2019年11月5日火曜日

周術期:ヘパリンブリッジ不要DOAC管理


AFIRE試験
日本語要約訳
https://www.nejm.jp/abstract/vol381.p1103


説明会でその意義を初めて知ったが、DOAC+抗血小板剤併用の漫然投与への警告と捉えた




それ以前だが、NVAFのときDOAC使用していると、その取り扱いに悩むことが多い。

ワルファリンの時は

Perioperative Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation
James D. Douketis, et al., for the BRIDGE Investigators
N Engl J Med 2015; 373:823-833DOI: 10.1056/NEJMoa1501035
https://www.nejm.jp/abstract/vol373.p823
待期的手術およびその他の待期的侵襲的処置のためにワルファリンを中止した心房細動患者において,「つなぎ」の抗凝固療法を行わなかった場合,低分子ヘパリンによる「つなぎ」を行った場合と比較して,動脈血栓塞栓症予防については非劣性を示し,重大な出血のリスクは低下した.(米国国立衛生研究所の国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.BRIDGE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00786474)
という結論が出ている。


では、DOACではどうかというと、ヘパリンブリッジがやはり必要ないのではという結論となりそう
ただ、少々プロトコールをネット区必要がある


アピキサバン、ダビガトラン、またはリバロキサバンを使用した心房細動の患者3007人を対象としたこのコホート研究では、ヘパリンブリッジングなしの標準的なプロトコルを使用した選択的手術または手順の前後に、直接経口抗凝固薬治療を停止および再開した。
術後30日間の大出血の発生率は2%未満で、脳卒中の発生率は1%未満であった。


DOAC治療患者でのシンプルな標準化周術管理アプロートで、出血リスク・卒中リスク最小化可能



Perioperative Management of Patients With Atrial Fibrillation Receiving a Direct Oral Anticoagulant
JAMA Intern Med. doi:10.1001/jamainternmed.2019.2431 Published online August 5, 2019.
https://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/article-abstract/2740207





特発性肺線維症:専門医師がある程度の尤度をもって診断した場合は抗線維化薬剤は是認される?

呼吸器医師が、provisional high confidenceとして特発性肺線維症と診断した場合、IPFの"working diagnosis"(70%以上なら)がなされた場合、抗線維化薬剤使用は是認され、手術的肺生検は、definiteでない場合の少数にのみ推奨される。




Diagnostic Likelihood Thresholds That Define a Working Diagnosis of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Simon L. F. Walsh
https://doi.org/10.1164/rccm.201903-0493OC PubMed: 31241357
Received: March 01, 2019 Accepted: June 25, 2019
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201903-0493OC


Rationale: 医師が手術的肺生検(surgical lung biopsy:SLB)を行うことなく、抗線維化薬剤を処方する診断尤度のレベルについては知られてない。

目的:IPF尤度とSLBに関連するリスクを明らかにした患者サブグループにおいてSLBをadvocateする医師の頻度を検討し、医師のSLBを要求する抗線維化薬剤処方の尤度を決定

: To determine how often physicians advocate SLB in patient subgroups defined by IPF likelihood and risk associated with SLB, and to identify the level of diagnostic likelihood at which physicians prescribe antifibrotic therapy with requesting SLB.

研究方法:間質性肺疾患60例を呼吸器医師評価国際的コホート
1) differential diagnoses with diagnostic likelihood:診断尤度鑑別診断
2) a decision on the need for SLB:SLB必要性の決断
3) initial management:初期管理
診断はPyersonら記載の診断尤度バンドで層別化
A Standardized Diagnostic Ontology for Fibrotic Interstitial Lung Disease. An International Working Group Perspective
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Nov 15; 196(10): 1249–1254.
Published online 2017 Nov 15. doi: 10.1164/rccm.201702-0400PP
PMCID: PMC5803648
PMID: 28414524
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5803648/

結果:
404名の医師が 60症例を評価(24,240医師x患者評価)

全医師・患者評価の内、鑑別診断としてIPF 9,958/24,240 (41.1%)

SLBの必要性比率は、definite、provisional high-confidenceあるいはprovisional low-confidence診断

provisional high-confidence IPF診断のうち63.0%で、抗線維化薬剤をSLB必要なく処方された

IPFのdefinite診断提示された症例(90-100%診断尤度)とprovisional high confidence IPF診断症例では死亡率に関し有意な差を認めなかった (ハザード比, 0.97; P = 0.65; 95% 信頼区間, 0.90–1.04).



Conclusions: Most respiratory physicians prescribe antifibrotic therapy without requesting an SLB if a provisional high-confidence diagnosis or “working diagnosis” of IPF can be made (likelihood ≥ 70%). SLB is recommended in only a minority of patients with suspected, but not definite, IPF.






ちなみに・・・

ATS/ERS/JRS/ALAT国際診断ガイドライン(2018年)における検査の推奨

 HRCTパターン*がProbable UIP、Indeterminate、Alternative DiagnosisHRCTパターン*がUIP
BAL細胞分析BAL細胞分析の実施を提案する(条件つき)BAL細胞分析を実施しないことを提案する(条件つき)
外科的肺生検外科的肺生検の実施を提案する(条件つき)外科的肺生検を実施しないことを推奨する(強い)
経気管支肺生検経気管支肺生検に対して、肯定/否定のいずれの推奨もしない経気管支肺生検を実施しないことを推奨する(強い)
肺凍結生検肺凍結生検に対して、肯定/否定のいずれの推奨もしない肺凍結生検を実施しないことを推奨する(強い)
薬剤使用歴と環境曝露歴ILDの潜在的要因を除外するために、薬剤使用歴や家・職場・患者がよく訪れる他の場所における環境曝露について詳細な聴取を推奨する(motherhood statements)
膠原病を除外する血液学的検査ILDの潜在的要因を除外するために、膠原病を除外する血液学的検査を推奨する(motherhood statements)
MDD方針決定のためのMDDを提案する(条件つき)
血清バイオマーカー他のILDとIPFを識別する目的で血清MMP-7、SPD、CCL-18またはKL-6を測定しないことを推奨する(強い)


ACP結腸直腸癌スクリーニング検査ガイダンス


「人種および民族性による違いに関していくつかの議論がありますが、これらの違いが人種差または健康格差およびスクリーニング、フォローアップ、および治療の不公平に起因するかどうかは明らかではありません」と述べた
(https://www.medpagetoday.com/gastroenterology/coloncancer/83125)

と書かれている
日本での検診は40歳以上とされていると思うが・・・果たして?





Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians (ACP)が、結腸直腸がん(CRC)スクリーニング検診のためのガイダンス・ステートメント公表

平均リスクレベルでは、50−75歳成人でスクリーニングすべき
検討検査法とその間隔が記載されている;

  • fecal immunochemical testing (FIT) or high-sensitivity guaiac-based fecal occult blood testing (gFOBT):2年毎
  • colonoscopy every 10 years, or flexible sigmoidoscopy every 10 years plus FIT :2年毎

スクリーニングは75歳以上もしくは平均余命10年未満の平均リスク成人ではなされるべきではない

ベネフィット・有害性、コスト、施行しやすさ、頻度、患者の好みを患者と相談してCRCスクリーニング検査は選択すべき
ACPは全ての便検査を、直腸診(digital rectal examination)による便検体より自然排便検体で行われるべき

全成人では、CRCリスク個別評価すべきで、CRC家族歴ある場合、長期間の炎症性腸疾患、家族性腺腫性ポリポーシスなどの遺伝的症候群を有する個人ではリスクが高い
他に、男性、高齢が含まれる





Screening for Colorectal Cancer in Asymptomatic Average-Risk Adults: A Guidance Statement From the American College of Physicians
Amir Qaseem, et al.; for the Clinical Guidelines Committee of the American College of Physicians
Published: Ann Intern Med. 2019;171(9):643-654. 
DOI: 10.7326/M19-0642



Summary of Included Recommendations for CRC Screening in Average-Risk Adults From Assessed Guidelines






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