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2020年7月3日金曜日

抗コリン薬:認知症発症と認知機能低下

確固たるエビデンスではないが、抗コリン薬による認知症発症と認知機能低下に関する疑念は深まっている

素人からみると、認知症リスクとは相関するが、MCIとは相関しないというのはどういうことなのだろう? MCI基準の不備? あるいは、抗コリン薬の認知機能への影響が大きすぎてMCIをすっ飛ばして認知症へ急激に進行するため?




抗コリン薬が認知機能に及ぼす長期的な影響を最終的に明らかにするために、抗コリン薬と高齢者の認知症、軽度認知障害、認知機能低下のリスクとの関連を検討するために、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。
この目的のために、2002年1月から2018年4月までに発表された≧12週間の追跡期間を持つ関連研究を同定した。この解析には、26研究、621,548人の参加者が含まれていた。

観察研究からの知見は、抗コリン薬の使用と相関して認知症の発生率と認知機能の低下が増加していることを示した。
研究はバイアスのリスクが大きい観察研究であったため、専門家は因果関係を結論づけることはできなかった。長期使用の管理の指針とするためには、質の高い研究からのより強力なエビデンスが必要である。



Anticholinergic drugs and incident dementia, mild cognitive impairment and cognitive decline: a meta-analysis
Nina T Pieper, et al.
Age and Ageing, afaa090,
https://doi.org/10.1093/ageing/afaa090
Published: 29 June 2020 Article history
https://academic.oup.com/ageing/article/doi/10.1093/ageing/afaa090/5864119

背景
抗コリン作用を有する薬剤の使用が認知機能に及ぼす長期的な影響は不明のままである。

方法
高齢者集団における抗コリン薬と認知症、軽度認知障害(MCI)、認知機能低下のリスクとの関係について、システマティックレビューとメタアナリシスを実施した。2002年1月~2018年4月の間に発表された研究で、強い抗コリン薬曝露と研究アウトカム測定との間に≧12週の追跡期間があるものを同定した。認知症およびMCIのアウトカムについて、抗コリン薬のいずれか、少なくとも短期(90日以上)または長期(365日以上)の抗コリン薬使用を報告した研究の調整オッズ比(OR)と、認知機能低下アウトカムについてのグローバル認知テストスコアの標準化平均差(SMD)をプールした。統計的不均一性はI2統計量を用いて、バイアスのリスクはROBINS-Iを用いて測定した。

結果
26の研究(621,548人の参加者を含む)が包含基準を満たした。抗コリン薬の「いづれかの」使用も認知症の発症と関連していた(OR 1.20、95%信頼区間[CI] 1.09-1.32、I2 = 86%)。
短期および長期の使用も認知症の発症と関連していた(OR 1.23、95%信頼区間[CI] 1.17-1.29、I2 = 2%、OR 1.50、95%CI 1.22-1.85、I2 = 90%)。
「いづれかの」抗コリン薬の使用は認知機能の低下と関連していた(SMD 0.15;95%CI 0.09-0.21、I2 = 3%)が、MCIについては統計学的に有意な差を示さなかった(OR 1.24、95%CI 0.97-1.59、I2 = 0%)。

結論
抗コリン薬の使用は、観察研究において認知症の発症率と認知機能の低下の増加と関連している。しかし、研究はバイアスのリスクがかなりある観察研究であったため、因果関係はまだ推測できない。長期使用の管理の指針とするためには、質の高い研究からのより強力なエビデンスが必要である。




抗コリン薬のいずれか、少なくとも短期および長期の確定的な抗コリン薬使用による認知症のオッズ比のメタ解析。任意の使用については1-90、91-365、366-1095および>1095日用量、短期使用(90日以上)については91-365、366-1095および>1095日用量、長期使用(365日以上)については366-1095および>1095日用量については公表されている調整済みORの逆分散加重平均として推定された^OR(95%CI)。

ǂOR (95% CI) estimated as the inverse variance weighted average of the published adjusted ORs for exposures of 90–364, 365–1459 and >1460 daily doses for short-term use (90+ days) and of 365–1459 and >1460 daily doses for long-term use (365+ days). *The Cai 2013 estimate is for 60+ days use versus <60 1-year="" 2006="" 2016="" 6="" a="" ancelin="" and="" as="" at="" baseline="" consecutive="" days="" estimated="" every="" follow-up="" for="" gomm="" long-term="" nbsp="" prescription="" quarter="" quarters.="" span="" use="">**OR (95% CI) estimated as the inverse variance weighted average of the published adjusted ORs for exposures of oxybutynin, solifenacin and tolterodine. Abbreviations: n, number of dementia cases; N, number of participants.




LAMAの認知症への影響は?
Pharmacokinetic-related factors
The pharmacodynamic and pharmacokinetic characteristics of inhalational anticholinergics play an important role in the efficacy and safety profile of these agents. All the inhaled agents result in less systemic exposure compared with agents that are taken orally or intravenously. This leads to a wider therapeutic index and excellent tolerance profile for all the inhalational medications. All the currently available anticholinergics are water-soluble agents and hence have limited penetration across biological membranes. When given in the inhaled form, they have reduced systemic absorption and are less likely to cross the blood–brain barrier. Table 1 provides the characteristics of inhaled anticholinergic agents currently approved for use in the treatment of COPD.9

Tiotropium is the first long-acting inhalational anticholinergic to be approved by the FDA for use in COPD. The systemically absorbed tiotropium is mainly eliminated by the urinary tract. Further, the renal clearance of tiotropium exceeds the creatinine clearance, which suggests the presence of active secretion into kidney tubules. Thus, renal impairment may affect its elimination and its safety profile.

Aclidinium is metabolized rapidly by plasma esterases, resulting in a very low maximum plasma concentration and thus low systemic exposure. Aclidinium is eliminated as its metabolite in urine (close to two-thirds of a dose) and in feces (close to one-third of a dose). Renal and liver clearances play minor roles in the total clearance of aclidinium bromide from plasma and dose adjustment is not needed. The residence time of aclidinium in the muscarinic acetylcholine M2 receptor is short and may explain the favorable cardiovascular profile.

Drug Healthc Patient Saf. 2013; 5: 49–55
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3596125/


血中維持時間の長いチオトロピウムに関して
Local concentrations in the lung are not known, but the mode of administration suggests substantially higher concentrations in the lung. Studies in rats have shown that tiotropium does not penetrate the blood-brain barrier to any relevant extent.
https://www.tga.gov.au/sites/default/files/auspar-tiotropium-bromide-161125-pi-01.pdf

ということで、吸入LAMAに関しては脳への直接影響は乏しいと思われる




ちなみに、眼科の先生各位におかれましては、「緑内障」という病名を安易に使わず、「閉塞隅角緑内障」なのかどうか確実に患者に説明いただきたい!

抗コリン薬の禁忌「緑内障」等の見直しについて
https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000529725.pdf

閉塞隅角緑内障になりやすい患者において気付かないまま発作を起こすかもしれない。開放隅角緑内障の患者では,急性の眼圧上昇は通常では認められない。開放隅角緑内障の患者では,アトロピンのような薬剤は一般に安全に使用できる。緑内障を適切に加療されている場合,更に安全に使用できる。」と記載されている。

2019年6月25日火曜日

抗コリン作動系薬剤と認知症リスク

認知機能障害に関して、ひょっとしたら認知症に関して修正可能な悪化要素の可能性がある抗コリン作動系薬剤


エディトリアルには・・・かような表題が・・・
Preventing Alzheimer Disease by Deprescribing Anticholinergic Medications
Noll L. Campbell, PharmD, et al.
JAMA Intern Med. Published online June 24, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2019.0676




Anticholinergic Drug Exposure and the Risk of Dementia
A Nested Case-Control Study
Carol A. C. Coupland,  et al.
JAMA Intern Med. Published online June 24, 2019. doi:10.1001/jamainternmed.2019.0677


重要性
抗コリン薬には短期間の認知的悪影響があるが、これらの薬を長期間使用での認知症のリスク増加するかどうかは不明

目的
55歳以上の人における抗コリン薬治療と認知症リスクとの関連性を評価

設計、設定、および参加者
nested 症例ー対照研究は、イギリスのGPで行われ、QResearchのプライマリケアデータベースに寄与。この研究では、認知症診断例48,769名と対照225,474名を、55歳以上、年齢、性別、GP、カレンダー時間マッチ化させ、抗コリン作動性薬剤暴露したかどうかを認知症リスク関連性評価
強力な抗コリン作用を有する56種類の薬の処方に関する情報を使用して、累積的な抗コリン作用薬の暴露量を測定。
データは2016年5月から2018年6月まで分析。

ばく露
抗コリン作動性薬剤の1日当たりの標準的な使用量(total standardized daily doses: TSDDs)総数:認知症診断前1−11年間と対照としては等価日数期間(指標日)


主なアウトカムと測定項目
交絡因子調整抗コリン薬累積暴露関連認知症のオッズ比(OR)

結果
研究population群 症例群と対照群 284,343名、女性 179,365(63.1%)、平均年齢 82.2 (6.8)歳
指標日1−11年間の抗コリン作動性薬剤処方無し群に比べ、認知症補正オッズ比は 最小カテゴリー(総暴露1-90 TSDD) 1.06 (95% CI, 1.03-1.09) 、最大カテゴリー(>1095 TSDDs)は1.49 (95% CI, 1.44-1.54) 。
1095 TSDDS超の抗コリン抗うつ薬、抗パーキンソン病薬、抗精神病薬、膀胱抗ムスカリン作動薬、抗痙攣薬で有意な認知症リスク増加(各々補正オッズ比 1.29; 95% CI, 1.24-1.34),  1.52; 95% CI, 1.16-2.00),  1.70; 95% CI, 1.53-1.90),  1.65; 95% CI, 1.56-1.75),  1.39; 95% CI, 1.22-1.57)


1095 TSDDs超の指標日以前、3〜13年前(AOR、1.46、95%CI、1.41〜1.52)および5〜20年(AOR、1.44、95%CI、1.32〜1.57)の曝露期間に限定された場合でも結果は同様。
80歳以前に診断された症例では関連性が強かった。
診断前の1〜11年間の総抗コリン薬暴露に関連する集団寄与割合:PAF(population attributable fraction)は10.3%であった。


結論と知見
いくつかの種類の強力な抗コリン薬にさらされると、認知症のリスクが高まる。
これらの知見は、中高年者における抗コリン薬への曝露を減らすことの重要性が強調される










吸入剤は入ってないぞ・・・


油断すると、クソ役人が馬鹿役人と化して馬鹿なことをしそうになる
国/厚労省は、認知症老人を増やす方向へ ;抗コリン剤市販拡大
日経新聞によれば、「抗コリン薬(プロペジリン:バップフォーなど)をOTC化」するそうだ・・・
https://kaigyoi.blogspot.com/2015/03/blog-post_27.html

PPIのOTC化、紛糾の末に「否」 2018/8/3
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/201808/557305.html

2019年5月16日木曜日

閉塞型睡眠時無呼吸:薬物療法の可能性

アトモキセチン:先発製品名 ストラテラ(日本ではAD/HD治療薬 神経終末のノルアドレナリントランスポーターに対する選択的阻害作用が関与していることが可能性としては考えられるものの、明確な機序は不明)
オキシブチニン:先発製品名 ポラキス (平滑筋に対する直接的鎮痙作用と節後線維 のコリン作動部位においてアセチルコリン阻害作用を持つ)

前者さすがに使用したことないが、レスポンダーの比率とその反応性をみると期待できる治療法
ただ、素人が手を出しにくい薬剤であるアトモキセチン





ランダム化プラシーボ対照二重盲検交叉トライアル
atomoxetine 40mg + oxbutynin 5mg (ato-oxy) vs プラシーボ


The Combination of Atomoxetine and Oxybutynin Greatly Reduces Obstructive Sleep Apnea Severity. A Randomized, Placebo-controlled, Double-Blind Crossover Trial
Luigi Taranto-Montemurro,  et al.
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Volume 199, Issue 10, Page 1267-1276, May 15, 2019.

被験者 53 (46-58)歳、BMI 34.8 (30.0-40.2)

ato-oxy にて AHI 63% (34-86%) 減少 (  28.5 (10.9–51.6) events/h → 7.5 (2.4–18.6) events/h (P < 0.001)

個別効果:プラシーボでのOSA患者(AHI > 10 events/h) 20名中15名で、AHI 低下 74% (62-88%)  (P < 0.001) 、低下全例50%以上低下



Genioglossus responsiveness(頤舌筋反応性)はプラシーボの 2.2 (1.1 - 4.7)%/cm H2)から ato-oxyで6.3 (3.0 to 18.3)%/cm H2)へ、約3倍増加 (P < 0.001)

atomoxetineもoxybutyninも別々に投与してもAHI減少せず



頤舌筋の筋電図(EMG GG):筋内2電極挿入+PSGとシールされた口鼻マスクにpneumotachometer装着し正確な気流測定、さらに、呼吸努力測定としてPes(食道内フラキシブル圧tipカテーテル)測定






序文手抜き
最近まで、内因性セロトニンの使用中止は、睡眠中の性舌筋電図筋活動(EMG GG))の喪失の重要なメカニズムと考えられていました。しかしながら、これらのデータは迷走神経支配除去動物実験に基づいており、そしてセロトニン作動性メカニズムは無傷の動物およびヒトにおける性舌筋活動に最小限の影響しか及ぼさないように思われる。

内因性ノルアドレナリン作動性駆動の睡眠に関連した離脱は、特に眼球運動不振(NREM)睡眠中の主な原因であり、活発なムスカリン抑制は、特にREM中に咽頭低緊張を仲介する。

実際、我々のヒトでの研究は、ノルアドレナリン作用薬デシプラミン(三環系抗うつ薬、TCA)の投与が、NREM睡眠中の性舌筋活動および上気道虚脱性を中程度に改善し、患者のサブグループにおけるOSA重症度を低下させることを示した。ノルアドレナリン作動性を有する別のTCA、プロトリプチリンは、以前に観察研究および無作為化対照試験またはOSAの治療で調査された。 結果は一貫しておらず、一部の患者は客観的および主観的改善を経験し、他の患者はOSA重症度に変化を示さなかった。
特に、これらのTCAは、ドーパミン作動性、セロトニン作動性、抗ムスカリン性および抗ヒスタミン作動性作用を含む広い範囲の非特異的な活性範囲を有する。

 抗ムスカリン薬と組み合わせた特定のノルアドレナリン作動性プロファイルを有する薬剤が、性舌筋活動の実質的な増加をもたらし、OSAの重症度を改善するかどうかは依然として不明である。

したがって、OSAの重症度と頤舌筋反応性に対する抗ムスカリン薬(オキシブチニン)と組み合わせて投与された強力な選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(アトモキセチン)の効果を評価するために、無作為化プラセボ対照二重盲検交差試験を実施しました。





NREM睡眠期自発呼吸中の筋の反応性は、食道内圧のswing変化あたりの頤舌筋筋電図の変化を反映する
薬物治療で反応性増加を示す
パネルBは生データで、食道内圧のswing増大に伴い頤舌筋の活動性が増加し、気流回復を示す


2015年1月27日火曜日

抗コリン剤使用累積量に応じて認知症リスク増大

 抗コリン系薬剤で最も使用されているのは、三環系抗うつ薬、第1世代抗ヒスタミン剤、膀胱抗ムスカリン系薬剤。


長期的に見て、累積抗コリン剤使用量は、認知症・アルツハイマー発症と関連する

Cumulative Use of Strong Anticholinergics and Incident DementiaA Prospective Cohort Study Shelly L. Gray, et. al.
JAMA Intern Med. Published online January 26, 2015. 

フォローアップ平均期間7.3年間、 認知症発症797(23.2%)(うち、アルツハイマー病 637、 79.9%)


10年間の累積量反応関係が認知症・アルツハイマー病でみられる (test for trend, P  < 0.001)

認知小児おいては、非使用者比較累積抗コリン剤使用は、 total standardized daily doses (TSDDs)表現での比較で


1 ~ 90 0.92 (95% CI, 0.74-1.16)
 91 ~ 365 1.19 (95% CI, 0.94-1.51) 
366 ~ 1095 1.23 (95% CI, 0.94-1.62
1095  1.54 (95% CI, 1.21-1.96) 


アルツハイマー病でも同様のパターン


二次分析、感度分析、Post Hoc解析でも健常な結果であった。
 
 
生活改善薬全盛の時代


例えば、過活動性膀胱だからといって、抗コリン剤使用無限・・・ いいかげんにしてほしいものだ・・・

HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...