2014年3月19日水曜日

タミフル早期治療は死亡率減少寄与 但し、小児では証明されず・・・

抗インフルエンザ薬は、単に熱を1日早く下げるだけ・・・って話もあったが、早期治療に限っては、死亡リスク減少効果が示された。

Effectiveness of neuraminidase inhibitors in reducing mortality in patients admitted to hospital with influenza A H1N1pdm09 virus infection: a meta-analysis of individual participant data
http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(14)70041-41


2009年1月2日から2011年3月14日までの78研究、29234名のデータで、ニューラミニデース阻害剤 vs 無治療比較で、死亡率減少 (補正オッズ比 0.81, 95% CI, 0.70 - 0.93 ; p = 0.024)

治療遅れに比べ早期治療(発症2日間内)では、死亡リスク減少と関連(補正オッズ比 0.48 ; 95% CI, 0.41 - 0.56)
早期治療vs無治療でも、同様減少(補正オッズ比 0.50;95% CI 0.37 - 0.67 p< 0.0001)
 この死亡率減少相関性は、小児では明確でない。日ごと治療の遅れは、その死亡率増加と関連する(1日遅れる毎ハザード比 1.23、 1.18−1.28)

市中発症・市中獲得・院内発症:血流感染とも黄色ブドウ球菌重要

血流感染(Bloodstream Infection)疑い患者でのエンピリカル治療の質と死亡率は関連する
 ↓
Impact of Inadequate Empirical Therapy on the Mortality of Patients with Bloodstream Infections: a Propensity Score-Based Analysis
Antimicrob.
Pilar Retamar, et. al.
Agents Chemother. January 2012 vol. 56 no. 1 472-478


多施設コホート研究にて、地域病院での血流感染の多施設後顧的研究。38%の患者が不適切治療(27%〜71%)。

Source reference: Anderson D, et al
"Bloodstream infections in community hospitals in the 21st century: A multicenter cohort study"
PLOS One 2014; 9: e91713.
http://www.medpagetoday.com/HospitalBasedMedicine/GeneralHospitalPractice/44816
・市中発症・医療関連(CO-HCA):入院後48時間未満;入院・手術・カテーテルなど侵襲的デバイス施工前、長期ケア施設住居前
・市中獲得(CA):入院後48時間未満・医療関連リスク要素無し
・院内発症・医療関連(HO-HCA):入院後48時間

血流感染の56%は市中発症・医療関連、市中感染は29%、院内感染は24%

最も多いのは黄色ブドウ球菌 28%、大腸菌 24%、多剤耐性は23%で、MRSAが最多。




 CA = community-acquired, CO-HCA = community-onset, healthcare-associate, HO-HCA; hospital-onset, healthcare-associated, CoNS = coagulase negative Staphylococci.


「地域病院で黄色ブドウ球菌・MRSAは治療必要性無しという誤った概念があるが、これらの知見から考えればmythと言わざる得ない」と書かれている。


「一般的にCA-MRSAは、臨床的には入院歴や透析、カテーテル挿入、抗菌薬の使用など院内感染に関連するリスクがない人から分離されるMRSAとしてとらえられている。。ただし細菌学的な特徴では、SCCmecの遺伝子型でHA-MRSAは主にⅡ型(Ⅰ、Ⅲ型を含む)であるのに対し、CA-MRSAは主にⅣ型(Ⅴ型を含む)に分類される。CA-MRSAは主に小児や若年層の健常人が感染し、学校などでの流行が認められる」
http://www.kansensho.or.jp/news/gakkai/pdf/guideline_mrsa.pdf


type I-IIIが古典的なHA-MRSA、type IV,VがCA-MRSA主。後者は耐性著明で内。

Genomic Basis for Methicillin Resistance in Staphylococcus aureus
http://www.icjournal.org/DOIx.php?id=10.3947/ic.2013.45.2.117

肥満遺伝子ある場合、揚げ物で太りやすい

システマティック・レビュー&メタアナリシス:冠動脈性心疾患:飽和脂肪酸制限ガイドラインでアドボケートするほどの現行エビデンスは存在せず 2014/03/18


重大イベントと飽和脂肪酸摂取との関連性に関するエビデンス乏しいという報告だったが、以下は、遺伝によっては揚げ物は肥満に繋がるよという話。







遺伝的リスクスコア上位1/3では、揚げ物食品週4回以上摂食だと、1回摂食に比べ、BMIの差は女性で1.0、男性で0.7の差が出現する。

対して、下位リスクのものは、男性0.5、女性0.4


"Fried food consumption, genetic risk, and body mass index: gene-diet interaction analysis in three US cohort studies" Qi Q, et al
BMJ 2014; 348: g1610.

9,623 women from the Nurses' Health Study 9623名女性、Health Professionals Follow-up Study 6379名男性、さらに、 Women's Genome Health Study 21,421名女性

既知のBMI関連遺伝子変異32ベースにリスク評価
10のリスクalleleあたりBMIの差は、揚げ物 週1回 1.1、 週1−3回 1.6、 週4回以上で2.2
肥満リスク3次分析では、それぞれ、1.61 (95% CI 1.40 to 1.87) 、2.12 (95% CI 1.73 to 2.59) 、2.72 (95% CI 2.12 to 3.48)

中枢神経作用として働くあるいは近傍遺伝子で、揚げ物食品との有意相互関連性有り、FTO(fat ass- and obesity-associated)変異が特に関連性強い。

Source reference:Blakemore A, et al "Obesity, genetic risk, and environment" BMJ 2014; 348: g1900.

肺塞栓効率的除外のため、年齢補正D-ダイマーカットオフ値利用を!

D-ダイマー測定は臨床的急性肺塞栓症疑い例に対する診断戦略上重要なステップ

ここでは、年齢補正D-ダイマーとして、年齢×10(50歳以上)としてその、高齢者D-ダイマーの診断的価値検証。

D-ダイマー固定指標 500μg/Lより年齢補正カットオフ値使用の方が、臨床的VTE尤度低値例除外診断価値高める


Age-Adjusted D-Dimer Cutoff Levels to Rule Out Pulmonary Embolism
The ADJUST-PE Study
Marc Righini, et. al.
JAMA. 2014;311(11):1117-1124. doi:10.1001/jama.2014.2135.



プライマリアウトカムは、診断戦略失敗率(年齢補正D-ダイマーカットオフ結果陰性の、フォローアップ3ヶ月間に血栓塞栓イベント近傍状況となった場合)
3346名のPE疑い例(revised Geneva score or the 2-level Wells score for PE)、PE頻度19%

臨床的可能性高くない、あるいは、可能性低い例は、2898名のうち、817名(28.2%)はD−ダイマー 500μ/L未満(95% CI, 26.6% - 29.9%)、339名(11.6%)は500〜年齢補正D-ダイマーカットオフ値(95% CI, 10.5% - 12.9%)

3ヶ月予測失敗率は、500μg/L超で高いが、年齢補正カットオフ値未満では1/331(0.3% [95% CI, 0.1% - 1.7%])

75歳以上766名の患者のなかで、<500 μg/L未満という非高度臨床的可能性の673名、年齢指標を使用すると、除外可能患者が偽陰性所見無しで増加する ;43 / 673 (6.4% [95% CI, 4.8%-8.5%)  → 200 /673 (29.7% [95% CI, 26.4%-33.3%)



急性冠症候群性差:女性は検査・治療機会逸することが多い

急性冠症候群(ACS)後死の男女差、特に若年ほど大きい。この性差を医療機関受診アクセスの差として評価。

急性冠症候群救急受診若年者は、心電図をタイムリーに受けることが少なく、結果、血栓溶解療法適切に受ける機会を逸している。特に、STEMI比率は女性で少なく、その機会を逃すことが多い。


Sex-related differences in access to care among patients with premature acute coronary syndrome
Roxanne Pelletier et. al.
CMAJ March 17, 2014 cmaj.131450
http://www.cmaj.ca/content/early/2014/03/17/cmaj.131450.full.pdf+html

GENESIS-PRAXYコホート、1123名(18-55歳)
アウトカム測定は、ドア−心電図時間、心臓カテーテル施行比率、細管流・非プライマリPCI


女性は男性より、心電図ベンチマーク時間内の施行数少ない(10分内: 29% vs38%、 P = 0.02)、さらに、フィブリン溶解ベンチマーク内時間(30分: 32% vs 57%  P = 0.01)


ST上昇型心筋梗塞(STEMI)比率は男性より女性で少ない(83% vs 91% P=0.01)

非ST上昇型心筋梗塞や不安定狭心症女性は、男性より、非プライマリPCI施行率低い (48% vs 66% P < 0.001)

Timeliness and Use of Procedures in ACS Men and Women
VariableWomenMenp
Median door-to-ECG time (min)2115<0 .001="" td="">
Median door-to-needle time (min)36280.02
Median door-to-balloon time (min)196930.7
Use of cardiac catheterization in non-STEMI (%)88880.9
Use of reperfusion in STEMI (%)83910.01
Use of nonprimary PCI in non-STEMI/unstable angina4866<0 .001="" td="">
http://www.medscape.com/viewarticle/822147


医療機関へのアクセス状況不良なのは、不安、リスク要素数が多いこと、胸痛存在しないことが要素。性差関連要素は、パーソナリティー特性、ハウスワークのresponsibilityによる。



noteへ実験的移行

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