2018年10月2日火曜日

インターフェロンγと慢性咳嗽

一連の話が、インターフェロンγによる(原因不明)慢性咳嗽病態に関わることにとどまらず、神経障害性疼痛・異痛状態類似で、同様機序も考慮という話も・・・・





慢性咳嗽のうち7−46%は検査でも原因不明、この原因不明の慢性咳嗽で、"cough Hypersensitivity syndrome(CHS)"、unexplained chronic cough、chronic refractory cough、idiopathic chronic coughなどと参照。ウィルス感染がトリガーとなることが多い。しかしそのメカニズムは不明・・・ということで、インターフェロンγ陽性effector Tリンパ増加が多く存在し、adaptive immune responseとしてTリンパ球からのINF-γに着眼。


Interferon- γ enhances the cough reflex sensitivity via calcium influx in vagal sensory nerves.
Deng Z. ZW, Sun J., Li C., Zhong B., Lai K.
American Journal Respiratory Critical Care Medicine [online ahead of print] 19 April 2018;
www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201709-1813OC

インターフェロンγ気管内滴下で、クエン酸 in vivo咳嗽反射促進

in vitroで、INF-γはリン酸化シグナルtransducer、transcriptin-1のactivatosレベル増加するも、リン酸化transient receptor potential vanilloid 1(TRPV1)レベル増加しない

INF-γはカプサイシンのニューロンへの反応・電気刺激促進だけではなく、直接、Janus kinase(JAK)、protein kinase A(PKA)や alpha-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazolepropionic acid (AMPA) pathwayを介して、神経の Ca2+ 流入誘発、膜脱分極、活動電位の亢進をもたらす

しかし、INF-γは、phospholipase C(PKC)経路を介した小胞体からの Ca2+ 遊離を生じさせない。

INF-γによる活動電位は、 Ca2+ influx inhibitorにより抑制するも、INF-γによる Ca2+ influxは rapid sodium channel阻害剤では反応しない



神経系への炎症誘引疾患・障害、neuroinflammationが、CHSを生じさせ、感染だけでなく物理的・科学的刺激を含む広範な要因で、咳嗽や神経過敏故にmultipleな炎症性となり、肺臓器以外の及び、慢性疼痛(neuropathic pain:神経障害性疼痛)なども。神経障害性疼痛の"allodynia:異痛"類似病態で、本来無反応のはずの無害刺激による咳嗽誘発を示す。
上記研究ではINFγが一過性 Ca2+ 流入を直接生じさせTRPV1アゴニスト(カプサイシン)によるピーク Ca2+ 流入促進したということ、downstreamのJAK、PKA、AMPA経路を通した感覚ニューロンの直接刺激で、PLCを介したものではないことが示されたが、ライノウィルス・インフルエンザウィルス、細菌・結核菌など様々な感染で生じるが、様々な自己免疫疾患でも生じる。甲状腺機能低下症のような自己免疫疾患で特発性咳嗽を呈する女性の一群がいて、BALF中でのHLA-DRのCD4+T細胞増加が示され、関連性が示唆される。
また、神経障害性疼痛からの示唆として、P2X3も慢性咳嗽の病態に関与する可能性。迷走感覚神経のAMPA受容体antagonistでAMPAのような非NMDA受容体活性化されるとともに、直接作用として Ca2+直接流入が生じることで、  グルタミン酸がinotropic NMDA、非NMDA受容体で咳嗽発生を誘発する可能性あり

IFN-γ: A Driver of Cough Hypersensitivity Pathways in Chronic Cough?
 Kian Fan Chung
https://doi.org/10.1164/rccm.201804-0740ED       PubMed: 29758165
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201804-0740ED





early COPDとmild COPDの違いをある時点で判別することができるか?

early COPDとmild COPDの違いをある時点で判別することができるか?
その前の定義の段階で話が止まってるが・・・

50歳未満でオペレーショナルな定義というか仮説が近い気がするが・・・

 proposed operational definition of early COPD

“ever-smokers (≥10 pack-years), younger than 50 years, with any of these abnormalities:
(1) FEV1/FVC< lower limit of normal
(2) compatible CT abnormalities (airway abnormality and/or emphysema)
or
 (3) FEV1 decline (≥60 mL/year)”




Defining and Halting Progression of Early Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Am J Respir Crit Care Med [online ahead of print] 02 Feb 2018; www.atsjournals.org/doi/full/10.1164/rccm.201710-2028PP





反論として、非喫煙者慢性気流制限の存在、50歳はもう若くない50歳は早期でない(40歳までに4〜12%で慢性気流制限)、若年COPDでは併発症多く予兆なしに急激肺機能減衰があり得て、もうちょっとtextureについて検討が必要というもの

How to Define Early Chronic Obstructive Pulmonary Disease
https://doi.org/10.1164/rccm.201805-0880LE       PubMed: 30020809
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201805-0880LE

飲水不足膀胱炎再発有エピソード:飲水1.5L付加にて膀胱炎再発減少 抗生剤使用リスク減

Question  日々のトータルの水分摂取量不足の再発性膀胱炎閉経前女性へ毎日の水分摂取増加は膀胱炎予防となり得るか?

Findings  140名の再発性膀胱炎経験閉経前女性で、トータル水分摂取 1.5L未満の女性において、通常の水分摂取維持女性に比べ12ヶ月水分摂取増加した女性では膀胱炎エピソードは有意に回数減らす

Meaning 日々の水分摂取増加は日々の水分摂取少ない場合、再発性膀胱炎経験閉経前女性では膀胱炎予防となり得る




Effect of Increased Daily Water Intake in Premenopausal Women With Recurrent Urinary Tract Infections
A Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online October 1, 2018.
doi:10.1001/jamainternmed.2018.4204
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2705079



[要約]
意義:再発性膀胱炎女性では予防的意味Iで、水分摂取を推奨される事が多いが、サポートするデータは乏しい

目的  日々水分摂取量増加による閉経前女性の再発性膀胱炎回数への効果評価


デザイン、セッティング、被検者  ランダム化、オープンラベル、対照化、12ヶ月トライアル、臨床研究センター(2013-2016年)。再発性膀胱炎(1年前の間に3回以上のエピソード)の163名の健康女性、水分摂取評価 1.5L未満を的確とし、23を除外、割り付け140名。水分摂取、尿hydration、膀胱炎症状評価を、ベースライン、6ヶ月、12ヶ月受診時点で評価、月毎電話call


介入  ランダム割り付け、通常水分摂取に加え、水分 1.5L追加(water group)と追加なし群(対照)12ヶ月間

主要アウトカム測定 プライマリアウトカムは12ヶ月間の再発性膀胱炎回数
セカンダリアウトカムは、抗生剤使用レジメン回数、膀胱炎エピソード間平均期間、24時間尿中hydration測定

結果
被検者 140名 平均(SD)年齢 35.7(8.4)歳、膀胱炎エピソード 平均(SD)回数 3.3(0.6)
研究期間12ヶ月間で、平均(SD)膀胱炎エピソード数 water group 1.7(95% CI, 1.5-1.8)、対照群 3.2 (95% CI, 3.0-3.4)で 平均差 1.5(95%CI, 1.2-1.8; p< 0.001)

全体で、327膀胱炎エピソード、water group 111 vs 対照群 216

抗菌薬レジメン平均数は water group 1.9 (95% CI, 1.7-2.2) vs 対照群  3.6 (95% CI, 3.3-4.0)、差平均  1.7 (95% CI, 1.3-2.1; p< 0.001)

膀胱炎エピソード間の平均期間は water group 142.8 (95% CI, 127.4-160.1) vs 対照群 84.4 (95% CI, 75.4-94.5) 日間で、差平均 58.4 (95% CI, 39.4-77.4; p< 0.001)

ベースラインと12ヶ月間で、その差は尿量 (1.4 [0.04] vs 0.1 [0.04] L; p< 0.001) 、排尿量(void)  (2.4 [0.2] vs −0.1 [0.2]; p< 0.001)増加、逆位尿浸透圧低下 (−402.8 [19.6] vs −24.0 [19.5] mOsm/kg; p< 0.001)

結論と知見 閉経前女性膀胱炎再発頻回・水分摂取少ない場合、水分摂取増加は再発膀胱炎予防に抗生剤忌避戦略として有効


1.5Lかぁ 多いなぁ


日本で報道されなかった水中毒事故
Family of mother who died after drinking seven litres of water in radio contest for Nintendo Wii awarded £10m
https://www.dailymail.co.uk/news/article-1224051/Wee-For-Wii-water-drinking-contest-death-Jennifer-Stranges-family-awarded-10m.html

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note