2013年8月14日水曜日

ジェネリック薬品が主流になった現在、だれが副作用に責任を持つの?

そろそろ、厚労省さん、答えを出してほしい・・・

先発薬品メーカーの撤退を絶対に許さない形にして、パテント切れの商品製品維持を強要するのか?それとも、コスト削減効果をいいことに高止まりしている後発品メーカーに副作用報告を義務づけることで薬品使用者の安全を考えるか?
FDA 方針転換 :ジェネリックメーカーが自主的に安全性表示可能へ &ジェネリック医薬品も訴追可能  2013/07/07

上記に関連した、JAMAフリー記事

Who Is Now Responsible for Discovering and Warning About Adverse Effects of Generic Drugs?
Aaron S. Kesselheim, et. al.
JAMA. 2013;():-. doi:10.1001/jama.2013.228349.

ジェネリック薬品とブランド薬品で、同じ副作用出現しても、同等でないrecourseのパラドクスが存在するという米国・最高裁の決定

米国でのジェネリック薬品が医療用薬品全体の8割を占めるが、薬剤コストは2割という経済的効果は大きい。
(日本ではジェネリック薬品を国策的に高止まりさせているが、あれは、何の意味があるのだろう?・・・天下りパラドクス?)

 Wyethの制吐剤 Phenergan (promethazine)動注による前腕壊死発症への損害賠償で問題表面化。
 どういうことかというと、現行ではブランド薬品と生物学的に同等という建前のため、ブランドメーカーに安全性情報を警告を義務づけさせているが、市販前調査で十分な範囲での安全性判明できず、市販後サーベイランスが不十分で、製造メーカー側の製品安全性インセンティブ欠如している。

 胃腸運動改善薬 metoclopromide (Reglan)のILIVAジェネリック薬後遅発性ジスキネジア発症例、この潜在的副作用に関して十分な警告がなかったと主張するも、最高裁で主張却下。ジェネリック薬品メーカーは医薬品情報警告変更不能という矛盾が浮き彫りとなった。

 肩痛のため、NSAID Clinoril処方されるも、処方調剤薬局で、Mutual Pharmaceutical Companyジェネリックを調剤され、Stevens-Johnson症候群発症、弁護士主張として、PLIVA v Mensingに対し、非合理的危険性をもたらすデザイン上の欠陥と主張。エアバッグ無しやフレームの弱い車を作っているのと同じだということらしい。長年、法律関連学者たちは、同じ成分の薬品であらば副作用も同じとと信じていたが、薬剤再設計が完全に安全な方法とは言えないという認識が広がってきている。


前向きコホート:Visit to visit variability―血圧変動は、高齢者認知機能と関連

受診のたびに血圧値変動することは意外なほどおおきな影響を与えているという報告が注目されている。
Prognostic significance of visit-to-visit variability, maximum systolic blood pressure, and episodic hypertension
The Lancet, Volume 375, Issue 9718, Pages 895 - 905, 13 March 2010



血圧visit-to-visit変動は脳血管障害と関連し、観察研究でも、白質内hyperintensity、頸動脈IMT、動脈硬化病変と関連性が示唆されている。薬剤クラス効果やクラス内効果などの議論もあるようで、使用薬剤の検討必要がありそう


前向きコホートで、血圧の受診毎変動は、海馬容積減少など脳内の器質的変化と共に、認知機能低下と関連性が示された。


Association of visit-to-visit variability in blood pressure with cognitive function in old age: prospective cohort study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4600 (Published 30 July 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4600


【目的】 70歳超で、血圧visit-to-visit変動と認知機能関連性研究


【デザイン】 Prospective cohort study.

【セッティング】 PROSPER (PROspective Study of Pravastatin in the Elderly at Risk)研究、 アイルランドのセンター内共同(アイルランド、スコットランド、オランダ)


【登録者】 5461名、平均年齢 75.3歳、心血管疾患リスク状態にある患者
血圧測定3ヶ月毎3.2年間、 visit-to-visit血圧変動を受診間の血圧標準偏差と定義


【主要アウトカム測定】認知機能4ドメイン( 選択注意力:selective attention、 処理速度:processing speed、  即時記憶:immediate memory、 遅延記憶: delayed memory)

553名のMRI画像、脳容積、脳微小出血・高速、白質高密度


【結果】収縮期血圧visit-to-visit変動値高いほど、全ての認知機能パフォーマンス悪化
・attention (3分位高vs低 平均差) 3.08 秒 (95% 信頼区間 0.85 〜 5.31)
・processing speed −1.16 digits coded (95% 信頼区間 −1.69 〜 −0.63)
・immediate memory −0.27 pictures remembered (95% 信頼区間 −0.41 〜 −0.13)
・delayed memory −0.30 pictures remembered (95% 信頼区間 −0.49 〜 −0.11)



さらに、収縮期血圧・拡張期血圧変動性高値は、海馬容積減少・皮質梗塞と相関
拡張期血圧変動性高いほど、脳微小出血相関( all  p < 0.05)


全ての相関性は平均血圧・心血管要素で補正。


【結論】 血圧visit-to-visit変動高いほど、平均血圧値と独立して、高齢者において、認知機能障害と相関する。

重症インフルエンザH1N1感染・小児重症化予後因子 ・・・ 肺疾患既往・脳性小児麻痺既往・胸部陥没・脱水・酸素必要性


多施設後顧的症例対照研究(12ヶ国、Pediatric Emergency Research Networks 75施設)、16歳未満 265名の子供(2009年 4月16日から12月31日)




Predictors of severe H1N1 infection in children presenting within Pediatric Emergency Research Networks (PERN): retrospective case-control study
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4836 (Published 12 August 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4836


男児 151/265(57%)、年齢中央値 6歳(IQR 2.3-10.0歳)、 死亡 27(10%)


6つの要素が、インフルエンザ症状を有する子供の重症アウトカムと関連
・慢性肺疾患既往 (odds ratio 10.3, 95%信頼区間 1.5 〜 69.8)
・脳性麻痺・発達遅滞既往 (10.2, 2.0 〜 51.4)
・chest retraction徴候 (9.6, 3.2 〜 29.0)
・脱水徴候 (8.8, 1.6 〜 49.3)
・酸素必要性 (5.8, 2.0 〜 16.2)

雇用不安は冠動脈性心疾患発生のリスク要素

雇用不安:job insecurity

職業関連ストレスと心身疾患の関連性の文献によると(BioPsychoSocial Medicine 2010, 4:4 doi:10.1186/1751-0759-4-4)、日本国内調査では、最も多いストレッサーは、職業関連諸問題で、次に健康関連、そして、経済的諸問題である。職業関連書問題としては、多くの問題、過労、失業・雇用不安、労働・家族のバランス欠如である。

雇用不安が冠動脈疾患のリスク要素であるという報告。

Perceived job insecurity as a risk factor for incident coronary heart disease: systematic review and meta-analysis
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4746 (Published 8 August 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4746
文献検索の結果4つのコホート研究、個別登録データを含む13のコホート研究を合わせ、メタアナリシス174,438名、9.7年間、冠動脈性心疾患 1892症例 
雇用不安の高低による、この年齢補正相対リスクは 1.32 (95% 信頼区間 1.09 〜 1.59) 
社会住民統計因子・リスク要素補正後の雇用不安による、この相対リスクは、 1.19 (1.00 〜 1.42)

性、年齢(50歳未満  v 50歳以上)、国内失業率、福祉レジーム、失業不安項目との相関に関して有意な差は認めず

Forest plot:雇用不安とCHDイベント発生(男女、年齢補正モデル)



多変量解析モデル


母体の肥満・やせ・・・後年子供の心血管イベント死亡率・入院率増加 →子供のため体重コントロールを 

肥満・過体重の母親の子供は、正常母体の子供に比べ、心血管イベントによる死亡率入院率高い。

動物実験やヒトのデータから、母体肥満が子宮内環境の変化をもたらし、子供への長期的な programmed detrimental effectが示唆される。


Maternal obesity during pregnancy and premature mortality from cardiovascular event in adult offspring: follow-up of 1 323 275 person years
BMJ 2013; 347 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f4539 (Published 13 August 2013)
Cite this as: BMJ 2013;347:f4539

スコットランドのデータベース 
1950年から現在までの誕生記録 37,709名
子供の側が34-61歳となったときの2012年1月1日までの心血管イベント関連死亡入院 
母体出生前初回受診時BMIを計算し、母体肥満と子供のアウトカムへの影響を、Cox比例ハザードモデルにてイベントまでの期間解析(母体正常BMIと比べ、母体低体重、過体重、肥満カテゴリー比

母体死亡率は、肥満(BMI > 30)母体の子供は、正常BMI母体の子供に比べ、以下補正後でも高い(補正:出産時年齢、社会経済状態、こどもの性別、現行年齢、出生時体重、出産時妊娠期間、出生時BMI測定)(ハザード比 1.35, 95% 信頼区間 1.17 〜 1.55)


補正モデルで、肥満母体の子供は、正常BMI母体の子供より、心血管イベントのための入院リスク高い(1.29, 1.06 〜 1.57)

過体重母体の子供もまた、不利なアウトカムリスク高い。


母体BMIと、子供のCVD死亡率の非線形関係



BMI 23程度が最適らしいが・・・個体差は否定できない

noteへ実験的移行

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