2019年3月20日水曜日

食事性コレステロールと卵摂取増加により心血管死・総死亡増加と関連

話題の論文となっているようだ。なんせ、直前まで卵は多く食べた方が良さそうというような雰囲気

そもそも食事アンケート調査で結論を導き出すことにいみがあるのかという疑問も
食事アンケート大集団調査の愚行(卵摂取量と心血管医ベント)
https://kaigyoi.blogspot.com/2018/05/blog-post_29.html

外因性・食事性コレステロールのインパクトは、これまでの食事指導方法に影響をあたえるのでしばらく騒がしいだろうなぁ

結論として・・・

  • 食事性コレステロール 300mg摂取増加後と、心血管疾患発症リスク増加(補正ハザード比[HR], 1.17 ;補正絶対的リスク差 [ARD] 3.24%)、総死亡率 (補正HR, 1.18; 補正ARD 4.43%)
  • 卵半玉摂取増加毎 心血管疾患 (補正HR 1.06; 補正ARD 1.11%)、総死亡率(補正HR, 1.08;補正ARD, 1.93%)

ということらしい


卵の摂取と全てが他の食事成分と交絡的に関わるので結論としては難しいという印象をもつ。実際、
食事由来のコレステロールと卵摂取量による心血管疾患および総死亡率への有意関連性の程度中程度だが、卒中や心不全と言ったイベントサブタイプによっては一致していた。
例外:卵摂取と心血管死亡率、非心血管疾患死亡率、年齢・人種/民族・喫煙状態・CVDリスク要素(i,e. 糖尿病、高血圧、高脂血症)補正後、食事の質によるサブグループ(補正 HR 1.06, 95% CI [0.996-1.12])
冠動脈性心疾患との相関の非有意性は文献と一致
こういう解説が本文中になされている。


Associations of Dietary Cholesterol or Egg Consumption With Incident Cardiovascular Disease and Mortality
Victor W. Zhong, et al.
JAMA. 2019;321(11):1081-1095. doi:10.1001/jama.2019.1572



序文のGoogle翻訳

食事性コレステロール消費と心血管疾患(CVD)および死亡率との関連は、何十年にもわたる研究にもかかわらず、物議をかもしています。

Berger  S, Raman  G, Vishwanathan  R, Jacques  PF, Johnson  EJ.  Dietary cholesterol and cardiovascular disease.  Am J Clin Nutr. 2015;102(2):276-294.PubMedGoogle ScholarCrossref


2015年から2020年までのアメリカ人の食事ガイドラインに矛盾すると思われる2つの記述が含まれているため、最近議論が激化しています。

US Department of Health and Human Services and US Department of Agriculture.  2015-2020 Dietary Guidelines for Americans. 8th Edition. December 2015.https://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/. Accessed January 31, 2019.

Dietary Guidelines Advisory Committee.  Scientific Report of the 2015 Dietary Guidelines Advisory Committee: Advisory Report to the Secretary of Health and Human Services and the Secretary of Agriculture. Washington, DC: US Dept of Agriculture, Agricultural Research Service; 2015.
(1)「コレステロールは過剰消費の心配のある栄養素ではありません」。
(2)「個人は健康的な食事パターンを摂取しながら、できるだけ少ない食事コレステロールを食べるべきです。

前向きコホート研究の多くの直近のメタアナリシスでは、1日あたりのコレステロール摂取量と心血管疾患との相関性について意味ある結論づけできず、それは主にデータが少なかったこと、研究間heterogeneityによるもの、レビューされた研究の方法論的厳格性が乏しいためであった。

コレステロール、飽和脂肪、動物性たんぱく質は食物中に共存することが多い。食餌中のコレステロールとこれらの栄養素との相互作用および独立性は、CVDや死亡率との関係で不明確なままである。
さらに、全体的に高品質の食事を摂取することが、食事によるコレステロール消費とCVDおよび死亡率との関連性を弱めるのかどうか、あるいはコレステロールの食物源(卵、赤身、家禽、魚、乳製品など)が重要かどうかは不明。卵、特に卵黄は、食事性コレステロールの主な供給源である。大きな卵(≒50 g)にはコレステロールが約186 mg含まれています。卵の消費とCVDおよび死亡率との関連性は全体的にもこれらの事象のサブタイプによっても矛盾しています

 Lifetime Risk Pooling Projectからの6つのコホートからpoolされたデータでの個別被検者解析で、前述のギャップに注目した分析を行ったもの




1日当たり約290 mgの米国平均食物コレステロール消費量は、1日当たり228 mgの世界平均よりも高く、2001  -  2002年から2013  -  2014年までは比較的安定していました。
米国では卵の消費量は比較的少ないのですが、一人当たりの卵の総消費量は、2001  -  2002年の1日当たり23.0 gから2011  -  2012年の1日当たり25.5 gまで11%増加しました。
その後のバージョンの食事ガイドラインで繰り越される場合、2015  -  2020年食事ガイドラインからの食事コレステロールおよび卵消費の推奨は、CVDの予防に有害となる可能性がある米国の卵および食事コレステロール消費のさらなる増加につながる可能性があります。


日本のコレステロール摂取量、卵消費量は40g程度
(古いデータだが:https://unit.aist.go.jp/riss/crm/exposurefactors/documents/factor/food_intake/intake_egg.pdf)

日本は有数の卵消費国
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000433.000001853.html

インパクトが大きい報告になるのだろうが・・・中身をみると評価は慎重に下す必要がありそう

高齢者・糖尿病:健康食にナッツ類は欠かせません 


自由生活高齢者へwalnutsをエネルギー摂取の15%とした場合の加齢関連疾患への影響をみたランダム化トライアル(Walnuts and Healthy Aging study)


クルミ(walnut) dietと対照食で診察室血圧と24時間持続血圧への2年間の効果を比較

事前設定解析 305、完遂 236(75%)、女性 65%、年齢 59歳、 軽症高血圧 60%
耐用性良好、コンプライアンス98%超
降圧剤uptitrationが少なく、全体的な血圧調整が対照比較で認められた

高齢者において、walnut摂取は、特に軽症高血圧において収縮期血圧低下をもたらした



Effect of a Walnut Diet on Office and 24-Hour Ambulatory Blood Pressure in Elderly Individuals
Findings From the WAHA Randomized Trial
Mónica Domènech ,  et al.
https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.118.12766
Hypertension.18 Mar.  2019;




前向き解析 糖尿病ベースライン存在とフォローアップ時診断された16,217名男女対照
冠動脈性心疾患・卒中・全原因死亡・死亡原因別死亡率qお含む心血管疾患(CVD)リスク評価をナッツ(tree nutsとピーナッツを含む)類全体と種別でその影響を検討
検証済食品摂取回数アンケートを用い、ナッツ摂取量を各2−4年毎update.
糖尿病患者において、ナッツ類高摂取に関連しCVD発生頻度低下・死亡率低下が認められ、特にtree nutsで認められた。
全死亡率低下はピーナッツ摂取量のみに関連した効果であった。
これら知見から、糖尿病患者において、ナッツはCVD合併症・死亡減少目的とした健康食パターンとして含まれるべき。卒中発症リスク・がん脂肪率に関してはナッツ類摂取量とは関連せず

Nut Consumption in Relation to Cardiovascular Disease Incidence and Mortality Among Patients With Diabetes Mellitus
Gang Liu ,et al.
2019https://doi.org/10.1161/CIRCRESAHA.118.314316
Circulation Research. 2019;124:920–929





春が過ぎればもうすぐナッツ

そろそろ、ラッカセイ栽培の準備しておくか・・・

慢性鼻副鼻腔炎(CRS)のクラリスロマイシン治療 システミック・レビュー&メタアナリシス

序文から
慢性副鼻腔炎(CRS)は鼻ポリープの有無により2つのphenotypeに分類。鼻ポリープを伴うCRSwNP、鼻ポリープを伴わないCRSnNP。CRSの根底の病態生理家は複雑で感染と炎症の要素関与。マクロライド系薬剤の有効性は抗炎症作用、抗biofilm、免疫調整として用いられているが、その有効性はまだinconsistent。2つのRCTでベネフィット報告あり、特にIgE低値患者での有効性が一方で示されている。一方でモメタゾン フランカルボン酸エステル・スプレーによるCRSnSPへの治療では、クラリスロマイシンの付加的効果を示せなかった。さらに、Videlerらの研究ではCRSへのアジスロマイシン3ヶ月付加治療後プラシーボ比較で効果認めず。CRSの治療におけるマクロライドの使用に関するエビデンスに基づく医学的勧告もまた変更されました。ヨーロッパおよび中国の現在のガイドラインでは、CRSsNP患者またはCRS患者における経口マクロライドの使用が推奨されていたが、米国のガイドラインでは、マクロライドはCRSの治療には任意選択であると示唆された。中国のCRSガイドラインでは14員環系マクロライドは好酸球増加なくアレルギー検査陰性症例の非アレルギー性CRSsNPで使用。2012年の欧州ガイドラインでは推奨レベルA→Cへ格下げ。




Clarithromycin for the treatment of adult chronic rhinosinusitis: a systematic review and meta-analysis
Zhenxiao Huang, MD, PhD and Bing Zhou, MD
International Forum of Allergy & Rhinology, Vol. 00, No. 0, xxxx 2019
背景:この系統的レビュー(SR)の目的は、慢性副鼻腔炎(CRS)の治療に対する経口クラリスロマイシンの安全性と有効性を評価すること。

方法:このSRおよびメタアナリシスは、介入のSRのためのコクランハンドブックに概説されている勧告に基づいて行われた。プロトコルは、SRの国際的な見込み登録者であるPROSPEROに登録された。英語と中国語の電子データベースが検索され、無作為化比較試験のみが含まれた。

結果:1738人の患者を対象とした17件の研究
11の研究で、鼻腔ステロイドスプレー±食塩による鼻腔洗浄に経口クラリスロマイシン追加で鼻腔ステロイドスプレー単独より効果あるかを検討
組み合わせ治療レジメンは中期的(1-3ヶ月)での臨床的症状を統計学的有意に改善。
短期的(1ヶ月未満)及び中期的の内視鏡及びCTスコア改善、長期的(3ヶ月超)での臨床症状、内視鏡スコア改善。
 有害事象の発生率は、この併用療法の使用によっては増加せず。 
症状、内視鏡的スコア、およびCTスコアに関して、クラリスロマイシン経口投与群と鼻腔内ステロイド単独投与群との間に有意差は認められなかった。

 結論:CRSの治療のために、鼻腔用食塩水洗浄の有無にかかわらず鼻腔内ステロイドスプレーを使用するより鼻腔内ステロイドスプレーに経口クラリスロマイシンを追加することはより良い結果を達成する可能性はある。経口クラリスロマイシン単独でも鼻内グルココルチコイドスプレー単独と同様の効力を有することができることを確認するための十分な証拠はない。この分野の質の高い証拠が必要。





専門ではないのでコメントできるほどの知識も経験も無いが
この分野もphenotypeにより治療戦略模索している様相

COPDの治療戦略もまだまだ不確定的なのと似ている

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note