2013年6月25日火曜日

急性非代償性心不全:水分・塩分制限ベネフィット無し

ADHF(急性非代償性心不全)への水分・塩分制限のベネフィットについての研究

積極的水分制限・塩分制限では、体重減少や臨床的安定性に影響を与えず、口渇自覚を増すだけ。故に、ADHF入院患者に塩分制限や水分制限は不要


Aggressive Fluid and Sodium Restriction in Acute Decompensated Heart Failure
A Randomized Clinical Trial
Graziella Badin Aliti,  et. al.
JAMA Intern Med. 2013;173(12):1058-1064. 

水分制限(最大水分摂取 800 mL/日)とナトリウム制限(最大食事摂取 800mg/日)(intervention group [IG])  vs 制限無し対照群 
3日間の体重減少、臨床的安定性 
盲験アウトカム評価ランダム化平行群臨床トライアル 
入院7日めまで行い、それ未満の入院期間なら入院中全て 
アウトカムは、体重減少と臨床的安定性、口渇自覚評価、30日以内の再入院
75名登録(介入群 38; 対照群 37)、多くが男性、虚血性心疾患が主な心不全原因 (17名[23%]、平均(SD)左室駆出率 26% (8.7%))
ベースライン特性という面ではグループ均一 
3日目、減量は2群同等 (群間ばらつきf 0.25 kg [95% CI, −1.95 〜 2.45]; P = .82)、臨床的うっ血スコアの変化も同等  (群間差ばらつき 0.59 ポイント [95% CI, −2.21 〜 1.03]; P = .47) 
研究終了時点評価での、口渇は、介入群で、対照群比較、有意悪化  (5.1 [2.9]) vs (3.44 [2.0])  (群間差, 1.66 ポイント; time × group interaction; P = .01) 
30日時点での再入院群間差に有意差無し  (IG, 11 名 [29%]; CG, 7 名 [19%]; P = .41)

体重やサイズだけを親が言い続けると食行動異常の引き金に、健康な食習慣問いかけは食行動異常防御的に

子供に健康的食習慣議論に問いかける場合、摂食障害に対する防御的効果が認められた。

すなわち、単に体重や体のサイズをコントロールするよう子供に問いかけてる両親の場合より、健康食習慣を問いかける場合の方が、ダイエット、不健康な減量習慣、極端な不健康減量行為、大食らい行為が有意に少ない。


Parent Conversations About Healthful Eating and Weight
Associations With Adolescent Disordered Eating Behaviors ONLINE FIRST
Jerica M. Berge,  et. al.
JAMA Pediatr. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamapediatrics.2013.78. 

【論文重要性】  思春期体重関連の問題は大きい。思春期子供の両親が食習慣、体重について語ることが有益なのか、有害なのか? 
【目的】  健康食や体重についての親との会話と、子供の食行動異常についての相関性調査 
【デザイン】  2つのリンクした多レベルの住民ベース研究の横断解析 
【セッティング】 2009-2010年、学校で行われた人体計測評価・調査と両親居宅遂行調査 
【被験者】 2010年社会経済及び人種/民族分散サンプル(マイノリティー 81%、低収入 60%)世帯;Eating and Activity in Teens 2010 (EAT 2010) (n = 2793; 平均年齢, 14.4 歳)、Project Families and Eating and Activity in Teens (Project F-EAT) (n = 3709; 平均年齢, 42.3 歳) 
【暴露】 健康食行為と体重・サイズについての親の会話 
【主要アウトカム測定】 青年の食事、不健康減量行為、大食らい行為 
【結果】 体重関連の会話問いかける母・父の場合の子供は、より多くダイエットを行い、不健康な減量行為、大食らい行為が多い。
健康食行動についてのみフォーカスした会話を行う母親の場合、過体重・肥満思春期の子供は、よりダイエットが少なく、不健康減量行為が少ない。
加えて、両親からのデータをもつ思春期子供のサブ解析では、健康食習慣について会話を仕向ける両親では、過体重・肥満思春期子供はダイエット少なく、不健康減量行為も少ない。 
【結論・新知見】 体重/サイズにフォーカスした親の会話は、思春期児童の食行動異常リスクを増加させる。一方、健康な食習慣へフォーカスした場合は、食行動異常へ防御効果を示す。

でも、肥満・過体重の子供なのに、ダイエットを問題にしなくて良いのだろうか?
不健康食や極端なダイエットさえなければそれでよいのだろうか?

【糖尿病】肥満手術で網膜症発症リスク増加

肥満(減量)手術前後1年間比較でみると、年間網膜症発生率は、2%-4%なのに、手術後は17.5%の網膜症発症と著増する

網膜症発症・減量手術患者では空腹時血糖が151mg/dLと減少し、網膜症改善・減量手術者は、49mg/dL減少にとどまる。網膜症変化無しでは29mg/dL減少


Thomas RL, et al "Does diabetic retinopathy progress following bariatric surgery in persons with type 2 diabetes?" ADA 2013; Abstract 155-OR.



糖尿病性網膜症発症リスクの高い症例では、肥満手術について注意が必要かもしれない。

Look AHEADトライアル:2型糖尿病肥満への強化ライフスタイル介入 心血管イベントベネフィット証明できず

2型糖尿病患者への強化的ライフスタイル介入は、食事・運動に対してフォーカスした場合、心疾患予防的効果認めず

Look AHEAD トライアル終了し、心血管ベネフィットに関し有意差を認めなかった


この研究の先行分析では、mobility改善効果はあった
Look AHEAD 研究:2型糖尿病肥満患者でのライフスタイル変容とmobility 2013/03/29

だが、それが心血管疾患イベント改善までは至ってないということか?
あるいは、検出パワーの問題かということだが、実際には対照群の方がスタチン投与量が多く、そのため効果評価を薄めてしまったというのが一解釈らしい。

この研究は無価値かというとそうではなく、減量と体重減少維持が可能であることが示された部分は大きく評価されるべきとのこと


"Cardiovascular effects of intensive lifestyle intervention in type 2 diabetes
Wing R, et al
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMoa1212914.

【背景】短期研究ベースでは、2型糖尿病患者過体重・肥満者に対して減量を推奨しているが、心血管疾患への長期的効果は不明。
上記患者での減量への強化ライフスタイル介入が心血管合併症や死亡率減少させるかの検討。 
【研究方法】
米国内16の研究センターで、5145名の2型糖尿病過体重・肥満患者を、カロリー摂取制限と身体活動性増加による減量目的強化ライフスタイル介入(介入群)と、糖尿病サポートと教育(対照群)に割り付け
プライマリアウトカムは、心血管疾患原因死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的卒中、狭心症入院組み合わせで、最大13.5年間のフォローアップ 
【結果】
フォローアップ9.6年間で、トライアルはfutility analysis(無用性解析、無益性解析?)に基づき早期中断。減量は対照群比較にて強化群でより減少(1年次 8.5% vs 0.7%、 研究終了時 6.0% vs 3.5%)
強化ライフスタイル介入は、また、糖化ヘモグロビン減少、フィットネス改善、LDLコレステロール以外の心血管疾患全リスク要素減少が観察された。
プライマリアウトカムは、介入群 403名、 対照群 418名 (100人年あたり 1.83 vs 19.2、介入群ハザード比 0.95:95%信頼区間 0.83-1.09; p=0.51) 
【結論】
2型糖尿病・過体重・肥満患者に対する、減量にフォーカスした強化ライフスタイル介入では、心血管イベント率減少認めず
(Funded by the National Institutes of Health and others; Look AHEAD ClinicalTrials.gov number, NCT00017953.)


研究者たちの分析
・検出パワーの問題だが、ベネフィット18%前提に至ってなかったことが主因
・生活スタイル介入に関して現実面重視であったため、差が出にくかった。
・対照群の教育が効果を与え、差が出にくかった。




Additional source: New England Journal of Medicine
Gerstein HC, et al "Do lifestyle changes reduce serious outcomes in diabetes?"
N Engl J Med 2013; DOI: 10.1056/NEJMe1306987.

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