異なる。
食品安全性低下は1%未満で、これによる悪影響死は1万6千(1.2 〜 2.2万)名と推定

ユニバーサルに消費税アップするより、メリハリのきいた税制体系にした方が良いはず。手法上の面倒くささをどうのこうの政府や企業は言うが欧州などでは実施されてるわけだし・・・ 単なる業界団体と政府のご都合だけ


ネットワクーク・メタアナリシス:ARB全般が、詐欺的存在ということが明らかに ディオバンだけじゃない!

ARB詐欺と言ってもいいだろう、むしろ、JIKEI、KYOTOのインチキに限らず、ARBs全般に詐欺的薬剤と言ってもいいと思う。ARBは、ACE阻害剤耐用不能の例のみに限定した薬剤と解釈せざる得ない。実際、そのように公的保険で強制している国(高血圧:ARB処方禁止でカナダでは数百ドルの医療費節約・・・日本も是非・・・2011年 01月 25日)もある訳だし・・・



ネットワーク・メタアナリシスって、こういうインチキを暴くにはすばらしい手法


ネットワーク・メタアナリシスで、糖尿病患者への単剤・併用薬剤の生存率・重大腎障害アウトカムへの降圧剤治療効果比較
最小フォローアップ12ヶ月、36,917名、83トライアル、死亡 2400, 透析 導入766、Cr倍化 1099
プラシーボ比較
ACE阻害剤のみが有意にCr倍化減少 (odds ratio 0.58, 95% credible interval 0.32 to 0.90)
β遮断剤のみが死亡率増加を示す (odds ratio 7.13, 95% credible interval 1.37 to 41.39)

全治療比較で、透析アウトカムに関しては統計学的有意差認めず 
ACEs阻害剤とARB比較でのベネフィット効果は統計学的に有意でなく、ACE阻害剤のみが一致して3つのアウトカムで、ARBに対する優位性あり 
対プラシーボ、ACE阻害剤+カルシウム拮抗剤の予防効果は統計学的に有意でないが、この併用のランキングで死亡率減少確率を高める(73.9%)、次に優秀な組み合わせはACE阻害剤+利尿剤(12.5%)、ACE阻害剤(2.0%)、CCB(1.2%)、ARBs(0.4%)


Comparative effectiveness of renin-angiotensin system blockers and other antihypertensive drugs in patients with diabetes: systematic review and bayesian network meta-analysis
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6008 (Published 24 October 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f6008










結局、こういう状況を容認している日本国・糞役人や、大学や関連学会ののおえらいさんたちが問題なんだよなぁ ・・・ インチキをはびこらす素地は医師たちの不勉強だとは思うが・・・



直接比較でない、間接比較としてのネットワーク・メタアナリシス(http://www.bmj.com/content/346/bmj.f2914)

同じ疾患・アウトカムを比較するとき、複数種治療比較メタアナリシスあるいは、多種治療メタアナリシスにより、エビデンス視覚化、相対的メリット解釈のための手法。 
通常のpairwise メタアナリシスに比べ、比較対象が拡大し、ガチンコ比較でないものも比較可能という利点を持つ。 ということで、この手法は急激に拡大している。しかしながら、解釈上の問題点に関する理解は乏しい。heterogeneityとincoherenceが存在するか、なぜ存在するか、何が治療として最善なのか、評価周辺不確実性など理解の機会獲得の可能性がある。透明性の高い、信頼性に基づくエビデンス作成方法である。
ネットワークのgeometry化は、治療法それぞれのエビデンスの強度を示し、特定の比較だけというのを防御し、選択肢に特定パターンが存在するということも示すことができる。
概念的・統計学的heterogeneityとincoherenceは「Estimates of treatment effects」にて評価し、その不確実性に配慮すべき。

2013年10月24日木曜日

ST上昇型心筋梗塞:血栓吸引術 ・・・ 死亡率改善効果認めず

確かに、血栓をみれば、吸引したくなるだろうなぁと、専門外ながら思う。

多施設前向きランダム化対照オープンラベル臨床トライアルで、その臨床的アウトカムとしての30日目全原因死亡率差が認められなかったわけだが・・・

Thrombus Aspiration during ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
Ole Fröbert, et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1587-1597October 24, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1308789

STEMI症例 7244名

死亡率比較
血栓吸引+PCI : 103/3621
PCIのみ : 110/3623

ただ・・・

心筋梗塞再発では、 0.3% vs 0.9% : ハザード比 0.61 (95% CI, 0.34 to 1.07 p = 0.09)

ステント血栓発生は、 0.2% vs 0.5%  : ハザード比 0.47 (95% CI, 0.20 to 1.02; p = 0.069

プライマリアウトカム設定次第、この辺の項目を複合アウトカムとして設定すれば、意味があるという結論になったのかもしれない

米国FDA、CFC含有吸入完全phase-out

米国FDAは、吸入製品からCFCを2013年12月31日までに完全phase-out
Combivent Inhalation Aerosol と Maxair Autohalerというのが残ってたそうで・・・
http://www.pharmpro.com/news/2013/10/fda-complete-phase-out-chlorofluorocarbon-inhalers



当たり前だが、日本では、クロロフルオロカーボン(CFC)含有吸入器を「添付文書」検索すると・・・以下の薬剤名があがる。
これは、代替吸入製品前のデータをそのまま臨床効果として記載しているということで、この名前が記載されている。
CFCとHFA製剤にバイオアビリティー上の差はないのか、各製品の情報担当者に聞く必要があろう。ちなみに、ストメリンDすら、HFAに代替されているようだ。





IGT・糖尿病でない場合でも、高血糖は記憶能力低下させ、海馬微小構造異常をもたらす

糖尿病や糖代謝異常(IGT)でない高齢者といっても平均60歳代、少なくとも、この世代では、高血糖は記憶機能低下、海馬の容積減少・微小構造変化による変化をもたらす。

血糖低値保持は、認知機能温存することになる。


Higher glucose levels associated with lower memory and reduced hippocampal microstructure
Lucia Kerti,  et. al.
Published online before print October 23, 2013, 
doi: 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee
Neurology 10.1212/01.wnl.0000435561.00234.ee

目的: 横断研究にて、高HbA1c高いほど、血糖レベルが高いほど、記憶パフォーマンスや海馬容積・微小構造へ悪影響を与えるか明らかにするため認知症無しの健康・高齢・非糖尿病対象で検討 
方法: 141 名 (女性 72 , 平均年齢 63.1 歳 ± 6.9 SD)、記憶は、 Rey Auditory Verbal Learning Testで評価。空腹時HbA1c、血糖、インスリン、3テスラーMRIスキャンを行い、海馬容積、灰白質barrier密度評価微小構造評価のため施行。線形回帰・simple mediationモデルで記憶、糖代謝、海馬パラメータの関連性検討。 
結果: HbA1c、血糖低いほど、有意に、遅延想起機能、学習能力、記憶固着能力は良好。
多変量解析モデルにて、HbA1cは、記憶パフォーマンスとの相関性保持。
さらに、mediation解析にて、低HbA1cの記憶機能へのベネフィット効果は、海馬容積・微小構造変化に起因するものと考えられた。 
結論: この結果から、2型糖尿病・糖代謝異常なくても、高血糖が認知機能へ悪影響を与え、特に学習関連領域での脳の構造変化を介しての変化をもたらすことが明らかになった。
故に、戦略的には、正常範囲でも、可能な限り低血糖維持することで、高齢者の認知機能へ好影響をもたらすこととなる。この仮説は介入トライアルで確認されるべき。

2013年10月23日水曜日

関連学会は、うつ病など交通事故に影響しないと批判しているが・・・果たして?

日本精神神経学会、日本てんかん学会、日本うつ病学会など関連7学会が9月30日付けで衆議院法務委員長あて、要望書 https://www.jspn.or.jp/activity/opinion/car_crash_penalty/files/20131018.pdf

「一定の病気(6疾患注1)を取り上げる予定とされていますが(法第三条の2)、これらの疾患による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はありません」

注1:統合失調症、てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病(法令において「躁うつ病」はうつ病と双極性障害を含む)、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害

注2:平成23年度の全交通事故691937件のうち発作・急病による事故は266件で、うちわけはてんかん78件、心臓マヒ22件、脳血管障害61件、その他105件で、それ以外の病気による事故の統計はない。事故全体に対してごく一部である(平成23年度交通事故統計年報:交通事故総合分析センターより)。 

注3:道路交通法66条には、過労、病気、薬物の影響による運転の禁止が定められているにもかかわらず、過労運転だけが本法の対象から除外されている





注3は、八つ当たり的だなぁ と、思うし、交通事故事例でその原因を交通事故統計に頼らざる得ないところが基礎データとしてどうなのか。警察側・調査側で十分な背景調査がなされてるか、疑問が残る。

関連性を全否定するのは、学術団体としてはいかがなものか?

向精神薬と自動車事故との関連性は報告はされている
→Psychotropic drugs and risk of motor vehicle accidents: a population-based case-control study.

そして、医師のドライバー不適正判断により交通外傷リスク減少する可能性も報告されている。
Physicians' Warnings for Unfit Drivers and the Risk of Trauma from Road Crashes
Donald A. Redelmeier, M.D., M.S.H.S.R., Christopher J. Yarnell, A.B., Deva Thiruchelvam, M.Sc., and Robert J. Tibshirani, Ph.D.


私自身も、うつ病など全面的に運転免許交付・更新停止するのは誤りだと思うが、やはり、危険だと判断する主治医などの意見が反映できる体制はNEJMの論文からも必要と思う。それを無視するのは学術団体らしくない。

「グルテンフリー」食は・・・ペテン 金と時間の無駄遣い


グルテンフリーはその真偽ははっきりしない

いわゆる、「nonceliac gluten sensitivity 」という、定義実態不明のもの
マネージメントオプションもばらつき

Nonceliac Gluten Sensitivity: Sense or Sensibility?
Antonio Di Sabatino, MD; and Gino Roberto Corazza, MD
Ann Intern Med. 2012;156(4):309-311.


だが、日本でも、グルテンフリー食を、もっともらしく解説する輩が多くなってきた
→  http://goo.gl/ITh2Sj


解説記事:「グルテンフリーはペテン」と研究者ら

Researchers Say Gluten-Free Is A Scam; Here’s Why They’re Wrong
2 years ago by Briana Rognlin3 CommentsShare a Tip

Read more: http://www.blisstree.com/2012/02/22/food/nutrition/researchers-say-gluten-free-is-a-waste-of-money-heres-why-theyre-wrong-779/#ixzz2iWXfWbrL

グルテンフリー食は、健康に関心のある集団で急激に取り上げられ、多くの人々が「グルテン・過敏症」やら「グルテン不耐性」などというのを信じ込み、さらには、減量方法として有効などという明らかなうそが最近流行となっている。
米国内科学会系の権威誌Ann. Int. Med.に、このインチキに関して、 Dr. Antonio Di Sabatino と Dr. Gino Roberto Corazza が解説
なにひとつ「グルテン・過敏症」に関して確証はなく、お金の無駄遣いと断言している。


Celiac病を拡大解釈し、妄想を膨らましつづけた絵空事、次第に、彼ら自身がそれを信じ込み、その妄想が流布し続けて、いわゆる、セレブの流行ごととなり、ファッションとなり・・セレブへのあこがれとの混同で、こういう虚偽が広まる。


小麦より、高価なグルテンフリー米が望ましいという、流通業界利益にもつながり、特定団体の利益に化ける現状。より安価な食品でバランスよい食品摂取をお勧めしたい。

家庭医のためのアトピー性皮膚炎

旧藤沢製薬(現行、アステラス製薬)のMRから、TCI治療に関して、専門医以外使ってほしくないといわれたものだから、言いつけを守り、学習してなかったが、英国のガイダンス【家庭医のためのアトピー性皮膚炎】という、まとめたものがあったので・・・


Atopic Dermatitis for Family Physicians
Aly Khanbhai et. al.
Cite this article as: BJMP 2013;6(3):a626


家庭医のアトピー性皮膚炎診断は、視診と病歴聴取が基本

英国作業委員会診断基準
皮膚掻痒症状必須  (子供においては、掻爬やこすることを口頭で表現する場合) 、最低12ヶ月継続、以下の3項目以上を含むこと

    1. 皮膚皮線異常の既往 (肘前面、膝裏、足首前面、頚部周囲、目周囲)

    2. 喘息・花粉症の病歴 (4歳未満なら、1st 血縁者の病歴)

    3. 前年全身dry skin既往 
    4. 2歳未満発症 (4歳未満ではこれは用いず)

    5. 屈曲側皮膚炎観察 (4歳未満では頬部や前額部皮膚炎や四肢外側を含む)
・管理

・教育

・皮膚軟化剤:Emollient

・局所ステロイド:‘fingertip unit’ (FTU)を用いTCS量を決定する

・局所calcineurin阻害剤(TCIs):カルシウムによって活性化されるタンパク質脱リン酸化酵素「カルシニューリン」の阻害剤としてのシクロスポリン、タクロリムスなど。単剤、併用、継続維持療法としての使い方。第一選択として用いるべきではない。

・ドレッシング・ラップ治療:非感染例のみ適応、掻爬の物理的バリアにもなり、軟化剤の保持に役立つ

・抗生剤:90%の患者で皮膚病変あり、黄色ブドウ球菌・溶連菌感染も、ルーチン使用は推奨されず、非感染例の経口使用は適用外、感染例では適応ありPC・セフェム系1−2世代7−10日間使用効果通常あり、マクロライド有用でない。ウィルス感染関与ごく普通にあり、ヘルペス播種など。

・抗ヒスタミン剤:第一世代はsedative使用(昼間使用はさける)・非sedative抗ヒスタミンではその価値は限定的だが、アレルギートリガー回避に若干役立つ可能性のみ

・食事介入:必ずしも推奨されない

・他治療:ステロイド全身投与、UV治療など


 <hr>情報提供すら拒否したアステラス・・・うらみ忘れない

ポケットサイズ超音波検査:リモートリアルタイムガイダンス心エコー検査

ポケットサイズの超音波デバイス(pocket-sized ultrasound devices (PUDs))の普及は医療提供改善を全般的にもたらす船体的可能性があるが、適正な画像プロトコールがなされず、訓練がなされてないことが問題。

故に、心臓超音波限定だがワイヤレスガイダンスで超音波検査施行報告


Feasibility of remote real-time guidance of a cardiac examination performed by novices using a pocket-sized ultrasound device.
Emerg Med Int. 2013;2013:627230. doi: 10.1155/2013/627230. Epub 2013 Aug 20.

3名の被訓練者、27名の被験者

左室収縮機能低下 (LVSD)、左房拡大、ultrasound lung comets (ULC+)、中心静脈圧:CVP (eCVP)の項目

 iPhone4/iPodで、リアルタイム遠隔視聴ガイダンス、循環器科医師による解釈

被訓練者 vs 専門家で、適正な画像は、  122/135 (90%) versus 130/135 (96%) (P < 0.05)
 
CLUE( cardiac limited ultrasound exam (CLUE))複合SN、 SP、 ACC は 0.67、 0.96、 0.90

異常検出の適正度・正確性は、 LVSD (85%, 0.93, n = 5)、LAE (89%, 0.74, n = 16)、ULC+ (100%, 0.94, n = 5)、eCVP (78%, 0.91, n = 1 



検討数が少なすぎると思うのだが・・・


糞役人や業界団体やITにそまった馬鹿医者たちは、褒めそやすことだろう・・・

【糖尿病診療】差はわずかだが、女医の方が男医より優秀


糖尿病治療に関して女医の方が成績がよい 2008年 04月 09日


その差は、わずかだが、やはり、女医の方が、糖尿病に関して、診療の質は高いようだ
 http://www.medicalnewstoday.com/releases/267649.php
モントリオール大学の研究チームからの報告で、現時点での検討は糖尿病診療において限定的だが、女医の方が男性医師に比べ医療の質が高かった。

推奨されている薬品処方比率や、推奨されている医学検査の項目
具体的には、糖尿病ケアの質の評価として、
・65歳以上の糖尿病患者では、2年毎、眼科もしくはotometristによる測定
・スタチンを含む3つの薬剤処方
年次完全な医学的評価

中年医師
・必要性のある眼科検査:女性医師では3/4、男性医師70%
・完全な検査: 39% vs 33%

世代的研究ではその差が少なく、女医では男性医師に比べ診療にかける時間が長いという妄想があるが、それはなかったと述べている。




医師の性別とは関係ないはなしだが、糖尿病診療では確かに合併症を限りなく低下することが大事だが、 合併症が本格化したときに、その姿勢で専門医の真価が問われる。・・・いままで、無責任な対応を何度みてきたことか・・・

人工呼吸関連肺炎予防のためのスタチン介入エビデンス証明されず

スタチン使用により様々な感染症アウトカムか以前報告がある。

人工呼吸器関連肺炎:Ventilator-associated pneumonia (VAP)への適応に関するRCT:ランダム化プラシーボ対照二重盲験多施設(フランス 26のICU)


シンバスタチン 60mg vs プラシーボ


主要アウトカムは、28日目死亡率、14日目ICU、入院死亡率

結論から言えば、スタチンによるVAP予防介入正当化エビデンス無し
300名登録後初期計画内部解析にて早期終了で、スタチン治療ナイーブなプラシーボ群11%、シンバスタチン群7%にて ICU入室となった

28日目死亡率ではシンバスタチン群必ずしも減少せず (シンバスタチン群:21.2% [95% CI, 15.4% to 28.6% vs プラシーボ:15.2% [95% CI, 10.2% to 22.1%]; P = .10; ハザード比, 1.45 [95% CI, 0.83 to 2.51])

スタチン・ナイーブ群では、 28日目死亡率 スタチン21.5%  (95% CI, 15.4% to 29.1%) vs プラシーボ群 13.8%(95% CI, 8.8% to 21.0%)  (P = .054) (between-group difference, 7.7% [95%CI, −1.8% to 16.8%)

14日、ICU、入院死亡率、人工呼吸期間、SOFAスコアの変化 有意差無し


Effect of Statin Therapy on Mortality in Patients With Ventilator-Associated Pneumonia
A Randomized Clinical Trial
Laurent Papazian,  et. al.
for the STATIN-VAP Study Group
JAMA. 2013;310(16):1692-1700. doi:10.1001/jama.2013.280031.


ESCAPEトライアル:医者には、トレーニングセッションの上、高血圧診療させるべき

臨床ガイドラインと日常臨床目標のギャップがあり、ESCAPEトライアルは、一般医(GP)の多面的介入にフォーカスしたトライアル

1日トレーニングセッションを行い、エレクトリックな血圧測定と簡易推奨リーフレットを与え、高血圧コンサルテーションと、他の心血管疾患要素について6ヶ月ごと2年間フォーカスし、主要アウトカムは、患者の治療目標到達比率と個別治療目標・QOL

Effects of a multifaceted intervention on cardiovascular risk factors in high-risk hypertensive patients: the ESCAPE trial, a pragmatic cluster randomized trial in general practice
Denis Pouchain, et. al.
Trials 2013, 14:318 doi:10.1186/1745-6215-14-318

高リスク高血圧患者 1832名、2年後全治療目標達成比率は、両群で増加
しかし、介入群で有意にその比率高い;OR (odds-ratio) 1.89, (95% 信頼区間 (CI) 1.09 to 3.27, P = 0.02)

血圧目標達成比率でも、有意に介入群で高い : OR 2.03 (95% CI 1.44 to 2.88, P < 0.0001)

収縮期・拡張期血圧は介入群で減少(   4.8 mmHg、 1.9 mmHg,  (P < 0.0001 for both)

身体、メンタルQOlの有意差認めず

2013年10月22日火曜日

臓器・組織別年齢:DNAメチル化年齢

様々な組織の "DNAm"年齢は、新しい体内時計であり、DNAメチル化、遺伝子が体細胞分化し、新しい要求に合致して変化する遺伝的プログラムの蓄積である。

「誕生日のろうそくの上に、テロメアを脇におしやる、新しい生物時計が出現したのかもしれない」という表現

新しい生体時計は、DNAメチル化の測定であり、様々な臓器・組織のDNAメチル化を測定することで、暦年齢以外に、各臓器DNAm年齢を測定され、組織・臓器ごと加齢評価されることになるのかもしれない。

例えば、乳がん女性の組織ではDNAm加齢は他部位の組織より12歳ほど加齢していた。時計の逆まわしによる抗加齢、例えば、運動や食生活の改善などでアンチエイジング評価することも可能となるのかもしれない。

DNA methylation age of human tissues and cell types
Steve Horvath
Genome Biology 2013, 14:R115 doi:10.1186/gb-2013-14-10-r115


米国PSTFシステマティックレビュー:認知症早期発見目的検診のベネフィット明らかでない ・・・ 早期発見しても治療がなければ意味がない

 日本の厚生行政って馬鹿が作ってるとしか思えない。
 「早期発見=全て善」、「予防・検診やスクリーニングは全てベネフィットあり」という固着した思想しか持たないため、様々な弊害を生じている。

 認知症に関しても、そういうワンパターンの思想が、アホ政治家や糞役人や馬鹿メディアだけなじゃく、一般国民にもはびこり固着してる。


 認知障害スクリーニングのための簡易検査は認知症発見には役立つが、意思決定には役割を果たさない。現時点では、患者の早期介入や治療による改善効果が明らかでないという米国PSTF報告。

 現時点では、薬剤や介護者介入などの治療介入のベネフィットが少なく、いくら早く見つけても、意味がないというわけである。



Screening for Cognitive Impairment in Older Adults: A Systematic Review for the U.S. Preventive Services Task Force
Ann Intern Med. Published online 22 October 2013 doi:10.7326/0003-4819-159-9-201311050-00730


Mini-Mental State Examination (k = 25)はもっとも研究された方法だが、コスト無しという訳ではない。

Clock Drawing Test (k = 7)、 Mini-Cog (k = 4)、 Memory Impairment Screen (k = 5)、Abbreviated Mental Test (k = 4)、 Short Portable Mental Status Questionnaire (k = 4)、 Free and Cued Selective Reminding Test (k = 2)、 7-Minute Screen (k = 2)、 Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly (k = 5)が代わりに使われるinstrumentである。

アルツハイマー病への米国FDA承認薬剤 (k = 58)と、介護者による介入(k = 59)では、患者や介護者への臨床的有益性明確でない程度の小さなベネフィットしかない。
このベネフィットの少なさは、薬剤副作用によることでも生じ、そして、介護者介入にl間してはその利用が難しいことによることで生じる。

見込みはあるが、認知機能刺激 (k = 6) や運動 (k = 10)も、軽症・中等度認知症・MCIに対してエビデンス限定されている。


製薬会社にだまされるな!・・・臨床的意味がないが統計的有意差のある効果;製薬会社の経営上意味はあるが利用者には意味が少ない効果; 製薬会社まるがかえ大学教授たちや認知症専門家には意味があるが利用者には臨床的意義の少ない効果

メタアナリシス:全般的認知機能へのACheEIとメマンチン効果
Meta-analyses of effects of AChEIs and memantime on global cognitive function, measured by the ADAS-cog.






Meta-analyses of effects of AChEIs and memantime on withdrawals due to adverse events.

非代償性心不全の多くが、誤って肺疾患治療を受けている

心不全は、臨床の場では、明確なカテゴライゼーション困難な複雑な病態として認識され、治療される。この複雑性を明らかにするため、非代償性心不全入院治療患者を調査し、喘息、肺炎、COPD急性増悪を含む他の息切れ原因疾患として薬物治療されているかを検討。


非代償性心不全の多くは心肺疾患として治療されてしまい、そのための副事象が多く出現している可能性が高い。


Acute Decompensated Heart Failure Is Routinely Treated as a Cardiopulmonary Syndrome.
Dharmarajan K,  et al. (2013)
PLoS ONE 8(10): e78222. doi:10.1371/journal.pone.0078222
入院初期2日間、その後3−5日間の急性呼吸器疾患治療検討
入院死亡、ICU入室、入院後2日目以降の挿管の補正オッズ比計算

16万4494件の心不全中、入院初期2日間急性呼吸不全治療 53%
短時間作用型気管支拡張剤使用 37%、抗生剤投与 33%、高用量ステロイド 10%

87319件の入院にて、入院2日目以降に呼吸器系治療されたのは60%超
入院2日目以降の慢性肺疾患を有する症例入院6万690件で、呼吸器系治療が最も多い

入院開始2日目までの急性呼吸器系治療は、副事象アウトカム補正オッズ高値と相関性を示す


逆も、また、然りのような気がする。心不全として治療されている中に、COPD急性増悪例が多く含まれている印象を持つ。

ただ、COPDの啓発が進むにつれ、COPDをベースに持つからというだけで、息切れ悪化をCOPD急性増悪と判断するのは早計で、患者に害を与えることになる。

静脈還流障害所見・気道感染所見などのエピソードや身体所見除外とともに、BNPやCRPなどで解釈することが必要と思う。例えば、心不全例では、CRPも軽度増加する、COPD急性増悪ではかなり増加する(Circulation. 2005; 112: 1428-1434



2013年10月21日月曜日

「オレオ」など脂質・糖高含有菓子類の依存性はコカインなどドラッグに匹敵

オレオ・クッキーは、コカインより依存性が高いかもしれないという報告

Student-faculty research shows Oreos are just as addictive as drugs in lab rats
10/15/2013
 www.theglobeandmail.com/life/the-hot-button/oreos-more-addictive-than-cocaine-study-finds/article14885780/

コネチカット大学の行動神経科学プログラムの学生と教授が、アメリカ人が大好きなクッキーへの依存性はコカインと同程度という報告をした。

脂肪/糖高含有食品の依存性に着眼し、ラットで、コカインやモルヒネの関連性を示す特異的環境でオレオ摂取への嗜好性を調査し、同等の関連性があるとした。
むしろ、薬物より快楽中枢(pleasure center)ニューロン数活性化は増加した。

高脂肪・高糖含有食品は、ドラッグと同様の刺激をもたらす





Glympathitic System:脳内老廃物廃棄システム: アルツハイマー病などにも関与? ;睡眠は老廃物排泄促進的に働く

睡眠で、このシステムが促進する。すなわち、睡眠は、アルツハイマー病原因としてのβアミロイドなど老廃物排除促進することとなる。

Brains flush toxic waste in sleep, including Alzheimer’s-linked protein, study of mice finds
http://www.washingtonpost.com/national/health-science/brains-flush-toxic-waste-in-sleep-including-alzheimers-linked-protein-study-of-mice-finds/2013/10/19/9af49e40-377a-11e3-8a0e-4e2cf80831fc_story.html


【原著】

Sleep Drives Metabolite Clearance from the Adult Brain
Science 18 October 2013:Vol. 342 no. 6156 pp. 373-377DOI: 10.1126/science.1241224
生きたマウスで、tetramethylammonium diffusion and two-photon imaging を用い、睡眠・麻酔により、間質スペースが6割増加することが判明された。
すなわち、脳脊髄液(CSF)の交換量の増加をもたらす間質液の総量増加は、神経毒性を示す排泄増加を示す。





睡眠は脳内排泄物掃除の時間でもある


【概念的関連報告】
脳内にリンパ組織がないため、かわるシステムが必要で、細胞外溶液の貯留槽として脳脊髄液(CSF)が役割を果たすが、実質組織から脳脊髄液への溶解の仕組み不明であった。

CSFが実質臓器へ血管周囲腔に走行、血管周囲ドレナージ経路として働くしくみが少し明らかに

astrocyteにwater channel aquaporin-4  (AQP4) 欠損動物 では、CSF流入
減少し、解剖学的流入流出ルート障害をもたらす

さらには、アミロイドβのクリアランスにも関連し、アルツハイマー病の病態に関連すると考えらる。
 

A Paravascular Pathway Facilitates CSF Flow Through the Brain Parenchyma and the Clearance of Interstitial Solutes, Including Amyloid β
Sci Transl Med 15 August 2012: Vol. 4, Issue 147, p. 147ra111



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川崎病:ドブタミン・ストレス心エコー・・・予後推定検査として重要

80名の川崎病患者に対する、ドブタミンストレス心臓超音波検査

冠動脈造影にて、冠動脈病変記載 36名、正常 22名を含む検討
長期フォローアップである、14.7年間、 重大心血管イベント 16名 (急性心筋梗塞 1名、陳旧性7名、CABG 4名、 PCI 4名)

70%超を有意狭窄として、初期検査で31.0%、フォローアップ時42.1%

ピークDSE(dobutamin stress echocardiography)時左室壁運動スコア:wall motion score index (WMSI) に有意差認めず

初期検査時点でDSE偽陽性は 85%(5/6)で、冠動脈疾患なしの巨大冠動脈瘤か、MACEを伴うCAD発症
Cox回帰解析にて、初期検査 peak WMSI時点のgradeは独立したMACE予後因子
Long-term prognostic impact of dobutamine stress echocardiography in patients with Kawasaki disease and coronary artery lesions: A 15-year follow-up study
Nobutaka Noto, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;():. doi:10.1016/j.jacc.2013.09.021


選択的アルドステロン阻害薬であるセララ:エプレレノンの安全性・有効性:高リスク群でもモニターにて安全に使用できる

選択的アルドステロン阻害薬であるセララ:エプレレノンの安全性・有効性

55歳以上・心不全・駆出率低下(HF-REF)(eGFR 30超、 sK < 5.0 mmol/L)患者トライアル

高カリウム血症・腎機能悪化(worsening renal function (WRF) )を検討

高リスク群(75歳以上、糖尿病あり、eGFR <60 u="">収縮期血圧・中央値 123 未満
)では、5.5 mmol/L超過リスクは増加するが、 6.0 mmol/L超過はまれ高カリウム血症による入院、薬剤中断はなかった

注意深いモニターなら安全という結果



Safety and Efficacy of Eplerenone in Patients at High Risk for Hyperkalemia and/or Worsening Renal Function
Analyses of the EMPHASIS-HF Study Subgroups (Eplerenone in Mild Patients Hospitalization And SurvIval Study in Heart Failure)
Romain Eschalier, et. al.
J Am Coll Cardiol. 2013;62(17):1585-1593. doi:10.1016/j.jacc.2013.04.086



HORIZONS-AMI trial <STEMI・PCI>: ヒルログ(ビバリルジン)死亡率減少効果は血液系副事象減少以外の効果によるもの ・・・新たな臓器保護作用を示唆

直接トロンビン阻害剤である、ヒルログ(ビバリルジン)(angiomax)
参考:http://www.3nai.jp/weblog/entry/40501.html


HORIZONS-AMI: ST上昇型MI患者において,bivalirudinの安全性と有効性を、heparin+GPI(glycoprotein IIb/IIIa inhibitor)併用療法と比較
参考・http://www.ebm-library.jp/att/detail/61505.html
日本で使用されている選択的トロンビン阻害薬アルガトロバンに比較してヒルログは可逆性が少ないという特徴がある。

STEMI患者において、ビバルリジンは、重大出血による影響以外の効果により、3年時点での心疾患死亡率減少効果を認めたという報告


・ビバリルジン:2.9%
・heparin+GPI併用:5.1%
ハザード比 0.56 (95% CI 0.40-0.80)

重大出血、血小板減少、最高速といった影響を補正後もリスク減少同等
ハザード比 0.57 (95% CI 0.39-0.83)


介入早期30日目から、それ以降長期続くベネフィットは、心外膜タンポナーデ、不整脈、伝導障害、卒中、施術合併症、他要素寄与によるもので、従来は重大出血による死亡率減少効果と考えられてきたが事実とは異なるものであった。

重大出血をビバルリジンで減少させ、5.8% vs 14.6% ( p  = 0.025)であったが、多要素多変量解析後重大出血では心臓死亡率減少を示せず。

非血液学的効果の検証がなされるべきであるという報告。

Source reference:
Stone G, et al
"Reduction in cardiac mortality with bivalirudin in patients with and without major bleeding: the HORIZONS-AMI trial"
J Am Coll Cardiol 2013; DOI: 10.1016/j.jacc.2013.09.027.


トロンビンの生体内作用への効果なのか、この薬剤特有のクラス別効果なのかまでは、解説ではよくわからない

遺伝子異常・miRNA検査:甲状腺がん診断率増加

甲状腺がん検査において、fine-needle aspiration(FNA)での評価が主役だが、サンプルのうち15−30%程度が”intermediate”との判断。で、結果的に、75%が良性疾患。

甲状腺がん組織病変の58%に既知遺伝子異常(e.g. BRAF, HRAS, KRAS, NRAS, PAX8, RET)。さらに、miRNA(micro-RNA)発現解析を加えると感度が81%と跳ね上がると、 test-maker AsuragenのEmmanuel Labourier博士が、アメリカ甲状腺学会会合で報告。可能性高い病変にしぼると感度は94%にまで増加すると述べた。





American Thyroid Association
Source reference: Labourier E "Increasing the diagnostic yield of thyroid cancer: a case-control molecular study in over 600 pre- and post-surgical specimens" ATA 2013; Short Call Abstract 3.

medpage:http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATA/42387

2013年10月19日土曜日

気管支ぜんそく:気管支焼灼形成術:長期安全性

気管支焼灼術





Safety of bronchial thermoplasty in patients with severe refractory asthma
Annals of Allergy, Asthma & Immunology Volume 111, Issue 5 , Pages 402-407, November 2013

18-65歳、ICSとしてフルチカゾン750μg、LABAとしてサルメテロール 100 μg、経口プレドニゾロン 30 mg//d有無、LTm、テオフィリンなど使用者登録

RISAトライアル15名の積極治療割り付け群のうち14名の患者で、長期フォローアップ

呼吸器系症状比率は、BT後、2−5年で、1.4、2.4、1.7、2.4

入院、ED受診は1、2、3、4、5年で減少

肺機能において、5年後、悪化みられず

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Bronchial thermoplasty 2007年 03月 29日

Elbow Sign: ベッドパートナーが小突いたり肘付きしたら、閉塞型無呼吸の可能性高い

ベッドパートナーが無呼吸のため心配してつつく行動をとった場合、閉塞型無呼吸可能性が高まる

 The Utility of the Elbow Sign in the diagnosis of Obstructive Sleep Apnea
Mark E. Fenton, et. al.
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1046

2つの質問
1)ベッドパートナーをいびきのため、つついたり肘つきしたりしましたか?
2)ベッドパートナーを息が止まってるため、つついたり肘つきしましたか?


相手のいびきのため小突いたり・肘つき行動にYesと答えた場合、Noと答えた場合より、AHI >5 /時間のオッズ比 3.9倍

無呼吸のために相手を小突いたり・肘つき行動したと答えた場合、3.9のオッズ比

健康不安への認知行動療法は一定の効果はあるが、コスト効果示せず



健康不安症状に対して、認知行動療法も夢のような治療法ではないようだが、一定の効果は認める。
ただ、不安状態が正常者と同等となる比率は1割程度。医療コスト・社会コストを含めたトータル・コスト効果も証明されない。



Clinical and cost-effectiveness of cognitive behaviour therapy for health anxiety in medical patients: a multicentre randomised controlled trial
Prof Peter Tyrer, et. al.
The Lancet, Early Online Publication, 18 October 2013

adapted cognitive behaviour therapy (CBT-HA group)  ・5−10回セッション
vs
標準ケア

プライマリアウトカムは、1年時点での健康不安症状(Health Anxiety Inventory)(参照:http://www.kcl.ac.uk/iop/depts/psychology/about/support/CADAT/research/questionnaires/healthanxiety.aspx)
セカンダリ仮説は、トータルな健康コスト・社会的コスト
<hr>

16−75歳の心臓・消化器系、神経系、呼吸器系クリニック二次医療機関受診の健康不安患者・多施設ランダム化

スクリーン28991名のうち、444名をランダム割り付け
CBT-HT 群 219
標準ケア 225

1年後、CBT-HT群では、標準ケア群に比べ、2.98ポイント改善(95% CI, 1.64 - 4.33, p < 0.0001)
対照群に比べ、健康不安度正常到達比率多い   (13.9 % vs 7.3%; オッズ比 2.15, 95% CI 1.09 — 4.23, p = 0.0273)

6ヶ月後、2年時点でも同様な差があり、不安全般で一致した減少があり、程度は少ないが、うつも減少。

9名死亡のうち、対照群は6例、これらは全て既往疾患によるもの

社会的機能や健康関連QOLに関して両群間差を認めず

トータルの2年間のコストは同等性を示せなかったが、その差は有意ではなかった
 <hr>

地域上高齢者比率の多い地区で医療をやってるが、高齢者だから達観するというよりかえって、健康不安を増大させている。特に、行政や各種公的保険は、予防が大事だといいながら、無駄な検診をあおり、健康不安をあおっていることが特に気になる。




健康不安に伴う無駄な行動、例えば、エビデンスなきサプリメント使用や過剰受診、宗教がらみに関わる時間やコストは莫大。過剰診療などは他の保険負担者に間接的被害をもたらす。

2013年10月18日金曜日

WHO/IARC:大気汚染・粒子状物質(PM)が、がんの主たる原因

大気汚染が、肺がんの主たる原因?

 IARC(国際がん研究機関:WHO外部組織) は、、大気汚染物質・Particulate matter:粒子状物質を、喫煙、紫外線、プルトニウムと同じカテゴリーの "Group 1 carcinogenic "に分類した。


大気汚染源は、車排気、発電所、農業・工業廃棄、住居暖房などから生じる。
WHOは各政府に強い区分アクションをとるよう述べている。

大気汚染は心臓・肺疾患の原因であるが、がんの原因としても知られ、大気汚染による肺がん死亡者は22万3千というのがデータからの情報。それは、中国他の東アジア国の半数以上を占め、急激な工業化が北京のようなスモッグだらけの状況を導いた。しかし、ヨーロッパでも大気汚染の関心が高まり、ブローバルな問題としてもふたたび認識されている。大気汚染ががん死亡の環境要素としてトップの原因。

IARC Scientific Publication No. 161
Air Pollution and Cancer
Editors: Kurt Straif, Aaron Cohen, and Jonathan Samet
http://www.iarc.fr/en/publications/books/sp161/index.php


ePub書籍ダウンロード






メディア報道

http://www.bbc.co.uk/news/health-24564446

http://live.wsj.com/video/lung-cancer-is-air-pollution-a-major-cause/895C4C9B-4FF8-4EB8-9A31-D4E1B0F05680.html#!895C4C9B-4FF8-4EB8-9A31-D4E1B0F05680

COPD急性増悪管理:遠隔モニタリングは有益ではない:今までの正当化報告に偏りの可能性

イノベーションが必ずしも正しいとは限らない。日本の政治では、医療IT利用・性善説前提なようで、まともな、検討がなされておらず、「医療の効率化」などというあいまいな表現で、 電子機器メーカーの利益誘導に走る、情けない状況。


COPD急性増悪病歴を有する患者で、telemonitoringは、入院機会の遷延化に有効でなく、QOL改善もされない。


今までの遠隔モニタリング有効性報告は、多分に通常の臨床サービスより、遠隔モニタリング正当化のバイアスによる影響ではないかという筆者らの報告


Effectiveness of telemonitoring integrated into existing clinical services on hospital admission for exacerbation of chronic obstructive pulmonary disease: researcher blind, multicentre, randomised controlled trial
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f6070 (Published 17 October 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f6070



入院率比較

高校生の肩こり・腰痛:学年進むほど、運動能力低下するほど、電子機器利用するほど、座位長いほど、ストレス状況多いほど増加

shoulder stiff(ness)やneck painなどごく普通に使われてると思うのだが、テレビやマスメディアに出没する医師やタレントたちがいい加減なことを言うものだから、英語には肩こりがない、肩こりに相当する言葉がないなどという妄言を信じこんでるひともいるようだ。確かに、筋肉の絶対量が多いコーカシアンやアフリカ系人種では、筋肉の悲鳴である「肩こり・頚部のこり」は少ないだろうことは想像はできるが・・・

若い世代での検討ということで、上海の高校生で、腰痛・廃部痛は多くの要素と関連している。

30校・3600名の高校生無記名自己評価

Correlational Analysis of neck/shoulder Pain and Low Back Pain with the Use of Digital Products, Physical Activity and Psychological Status among Adolescents in Shanghai
Zhi Shan et. al.
PLoS ONE 8(10): e78109. doi:10.1371/journal.pone.0078109

 男性回答率 48.41%(1460名)、女性回答率 51.59%(1556名)

頚部痛 40.8%、腰痛率 33.1%


ともに、学年、デジタル製品利用、メンタル状況で影響され、多変量解析では、性別、学年、運動後しんどさ、趣味のPC利用、タブレット使用、終業後座位時間、勉学上のストレスと頚部痛の関連性が示された。

腰痛では、性別、学年、運動後しんどさ、趣味のPC利用、携帯電話使用、終業後座位時間、 CES-D (Center for Epidemiological Studies Depression) scaleと関連。

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2型糖尿病における慢性腎臓病:塩分摂取高低の関連性認めず、健康的食事により影響を受ける

ここでは、5.5年間フォローアップにて、新規顕性蛋白尿、5%以上のGFR減少をCKDと定義し、2型糖尿病患者の発症リスクへの食事との関連性を調査

意外なのは塩分摂取がこの3分位比較ではリスクにかかわらないということ。

2型糖尿病の栄養指導に関して、もちろん、CKD予防に減塩も大事なのだろうが、食事要素として、蛋白分の適正化、果物の摂取をより重視した指導を心がけるべきということなのだろう。


Diet and Kidney Disease in High-Risk Individuals With Type 2 Diabetes Mellitus
Daniela Dunkler,  et. al.
for the ONTARGET Investigators
JAMA Intern Med. 2013;173(18):1682-1692. doi:10.1001/jamainternmed.2013.9051
 
修正 Alternate Healthy Eating Index (mAHEI)で、食事内容を評価
 
CKD発症率 31.7%、死亡率 8.3%
 mAHEIスコアの最も不健康的な3分位比較すると、健康3分位側では、CKDリスク低く (補正オッズ比 [OR], 0.74; 95% CI, 0.64-0.84)、死亡リスクも低い  (OR, 0.61; 95% CI, 0.48-0.78)

フルーツ3サービング超摂取は、それ未満摂取者に比べ、CKDリスク低い


総・動物性蛋白摂取最小3分位では、最大3分位比較で、CKDリスク減少  (蛋白全て OR, 1.16; 95% CI, 1.05-1.30)

塩分摂取は、CKDと相関せず

適量アルコール摂取では、CKDリスク減少  (OR, 0.75; 95% CI, 0.65-0.87) 、死亡率低下 (OR, 0.69; 95% CI, 0.53-0.89)



果物と糖尿病リスク】週3サービング増加で2%リスク減少、だが全部ではない 果汁ジュース・ネットメロンはよりリスク増加  2013/08/30

<再掲>
サービング計算
http://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/use/rule.html

・果物は、主材料果物の重量 約100g


・主食は、主材料穀物由来炭水化物の重量 約40g
・副菜は、主材料の野菜・きのこ・いも・豆類(大豆以外)・海藻類の重量 約70g
・主菜は、主材料の魚・肉・卵・大豆・大豆製品由来蛋白質 約6g
・牛乳・乳製品は、主材料の牛乳・乳製品由来カルシウム 約100mg

故に、果物週毎3サービング増やすことは、比較的容易に思える

2013年10月17日木曜日

肥満関連学会ジャーナル:減肥手術対象群でも肥満は10年間死亡率にさほど影響を与えないという報告

減肥手術適応肥満患者・全原因10年間死亡率は、年齢、性別、喫煙、2型糖尿病という簡単な4つの変数推定式で予測可能で、肥満は死亡率にさほど寄与しないという報告

非アジア人種だけの話かもしれないが、日本の医学関連学会と違い、学会会員に都合の悪い事実でもジャーナルに掲載するというのは偉いわ


A Simple Prediction Rule for All-Cause Mortality in a Cohort Eligible for Bariatric Surgery
 Raj S. Padwal,  et. al.
JAMA Surg. Published online October 16, 2013. 


10年間死亡率2.1%、フォローアップ期間9.9年間 
最終モデルは、
・年齢 (odds ratio, 1.09 per year [95% CI, 1.07-1.10])
・2型糖尿病 (2.25 [1.76-2.87])
・現行喫煙 (1.62 [1.28-2.06])
・男性 (1.50 [1.20-1.87])
以上の C statisticは、0.768

BMI項目は、死亡率推定に関しより有意性はある (odds ratio, 1.03 per unit [95% CI, 1.01-1.05])が、モデル判別・更正性に関して改善をもたらさない

臨床的予測ルール4titerへ区分、全死亡率に関してそれぞれ0.2%、0.9%、2.0%、5.2%と予測

特発性側湾症若年者へのBracing効果

Effects of Bracing in Adolescents with Idiopathic Scoliosis
Stuart L. Weinstein,  et. al.
N Engl J Med 2013; 369:1512-1521October 17, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1307337




多施設研究で、242名の毛唐し、116名をbracingと観察として選択
18時間最低限braceを装着し、プライマリアウトカムを50度以上のカーブ進行(治療失敗率)と側湾症進行なく成長した比率とする

有効性あきらかなため、トライアルを早期中断

治療成功率は72%で、対照では48%
(propensity-score–補正治療成功オッズ比, 1.93; 95% 信頼区間[CI], 1.08 to 3.46)


ITT解析にて、治療成功は75% vs 対照 42%  (オッズ比, 4.11; 95% CI, 1.85 to 9.16)


brace装着時間と治療成功率とに正の相関認める (P<0 .001="" p="">


進行膵臓がん:ab-paclitaxel・gemcitabine併用第3相治験にて改善効果

転移性膵臓がんへのab-paclitaxel (アルブミン結合パクリタキセル:アブラキサン) + gemcitabine (ジェムザール)併用、第3相治験


ab-paclitaxel+gemcibabine:431 vs gemcitabine 430の比較


Increased Survival in Pancreatic Cancer with nab-Paclitaxel plus Gemcitabine
Daniel D. Von Hoff, et. al.
N Engl. J. Med. October 16, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1304369


生存期間中央値は、8.5ヶ月 vs 6.7ヶ月
(ハザード比 0.72; 95% 信頼区間, 0.62 - 0.83; p < 0.001 )

1年後生存率 35% vs 22%
2年後生存率 9% vs 4%

無進行生存会館中央値比較は、 5.5ヶ月 vs 3.7ヶ月
(ハザード比 0.69; 95% CI, 0.58 - 0.82  ; p < 0.001)

独立判定者による奏功率は 23% vs 7% ( P < 0.001)
grade 3 副作用再頻度イベントは、白血球減少で、 38% vs 27%
疲労 17% vs 7%、神経障害 17% vs 1%

有熱性白血球減少は 3% vs 1%

併用群では、grade 3以上の神経障害のgrade 1以下への改善期間中央値は29日間


ω3剤 vascepta :米国FDAにてTG < 500 mg/dL未満適応拡大認可されず

米国FDAは、魚脂剤型 Vascepta<日清製粉グループ企業とアイルランド「アマリン社」の共同開発>の販売承認拡大を承認せず。高トリグリセリド(TG)血症患者への承認のためアマリン社は米国内3600万名に対象拡大、具体的には、「TGレベルが200~500mg/dLでスタチン系薬剤の投与を受けている患者における治療効果、および高リスク因子を持つ患者」に拡大すべく承認申請を行ったが、採択されなかったようだ。
 ちなみに、現在の承認は、「血中TGレベルが500mg/dL~2000mg/dL」で1日4g投与で、LDL増加させず、TG減少効果により認められている。

http://www.businessweek.com/news/2013-10-16/amarin-s-fish-oil-pill-fails-to-win-panel-backing-for-wider-use


臨床的アウトカムとしての検査値改善だけでは承認しないというFDA側の判断のようだ。

日本・厚労省の基準は、この辺がいいかげん・・





【武田・悲報】合成DHAは、魚油由来DHAとは異なる :サプリメントや製剤含有DHA成分は所詮インチキ  2013/03

英国民の2千人に一人は、vCJDキャリア

methonine homozygousとvCJDの関連性は明らかだが、methionine-valine heterzygousやvaline homozygous状態の免疫学的陽性組織所見がvCJD防御的なのか、どうか不明。

マスメディアは、英国民の2千人に一人は、vCJDキャリアとあおる
http://www.healthcanal.com/brain-nerves/brain-diseases/43968-one-in-2-000-of-uk-population-carries-variant-cjd-proteins.html

Prevalent abnormal prion protein in human appendixes after bovine spongiform encephalopathy epizootic: large scale survey
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f5675 (Published 15 October 2013)
41英国病院での病理部門からの虫垂炎サンプル・ホルマリン固定・パラフィン処理、32,441 
異常 PrP 16例、100万あたり493(95% 信頼区間, 282 - 801)に相当 
1941-1960年生まれでの頻度は、100万あたり733 ( 269 - 1596 )
1861-1984年生まれでの頻度は、100万あたり412 ( 198 - 758)
男女とも、3地理地域とも同断的に同様。 
PRNP codon 129のgenotype陽性遺伝子検査で、正常住民の頻度と比べ、valine homozygous頻度が多い。なお、vCJD症例確認例で、PRNP codon 129のmethionine homozygousである。 
vCJDキャリア状態を示す異常PrP感染の頻度


2013年10月16日水曜日

重症患者:骨格筋消耗はすぐに、かつ、急激に進行する

重症患者の骨格筋の消耗が急激に生じる

栄養状態を改善しても肉にならない可能性も示唆・・・では、運動療法やEMS早期介入すべき


Acute Skeletal Muscle Wasting in Critical Illness
Zudin A. Puthucheary, et. al.
JAMA. 2013;310(15):1591-1600. 

【序文】  重症患者生存者は骨格筋消耗著明で、機能障害と関連する。

【目的】 包括的前向きな骨格筋消耗特性、蛋白合成・蛋白破壊の病態的変化を検討

【デザイン・セッティング・被験者】63名の重症患者(男性 59%、平均年齢 54.7歳[95% CI, 50-59.6歳]、APACHE II スコア 23.5(95% CI, 21.9-25.2)
18歳超で登録、挿管 48時間超、集中治療7日超、ICU期間は生存

【主要アウトカム・測定】  筋肉量減少は大腿直筋横断面積(CSA)超音波連続測定(day 1、3、7、10日)
患者サブセットにおいて、筋繊維CSA面積領域を、蛋白/DNAとともに定量化、day 1、day 7。組織病理解析施行。加え、筋蛋白合成、破壊率、それぞれのシグナリング経路を特性化・

【結果】  day  1での大腿直筋CSA減少有意 (−17.7% [95% CI, −25.9% to 8.1%]; P < .001)
3測定手段評価された28名の患者、day1 day7 では、大腿直筋CSAは、10.3%(95% CI , 6.1% to 14.5%) 減少、筋繊維CSAは17.5%(95% CI, 5.8 to 29.3%)減少、蛋白/DNA 比は、29.5%(95% CI, 13.4% to 45.6%)減少

大腿直筋CSA減少は、day 7までの間に多臓器不全経験患者で、単臓器不全患者に比べ、特にその程度が大きく (多臓器不全 −15.7%; 95% CI, −27.7% to 11.4% vs 単臓器不全−3.0%; 95% CI, −5.3% to 2.1%) (P < .001)、day 3まででさえ (−8.7% [95% CI, −59.3% to 50.6%] vs −1.8% [95% CI, −12.3% to 10.5%]; P = .03)差が認められる。
筋繊維壊死は、20/37 (54.1%)で認められる。

タンパク質合成速度1日あたりに合成されるタンパク質の体全体に占める割合測定である筋蛋白区分合成率測定による、筋肉での蛋白合成比率は、day 1で減少 (0.035%/hour; 95% CI, 0.023% to 0.047%/hour vs 飢餓状態健康対照者 0.039%/hour; 95% CI, 0.029% to 0.048%/hour) (P = .57) 、 day 7では食事摂取健康対照者と相関する増加を示す (0.076% [95% CI, 0.032%-0.120%/hour]; P = .03 vs 食事摂取健康対照:0.065%/hour [95% CI, 0.049% to 0.080%/hour]; P = .30)、しかし、 これは、栄養負荷状態とは関連しない。

下肢蛋白破壊は被験期間中増加持続 (8.5 [95% CI, 4.7 to 12.3] to 10.6 [95% CI, 6.8 to 14.4] μmol of phenylalanine/min/ideal body weight × 100; P = .40).

細胞内シグナル化パターンでは、蛋白破壊促進  (n = 9, r = −0.83, P = .005) 、蛋白豪勢低下decreased synthesis (n = 9, r = −0.69, P = .04).
【結論・意義付け】  重症患者において、筋肉の消耗は、初期1週間のうちに、早期に・急激に生じる。多臓器不全ほど程度が重く、これらは、重症骨格筋消耗に関する知見


Thoraxでも同報告あるし・・・




noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note