2019年12月3日火曜日

自己決定理論の効果:禁煙介入

自分でやる気にならないと何でもダメなんだよなぁ





自己決定理論 self-determination theory (Deci  E, Ryan  R.  Handbook of Self-determination Research. Rochester, NY: University of Rochester Press; 2002.)
https://www.amazon.co.jp/Handbook-Self-Determination-Research-Edward-Deci/dp/1580461565


医師行動決定は、外部の要因(e.g. 家族、友人、医療専門家からの要求)で規制されるのではなく、内面化されたより自律的(autonomy)な行動に基づく行動規制
外部規制によるものでなく、自律規制は、自己効力感(self-efficacy)を増加、行動持続性の向上、長期行動変容、よりポジティブは健康行動をもたらす。
Autonomyは、選択の自由が強調される行動要素で、これまでのRCTにて治療自己選択決定機会をもつ患者では、インストラクションに適合しやすさを有する。
autonomyとcompetence(処理能力・技術)には正の相関性があるというエビデンスがあり、autonomyの高い人は行動変容を到達するcompetenceが層で無い場合より大きい。
故に、喫煙者の行動に意欲と選択を経験すれば、喫煙者の自律性と能力が向上し、それによって喫煙をやめるための自己効力感が高まると予測された。




具体的には、手短な助言(約1分間)と自己禁煙計画(迅速 or 段階的)選択させる介入 vs 禁煙リーフレットを受ける(対照)


Effectiveness of a Brief Self-determination Theory–Based Smoking Cessation Intervention for Smokers at Emergency Departments in Hong KongA Randomized Clinical Trial
William Ho Cheung Li,  et al.
JAMA Intern Med. Published online December 2, 2019. doi:https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2019.5176





被験者(n=1571)で、男性 1381名(87.9%);ベースライン平均(SD)年齢 47.4(16.4)歳

6ヶ月時点での自己報告菌得被験者のうち生化学検査評価 (呼気CO濃度、唾液コチニン試験) 50.3%(85/169)

6ヶ月時点での生化学的評価禁煙率は、対照群と比較し、介入群では統計学的に有意に高率 : 6.7% (53 of 787) vs 2.8% (22 of 784) (P < 0.001),補正相対リスク of 3.21 (95% CI, 1.74-5.93; P < 0.001)


介入群では、6ヶ月時点での自己報告禁煙率も高い (12.2% [96 of 787] vs 9.3% [73 of 784], P = 0.04) 、12ヶ月時点でも高い(13.0% [102 of 787] vs 8.5% [67 of 784], P < 0.01)

同様、生化学的評価禁煙率12ヶ月時点でも同様 s (7.0% [55 of 787] vs 3.7% [29 of 784], P <0 .001="" p="">

それぞれの介入群被験者の付加コストは、推定gain 0.0238 QALY、US$ 0.47で、1QALYを伸ばすために要するコスト: incremental cost-effectiveness ratio(ICER)は許容閾値内に落ち着く





禁煙指導の中にはニコチン依存の薬物的影響と行動への影響を説明せず「たばこの害」ばかり強調する向きも多い。自己効力感(self-efficacy)を上手に感じてもらい、禁煙している自分をポジティブに評価できる雰囲気作りをすることこそ、真の禁煙外来だと思う。

ただ、禁煙外来に自らの意志で来院し、自己決定できる、周囲の環境面整備こそ、行政や家族、医療関係者が行うべき事と思う。





PROMs:臨床的意義のあるベネフィット: Noticeable ChangeとValuable Change

臨床トライアル上のベネフィット評価として、Noticeable ChangeとValuable Changeを区別する必要がある




Clarifying the Meaning of Clinically Meaningful Benefit in Clinical ResearchNoticeable Change vs Valuable Change
Kevin P. Weinfurt, PhD1
Author Affiliations Article Information
JAMA. Published online December 2, 2019.
doi:https://doi.org/10.1001/jama.2019.18496


近年患者やケア提供者、その両者による臨床トライアルのアウトカムの選択・測定・解釈入力について注目が集まっている。重要なポイントの一つは臨床的意義のあるベネフィットを構成する質問であるかどうか、特に、 patient-reported outcome measures (PROMs)が、患者がいかに感じるか、そして機能に関する評価について用いられるときが問題。
MCID(minimally important differences)と関連用語・概念について記載そして評価する文献は広大に存在する。
1. Coon  CD, Cook  KF.  Moving from significance to real-world meaning: methods for interpreting change in clinical outcome assessment scores.  Qual Life Res. 2018;27(1):33-40. doi:10.1007/s11136-017-1616-3
2. Jayadevappa  R, Cook  R, Chhatre  S.  Minimal important difference to infer changes in health-related quality of life-a systematic review.  J Clin Epidemiol. 2017;89:188-198. doi:10.1016/j.jclinepi.2017.06.009
3. Revicki  D, Hays  RD, Cella  D, Sloan  J.  Recommended methods for determining responsiveness and minimally important differences for patient-reported outcomes.  J Clin Epidemiol. 2008;61(2):102-109. doi:10.1016/j.jclinepi.2007.03.012
4. Wyrwich  KW, Bullinger  M, Aaronson  N, Hays  RD, Patrick  DL, Symonds  T; Clinical Significance Consensus Meeting Group.  Estimating clinically significant differences in quality of life outcomes.  Qual Life Res. 2005;14(2):285-295. doi:10.1007/s11136-004-0705-2
5. McGlothlin  AE, Lewis  RJ.  Minimal clinically important difference: defining what really matters to patients.  JAMA. 2014;312(13):1342-1343. doi:10.1001/jama.2014.13128

1人の患者が時間と共に推移変化その差の意味あいは、経時的群間差と異なるという認識を含め、この分野ではいくつかの研究の進歩があった。
Coon  CD, Cappelleri  JC.  Interpreting change in scores on patient-reported outcome instruments.  Ther Innov Regul Sci. 2016;50(1):22-29. doi:10.1177/2168479015622667

それでも薬剤やデバイス研究や産業において臨床研究での“臨床的意義ある変化”について以下に決定するかそのベストな方法はまだ不明なところがある。“臨床的意義”概念が曖昧なため、患者やケア担当の知覚を臨床的トライアルの目的、デザイン、解析、解釈へ組み入れることはチャレンジングなものとなる。患者やケア担当が寄与できるのは、研究者や臨床家が、いつでも求めるインプットの種類について明確化している場合のみである。

臨床的意義のあるベネフィット概念まわりの複雑さは、有意義な差の2つのタイプをとりまとめることで生じる

一つは、患者および介護者の知覚に基づくもので、もう一つは、患者・介護者の価値付けに基づくもの



Noticeable Change
人々がどのように感じるか機能するかの評価については、検知可能な変化:noticeable changeとは、その人またはその介護者が知覚できる変化を指す。健康状態に関する日々のコミュニケーションのほとんどは、コミュニティの他の人が容易に理解できる方法で顕著な変化を伝える言葉と表現を使用する。これらには、症状の有無に関するコミュニケーション(例:「昨日、胃がけいれんし始めました」)や、ある役割で適切に機能するかどうか(例:「交通衝突事故後、彼はそのルートを運転できない」)。
言語表現で、例えば、靴のフィット修正した後、「はい、少し気分が良い」など、秩序だった感情表現を反映する様、使われる。
手助けを何か行うレベルで変化を表現する場合もある
たとえば、「この新しい薬を使えば、彼女は車椅子をもう必要とせず、杖を持って歩くことができます。」
これらのケースはすべて明確な変化を反映し、特定のPROMの変化が人により知覚され、容易に共有できる。従って、変化が、discernable(識別可能)という意味で、意義あるものかどうか疑念を上げることは想像困難。

対照的に、特定の patient-reported outcome measures (PROMs)の変化が人により知覚されるかどうか疑問が多く存在する。例えば、 “distress thermometer”、100−点反応スケールの2点差は介入で改善した場合人々は知覚できるか?

PROMが複数の項目からの応答を組み合わせて数学的複合(例:合計スコア)を作成することにより得点される場合にも質問が発生します。その場合、たとえば、0〜50ポイントスケールでの5ポイントの変化が、人が検出できる健康状態の変化に対応するかどうかを知ることが重要です。このような場合、目盛りに沿った個人の開始点に関係なく、目立つサイズの変化と目立つ必要がある変化が同じサイズであるかどうかを判断するために、追加の方法論的作業が必要です重度から中等度の疾患)。この方法論の作業には、かなりのリソースが必要になる可能性があり、概念的および技術的な課題を提示します。



Valuable Change
何らかの顕著な変化が発生したことを確認した後、有意性についての次の質問は、変化の量が患者または介護者によって価値があると見なされるかどうかである。すなわち、変化は価値のあるものか?この質問の答えはcontextに大きく依存する。個別コストや不便さがベネフィットを上回らない限り少ないながら価値として判断するだろう。しかし、毒性副作用を生じる治療なら、同じ程度の改善でも、価値少ないと判断する。これらの例から、変化の値を以下に決定するかは特異的なcontextにより判断すべきということが強調される。


推奨
以上の議論から、臨床研究において患者中心のエンドポイントの使用に患者や介護者のインプットの組み込みを強化するためのいくつかの推奨事項

meaningfulという用語は、臨床的ベネフィットに関連し使用される場合、まだ曖昧であるということを認識すること。これらの用語を、"noticeable" and/or "valuable"に特化して置き換え、補足して使用すること 
PROMsで任意のmetricsを用いる場合、"noticeable change”を構成するものについて決定あるいは納得させるべきburdenがある。故に、可能な限り、PROMs開発は日常会話においてすでに使用されている有意な区別を切り分けられるitemやresponse optionを用いる。患者との会話の標準化としてPROMsは本質的に機能するということとも一致する。例えば、PROMそちsて特定の症状の回数についての質問は、曖昧な定量化ではなく、具体的回数で答えさせる((eg, never, rarely, sometimes, often, or alwaysではなく、e.g. 「1日3回」)。多くは1日3回ならnoticeableだが、often→sometimesなら不明瞭。
Weinfurt  KP.  Viewing assessments of patient-reported heath status as conversations: implications for developing and evaluating patient-reported outcome measures.  Qual Life Res. 2019;13(1):1-7. doi:10.1007/s11136-019-02285-8 
特定のエンドポイントのnoticeable changeを構成するものは患者の開始点に依存する事(例えば、症状あるいは機能制限の軽度vs重度など)があるが、noticeable changeはcontext横断的にばらつきは少ない。 valueable changeの定義はcontext要素、例えば介入コスト、副作用、利便性、利用性、代替介入のコスト・ベネフィットなどに大きく左右される。かように一定のchangeにおけるvalueの評価は重要なcontext要素の特異性を含むべきである

より具体的な方法論の問題を解決するには以上の推奨のいくつかを追求する必要がある。 また、顕著な変化を特定し、貴重な変化の判断を引き出すためのベストプラクティスと方法論の基準を開発する必要もある。
 臨床的に意味のある利点のこれら2つの側面をよりよく理解することで、臨床研究の設計と解釈に患者と介護者をより効果的に組み込むことができる。






MCIDは、noticeable change or valuable changeとちらでしょう?













答え:
A minimal clinically important difference (MCID) is an important concept used to determine whether a medical intervention improves perceived outcomes in patients.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4453215/

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