2015年12月29日火曜日

癌背胸膜炎胸膜癒着:オピオイド使用vs NSAIDs使用、チェストチューブサイズ

癌性胸膜炎管理における胸膜癒着術:Pleurodesisにおいて、疼痛コントロールは必要だが、NSAIDsはできるだけ有効性を減弱しそうなので避けたいという序文

NSAIDs使用はオピオイド使用と比べ胸膜癒着成功率に関して非劣性
ただ、レスキュー使用必要数多くなる
一方、チューブサイズ小さいとトラブル増える


Effect of Opioids vs NSAIDs and Larger vs Smaller Chest Tube Size on Pain Control and Pleurodesis Efficacy Among Patients With Malignant Pleural Effusion
The TIME1 Randomized Clinical Trial
Najib M. Rahman,  et. al.
JAMA. 2015;314(24):2641-2653. doi:10.1001/jama.2015.16840.


オピオイド群 (n = 150) vs  NSAID群 (n = 144) の疼痛スコアは有意差を認めず (mean VAS score, 23.8 mm vs 22.1 mm; adjusted difference, −1.5 mm; 95% CI, −5.0 to 2.0 mm; P = 0.40)

しかし、NSAIDs群ではよりレスキュー鎮痛剤が必要 (26.3% vs 38.1%; rate ratio, 2.1; 95% CI, 1.3-3.4; P = .003)

胸膜癒着失敗は、オピオイド群 20% はvs NSAIDs群 23%比較で非劣性クライテリアに一致 (difference, −3%; 1-sided 95% CI, −10% to ∞; P = 0.004 for noninferiority)

chest tubeのサイズ、 12F (n = 54)は、vs 24F群 (n = 56) において疼痛スコアは少ない (mean VAS score, 22.0 mm vs 26.8 mm; adjusted difference, −6.0 mm; 95% CI, −11.7 to −0.2 mm; P = 0 .04)

12Fは、対 24F chest tubeに比べ癒着失敗率高い  (30% vs 24%), failing to meet noninferiority criteria (difference, −6%; 1-sided 95% CI, −20% to ∞; P = .14 for noninferiority).

chest tube挿入中合併症は12Fチューブで多い (14% vs 24%; odds ratio, 1.91; P = 0.20)

ヨガとセルフコンパッション瞑想:アルツハイマー型認知症介護家族へのQOLやセルフコンパッションへの効果


セルフ・コンパッション尺度日本語版の作成と 信頼性,妥当性の検討
Neff(200 ) は,セルフ・コンパッション自分へのやさしさ (self-kindness), 共 通 の 人 間 性(common humanity), マインドフルネス(mindfulness)という三つの特性か らなると考え,それぞれの対極となる特性,すなわち 自己批判(self-judgment),孤独感(isolation),過剰同 一化(over-identification)を組み入れた 因子からな るセルフ・コンパッション尺度(Self-Compassion Scale: SCS)を作成
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy/85/1/85_50/_pdf





アルツハイマー病患者の家族介護者のcompassion meditationを伴うヨガ実践による、QOL、attention(注意力)、vitality、self-compassionへの効果評価






Yoga and compassion meditation program improve quality of life and self-compassion in family caregivers of Alzheimer's disease patients: A randomized controlled trial
Marcelo AD Danucalov ,et. al.
Article first published online: 21 DEC 2015
Geriatrics Gerontology International
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ggi.12675/abstract


計46名のボランティアをランダムに2群割り付け
ヨガ・compassion群 (n=25)、 対照群(CG: n = 21)
プログラムは、8週継続、週毎に3回のヨガと瞑想実践、セッション時間は1時間15分

結果:ヨガ・compassion瞑想プログラムにより有意にCG群よりquality of life、 attention,、vitality、self-compassion score改善(p < 0.05)

介入後time-pointでは統計学的有意差でなかった


今回の知見:アルツハイマー型認知症家族介護者において8週間のヨガ・compassion瞑想プログラムは、QOL、vitality、attention、self-compassion改善





ヨガ・compassionの対照が、Sham-Yogaじゃないから・・・真にヨガ・compassion瞑想によるものかエビデンス的疑念が挟まれるのは仕方が無い。
ただ、なにかと悩み深い認知症家族介護者へ何もしないよりははるかに利益性は高いということだけはわかった。

2015年12月28日月曜日

COPDの”ロコモ”:ミトコンドリア機能障害


Contribution of the mitochondria to Locomotor Muscle Dysfunction in COPD patients
Tanja Taivassalo, et. al.
CHEST (2016), doi: 10.1016/j.chest.2015.11.021.



COPD locomotor muscleのmtROS遊離量実測報告は少ない

permeabilizeされた外側広筋のミトコンドリアあたりのH2O2遊離ネット量は、中等症COPD患者で対照者に比べ増加。これは、ベースラインの Complex-II-driven 呼吸中(State 2)に当てはまる。
superoxide産生速度増加、アクティブなリン酸化(State 3)と相関する

日々の身体不活発は、State 2呼吸の比率を増大させ、電子伝達系によるmtROS産生を増加させる。ROSによるmtDNAダメージにより電子伝達系(I, III, IV, V)機能障害を生じ、ミトコンドリアのoxidative capacity低下させ、ROS産生促進する。mtROS産生促進は、permeability transitionを誘導し、mPTPを合成、pro-apoptotic factorだるCytochrome-Cを流離し、effector caspaseの活性化、myonuclear apoptosisと繊維の萎縮を生じる。ミトコンドリア由来ROSはFoxO、NFκB transcription factor、autophagy-lysosome proteolytic pathwayを活性化し、繊維萎縮を生じる
加齢細胞における酸化ストレスと炎症は、COPDの筋肉の病態生理と類似



COPDミトコンドリアを介したlocomotor muscle dysfunctionの治療戦略
PGC-1α、PPAR signaling pathway1をターゲットに生理学的運動、薬物学的に調整し
1)ミトコンドリア生合成促進、脂肪代謝促進、Type 1筋線維比率を改善し筋肉oxidative capacityを増加:多価不飽和脂肪酸、PPAR isoformの内因性リガンドはミトコンドリアの生合成促進、筋肉のoxidative capacityを誘導する
2)ROS産生、Oxidative stress抑制:ミトコンドリア標的抗酸化物質によりROS過剰産生を中和し、COPD筋肉内のoxidative stressを改善
3)NFκB経路を阻害し、筋萎縮を抑制






Chance & Williamsの酸素電極を用いた生理的状態(State)下の観察

Respiratory enzymes in oxidative phosphorylation. III. The steady state.

State 3:呼吸基質、Pi、 ADP及び酸素が十分にあり、酸化的リン酸化反応、呼吸速度が極めてて早い
State 4:ADPが全てリン酸化され、呼吸速度がゆるやかに、呼吸鎖の電子伝達系とリン酸家系が平衡状態:制御呼吸状態

Lung-dominant connective tissue disease (LD-CTD)

44症例の後顧的解析

Lung-dominant connective tissue disease (LD-CTD) は間質性肺炎の疾患概念

その臨床的、レントゲン的、組織学的報告


Lung-Dominant Connective Tissue Disease Clinical, Radiologic, and Histologic Features
Norihito Omote, et. al.
CHEST 2015; 148(6):1438-1446
44例の連続血清学的確認LD-CTD手術的肺生検施行患者 
組織所見
UIP 25、 NSIP 13
2つ以上の組織学的特性を持つLD-CTDは、h-UIP 15、 h-NSIP 11
h-UIP 15例 はHRCT上 inconsistent UIPパターン
MDD後、h-UIP 18例は unclassifiable IIP


 h-UIP患者では有意に年時%予測肺活量変化改善し、その症例はh-UIPより生存率良好 (p=0.02)

生存率はHRCTパターンと相関せず







ABBREVIATIONS:
ANA antinuclear antibody
anti-Jo1 anti-tRNA synthetase
CS  corticosteroid
CTD  connective tissue disease
h-NSIP  histologic nonspeci c interstitial pneumonia
HRCT high- resolution CT
h-UIP  histologic usual interstitial pneumonia
IIP idiopathic interstitial pneumonia
ILD interstitial lung disease
IPF idiopathic pulmonary  brosis
LD-CTD  lung-dominant connective tissue disease
MDD multidisciplinary discussion
NSIP  nonspeci c interstitial pneumonia
OPorganizing pneumonia
%FVCpercent predicted FVC
PFT  pulmonary function test
SLB surgical lung biopsy
UIP  usual interstitial pneumonia







2015年12月26日土曜日

NIH working group report :減量管理のためのゲノム情報利用について

現時点でゲノム検査でご自身の将来リスクが分かる・・・ってインチキ宣伝している業者もあるようだが・・・まだまだというのが、この世界


Press release 
5年内に個別的に患者の遺伝子に基づくダイエットのデザイン設計が可能となると予測
いくつかの体重増加・減少に関わる有望遺伝子がその根拠らしいが、一方で、遺伝子、行動、体重関連疾患との関連性を迅速に明確にする必要があるとも述べている。


以下の報告では、遺伝子検査、ゲノム研究、体重変容研究を解析し、体重に関わる特定の遺伝子を見いだしているが実際の機序は完全には理解されてないということをレビューしている





ゲノムや他のデータで治療最適化・個別化による、precision medicine。2500を超える遺伝子検査が現在利用可能だが、極端 and/or rareなphenotypeが大部分で、これらのアプローチがコモンで複雑な状況を有する、メタボリック疾患ホストの大元である肥満、炎症、インスリン抵抗性の治療に利用可能かどうか未だに疑問

Trans-NIHカンファレンスからの新しいレビュー、創造されたタイトルは、 “Genes, Behaviors, and Response to Weight Loss Interventions”
体重変化分野のゲノム・遺伝子研究の状況をレビューし、将来研究のためキーエリア同定を目的

NIH working group report—using genomic information to guide weight management: From universal to precision treatment
Molly S. Bray, et. al.  and The Conference Working Group
Obesity Volume 24, Issue 1, pages 14–22, January 2016
フルテキスト:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oby.21381/full




2015年12月25日金曜日

カンガルーケア:新生児・早期産児死亡率軽減効果 ・・・ 但し、周産期医療アクセス困難な低所得国の話

Kangaroo mother care (KMC):カンガルーケアのシステマティック・レビュー&メタアナリシス


一定数以上検討のレビューで、低体重新生児の死亡リスク減少に役立つことを示した



Harvard School of Public Healthの研究者たちによれば、Kangaroo mother careで酸素化、体温調整、疼痛トレランスにベネフィットの可能性が以前から知られていたが、今回、低体重新生児・早期産児死亡率軽減効果が示された。


ただ、この治験は、低・中所得国での話で、これらの国々は、早期産死亡率がかなり高い国での話




KANGAROO MOTHER CARE AND NEONATAL OUTCOMES: A META-ANALYSIS
Ellen O. Boundy,  et. al.
Pediatrics Jan. 2016
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2015/12/22/peds.2015-2238




心血管疾患・糖尿病・心不全・CKD患者:収縮期血圧130 mm Hg未満を目指すべき

心血管疾患予防のための降圧治療ベネフィットは確立しているが、ベースラインの血圧によりその効果の程度が異なるか不明。また合併症の存在、薬剤クラスによる効果の影響も不明。


今回のシステマティック・レビュー&メタアナリシスで、降圧治療はベースライン血圧値のばらつきや合併症横断的に血管リスク減少させること判明。130 mm Hg未満の収縮期血圧低下し、心血管疾患・冠動脈性疾患、卒中・糖尿病・心不全・CKD病歴患者でより降圧強化すべきと強くサポートする。





Blood pressure lowering for prevention of cardiovascular disease and death: a systematic review and meta-analysis
Dena Ettehad, et. al.
The Lancet. Published online December 23, 2015.
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S0140-6736(15)01225-8

tabular meta-analysis 123研究、 613,815名
メタ回帰解析にて、降圧達成程度に応じた相対的リスク減少が示された



収縮期血圧 10 mm Hg減少毎、イベントリスク有意減少

  • 重大心血管疾患 (relative risk [RR] 0.80, 95% CI 0.77–0.83)
  • 冠動脈疾患 (0.83, 0.78–0.88)
  • 卒中 (0.73, 0.68–0.77)
  • 心不全 (0.72, 0.67–0.78)

住民研究


  • 全原因死亡率は有意に13%減少 (0.87, 0.84–0.91)

しかし、

  • 腎不全への効果は有意にあらず  (0.95, 0.84–1.07)



同様の(収縮期血圧 10 mm Hgあたりの)比例リスク減少効果は、平均ベースライン収縮期血圧高値であるトライアルや平均ベースライン収縮血圧低値であるトライアルで著明 (all ptrend>0.05)


重大心血管疾患の比例的リスク減少に関して、ベースラインの疾患病歴により異なるという明確なエビデンスは存在しない。例外は、糖尿病、CKDで、程度は小さいが有意なリスク減少が見られた。

重大心血管疾患、卒中、腎不全に関して、β blockerは他剤に比べ劣性

卒中予防において、カルシウムチャンネル遮断剤(CCB)は他薬剤より優越

心不全予防に関して、CCGは他薬剤に比べ劣性、利尿剤は他薬剤に比べ優越

バイアスのリスクは113で低く、10トライアルは不明と判断
ア}}ウトカムのheterogeneityは低〜中等度;重大心血管イベントheterogeneityのI2 stasitcは、冠動脈疾患 41%、 卒中 26%、 心不全 37%、 腎不全 28%、 全原因死亡率 35%






2015年12月24日木曜日

無合併尿路感染の3分の2はイブプロフェンで対応可能だが・・・リスク受容必要

無合併尿路感染(UTI)ではイブプロフェンだけで、抗生剤使用率を減少できるか?
症状、再発、合併症比較


UTI治療に関して合併症のない女性で、3分の2は抗生剤使用無しのイブプロフェンで改善。初期有症状で抗生剤使用を受容しない場合、即時抗生剤使用を避けることも可能だが幾分か症状程度が重くなることも受け入れてもらわなければならない


Ibuprofen versus fosfomycin for uncomplicated urinary tract infection in women: randomised controlled trial
Ildikó Gágyor  , et. al.
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6544 (Published 23 December 2015)


18−65歳女性、典型的UTI、リスク要素無し・合併症無し
42のドイツのGP

ランダム化
fosfomycin 3 g (n=246; 243 analysed)
ibuprofen 3×400 mg (n=248; 241 analysed)
×3日間

症状持続・悪化・再発なら抗生剤処方


プライマリエンドポイント:全経過における抗生剤治療 (for UTI or 他理由)数 :第0−28日と、第0−7日の症状burden


症状スコアは、排尿困難、回数/切迫性、下腹部痛


イブプロフェン群の248名の女性では有意に抗生剤使用経過少なく、症状の総burden、腎盂炎回数多い


重大事象4つあり病院受診で、1例はトライアル薬剤関連
非合併症UTI患者の全女性というより、軽症・中等症症状を有する女性で適応は検討されるべきでその際も注意が必要



2015年12月22日火曜日

入院栄養指導管理の意味は未だ確定的でない

日本では管理栄養士による入院栄養指導管理が義務づけられているわけだが、その有効性をサポートするエビデンス欠如しているという話



Nutritional Support and Outcomes in Malnourished Medical InpatientsA Systematic Review and Meta-analysis
Martina R. Bally, et. al.
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2015. 

【序文】  急性疾患において、栄養不良あるいは栄養状態リスクのある患者に、栄養療法が多く行われている。しかしながら、包括的トライアルでこのアプローチの有効性・ベネフィットについて明確に提示されたものは筆者らも知らないとのこと


【目的】  栄養不良あるいはそのリスクのある医療入院患者での栄養サポートによる効果のRCTsのシステマチックレビュー


【データ源】  Cochrane Library、 MEDLINE、 EMBASE
研究日は1982年10月5日から2014年4月30日、多国(主に欧州)
今回の解析日は、2015年3月10日から2015年9月16日


【研究選択】  事前設置Cochraneプロトコールに基づき、栄養サポート(カウンセリング、経口・腸管栄養を含め)と対照群のないか入院患者への効果に関するRCTsをシステマチックに調査



【データ抽出】  2名のレビュー:特性、方法、アウトカム
不一致はコンセンサス処理


【主要アウトカム・測定】
・プライマリアウトカムは、死亡率
・セカンダリアウトカムは、院内肺炎、非待機入院、機能的アウトカム、入院滞在期間、1日あたりカロリー摂取・蛋白摂取・体重変化

【結果】  22のRCT、3736名検討

RCTs間Heterogeneity 高度で、ほぼ全部研究の質低く、多くはバイアス不透明リスク存在。


介入群患者は、対照群に比べ、体重増加(mean difference, 0.72 kg; 95% CI, 0.23-1.21 kg)、カロリー摂取増加 (mean difference, 397 kcal; 95% CI, 279-515 kcal)、蛋白摂取 (mean difference, 20.0 g/d; 95% CI, 12.5-27.1 g/d) 増加


介入群と対照群の患者にて、死亡率 (9.8% vs 10.3%; odds ratio [OR], 0.96; 95% CI, 0.72-1.27)、院内肺炎(overall, 6.0% vs 7.6%; OR, 0.75; 95% CI, 0.50-1.11)、機能的アウトカム (mean Barthel index difference, 0.33 point; 95% CI, −0.88 to 1.55 points)、入院滞在期間数 (mean difference, −0.42 days; 95% CI, −1.09 to 0.24 days)に差を認めず


非待機的再入院は介入群で有意に減少 (20.5% vs 29.6%; risk ratio, 0.71; 95% CI, 0.57-0.87)


【結論・知見】 内科入院患者で、栄養サポートはカロリー摂取、蛋白摂取量増加し、体重も増加させる。しかし、臨床的アウトカムは、非待機的再入院機会減少以外有効性を認めない。
高品質RCTがこの摂取量・体重増加効果と臨床的アウトカム効果のギャップを埋めるため必要。



急性期病院や急性期ケアにおいても、厚労省は管理栄養士の存在を病院の存続必須要素としているわけだが、お国は科学的エビデンスレベルで施策しているといえるのだろうか?専門職としての管理栄養士は自らの分野の科学的エビデンス構築に努力していると言えるのだろうか?

糖尿病や腎疾患など慢性期疾患への栄養管理の重要性は計り知れないことは認める。だが、急性期においてのその必要性は別に考える必要があるのでは?


無合併症気道感染薬物即時治療は必ずしも正しくない

「早期治療」は全て「善」なのだろうか? 早期発見・早期治療が全て善とされているような風潮の日本。

合併症無しの急性呼吸器感染では、処方箋をもっててもすぐに使わず患者判断で使用した場合でも、即治療群と同等の有症状期間であり、かつ、重症度も変わらない

無治療群でもさほど差は無い


Prescription Strategies in Acute Uncomplicated Respiratory Infections
A Randomized Clinical Trial
Mariam de la Poza Abad, et. al. ; for the Delayed Antibiotic Prescription (DAP) Group
JAMA Intern Med. Published online December 21, 2015.


4つの処方戦略
(1) delayed patient-led prescription strategy : 遷延的患者主導処方戦略
(2) a delayed prescription collection strategy requiring patients to collect their prescription from the primary care center : 一次医療センターからの処方収集するよう患者から要求された、遷延的処方収集戦略
(3) an immediate prescription strategy  : 即時処方戦略
(4) a no antibiotic strategy : 抗生剤使用無し戦略
遷延処方戦略とは、症状悪化時のみ、もしくは、医療機関受診後数日で症状改善したいの時のみ服用する方法

プライマリアウトカムは、症状期間と症状重症度
各症状は6ポイントLikertスケール(3もしくは4は中等度、5もしくは6は重症)
セカンダリアウトカムは抗生剤使用、患者満足度、抗生剤有効性患者の評価

405名を登録、うち398名を解析;136名(34.2%)男性、平均(SD)  年齢 45(17)歳
平均重症度 Likert scale 1.8〜3.5、初診からの平均(SD)症状期間 6(6)日間。初診時平均(SD)健康状態を0〜100(最善)としたスケールで評価 54 (20)
314名(80.1%)は非喫煙者、372名(93.5%)は呼吸器系合併症無し
4群同様な初診時症状所見

重症症状期間は、即時治療群では 3.6(3.2)日間、 処方無し群では 4.7(3.6)日間
重症症状期間 中央値[IQR] は、遷延的処方収集戦略群 3 (1-4)日間、患者主導処方群では 3 (2-6)日間

最大重症度中央値(IQR)は、即治療群 及び遷延的処方収集戦略群 5 (3-5)
遷延的患者主導処方戦略群は、 5(4-6)、 抗生剤使用無し戦略群では 5 (4-6)

抗生剤使用無し戦略なしにランダム化された群もしくは遷延的戦略群では、抗生剤使用少なく、抗生剤が有効であると考える頻度も少なかった。

患者満足度はどの群も同等

心停止の半数は4週間内に胸痛と呼吸困難を訴える

心臓突然死、sudden cardiac arrestは必ずしも突然ではないのかもしれない


Warning Symptoms Are Associated With Survival From Sudden Cardiac Arrest ONLINE FIRST
Eloi Marijon,  et. al.
Ann Intern Med. Published online 22 December 2015

Oregon Sudden Unexpected Death (SUD) cohortの研究

警告徴候、特に胸痛と呼吸困難は、心停止(SCA , sudden cardiac arrest)の4週前に、半数に生じていることが分かった。
839名のSCAの約半数、51%、430名に、イベント先行4週間前に少なくとも一つの徴候が見られた、男女とも同等。

80%の患者はSCA発症の1時間以上前から徴候開始。147名では24時間超前から徴候有り。

主要症状は胸痛で199名で、うち76%が観血的典型的狭心症症状
次が、18%で呼吸困難で、1/3ほどがうっ血性心不全や肺疾患存在あり

5%で失神、動悸が前駆症状と考えられた


SCD先行症状ある430名の内、19%がSCA以前にEMSコール。911コールなされた81名のうち、4分の3超でEMSチーム到着前に心停止、22%は病院搬送中に心停止

911コールの32.1%が生存下退院に対して、911コールしなかった患者では6%のみ生存下退院。因子補正検討で、911コールにて生存退院尤度は約5倍、OR 4.82。


ICD適応者を探し出し、装着させることは現実的限界が有る。リスク患者を正確に同定できるステップになる前の現時点では、前兆をとらえる有益性に関して議論が必要かもしれない・・・・

2015年12月21日月曜日

医師:コーヒー購入多いのは整形外科、放射線科、外科 偉くなるほどコーヒーを多く購入する

医師のコーヒー購入数:専門科目、ポジションなどとの関連する



Black Medicineとしてプロモーションされたのが1555年というから長い歴史がある
糖尿病、パーキンソン病、肝硬変、直腸癌、自殺、心血管疾患減少ベネフィット、全死亡率減少など報告されているが、コーヒーの健康各面での影響、debatableと言って良いだろう
過重労働や疲労管理戦略としてのカフェイン使用という側面


医師たちのコーヒー購入行動について検討


Christmas 2015: Professional Considerations
Black medicine: an observational study of doctors’ coffee purchasing patterns at work
BMJ 2015; 351 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6446 (Published 16 December 2015)


有資格医師 766名、 男性 425名、女性 341名
全ての専門:内科 201、 一般外科 76、 麻酔 67、 放射線 55、 整形外科 48、 産科 43、 神経 36、 神経外科 23、 他専門 96

ある病院食堂でのコーヒー購入した医師は84%、644名。2014年医師のコーヒー購入数 70 772



専門と年間コーヒー購買数に相関あり (F=12.45; P < 0.01)

整形外科医が年間1人あたり購入一番多く(平均 189、 SD 136)、続いて 放射線 (177, SD 191) 、一般外科医(167, SD 138)
麻酔医は最小 (39, SD 48)

男性の方が年間コーヒー購買有意に多く 128 (SD 140) v 86 (SD 86), t=−4.66, P < 0.01) 、女性医師のほぼ2倍 (mean 27 (SD 46) v 10 (SD 19), t=−6.54, P < 0.01)

階級地位もコーヒー購入と相関 (F=4.55; P=0.04)


シニアコンサルタント(5年超の経験)が最も年時1人あたりコーヒー購入多く (140, SD 169) 、ジュニアやレジデントは少ない (95, SD 85)


購入回数はヒエラルキーポジションとともに増加(χ2=556.24; P < 0.01)
所属部署トップはジュニアドクターより購入回数多い (30% v 15%)









2015年12月20日日曜日

1型糖尿病インスリン誘発低血糖に対する鼻腔内グルカゴン投与治験

1型糖尿病インスリン誘発低血糖に対する鼻腔内グルカゴン投与治験



事前設定治療成功クライテリアにおいて、非劣性検証

13分と16分の治療効果の差を認容するとした報告





Intranasal Glucagon for Treatment of Insulin-Induced Hypoglycemia in Adults With Type 1 Diabetes: A Randomized Crossover Noninferiority Study
Michael R. Rickels, et. al.
Diabetic Care Published online before print December 17, 2015

8つの臨床センター、ランダム化交差非劣性トライアル、1型糖尿病75名
静注インスリンによる低血糖治療のためグルカゴン投与
・鼻腔内 3mg
・筋肉内 1mg
治療成功:血糖70mg/dL 以上、グルカゴン後30分以内nadirから20 mg/dL以上増加

グルカゴン投与時血糖 鼻腔内投与群 48 ± 8、 筋肉内投与群 49 ± 8 mg/dL

成功クライテリアとなったのは1例の鼻腔内を除き全て  (98.7% vs. 100%; 差 1.3%, upper end of 1-sided 97.5% CI 4.0%)

成功までの時間は 鼻腔内16分、 筋肉内 13分  (P < 0.001)

頭部/顔面不快は鼻腔内 25%、 筋肉内 9%
吐気(嘔吐有無両方)が35%、38%





救急隊使用なども想定されてるらしい・・・

2型糖尿病・インスリン使用

2015年12月19日土曜日

うっ血性心不全と病的腸内細菌叢の密接な関連

病的腸内細菌叢の存在とIntestinal Permeability(腸内透過性?)では、うっ血性心不全患者では疾患重症度、静脈うっ血、炎症と関連するか?

Intestinal junctionは抗原などの有害性物質のバリアとなり、腸内からの侵入を防ぐ役割もある。tight junction claudin pore pathwayなど・・・

これに腸内細菌叢が関与していることは想像に難くない。


故に、病的細菌叢によるうっ血性心不全への影響は?


結論から言えば、うっ血性心不全患者では、重症度増すほど、病原性細菌(キャンピロバクター、赤痢菌、サルモネラ菌、エルシニア・エンテロコリチカ)とカンジダ属の菌量増加し、腸内透過性亢進し、右室圧、CRPなど増加する



Pathogenic Gut Flora in Patients With Chronic Heart Failure
Evasio Pasini,  et. al.
JCHF. 2015;():. doi:10.1016/j.jchf.2015.10.009

NYHA I、II n=30
NYHA  III、IV n=30
正常対照 n=20
 
正常対照と比べ、CHF患者全体は、病的最近とカンジダをmassiveな量有する
Campylobacter (85.3 ± 3.7 CFU/ml vs. 1.0 ± 0.3 CFU/ml; p < 0.001)Shigella (38.9 ± 12.3 CFU/ml vs. 1.6 ± 0.2 CFU/ml; p < 0.001)Salmonella (31.3 ± 9.1 CFU/ml vs 0 CFU/ml; p < 0.001)Yersinia enterocolitica (22.9 ± 6.3 CFU/ml vs. 0 CFU/ml; p < 0.0001)Candida species (21.3 ± 1.6 CFU/ml vs. 0.8 ± 0.4 CFU/ml; p < 0.001)

Intestinal permeability 変化  (10.2 ± 1.2 mg vs. 1.5 ± 0.8 mg; p < 0.001)右房圧 RAP (12.6 ± 0.6 mm Hg) 、炎症マーカーCRP](12.5 ± 0.6 mg/dl)は増加


これら変数は、NYHA中等度〜重症分類患者でNYHA機能分類軽症に比べ特に明らか

注目すべきは、Intestinal permeability、右房圧、CRPは相互的に関連  (IP vs. RAP, r = 0.55, p < 0.0001; IP vs. CRP, r = 0.78, p < 0.0001; and RAP vs. CRP, r = 0.78, p < 0.0001)





このクロスリンク・・・どうやって対策する?


腸内細菌叢を改善すれば心不全重症度改善するのか?
心不全重症度改善しない限り、腸内細菌叢の正常化はかれないのか?

Microbiota的にみたらどういう変化になるのか?



Medscape解説
http://www.medscape.com/viewarticle/856123




2015年12月18日金曜日

7−17歳虫垂炎:非手術管理の方が手術より合併症少なく医療コストも少ない

虫垂炎を手術するかどうか基本的に家族選択治療法による戦略では、非手術管理の方が障害日数少なく医療コストも少ない


前向き患者選択コホート、7−17歳の急性虫垂炎
緊急虫垂切除と院内観察24時間内非手術管理の比較

プライマリアウトカムは、1年後非手術管理成功率



Effectiveness of Patient Choice in Nonoperative vs Surgical Management of Pediatric Uncomplicated Acute Appendicitis
Peter C. Minneci, et. al.
JAMA Surg. Published online December 16, 2015. doi:10.1001/jamasurg.2015.4534

102名登録;65名の患者/家族選択(年齢中央値 12歳、IQR, 9-13歳、45名男児 [69.2%])は虫垂切除、37名の患者/家族選択(年齢中央値 11歳、IQR, 10-14歳、24名男児 [64.9%])は非手術。
ベースライン特性は、群間同等。非手術管理成功率は、30日目で 89.2% (95% CI, 74.6%-97.0%) vs 手術 (33 / 37 children) 、1年目で 75.7% (95% CI, 58.9%-88.2%)  vs  (28 of 37 children)


合併症有りの虫垂炎頻度は、非手術群 2.7% (1 of 37 children) 、vs 手術群 12.3% (8 of 65 children) (P = .15)


1年時、非手術管理群は、手術管理群と比べ、障害日数少なく (median [IQR], 8 [5-18] vs 21 [15-25] days; P < 0.001)、 虫垂炎関連医療コスト少ない   (median [IQR], $4219 [$2514-$7795] vs $5029 [$4596-$5482]; P = 0 .01)

心血管疾患系、2015年10の話題

こういうまとめを概覧すると、なんだか勉強した気になる



Mandrola's Top 10 Cardiology Stories 2015
John Mandrola, MD 
http://www.medscape.com/viewarticle/856104| December 17, 2015




1. PCSK9 Inhibitors Released Into the Real World:注射モノクローナル抗体 evolocumabとalirocumab、心血管発作、卒中、死亡減少させるか未だ不明。長期安全性も不明。


2. SPRINT Delivers, but Not Without Trade-offs:理想的降圧目標は不明。SPRINT研究は、従来の140 mmHgから120 mmHgへ。早期トライアル中止。従来降圧目標群で心血管イベント数増加がその理由。課題はコスト、強化群での失神、急性腎障害、電解質異常など。リアルワールドへの適応について課題が残る。

3. Coffee and Fat Are Back2015 Dietary Guidelines Advisory Committee. Advisory:適度のカフェイン摂取量設定と食事カロリー制限排除。2015年は糖類が健康悪化をもたらすということで、税制を用いた制限がコンセンサスになった(※)

4. The Basics Make a Comeback in AF Treatment:心房細動について3つの知見、STAR-AF 2トライアルは、肺静脈isolation追加ablationでアウトカム改善せず、 LEGACYトライアル・CARDIO-FITトライアルは、減量・フィットネス増加は抗不整脈作用有り、ARREST-AF Substrate研究:リスク要素修正でヒト心房の電気生理・構造特性を改善


5. SGLT-2 Inhibitors Impress, but Concerns Remain:EMPA-REG Outcome trialは欧州糖尿病学会で報告され、SGLT-2阻害剤、ジャディアンスのプラシーボ比較治験で死亡率低下が示された、糖尿病薬剤に関して画期的知見。いままで2型糖尿病薬剤は血糖・糖化ヘモグロビンは下げるが真に合併症・死亡率低下させるか、潜在化疑念があった。ただ、なぜ死亡率減少したのか機序解明されてない。さらにケトアシドーシスや骨折リスクに関して関心が甘くなってはならないし、不明の長期的副事象についても今から明らかになるかもしれない。

6. NOAC Reversal Agents Soothe Our Worrying Minds:ワルファリン比較でNOAC群の死亡率減少が全ての治験でみられたが、リスクを嫌う人間にとって出血ありきシナリオに疑念を持つ向きもある。その中、idarucizumabのFDA承認と、抗凝固可逆性製剤, andexanet alfa:Xaリバーサルの報告は今後の方向性を与えているのかもしれない


7. Cutting the Cord in Pacing:ペーシングデバイスのアキレス腱であるリード、ワイヤレス化へ  NanoStim LP[leadless pacemaker (St Jude Medical) and the Micra TPS(Medtronic) 


8. nterventional Breakthrough Not in the Heart but in the Brain:おそらく発症後迅速導入とステントの介入のおかげで、急性卒中において5つの臨床治験で血管内治療単独でのベネフィットとtPA add-on治療のベネフィットクリアとなり重大長期身体障害予防NNT10超判明となりBreakthroughとなった


9. For Most Patients, Say No to Bridging:BRIDGEトライアルと1つの観察研究で、Bridgingは出血増やすだけで血栓イベント減少しないという報告


10. MOC, Still in the ICU, but Off Pressors:ABIMのボードについてPCI成績に関してネガティブな意見頻出




※ 日本は、加工食品まで消費税8%据え置きにしてしまったが、取り過ぎで健康有害性を示す食品は税金アップすべきだったのではないか? 政府や財務省や自民・公明には、そういう発想がない


2015年12月17日木曜日

副流煙:Second Hand Smokeの影響 不妊、女性閉経早期化に関与

the Women's Health Initiative Observational Study (WHI OS)の二次解析

副流煙:Second Hand Smokeの影響
不妊、女性閉経早期化に関与

Associations between lifetime tobacco exposure with infertility and age at natural menopause: the Women's Health Initiative Observational Study
Andrew Hyland, et. al.
Tob Control doi:10.1136/tobaccocontrol-2015-052510


前部で、88,732名の女性のうちの15.4%で不妊解析
50歳未満自然閉経 79,690名中45%

喫煙歴無しに比べ、既往喫煙被検者での不妊包括OR 1.14 (95% CI 1.03 to 1.26) 、早期閉経 1.26 (95% CI 1.16 to 1.35)

SHS暴露・自身非喫煙女性のOR 不妊 1.18 (95% CI 1.02 to 1.35) 、早期閉経 1.18 (95% CI 1.06 to 1.31)

喫煙既往では、SHS暴露無し非喫煙者より、21.7ヶ月早期閉経
SHS高度の女性では、13.0ヶ月早期に閉経




論文:40年前に比べ大げさなpositive、negativeな言葉の使用増大している

BMJのクリスマス特集記事の一つ


Pollyannaバイアス:「極めて前向きな楽観主義者」の意味

Human language reveals a universal positivity biasP
NAS Feb. 24, 2015 vol. 112 no. 8


これとは違う”positive”と思うが・・・見いだされた知見を”bright side”にのみ着眼し大袈裟に表現するやり方。

科学的記載には情緒的表現はなるべく避けるべきだが、次第に、次第に浸透してきているらしい。特に、英語ネイティブでない論文記述者に多く見られる。


科学文献数増大に伴い、大げさな表現が増大ししているのではないかと懸念



Use of positive and negative words in scientific PubMed abstracts between 1974 and 2014: retrospective analysis

BMJ 2015; 351
doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.h6467 (Published 14 December 2015)

目的 科学要旨使用言語が、極端なpositive、negative word使用方向へ経年的に偏っているかどうか?
デザイン PubMed between 1974〜2014のPubmed科学論文要旨後顧的解析

方法 positive、 negative、 neutral wordの年時頻度 (各カテゴリー25事前選別word)+100のランダム選択wordを要旨総数標準化
サブ解析は、個別言語パターン定量化、選別上高インパクトジャーナル特異性、主要言語英語圏内外の著者連携
修験頻度パターンを既出版書籍・Google Books Ngram Viewerによるダイジェスト化4%と比較



主要アウトカム測定 要約中のpositive、negativeなwordの頻度を、ニュートラル、ランダムな含蓄を有する言葉の頻度と比較して、1980年来の相対的変化として表現

結果 positive wordの絶対頻度は2.0% (1974-80) から17.5%(2014)へ増加、40年間で880%の相対的増加。
25個別positive word全て、特に、“robust”、 “novel” 、“innovative” 、“unprecedented”という言葉が15000%まで相対的に増加。

インパクトファクターが高い選別ジャーナルでの解析に限定すると、差はあるものの、底までの顕著な傾向はすくなくなる。

非言語会話国施設所属著者では、このpositive word使用が、有意に多い。
negative wordは、1.3%(1974-80) から3.2%(2014)へ増加し、257%の相対的増加が見られる。

同期間、ニュートラル、ランダムなword使用は明確な増加見られず、出版書籍でのpositive word使用頻度の増加も明確には見られない。




結論:今回の辞書的解析では、科学要約は positive word、negative wordの記載増加が見られ、科学的記載の変化に新しい観点を生じている。明らかに、研究結果のbright sideに着眼しやすい。しかし、これはリアリティーにフィットした知覚なのか疑念を呈したい。

アセトアミノフェンはインフルエンザウィルスとその症状に効果を示さない

アセトアミノフェンはインフルエンザ感染に不要といいたげな報告



Randomized controlled trial of the effect of regular paracetamol on influenza infection.
Jefferies S,  et. al. Pi Study Group. Author information
Respirology. 2015 Dec 6. doi: 10.1111/resp.12685

80名をランダム化、フォローアップ喪失ゼロ、1名4日で中断
PCR確認インフルエンザ症例をプラシーボ 22名、 パラセタモール群 24名


平均(SD) AuC PCR log10 virus loadは、プラシーボ  4.40 (0.91)、 パラセタモール  4.64 (0.88) ;差 −0.24, 95% CI: −0.78 to 0.29, P = 0.36


症状スコア、体温、症状改善までの時間、健康状態に群間差認めず
ランダム化治療とインフルエンザPCRによる検出有無の相関性認めず



アセトアミノフェンはインフルエンザウィルスとその症状に効果を示さない
http://www.channelnewsasia.com/news/health/acetaminophen-may-do-no-g/2347438.html


2015年12月16日水曜日

CKD/うっ血性心不全:中心静脈圧モニタリング補液で造影剤誘発性腎障害リスク軽減

うっ血性心不全およびCKD患者に於けるhemodynamic index–guided hydration methodによる造影剤による腎障害リスク軽減トライアル



CKD・うっ血性心不全でのCVPガイド補液治療は、安全で、造影剤誘発腎障害(CIN)のリスクを軽減する
(Central Venous Pressure Guided Hydration Prevention for Contrast-Induced Nephropathy; NCT02405377)


Prevention of Contrast-Induced Nephropathy by Central Venous Pressure–Guided Fluid Administration in Chronic Kidney Disease and Congestive Heart Failure Patients
Geng Qian, et. al.
J Am Coll Cardiol Intv. 2015;():. doi:10.1016/j.jcin.2015.09.026



前向きランダム化二重盲検比較臨床トライアル
CKD、うっ血性心不全の冠動脈施術予定連続患者264名

ランダム割り付け
  • CVPガイド補水群 (n = 132)
  • 標準補液群(n = 132)

CVPガイド群では時間毎CVP値にしたがい動的な水分点滴速度を動的補正
CIN定義:ベースライと比べ、sCr  0.5 mg/dLの絶対的増加 もしくは Crの25%超増加


結果:ベースライン特性2群マッチ性良好
CVPガイド補液群での等張生理食塩水総量は、対照群に比べ量増加 (1,827 ± 497 ml vs. 1,202 ± 247 ml; p < 0.001)

CVPガイドか補液群のほうが、対照群比較で、CIN 発生少ない(15.9% vs. 29.5%; p = 0.006)


補水群急性心不全頻度は2群間で差を認めない (3.8% vs. 3.0%; p = 0.500)








2015年12月15日火曜日

NOACsの頭蓋内出血早期臨床・レントゲン経過、管理、アウトカム

ビタミンK拮抗剤(VKAs)に比べ、NOACは頭蓋内出血少ないとされているが、経口抗凝固剤使用中の脳内出血(ICH)は重大な副事象だが、non–vitamin K antagonist oral anticoagulant (NOAC)薬剤使用に関するICHのエビデンスは乏しい。長期抗凝固療法中、頭蓋内出血は出血合併症で最多。頭蓋内血腫サイズや血腫二次性拡大がICHのアウトカムと関連する。VKAs療法中のICH頻度は10%〜25%で、血腫成長期間と、リスク増加と関連。良い包、NOACは頭蓋内出血リスク減少するも、ICHは重大問題


NOACsでも、ICHは死亡率高く、不良アウトカムを有し、血腫伸展も多い
早期特異的antinode使用が有効かどうか検討が必要




Early Clinical and Radiological Course, Management, and Outcome of Intracerebral Hemorrhage Related to New Oral Anticoagulants
Jan C. Purrucker, et. al.
JAMA Neurol. Published online December 14, 2015.


目的: NOAC使用者の早期臨床・レントゲン経過、急性管理、ICHのアウトカム評価

Design, Setting, and Participants P前向き研究者主導、多施設観察研究
prothrombin complex濃縮などの血液凝固ファクター投与などを含めた、全ての診断治療意思決定を治療医師の裁量に任せる。セッティングはドイツの38の卒中ユニット  (February 1, 2012, to December 31, 2014)

研究は非外傷性NOAC使用関連ICH61名の連続症例と、うち45名、75%を血腫の広がり解析のための定量化施行。

主要アウトカム・測定 急性期中の血腫広がり、脳室内出血、抗凝固剤reversal。3ヶ月後の機能的アウトカムと不良アウトカム(modified Rankin Scale score, 3-6)関連要素、新規脳室内病巣広がり、2ポイント以上のmodified Graeb score増加、その後の血腫拡大頻度  (defined as relative [≥33%] or absolute [≥6-mL] volume increase)


結果 全体で、NOAC関連ICHの女性比率 41% (25 of 61) 、平均 (SD) 年齢 76.1 (11.6) 歳 
受診時、NIH卒中スケールスコア 10 (IQR, 4-18)
ベースライン血腫量 (SD)  23.7 (31.3) mL

血腫の広がり評価のための連続画像解析にて、血腫拡大は38%  (17 of 45).
新規あるいは増加した脳室内出血は 18% (8 of 45)

包括的死亡率は、3ヶ月後 28% (17 of 60 [follow-up data were missing in 1 patient])、生存の不良アウトカム(modified Rankin Scale score, 3-6).65% (28 of 43)
全体で、Prothrombin complex濃縮液投与は 57% (35 of 61) 

Prothrombin complex濃縮と投与無しでは統計学的有意な効果無し  (43% [12 of 28] vs 29% [5 of 17]  , P = .53,、不良アウトカム頻度への統計学的差なし  (modified Rankin Scale score, 3-6) (odds ratio, 1.20; 95% CI, 0.37-3.87; P = .76)












2015年12月14日月曜日

高齢者「自覚ストレス」は軽度認知機能障害発症と関連

義務化された「ストレスチェック」は、本来、Perceived Stress Scale、自覚ストレス調査票と呼ぶべきだったのでは?その方が意味がはっきりする。

The Perceived Stress Scale was developed to measure the degree to which situations in one’s life are appraised as stressful. Psychological stress has been defined as the extent to which persons perceive (appraise) that their demands exceed their ability to cope.

その、70歳以上での「自覚ストレス」は、認知症発症と関連するという話題


以下の報告のPressリリース
http://www.einstein.yu.edu/news/releases/1137/stress-in-older-people-increases-risk-for-pre-alzheimers-condition/




Influence of Perceived Stress on Incident Amnestic Mild Cognitive Impairment: Results From the Einstein Aging Study.
Katz, Mindy J. et. al.
Alzheimer Disease & Associated Disorders:
Post Author Corrections: December 10, 2015
http://journals.lww.com/alzheimerjournal/Abstract/publishahead/Influence_of_Perceived_Stress_on_Incident_Amnestic.99545.aspx
Perceived Stress Scale (PSS) を Einstein Aging Study被検者に毎年検査 (N=507; aMCI 71 ; フォローアップ期間平均=3.6 年間, SD=2.0)、70歳以上、ベースラインでのPSS時aMCI/認知症無しで最小年1回の検査された被検者検討

aMCI発症までの期間を共役要素補正後Cox hazard model検討

自覚ストレス高レベルほど、aMCIのリスクは共役要素補正後 30%増加  (PSS5ポイント増加毎: ハザード比=1.30; 95% 信頼区間, 1.08-1.58)
共役要素補正後結果一致しかつ原因逆転エビデンス無いことから、この知見は十分なものと考えた

自覚ストレスの認知への影響への検討は、aMCIやアルツハイマー型認知症の予防に関して新しい戦略をもたらすこととなるかも



2015年12月12日土曜日

疥癬殷賑地域での集団治療の有効性

疥癬が流行している集団における疥癬対策を目的とした集団治療薬投与


ヒト疥癬虫:Sarcoptes scabiei var. hominisによる疥癬はヒト・ヒト感染を生じ、WHOによる世界的合併症・死因上重大な疾患と位置づけ



Mass Drug Administration for Scabies Control in a Population with Endemic Disease
Lucia Romani, et. al.
N Engl J Med 2015; 373:2305-2313December 10, 2015

  • ペルメトリンの投与を行う標準治療 [標準治療群)
  • ペルメトリンの集団投与 (ペルメトリン群)
  • イベルメクチンの集団投与 (イベルメクチン群) 


プライマリアウトカムは、12ヶ月後の疥癬、Impedigo(膿痂疹)発生率



  • 標準治療群(ペルメトリン治療群): 疥癬消失率 73.9 ( 67.5 - 79.6 )%、発生率 15.4 ( 11.8 - 19.5 ) %
  • ペルメトリン群 : 74.7 ( 67.6 - 81.0 ) 、 8.0 ( 4.8 - 12.3 )
  • イベルメクチン群 : 97.3 ( 93.9 - 99.1 )、 1.3 ( 0.4 - 3.1 )



気になるのは、耐性流布・・・
Although scabies resistance has been reported very infrequently, it could occur.

・・・という記載にとどまっている

2015年12月11日金曜日

AHAステートメント:糖尿病心血管合併症性差



Sex Differences in the Cardiovascular Consequences of Diabetes Mellitus
A Scientific Statement From the American Heart Association
Judith G. Regensteiner, et. al.
on behalf of the American Heart Association Diabetes Committee of the Council on Lifestyle and Cardiometabolic Health, Council on Epidemiology and Prevention, Council on Functional Genomics and Translational Biology, and Council on Hypertension

CIR.0000000000000343Published online before print December 7, 2015,doi: 10.1161/CIR.0000000000000343




解説から・・・
http://www.medpagetoday.com/Endocrinology/Diabetes/55147

糖尿病男性は非糖尿病男性に比較して2.4倍の虚血性心疾患リスク、糖尿病女性では非糖尿病女性に対して3.5倍・・・というランドマークであるRancho Bernardo Study
さらに、非糖尿病女性に対して15倍も冠動脈性心疾患リスク (HR 14.7; 95% CI 6.16-35.27)である(男性は、4倍弱:(HR 3.77; 95% CI 2.52-5.65))という2004年研究
心臓発作寄りじゃクエンでかつ死亡率が男性より高いという2005年研究

高齢、閉経後女性の肥満増加とともに、心血管リスク増加深刻

民族的コホートで糖尿病と高血圧のリンク緊密と判明

さらに、スタチン、ACE阻害剤、β遮断剤使用頻度少なく
男性に比較して、心血管リスク要素有する糖尿病女性ではより積極的治療機会すくない
血管再建ん、CABGなども機会少ない



女性特有のリスク要素、妊娠糖尿病やPCOSも2型糖尿病・心血管リスク要素を増加させる


観察研究では、男性に比べ、運動の心血管防御的効果乏しい可能性が示唆
 European Diabetes Prospective Complications Study







100万×10年間研究:不幸は健康悪化へ直接影響をもたらさない

Million WOmen Study:UK女性(1996−2001年登録)

中年女性の健康状態悪化は不幸の原因
ただ、この関連性は、他の寄与交絡変数補正後、健康度やwellbeingの指標は何れも死亡率へ直接の影響をもたらさない

・・・・

著者は、健康と幸福に関して後顧的考えたが、不幸は健康悪化へ直接影響をもたらさない。ストレスや不幸が疾患の直接原因と考える向きがが未だ多くいると述べている。原因と結果の混乱に過ぎない。

換言すれば、健康状態が良くないことがまず最初にあり、確かに個人を不幸、ストレス下、コントロール不能にもたらすことになりやすい。しかし、不幸やストレスが直接死亡率へ影響を与えることは10年×100万人女性研究で明らかにできなかったと述べている


Does happiness itself directly affect mortality? The prospective UK Million Women Study
Bette Liu, et. al.
The Lancet ,  Published Online: 09 December 2015
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(15)01087-9/fulltext


主解析 719.671名、年齢中央値59歳 (IQR 55-64)
最も幸福なときと報告 39% (282 619)
いつも通り幸福と報告 44% (315 874)
不幸と報告 17% (121 178)


フォローアップ10年(SD 2年)の間に、被検者死亡4%  (31 531)


ベースライン健康度合い自己評価rateと不幸度は強い相関

しかし、自己評価健康度、高血圧・糖尿病・喘息・関節炎・うつ・不安障害、いくつかの人口動態変数、ライフスタイル要素(喫煙、欠乏状態、BMI)補正後、不幸度は、全原因死亡率と相関せず (adjusted RR for unhappy vs happy most of the time 0.98, 95% CI 0.94–1.01)

虚血性心疾患による死亡(0.97, 0.87–1.10)、癌による死亡(0.98, 0.93–1.02)と相関せず


知見は、ストレスや管理欠如などの測定値と同等帰無的






テレビなんかで専門家風のやつらが、なんでも「ストレスのため」と言う。
便利な言葉だが、死亡率に関しては妄想・・・

2015年12月10日木曜日

STELVIO研究:側副換気考慮気管内バルブ 肺機能、運動耐容能改善

Endobronchial Valve for Emphysema Palliation Trial (VENT)で、1方向気管支内バルブ治療はFEV1は有意だが、中等度の改善( ベースラインからの変化 4.3% (95% 信頼区間 [CI], 1.4 to 7.2)にとどまった。

気管支内バルブ:Zephyr endobronchial valve (Pulmonx) を 側副換気:Collateral ventilation を Chartis system (Pulmonx) で評価して検討し直した





 STELVIO研究

肺機能、6分間歩行距離改善


Endobronchial Valves for Emphysema without Interlobar Collateral Ventilation
Karin Klooster, Nick H.T. ten Hacken,  et. al.
N Engl J Med 2015; 373:2325-2335 December 10, 2015


84名の患者をスクリーン、13名を側副換気で適応除外、3名解剖的理由で不適合
68名をランダム割り付け






前立腺癌アンドロゲン抑制療法とアルツハイマー病リスク

Testosterone-blocking治療、即ち、アンドロゲン抑制療法:androgen deprivation therapy (ADT)とアルツハイマー病リスクの関連性が検証された



Androgen Deprivation Therapy and Future Alzheimer’s Disease Risk
Kevin T. Nead, et. al.
Journal of Clinical Oncology Published online before print December 7, 2015
doi: 10.1200/JCO.2015.63.6266 JCO December 7, 2015 JCO636266



目的 前立腺癌とその後のアルツハイマー病リスクに関するADTとの関連性検証

方法 Stanford University と Mt. Sinai hospitalsの患者の後顧的コホート電子医療記録データ解析のため確証済み・埋込text-processing pipelie使用。ICD9版、CPTコード、薬品リスト、臨床記録からの薬剤疾患概念の存在記載を抽出。1:5 propensity scoreマッチ化、多変量補正Cox比例ハザードモデル使用で、ADTのアルツハイマー病への影響検証
ADT使用期間もアルツハイマー病リスクとの関連検証

結果 前立腺癌16,888名、登録・除外クライテリア含め検証、ADT 2,397 (14.2%)、フォローアップ期間中央値 2.7年間 (IQR, 1.0 - 5.4年間)
Propensity scoreマッチ化解析: ハザード比, 1.88; 95% CI, 1.10 to 3.20; P = .021)
従来因子多変量補正Cox regression analysis: ハザード比, 1.66; 95% CI, 1.05 to 2.64; P = .031)
共に、ADT使用とアルツハイマー病リスクの相関性統計学的に有意
アルツハイマー病リスク増加とADT使用期間増加に相関性有り  (P = .016)
 

結論 一般住民コホートにおいて、前立腺癌治療中ADT使用と、アルツハイマー病の関連性を支持する結果となった。この研究は電子医療記録データ解析に新しい手法を用い医療の場のエビデンスを生成する、その有用性検証となった




前立腺癌へのADT今後その期間や適応に関して議論が必要と思う


 Testosterone-Lowering Therapy for Prostate Cancer May Increase Alzheimer's Risk Finding comes from a study of biomedical data from patient records by Penn Medicine and Stanford researchers http://www.uphs.upenn.edu/news/News_Releases/2015/12/nead/

2015年12月9日水曜日

耐久運動にこそ低炭水化物食?

High-Carb vs Low-Carb Diet: Which Is Better for Athletes?
Laird Harrison
Disclosures | December 04, 2015
http://www.medscape.com/viewarticle/855436


American College of Sports Medicine (ACSM)では、米国のガイドライン、 US Department of Agriculture guidelineに準じて、アスリートは、総エネルギーの45%〜65%を炭水化物からスタートすべきで、運動増えるほど炭水化物を増加させるべきとしている。



一方、耐久ランナーは、低炭水化物食で1分毎に1.54g脂肪を消費し、従来推定の50%以上の効果を示すとの報告。超耐久アスリートは脂肪からのエネルギーを引き出すようになる。


Patrick Davittは、総カロリー20%に炭水化物を制限
ダイエットのためじゃなく、マラソンのためだそうだが・・・





Endurance Runners on Low-Carb Diet Burn Fat
Laird Harrison June 11, 2015
http://www.medscape.com/viewarticle/846278




50マイルレース完遂アスリート男性
脂肪 28%、 蛋白 15%、 炭水化物 58%
vs
脂肪 71%、 蛋白 19%、 炭水化物 11%
6ヶ月以上継続






VariableLow-Carbohydrate DietHigh-Carbohydrate DietP Value
最大好気的能力 mL/kg per min64.364.70.85
最大炭水化物代謝, g/min5.657.830.002
% maximal aerobic capacity at maximal fat oxidation70.2554.89p<0.0001


脂肪酸化の最大好気代謝能増加


ただ、低炭水化物食は、胃腸症状回避が必要





事の真偽は・・・ そのうち、日本でも私が見つけた方法と宣う奴がテレビやラジオや週刊誌に出そう・・・

体重増加男性:高強度間歇反復運動は持続的中等度運動より病的食欲低下をもたらす

High-intensity intermittent exercise training (HIIT)が食欲調整に好影響を与えるようだ




Effects of High-Intensity Intermittent Exercise Training on Appetite Regulation
Aaron Y. Sim;, et. al.
Med Sci Sports Exerc. 2015;47(11):2441-2449.
http://www.medscape.com/viewarticle/853840




目的: 高強度間歇運動の急性boutは、その運動後、アドリブエネルギー摂取を抑制する。
高強度間欠運動:high-intensity intermittent exercise training (HIIT) と中等度強度持続運動:moderate-intensity continuous exercise training (MICT)のそれぞれ12週間の食欲調整への影響を比較


方法:30名の過体重身体活動非活発男性  (body mass index, 27.2 ± 1.3 kg·m−2; V̇O2peak, 35.3 ± 5.3 mL·kg−1·min−1) をランダム化
12週間各週3回のトレーニングセッション
  • high-intensity intermittent exercise training (HIIT):約170%  V̇O2peak等価15秒と約32%   V̇O2peak等価60秒の反復bout
  • moderate-intensity continuous exercise training (MICT): 60% V̇O2peakの継続運動

calibrated front-access air-braked cycle ergometers (model EX-10; Repco Cycle, Huntingdale, Victoria, Australia)
customized software program (Cyclemax; School of Sport Science, Exercise and Health, University of Western Australia, Perth, Western Australia, Australia)

研究室テストミールのアドリブ・エネルギー摂取を低エネルギー (847 kJ) 、高エネルギー (2438 kJ) preload期間後、介入前後で評価
自覚食欲と食欲関連指標を測定

結果:2つの異なるpreload後テストミール時エネルギー摂食において介入期間の有意な差を認めず (P ≥ 0.05)

しかし、95%信頼区間は、HIITに反応して、低エネルギーpreloadに比較し高エネルギーpreload後のエネルギー摂取臨床的意味ある減少を示す (516 ± 395 kJ decrease)が、NICTやCONにおいては減少を示さず、このことは食欲調整機能の改善を示す

食欲知覚、食欲関連ペプチドや代謝物質の循環血中濃度に変化相関なし、だが、インスリン感受性はHIITのみで促進された  (P = 0.003)

結論:HIITは、過体重男性の食欲調整にベネフィットあり
メカニズムは今後の課題



だからね、嫌気的運動は良くないとか・・・根拠のない運動指導をしちゃいけないと思うんだけど・・・ 厚労省あたりのチラシに書いてあることをオウム返しにしてると非常識が固着していく・・・あらゆる生活習慣指導に言えること




2015年12月8日火曜日

モバイル卒中治療ユニット:病院収容前遠隔専門医診断にて、CT施行・血栓妖怪までの時間短縮化

一定規模の都市部ならできるのかもしれない



Telemedicine in Prehospital Stroke Evaluation and Thrombolysis Taking Stroke Treatment to the Doorstep
Ahmed Itrat, et. al. ; for the Cleveland Pre-Hospital Acute Stroke Treatment (PHAST) Group
JAMA Neurol. Published online December 07, 2015. doi:10.1001/jamaneurol.2015.3849

血管系神経科医を含む、Mobile stroke treatment units (MSTUs)は、病院収容前での血栓溶解を病院治療より前に迅速に行うことができる。遠隔医療としてリソースの効率化を遂げることができる。


血管神経医が遠隔医療で評価し、mobile computed tomography (CT )画像を神経放射線科医が遠隔評価。



前向き観察研究


100名中99名の評価成功
遠隔医療評価時間中央値 20分間 (interquartile range [IQR], 14-27 分間

1例の接続エラーはクルーのミスで、患者は最近隣のEDへ搬送
6例の遠隔医療接続切断、臨床ケアに影響を与えたり、60秒以上継続事例はなかった。


Time from the door to CT completion (13 分間 [IQR, 9-21 分間 ])
Time from the door to intravenous thrombolysis (32 分間  [IQR, 24-47 分間 ])
いずれも、MSTU群で対照群より短い (18 分間  [IQR, 12-26 分間   、58 分間  [IQR, 53-68 分間 )

Time to CT interpretation は2群間で有意差無し








米国予防医学作業部会推奨ステートメント:血糖異常・2型糖尿病検診

肥満・過体重、40−70歳成人への推奨
血糖異常検診:健康食・身体活動促進のための介入強化行動的カウンセリング


U.S. Preventive Service Task Force:米国予防医学作業部会


Screening for Abnormal Blood Glucose and Type 2 Diabetes Mellitus: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Albert L. Siu, MD, MSPH, on behalf of the U.S. Preventive Services Task Force*
Ann Intern Med. 2015;163(11):861-868. doi:10.7326/M15-2345








間隔は3年毎・・・日本は地域検診・職場検診で毎年強要されている


肥満・過体重に限らず全て・・・これはアジア人種に非肥満糖尿病が多いから仕方ないのかもしれないが・・・




システマティック・レビュー&メタアナリシス:週1回型GLP-1受容体アゴニスト間に絶対王者は居ない?


MedPageでは、「絶対王者のいないGLP1アゴニスト」という表題



週1回型のGLP-1受容体アゴニスト:Once-weekly glucagon-like peptide-1 receptor agonists (GLP-1RAs)による2型糖尿病治療の心血管代謝有効性と副作用要約エビデンス

日本発売は・・・
トルリシティ®皮下注 (デュラグリチド):日本リリー・大日本住友

・ビデュリオン(エキセナチド):アストラゼネカ

タスポグリチドは治験中止のまま?
albiglutide(Syncria) :グラクソ・スミスクライン 







Benefits and Harms of Once-Weekly Glucagon-like Peptide-1 Receptor Agonist Treatments: A Systematic Review and Network Meta-analysis
Francesco Zaccardi, , et. al.
The Triumph of Innovation and the Hard Work of Caring for Patients With Diabetes
Ann Intern Med. Published online 8 December 2015


検討:34トライアル (被検者21 126)

プラシーボ比較で、週1回GLP-RAsはHbA1c、空腹時血糖を減少
タスポグルチド, 20 mg 週1回エキセナチド、デュラグルチド(トルリシティ), 1.5 mgは体重を減少

週1回GLP-RAsのなかで、大差がついたのは
・HbA1cに関して、デュラグルチド1.5mgとタスポグルチド10mg (–0.4% [95% CI, –0.7% to –0.2%])
・空腹時血糖に関して、週1回エキセナチドとalbiglutide(Syncria) (–0.7 mmol/L [CI, –1.1 to –0.2 mmol/L]; –12.6 mg/dL [CI, –19.8 to –3.6 mg/dL])
・体重に関して、タスポグルチド 20mgとデュラグルチド, 0.75 mg, (–1.5 kg [CI, –2.2 to –0.8])



血圧、血中脂質レベル、CRP値に関して 臨床的には境界的意味しかないもしくは差は認めない



週1回エキセナチドは、albiglutideやデュラグルチドに比べて心拍増加  (1.4 to 3.2 beats/min)
週1回GLP-1RAsの中での低血糖リスクは同等だが、タスポグルチド20mgは吐気リスク最大 (odds ratios, 1.9 to 5.9)

研究限界:データとしてsemaglutide利用不能、アウトカム定義は不均一、 last-observation-carried-forward imputation method 使用はトライアルの73%、出版バイアスの可能性あり




タスポグリチドとデュラグルチドのHbA1cと体重への影響に興味がそそられる
ただ、タスポグリチドは日本での治験めどがついてるのか?

2015年12月4日金曜日

TAME:Targeting Aging with Metformin 寿命延長・健康寿命延長を狙うトライアル 米国FDA開始認可

TAME:Targeting Aging with Metformin トライアル
米国FDAが治験開始を認可したことから、メディア報道一斉にされた

http://www.iflscience.com/health-and-medicine/diabetes-drug-could-let-humans-live-until-120


いろいろ基礎的研究はなされているが・・・

Metformin inhibits the senescence-associated secretory phenotype by interfering with IKK/NF-κB activation
Olga Moiseeva, et. al.
Aging Cell Volume 12, Issue 3, pages 489–498, June 2013




120歳を超える寿命延長可能性と、健康寿命延長と、アルツハイマー病やパーキンソン病のような加齢関連疾患抑制効果を期待

臨床研究に入るらしいというお話?






これのようにならなければ良いが・・・

カロリー制限=長寿 ・・・ という常識に疑念? ;サルで再現できず
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/08/blog-post_7757.html#!/2012/08/blog-post_7757.html




日本の糖尿病診療で、長く蚊帳の外であった、メトホルミン・・・ まぁ いろいろ

2015年12月3日木曜日

Q-carbon ダイアモンド硬のナノサイズ針もできるらしい・・・

Q-carbon



Press Release
http://www.nanowerk.com/nanotechnology-news/newsid=41991.php

ダイアモンドより硬く、低エネルギー照射で光る
20nm〜500nmの厚さでフィルムを作る

ダイアモンドの硬さのナノサイズの針、ナノサイズの斑点、大きな面積のダイアモンドフィルム などができるそうな・・・




テレビ視聴長く、身体活動少ない20歳代 → 25年後知的機能を低下させる ・・・ 

体を動かそうとしない生活行動パターン、身体不活発性は世界的に増加し、健康アウトカムの重大なリスク要素となる

25年間のテレビ視聴と身体活発性と中年期認知機能の関連性を前向き研究(CARDIA研究)で検討



Effect of Early Adult Patterns of Physical Activity and Television Viewing on Midlife Cognitive Function
Tina D. Hoang,
JAMA Psychiatry. Published online December 02, 2015. doi:10.1001/jamapsychiatry.2015.2468

3247名の研究被験者ベースライン平均(SD)年齢 25.1 (3.6) 歳, 女性 1836 (56.5%) 、白人 1771 (54.5%) 、高校卒業以上 3015 (92.9%)



テレビ視聴すくない被検者に比べ、テレビ視聴高度な被検者では、、DSST 及び Stroop testにおける認知パフォーマンス低く(人種平均 1 SD未満)、補正オッズにおいて DSST, 1.64( 1.21 - 2.23 )、 Stroop test  1.56  ( 1.13-2.14 )、だが、Rey Auditory Verbal Learning Testでは差を認めなかった(年齢、人種、性別、教育レベル、喫煙、アルコール飲用、BMI、高血圧要素補正後)。


25年間身体活動性低下群(比率 16.3%、 528例/3247例)では、DSST上の不良パフォーマンスと有意に関連 :1.47 (1.14-1.90)


“テレビ視聴すくない&身体活動性高度"群“では、テレビ視聴多く&身体活動性低度“群(107/3247 , 3.3% )に比べ、パフォーマンス2倍  (DSST, 1.95 [1.19-3.22]、 Stroop test, 2.20 [1.36-3.56])



認知パフォーマンスというと曖昧だが、知的機能を低下させるって事


2015年12月2日水曜日

閉塞型無呼吸治療降圧効果: CPAP vs 口腔内装置 差を認めず

どの報告も、閉塞型無呼吸治療による降圧効果はさほど著明でないのが実感

治療はいずれかが主流だが・・・
持続陽圧呼吸:continuous positive airway pressure (CPAP)
口腔内装置:mandibular advancement devices (MADs)


この2つの治療法による降圧効果も差が無いようだ


CPAP vs Mandibular Advancement Devices and Blood Pressure in Patients With Obstructive Sleep Apnea
A Systematic Review and Meta-analysis
Daniel J. Bratton, et. al.
JAMA. 2015;314(21):2280-2293. doi:10.1001/jama.2015.16303.


4888名、51研究;CPAP vs inactive control 44研究、 MADs vs inactive control 3研究、 CPAP vs MAD 1研究、 CPAP vs MADs vs inactive control 3研究

inactive control比較で、CPAPでは、SBP 2.5 mmHg (95% CI, 1.5 to 3.5 mm Hg; P < .001) 減少、 DBP 2.0 mmHg(95% CI, 1.3 to 2.7 mm Hg; P < .001)減少

inactive controlに比べ、CPAPでは、SBP 2.5 2.5 mm Hg (95% CI, 1.5 to 3.5 mm Hg; P < .001) 、 DBP  2.0 mm Hg (95% CI, 1.3 to 2.7 mm Hg; P < .001)減少

平均CPAP 1時間/1夜増加につき、有意に SBP  1.5 mm Hg (95% CI, 0.8 to 2.3 mm Hg; P < .001) 、 DBP 0.9 mm Hg (95% CI, 0.3 to 1.4 mm Hg; P = 0.001)付加的降圧効果を示す。

inactive controlに比較して、 MADsは、SBP of 2.1 mm Hg (95% CI, 0.8 to 3.4 mm Hg; P = 0.002) 、DBP 1.9 mm Hg (95% CI, 0.5 to 3.2 mm Hg; P = 0.008)減少。

CPAP vs MADsでは有意差なし
CPAP:SBP (−0.5 mm Hg [95% CI, −2.0 to 1.0 mm Hg]; P = 0.55)、DBP (−0.2 mm Hg [95% CI, −1.6 to 1.3 mm Hg]; P = 0.82)





2015年12月1日火曜日

日本薬剤情報提供パンフと米国内薬局リーフレット

院外薬局の「薬剤情報提供料」のためのリーフレットで、トラブル多発している当院の現状がある
「かゆみが生じることがある」と書かれてるため、冬季などは老年性皮膚掻痒増悪と重なれば、薬剤自己判断中断を惹起する。それだけでなく、世の中のサプリメント屋さんが薬の副作用を喧伝するため自分のみに起きる身体症状は全て薬のせいだと思い込んでいる患者は老若男女問わず多く・・・それを修正すること困難。




本来薬品情報提供は、その薬剤のベネフィット・リスクについて言及されるべきであり、「皮疹無き掻痒」を副作用強調する理由が分からない・・・情報提供料ほしさ以外なにか理由があるのか?



提供料算定要件

薬剤情報提供料は入院中の患者以外の患者に対して、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を、当該処方に係る全ての薬剤について、文書(薬袋等に記載されている場合も含む。)により提供した場合に月1回に限り所定点数を算定する。
字面通りに、羅列すれば算定できるわけで、重大性軽重に関しては配慮されない



米国内での


The Untapped Potential of Pharmacy Leaflets for Informing Patients About Drug Benefits and Risks
Anna Hung, et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 30, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.6656

米国でのPharmacy Leafletsの特徴
・FDAのレビュー・承認無し
・ベネフィット・有害性の定量表記無し
・処方全て
・患者への提供義務はない
FDAのregulationのテーマにないため、内容やフォーマットはばらつき





「シンバスタチン」のリーフレットを例にして、「横紋筋融解」の記載、最大投与量記載についてのばらつきが報告されている。





regulationの動きのようだが、日本でも、薬局の薬剤情報提供書に関しても
「ベネフィット・有害性」に関して一覧的表示ですごすのではなく、頻度・重篤性にウェイトを置いた表記にできないものか?

CARDIA:若年期心肺フィットネスがその後の心血管健康状況、CVD病態に重要な役割を果たす

心肺フィットネス(CRF)は高齢者の予後要素であるが、若年、この場合は18−30歳時のCFRが長期的に心血管構造、機能、予後にどのような役割を果たすか・・・


18−30歳でのフィットネスレベルが高ければ、その後のフィットネス状況は良好で、さらに心血管疾患(CVD)リスクや死亡率低下をもたらす
フィットネスやフィットネス状況の変化は、左室肥厚や左室機能と関連するが、冠動脈石灰化病変とは関連性認めず
若年期心肺フィットネスがその後の心血管健康状況、CVD病態に重要な役割を果たす

Association of Fitness in Young Adulthood With Survival and Cardiovascular Risk
The Coronary Artery Risk Development in Young Adults (CARDIA) Study
Ravi V. Shah , et. al.
JAMA Intern Med. Published online November 30, 2015. doi:10.1001/jamainternmed.2015.6309


4872名の前向きコホート、1985年3月25日〜1986年6月7日のベースラインでトレッドミル運動試験、7年後2472名の2度目のトレッドミル運動負荷試験
フォローアップ26.9年間。
肥満、左室容積・左心負荷、冠動脈石灰化(CAC)、バイタル状態、CVD発生

5年次(1990−1991年)、25年次(心筋ストレインの指標であるglobal longitudinal strain(GLS: : 経胸壁2D心エコーによるスペックル・トラッキング法を用い,心室を12のセグメントに分けてそれぞれの長軸方向のストレインのピーク値(負の方向に大きい値ほど,収縮期短縮[systolic shortening]が大きく左室機能が良好であることを示す)<参考>

4872名中、死亡 273(5.6%)、CVDイベント発症 193(4.0%)

包括的補正後、ベースライン運動試験耐用時間分数増加毎死亡ハザード15%低下と相関 (ハザード比 [HR], 0.85; 95% CI, 0.80-0.91; P < .001)、CVDハザード12%低下と相関  (HR, 0.88; 95% CI, 0.81-0.96; P = .002)

ベースラインのCRF高レベルだと、25年次調査時、左室容積指数有意低下関連あり (β = −0.24; 95% CI, −0.45 to −0.03; P = 0.02) 、GLS有意改善関連あり(β = −0.09; 95% CI, −0.14 to −0.05; P < 0.001)


フィットネス状態は、CACと関連せず

7年次フィットネス1分減少だと死亡ハザード21% (HR, 1.21; 95% CI, 1.07-1.37; P = 0 .002) 、CVD20%増加 (HR, 1.20; 95% CI, 1.06-1.37; P =  0.006)と関連し、左室負荷増加とともに悪化 (β = 0.15; 95% CI, 0.08-0.23; P < 0.001)

フィットネスとCACの相関性認めず




noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note