2013年5月9日木曜日

TOPPS:造血系悪性新生物:出血予防のための血小板予防輸血有効


血液系の悪性腫瘍患者への出血予防としての血小板輸血の有効性トライアル

ランダム化オープンラベル・非劣性トライアル(UK・オーストラリア 14のセンター)
予防的血小板輸血:朝の血小板数 10×109未満

化学療法・幹細胞移植で血小板減少有りもしくは予測される、16歳以上を登録
プライマリエンドポイント:出血 WHO grade 2(7.5〜10.0×104/μl)、3(5〜7.5×104/μl ),4(5×104/μl未満 )(ランダム後30日)

A No-Prophylaxis Platelet-Transfusion Strategy for Hematologic Cancers
Simon J. Stanworth,  et. al. for the TOPPS Investigators
N Engl J Med 2013; 368:1771-1780May 9, 2013

総数600名(非予防群 301、 予防群 299)(2006−2011年)
出血WHO grade 2、3、4 非予防群 151/300(50%) vs 予防群 128/298 (43%)
(比率補正差 8.4%;90%信頼区間、1.7−15.2; 非劣性 p=0.06)

非予防群患者では、予防群患者より、出血日数多く、初回出血エピソードまでの期間短い
血小板使用は、非予防群で、極端に少ない。
2群出血同程度仮事前設定サブグループ解析で、自家幹細胞移植施行患者の2群で同程度
血小板輸血予防継続使用のニーズを支持する研究サポートとなり、出血減少のための予防処置のベネフィットも支持する報告となった。ただ、予防にかかわらず、出血がかなりあることは事実。

肺がんの診断・管理:ACCPエビデンスに基づく臨床実践ガイドライン第3版 :5年ぶり改訂

Diagnosis and Management of Lung Cancer, 3rd ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines
http://journal.publications.chestnet.org/issue.aspx?journalid=99&issueid=926876&direction=P

【要約】

Executive Summary: Diagnosis and Management of Lung Cancer, 3rd ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines
Chest. 2013; 143(5_suppl):7S. doi:10.1378/chest.12-2377




【項目概要】
3.1.1.1. 喫煙歴20pack year病歴を超えるか、肺がん既往の場合、βカロチンサプリメント使用を、一次・二次・三次予防のための使用を推奨しない(Grade 1A)
3.5.1.1. 肺がんリスク・肺がん家族歴の場合、ビタミンE、レチノイド、N-アセチルシステイン、isotretionの一次・二次・三次予防のための使用を推奨せず (Grade IA)
3.6.1.1. (同上)、アスピリン使用の(同上)使用を推奨せず (Grade 1B)
3.7.1.1 非小細胞肺がん患者で、セレニウムを肺がん三次予防使用推奨せず (Grade 1B)

5.7.1. 肺がんリスク・肺がん既往者で、prostacyclin analogs (iloprost)、cyclooxygenase-2 inhibitors (celecoxib)、 anethole dithiolethioneの一次・二次・三次予防のための使用推奨せず(Grade 1B)
5.7.2.  (吸入ステロイドについて)
6.7.1. (ピオグリタゾン、ミオイノシトールについて)
6.7.2.  (tea抽出物、メトホルミンについて)

6.0 肺がんタバコ使用治療

3.1.1.1 現行喫煙者への低照射線量CT検診が、禁煙介入に寄与することで推奨する(Grade 1B)
3.1.1.2 現行喫煙者で、喫煙関連疾患が示された場合、教科的な禁煙介入を推奨する(Grade 1B)
3.2.1.1 手術施行肺がん患者では、禁煙率改善のための禁煙薬物治療の周術的しようを推奨する (Grade 1B)
3.2.1.2 薬物的治療サポート禁忌、拒否肺がん患者では、収受付きに禁煙カウンセリングすることがよいと示唆 (Grade 2C)
3.2.1.3 手術施行肺がん患者では、禁煙のタイミングは、術後合併症増加するようには思えない。術前に開始するべきと示唆 (Grade 2C)
3.2.1.4 手術介入と禁煙を行う場合、カウンセリングと薬物治療を手術介入開始時点で始めるよう推奨 (Grade 1B)
3.3.1.1 化学療法施行肺がん患者では、カウンセリングと薬物治療を含む禁煙介入は、禁煙成功率を増加させる
3.3.1.2 うつ症状の肺がん患者では、禁煙成功率、うつ症状、QoL改善のため、bupropionによる薬物療法が示唆される (Grade 2B)
3.3.1.3 薬物療法禁忌・拒否の肺がん患者では、カウンセリングのみが禁煙率改善をもたらすと示唆 (Grade 2C)
3.4.1.1 放射線療法をうけた肺がん患者では、カウンセリングと薬物療法の禁煙介入を推奨 (Grade 1C)

7.0 肺がん検診
3.2.1.肺がん発症リスク患者において、一定間隔胸部レントゲン単回は推奨されず(Grade 1A)
3.2.2. 肺がん発症リスク患者において、一定間隔喀痰細胞診肺がん検診の妥当性示唆されず (Grade 2B)
3.4.1. 55−74歳の喫煙・喫煙既往と、30 pack-years以上(喫煙継続、禁煙継続15年間内)において、年次低放射線量CT(LDCT)は、年次CXR検診や無検診をうわまわる利益性があるが、 National Lung Screening Trialの被験者においてのみ、適応される状況に過ぎない (Grade 2B)
3.4.2 30 pack-years喫煙歴未満の場合、55歳未満、74歳以上の場合、禁煙継続15年以上の場合、治癒治療可能性限定・予後少ない場合などの重度合併症有る場合、CT検診は行われるべきではない( Grade 2C)

8.0 結節陰影評価
(経過レビュー重視、2年以上不変安定solid・intermediate結節フォロー必要なし、直径8mm超のsolid/intermidiate 結節・事前確率 5%-65%ではPETなどの機能的画像推奨、65%事前確率超える場合はPETなど必要なし、直径8mm超の検査代替法はリスクとベネフィットの天秤で患者の好み優先、CTサーベイランス<臨床的悪性確率<5%、臨床的確率低く(<30 ct="" dynamic="" hypermetabolic="" intermediate="" mm="" p="" solid="">
9.0 肺がん患者の初期評価に関わる臨床的・医療基幹的要素

10.0 肺がんの診断確定

11.0 切除可能手術肺がん患者の身体的評価

12.0 肺がんの病期分類

13.0 非小細胞肺がんの病期分類法

14.0 肺がんの外科病理診断

15.0 中枢気道の気管支上皮内新生物や早期肺がんの診断・治療

16.0 NSCLC StageI・II治療

17.0 NSCLC Stage III治療

18.0 NSCLC Stage IV治療

19.0 NSCLC 特殊治療について

20.0 小細胞がんの治療

21.0 肺がんの補完治療と集約的治療

22.0 治癒志向治療後の肺がん患者のフォローアップ・サーベイランス

23.0 肺がん患者の症状管理

24.0 肺がんの緩和・終末期ケア


【解説】
http://www.prnewswire.com/news-releases-test/new-lung-cancer-guidelines-recommends-offering-screening-to-high-risk-individuals-206373461.html



鹿児島県で行われている非常識なCT検診、関係者は上記太文字の意味合いをよく考えてほしいものだ・・・ 基礎疾患、若年者、喫煙有無分別無く希望だけで検診されている状況

RSV:シナジス注(モノクローナル抗体)の効果

モノクローナル抗体 palivizumabの高リスク乳児での重症RSV感染予防有効性

シナジス筋注液 50mg/100mg

効能又は効果/用法及び用量




下記の新生児,乳児及び幼児におけるRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染による重篤な下気道疾患の発症抑制
RSウイルス感染流行初期において

・在胎期間28週以下の早産で,12ヵ月齢以下の新生児及び乳児

・在胎期間29週~35週の早産で,6ヵ月齢以下の新生児及び乳児

・過去6ヵ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヵ月齢以下の新生児,乳児及び幼児

・24ヵ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児,乳児及び幼児


シナジスの効果に関する報告・・・

Respiratory Syncytial Virus and Recurrent Wheeze in Healthy Preterm Infants
Maarten O. Blanken, et. al.
 for the Dutch RSV Neonatal Network
N Engl J Med 2013; 368:1791-1799 May 9, 2013

429名の健康早産(妊娠33−35週出産)乳児
RSVシーズン中、palizvizumab 214名  vs プラシーボ 215名割り付け
事前設定プライマリアウトカムは、出生後1年までの患者報告喘鳴日数
鼻咽頭ぬぐいサンプルをウィルス解析
喘鳴日数を61%減少(95% 信頼区間、 56-65%),
RSV 930/63075日(1.8%)
プラシーボ 2309/51726日(4.5%)
この期間、喘鳴繰りかえし比率は、治療群で10%減少(11% vs 21% , p = 0.01)

心血管疾患多リスク患者へのn-3不飽和脂肪酸の長期効果 ・・・ 否定 (対 オリーブオイル食)


n–3 Fatty Acids in Patients with Multiple Cardiovascular Risk Factors
The Risk and Prevention Study Collaborative Group
N Engl J Med 2013; 368:1800-1808
May 9, 2013DOI: 10.1056/NEJMoa1205409

【背景】心筋梗塞あるいは心不全患者へのn-3不飽和脂肪酸(PUFA)の利益的効果を示すトライアルがある。この報告では、心筋梗塞既往のない多くの心血管疾患リスク・動脈硬化疾患患者へ効果があるかの評価。
【方法】2重盲験プラシーボ対照化臨床トライアル
イタリア、860のGPによりフォローされた患者680名コホート
登録患者は多くの心血管リスク要素があるか、動脈硬化血管疾患を持つが、心筋梗塞でない男女
ランダムに n-3 脂肪酸 1g/日 と プラシーボ(オリーブ油)割り付け
初期特異的プライマリエンドポイントは、死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的卒中の累積発生率
1年後のイベント率が被験者より低いことが判明したため、プライマリエンドポイントを改訂し、心血管疾患原因死亡/心血管原因のための入院までの期間とした。
【結果】
12513名登録、n-3脂肪酸割り付け 5244名、プラシーボ割り付け 6269
フォローアップ中央値5年間で、プライマリエンドポイント 1478/12505(分析中比率 11.8%)
n-3脂肪酸 733/6239 (11.7%) vs  プラシーボ 745/6266(11.9%)
( n-3脂肪酸 補正ハザード比 , 0.97; 95% 信頼区間 0.88-1.08; p=0.58)
帰無仮説結果が二次エンドポイントで見られた。
【結論】多くの心血管リスク要素をもつ患者の大規模GPコホートで、連日n-3脂肪酸は心血管疾患死亡率・合併症を減少せず。

「ロドリガ」 EPA-E 465mg、DHA-E 375 mg 、「エパデール」 EPA 300mg/600/900mg の、非心筋梗塞・非心不全患者での薬剤保険適応再評価はまだなのでしょうか? 健康保険適応として「高脂血症」となっており、この種の製薬が、日本では広い保険適応となっている。

オリーブオイルを食べた方がましだろうし、日本にもn-3豊富な食品あるわけだし・・・薬品として認可する意味合いって限定的だと思う。

GISSI Prevention (1999)では、n-3脂肪酸により心筋梗塞既往患者の心血管疾患死減少効果が認められ、GISSI-HFトライアル(2008)では心不全患者での魚油の死亡率・入院率減少効果が示されているから、この群では適応有っても良いと思うが・・・

厚労省(政府)は、製薬会社のために広大な保険適応を用意し、臨床医が実際にそれに従うと、マスコミなどを利用して薬の使いすぎとたたく。・・・医療費・医薬品部分高騰の原因の多くは厚労省にあるんだよ。・・・

noteへ実験的移行

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