2016年6月18日土曜日

非結核性抗酸菌:治療効果と肺機能減衰の関連

治療介入意思決定が群間平等に行われているならともかく、無治療選択はそれなりに自然歴良好なことが想定される。故に、解釈次第では何言ってるのか分からない論文となる



治療成功群 vs 治療失敗群を主軸に比較した方がまだまし



非結核性抗酸菌(NTM)は世界的にその症例数増加。COPD、気管支拡張・結核感染後遺症などとならんで肺構造破壊疾患。通常緩徐進行であるが、rapidな症例もある。
長期多剤治療にかかわらず、除菌困難で、再発も多いのがNTMの特徴。
レントゲン所見、症状とともに機能的な影響も考慮すべき。



治療失敗群などは、FVC年次減少速度はIPFに相当するほどのインパクトを有することの認識を広めるべきであろう




Lung Function Decline According to Clinical Course in Nontuberculous Mycobacterial Lung Disease
Hye Yun Park, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.06.005
http://journal.publications.chestnet.org/article.aspx?articleID=2529124

前向きNTM registry cohort(1999年1月〜2011年11月)
無治療、治療成功、治療失敗群群別検討も

治療失敗群(n=68)では、観察群(n=118)、治療成功群(n=172)比較で、FEV1、FVC低下急速;
FEV1 :–52.2, –30.8, –28.2 mL/yr p=0.023
FVC   :–50.4, –28.8,  –26.0 mL/yr p=0.002

共役要素補正後、治療失敗群では、観察群(補正P = 0.026 for FEV1、 0.022 for FVC decline) 、治療成功群 (0.004 for FEV1 decline、0.002 for FVC decline)よりFEV1、FVC減少高度

治療成功群FEV1、FVC減少は観察群と同様




向精神薬:アルツハイマー病有無にかかわらず肺炎入院/死亡増加

定型・非定型を問わず、向精神薬が肺炎リスクを高めることが以前から知られていた。
精神疾患基礎疾患に依存する可能性が考察されていたが、薬物の存在そのものが肺炎リスク増加をもたらすという結果


機序に関しては論文考察ほぼなされてない



Antipsychotic use and risk of hospitalisation or death due to pneumonia in persons with and without Alzheimer’s disease
Anna-Maija Tolppanen, et. al.
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.06.004


 MEDALZ cohort(アルツハイマー病全例、臨床的確認、フィンランド、2005-2011年、肺炎発症 12,225、n=60,584)、対照はマッチ化、ADなし、肺炎発症 6,195

 向精神薬投与は
 ADコホートで肺炎リスク増加(補正ハザード比 aHR, 95% 信頼区間[CI] 2.01, 1.90-2.13)
 非ADコホートでより増加多い (3.43, 2.99-3.93)

 同様の結果が、症例交差解析でも観察:オッズ比 ADコホート  2.02, 95% CI 1.75-2.34、非ADコホート 2.59, 1.77-3.79

 最頻用3大向精神薬(セロクエル:クエチアピン、リスペリドン、ハロペリドール)は同等に肺炎リスク増加と関連

noteへ実験的移行

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