2012年9月4日火曜日

USPSTF 推奨:肥満スクリーニング・管理

Screening for and Management of Obesity in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Ann Intern Med. 4 September 2012;157(5):373-378


USPSTF 推奨

ICS/LABA使用持続性喘息:スピリーバ追加投与で急性増悪延長、呼吸機能改善

チオトロピウム(スピリーバ)は現時点で喘息の保険適応なく、“慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解”のみ保険適応なので・・・お間違いなく




Tiotropium in Asthma Poorly Controlled with Standard Combination Therapy
Huib A.M. Kerstjens, et. al.
NEJM September 3, 2012 (10.1056/NEJMoa1208606)

トライアル1: PrimoTinA-asthma 1
トライアル2: PrimoTinA-asthma 2


吸入ステロイド+LABA(長時間作用性β2刺激剤)使用しても持続性喘息の状況の912名の患者にチオトロピウム付加したときの効果

ベースラインFEV1予測比 62%、平均年齢53%
24週後、ベースラインからのピークFEV1差平均(±SE)はプラシーボよりチオトロピウムで大きく、トライアル1では86±34 ml(P=0.01)、トライアル2では154±32 ml (P<0 .001=".001" br="br">投与前(トラフ)FEV1は、トライアル1、トライアル2ともにチオトロピウムで改善 : 差 88±31 ml (P=0.01) と111±30 ml (P<0 .001=".001" br="br">
チオトロピウム追加により、初回急性増悪まので期間延長 (282 days vs. 226 days)
重症急性増悪包括的減少比 21% (ハザード比, 0.79; P=0.03)
死亡なし、副事象イベントは2群同様。


吸入ステロイドと身長:思春期前成長率低下 ・・・ 大人になればさほどの差では無いというが・・・

1.2cmの違いは日本人にはさらに影響は少なくなるだろうが・・・1cm身長が短くなるというと気にする親御さんもも多いかも・・・

持続性喘息治療のための吸入ステロイドは一時的に成長期前の成長速度を減少させるが、吸入ステロイド開始後1-4年の身長の伸び減少は結果的には成人での身長は減少しないと思われている。


Effect of Inhaled Glucocorticoids in Childhood on Adult Height
H. William Kelly, Pharm. et. al.
for the CAMP Research Group
NEJM September 3, 2012 (10.1056/NEJMoa1203229)

Childhood Asthma Management Program1041名のうち、943名の身長測定、5-13歳での開始で、budesonide 400μg、 nedocromil 16mg、プラシーボ4-6年割り付け

BUD群は、プラシーボ群に比較して、平均身長は1.2cm(95%信頼区間 [CI], -1.9~-0.5)短い(P=0.001)
nedocromil群はプラシーボ群に比較して0.2 cm lower (95% CI, −0.9 ~ 0.5)短い(P=0.61)

投与開始2年間の吸入ステロイド投与量多いほど成人身長低下と関連 (プラシーボ比較で各μgあたり −0.1 cm) (P=0.007)

BUD群の成人身長減少は治療開始後2年で同様 (−1.3 cm; 95% CI, −1.7 ~ −0.9)

投与開始2年間のBUD群の成長速度減少は主に成長期前に生じる。




USPSTF推奨: 健康食・運動推進のための行動カウンセリング介入

臨床整形外科学会がやってる“ロコモティブ症候群”ってのは、選択しているようだが、個別化考慮に乏しいと思う。ひろくとらえれば、これに該当すると思うが、日本の行政が推奨しがちな“ユニバーサルな健康行動カウンセリング”・・・これに対し、USPSTFは否定的で、選択的介入が必要と推奨。


有害性に関しても記載がなされている。


Behavioral Counseling Interventions to Promote a Healthful Diet and Physical Activity for Cardiovascular Disease Prevention in Adults: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement

 Clinical Guidelines  Ann Intern Med. 4 September 2012;157(5):367-372

健康的食事、運動、CVDの頻度間の関連性は強いが、プライマリケアでの行動に関わるカウンセリング開始の医療ベネフィットは少ない。
医師は、一般の成人全員に対しカウンセリング導入するより、選択的に、カウンセリング患者を選択した方が良い。

CVDリスクの他の要素を含め考慮が必要で、患者の受け入れ準備、利益性を補償する社会的サポート・地域資源、他の医療施設・予防サービスなどを考慮すべき

有害性:より健康上効果のある、他のサービスを失う可能性





Ann Int Med.誌:オーガニック食品 栄養面で優秀性認めず(vs 通常食品) 危険な面も多い

表題のごとく、オーガニックは栄養成分上も優秀とはいえないというのが見解だが、ゼロ・リスク信者の多い日本では相手にされないだろうなぁ ・・・


高い野菜を少数とるよりは、 安い野菜を大量に接種する方が体に良い等とは考えず、農薬成分がちょっとでも少ない方を選ぶ“ゼロ・リスク教”が多いと思う。


Are Organic Foods Safer or Healthier Than Conventional Alternatives?: A Systematic Review
Ann Intern Med. 4 September 2012;157(5):348-366
登録クライテリア合致ヒトの研究17、栄養素・混合成分研究223

ヒト研究の3つのみが臨床的アウトカム検討し、アレルギー性アウトカム(湿疹、喘鳴、アトピー感作)やCampylobacter感染症状に対する食品別のヒトへの影響有意差認めず

2つの研究で、対通常食のオーガニック製品使用で、子供の尿中殺虫剤濃度有意な減少の報告有り、しかし、血中・尿中・授乳中・精液のバイオマーカー研究・栄養素研究では臨床的意義ある差は認めなかった。

食品の栄養素・混入物の分散推定値はかなりばらつきが有り、例外はリンであり、オーガニック食品ではリン成分が多い。ただ、この差は臨床的有意ではない。

殺虫剤残留今夕リスクはオーガニックで少ない (リスク差, 30% [CI, −37% to −23%])。しかし、許容下限を越えるリスクとなる、データのばらつきは少ない。
大腸菌混入リスクはオーガニックと通常食品で差は認めない。
鶏・ポーク小売細菌学的混入は多く見られるが、農法との関連はない。
しかし、3つ以上の抗生剤低抗性分離リスクはオーガニック鶏やポークより通常農法の方がリスクが高い(リスク差, 33% [CI, 21% to 45%]).


新聞解説記事
Stanford Scientists Cast Doubt on Advantages of Organic Meat and Produce
http://www.nytimes.com/2012/09/04/science/earth/study-questions-advantages-of-organic-meat-and-produce.html

オーガニック食品と通常の食品の40年間の比較研究

結論としては、通常食品に比べ、“オーガニック”とラベルされたフルーツ・野菜が栄養分豊かとは言えない。そして、価格ははるかに高く、大腸菌などの危険な最近含有が少ない等とは決して言えずむしろ危険な場合が多いかもしれないというもの。オーガニック肉食品に関しても同様の結論。通常の野菜・果物には殺虫剤残留物は多いが、ほぼ安全域内である。EPA設定レベルを超える状況ではない。




オーガニック食品に関しては、以前も、栄養的要素に関して、否定的報告がなされている。
オーガニック(有機)食品に栄養的優秀性みとめず 2009年 07月 30日




予想通りだが、NYTimesに、反論が寄せられている。
http://www.nytimes.com/2012/09/07/opinion/why-organic-is-better-never-mind-the-study.html

1) オーガニック食品は少ないながら化学物質、EPA基準以下ながら農薬が検出されている。
2)食品の味を無視している
3)生物多様性の減少、環境悪化への言及欠如
4)独立系の農業サポートを軽視
 
・・・と言ったところか

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