自己決定理論 self-determination theory (Deci E, Ryan R. Handbook of Self-determination Research. Rochester, NY: University of Rochester Press; 2002.)
https://www.amazon.co.jp/Handbook-Self-Determination-Research-Edward-Deci/dp/1580461565
医師行動決定は、外部の要因(e.g. 家族、友人、医療専門家からの要求)で規制されるのではなく、内面化されたより自律的(autonomy)な行動に基づく行動規制
外部規制によるものでなく、自律規制は、自己効力感(self-efficacy)を増加、行動持続性の向上、長期行動変容、よりポジティブは健康行動をもたらす。
Autonomyは、選択の自由が強調される行動要素で、これまでのRCTにて治療自己選択決定機会をもつ患者では、インストラクションに適合しやすさを有する。
autonomyとcompetence(処理能力・技術)には正の相関性があるというエビデンスがあり、autonomyの高い人は行動変容を到達するcompetenceが層で無い場合より大きい。
故に、喫煙者の行動に意欲と選択を経験すれば、喫煙者の自律性と能力が向上し、それによって喫煙をやめるための自己効力感が高まると予測された。
具体的には、手短な助言(約1分間)と自己禁煙計画(迅速 or 段階的)選択させる介入 vs 禁煙リーフレットを受ける(対照)
Effectiveness of a Brief Self-determination Theory–Based Smoking Cessation Intervention for Smokers at Emergency Departments in Hong KongA Randomized Clinical Trial
William Ho Cheung Li, et al.
JAMA Intern Med. Published online December 2, 2019. doi:https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.5176
被験者(n=1571)で、男性 1381名(87.9%);ベースライン平均(SD)年齢 47.4(16.4)歳
6ヶ月時点での自己報告菌得被験者のうち生化学検査評価 (呼気CO濃度、唾液コチニン試験) 50.3%(85/169)
6ヶ月時点での生化学的評価禁煙率は、対照群と比較し、介入群では統計学的に有意に高率 : 6.7% (53 of 787) vs 2.8% (22 of 784) (P < 0.001),補正相対リスク of 3.21 (95% CI, 1.74-5.93; P < 0.001)
介入群では、6ヶ月時点での自己報告禁煙率も高い (12.2% [96 of 787] vs 9.3% [73 of 784], P = 0.04) 、12ヶ月時点でも高い(13.0% [102 of 787] vs 8.5% [67 of 784], P < 0.01)
同様、生化学的評価禁煙率12ヶ月時点でも同様 s (7.0% [55 of 787] vs 3.7% [29 of 784], P <0 .001="" p="">
それぞれの介入群被験者の付加コストは、推定gain 0.0238 QALY、US$ 0.47で、1QALYを伸ばすために要するコスト: incremental cost-effectiveness ratio(ICER)は許容閾値内に落ち着く
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禁煙指導の中にはニコチン依存の薬物的影響と行動への影響を説明せず「たばこの害」ばかり強調する向きも多い。自己効力感(self-efficacy)を上手に感じてもらい、禁煙している自分をポジティブに評価できる雰囲気作りをすることこそ、真の禁煙外来だと思う。
ただ、禁煙外来に自らの意志で来院し、自己決定できる、周囲の環境面整備こそ、行政や家族、医療関係者が行うべき事と思う。