2015年1月31日土曜日

高い「偽薬」は安い「偽薬」に比べ効果あり!

記事解説だと、投与あたり 100米ドルと1500米ドルのプラシーボ投与を比較

2006年のメタ解析では、
Placebo response in Parkinson's disease: Comparisons among 11 trials covering medical and surgical interventions
Mov Disord. 2008 Apr 15;23(5):690-9. doi: 10.1002/mds.21894.
16% ほど症状を改善した。

そして、下段の研究では・・・

fMRIを用いパーキンソン病特有のドパミンレベルを間接的に示す脳の活動性を評価しながら、「安い」プラシーボ薬剤と「高い」プラシーボ薬剤の比較。「安い」プラシーボの方が脳の活動性が高い状態の間々で、「高い」プラシーボの方がより高い臨床的効果を示した。


Placebo effect of medication cost in Parkinson disease
A randomized double-blind study
Alberto J. Espay, et. al.
http://www.neurology.org/content/early/2015/01/28/WNL.0000000000001282.short


目的: 介入のコスト、従来の「inactive」traitの影響を、治療介入反応性寄与分として検討


方法: 中等度から重症パーキンソン病・motor fluctuation存在の12名の患者(平均年齢 62.4±7.9歳、 平均疾患期間 11±6年)で、ランダムに“安価” or "高価"皮下“新しい注射ドパミン系アゴニスト”プラシーボ(中身は生理食塩)を投与
クロスオーバーに、約4時間arm交換
盲目化運動評価、特に定義されてない状態、介入前後行なう;内容:  Unified Parkinson's Disease Rating Scale motor subscalePurdue Pegboard Testと tapping task。
脳活動性測定は、feedback-based visual-motor associative learning functional MRI taskを用い測定


Order effect was examined using stratified analysis.


結果:
両プラシーボとも、運動機能改善、 ベネフィットは高額プラシーボを初回割り付けされた群で大きく、安価プラシーボとレボドパの半分くらい。
脳活動性は、安価プラシーボ初回投与群で大きいが、高価プラシーボ初回投与群とレボドパ群では反応せず
投与順に関わらず、安価プラシーボは左外側感覚運動皮質や他の領域の活性化あり
結論: 高額なプラシーボは有意の運動機能改善し、レボドパ相当の半分程度の働きを示す脳の活動性低下を示す。
臨床研究において、被験者のコスト意識は、プラシーボの効果に影響を与える。


Classification of evidence: This study provides Class III evidence that perception of cost is capable of influencing motor function and brain activation in Parkinson disease.



高コスト医療を好む患者側希望ってのは・・・普遍的事象なのかもしれない


高血圧ガイドラインJNC8による治療対象枠縮小によるコスト効果は是認できる

日本ではもっと顕著だったと思うけど、米国内で40歳代以上では、1960年代に比べ、 平均収縮期血圧約10%減少、拡張期血圧平均は13%減少 していると序文に記載。 しかし、米国内では6千4百万人の成人高血圧の44%がコントロールされてない。糖尿病やCKDをより積極的に治療する例外をもうけ、10年前、年齢に応 じた高血圧治療目標が設定された。


2014年のガイドライン(JNC8)は、3つの重要な変更があった。
1) 60歳未満は拡張期血圧にフォーカス
2) 60歳以上はややコンサバティブに 150/90 mmHg
3) 糖尿病・CKD では 140/90 mmHg


2014ガイドライン(Adults, According to Major Treatment Group.)

治療群 年齢レンジ 血圧治療ゴール
60歳未満(CKDなし、糖尿病無し)    35-59歳    拡張期血圧 < 90 mmHg
60歳以上(CKDなし、糖尿病無し)    60-74歳    収縮期血圧 < 150 mmHg 及び 拡張期血圧 < 90 mmHg
全年齢(糖尿病もしくはCKD)    35-74歳    収縮期 < 140 mmHg 及び 拡張期血圧 < 90 mmHg
 このガイドラインにより、若年者の1%、高齢者の8%ほどが、高血圧治療対象外となる。
その影響をコスト効果的にみたもの


当ブログ関連記事:
【高血圧ガイドライン】JNC8 批評
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/12/jnc8.html



Cost-Effectiveness of Hypertension Therapy According to 2014 Guidelines
Andrew E. Moran, et. al.
N Engl J Med 2015; 372:447-455January 29, 2015



背景: 2014年米国内の高血圧ガイドラインをベースに判断すると、多くの対象となりえる成人たちが未治療の間々である。このガイドラインに基づく米国内高血圧治療のコスト効果についてプロジェクトを行った。


方 法:   Cardiovascular Disease Policy Model を用い、未治療成人を35-74歳の対照者を2014年から2024年まで治療することの、薬剤治療及びモニタリングコスト、心血管治療削減するコスト、 QALYsをシミュレーション。評価は、年齢、高血圧レベル、CKD・糖尿病存在・未存在に基づき評価。

結果: 新規ガイドラインの完全取り込みにて、年間あたり、約5万6千の心血管イベント数を減少、 心血管疾患死亡を1万3千減少し、結果全体のコストを削減するかも
このプロジェクションは、心血管疾患あり、Stage 2高血圧存在の治療にて35-74歳の男性では生命・コストをsaveできる。同様に、45-74歳の女性においても同様。

心血管疾患存在下の男女、Stage 2高血圧・心血管疾患なし男性では、仮に治療コスト倍かに値流留医薬品アドヒアランス増加戦略となっても、コスト削減効果はある。

Stage 1の高血圧治療(定義として<5万米国$)とすると、45-74歳の男女全部においてコスト効果は認めた。一方、35-44歳女性ではStage1高血圧で、心血管疾患I場合、治療にて、コスト効果は中間的かコスト効果少ない。



結論: 米国成人のための2014年高血圧ガイドラインを導入することで、35-74歳の成人では、年間5万6千のイベント、1万3千の死亡を減少させる事ができる。
心血管疾患あるいはStage2高血圧患者では、高血圧コントロールすることは効果的で、コスト削減効果を認める  . (Funded by the National Heart, Lung, and Blood Institute and others.)






個人的には、拡張期血圧重視ってなかなかなじめない のだが、確かに、若年者において、血圧変動性は拡張期の方が少ない印象をもつ。故に、代表値として再評価されて良いのかもしれない・・・


それと、日本のガイドラインは、エビデンス乏しいにかかわらず、独自の年齢区分している。疑念を抱かずには居られない・・・


日本の高血圧ガイドラインとの違い
参考:https://ds-pharma.jp/gakujutsu/contents/cv_guideline/aha_acc_guideline_2013/02/

  JNC委員会での少数意見であることを断りながら,60歳の段階で降圧目標を150mmHgに上げることは治療の緩和,ひいてはリスクが上昇し,過去数 十年をかけてCVDの減少にかけてきた努力が水泡に帰す可能性があると述べている(氏らは脆弱な80歳以上の高齢者では降圧目標を150mmHgにあげる ことには同意している)。



日本の臨床ガイドラインのぐだぐだ感は時代を経ても相変わらずと、米国のを比較すると・・・


以前は米国のガイドラインをネタにした講演会かなり開かれていたと思うが、今、JNC-8をテーマにした製薬会社スポンサー講演会を聞くことが少ない(・・・笑うわ!)

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note