2015年6月23日火曜日

GOLD病期0:スパイロメトリ正常・喫煙歴の半数が病的所見を有する

スパイロメトリー上正常な喫煙者でも、病的な状況にあることが多い。従前、喫煙・喫煙既往者でもスパイロメトリー正常なひとは呼吸器疾患なしと判断されていた。
だが、スパイロメトリー以外の項目、画像検査・運動能力・QOL指標を加えると、喫煙者・喫煙経験者の半数程度が病的な状況と見なされる。



これらスパイロメトリ正常である喫煙者を Global Initiative for Obstructive Lung Disease (GOLD)  “0” ・・・この表現は、以前のGOLDで類似表現存在してたが、現行のGOLDには記載が無かったはずだが、復活の狼煙?



具体的には、喫煙者(ExSmokerを含む?)で、COPDクライテリアに合致しない1群:“FEV1/FVC 0.7超 かつ FEV1予測比 80%以上”


the Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene)  横断観察研究で、スパイロメトリ、胸部CT、6分間歩行距離試験、アンケートを米国内21地域で施行

GOLD 0 群 (n = 4388)
GOLD 1 群 (n = 794)
COPD 群 (n = 3690)
never 群 (n = 108)


Clinical and Radiologic Disease in Smokers With Normal Spirometry
Elizabeth A. Regan , et. al. ; for the Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) Investigators
JAMA Intern Med. Published online June 22, 2015. 

2008年1月〜2011年7月まで登録


GOLD 0 群において、1つ以上の呼吸器関連障害が54.1%(2375/4388)

GOLD 0 群は、
・QOL低下 (平均 [SD] St George’s Respiratory Questionnaire total score, 17.0 [18.0] vs  Never Smoker 3.8 [6.8]; P < 0 .001)
・ 6分間歩行距離低下
・ CTの気腫存在・気道壁肥厚 42.3% (127 / 300)


GOLD 0 群での、FEV1T分布予測・平均は一般住民と比較では低いが、正常レンジ内


現行喫煙者は、呼吸器症状数増加と相関するが、喫煙既往者は、より気腫・air trappingが硬度。

加齢進行とともに禁煙増加し、CT所見増加する

呼吸機能障害を有するヒトは、呼吸器系薬物使用多く、その薬剤数が多いほど疾患悪化と関連する


レビュー:Cyberbullying、すなわち、SNS上のいじめなどの子供への影響

Cyberbullying : ソーシャルメディア上の反復性の有害性事項やいやがらせのことで、意図的なもの

メンタルヘルス上の問題点として懸念事態・・・そのレビュー


Prevalence and Effect of Cyberbullying on Children and Young People
A Scoping Review of Social Media Studies
Michele P. Hamm,  et. al.
JAMA Pediatr. Published online June 22, 2015. doi:10.1001/jamapediatrics.2015.0944


36研究、34報告での検討、58.3%は米国内調査、中高校生徒 66.7%、12−18歳が97.2%
Cyberbullying報告率中央値は23.0%(IQR 11.0%〜42.6%)


5研究にて、cyberbullyingと不安障害に不一致 and/or 弱い相関

10研究で、うつ報告と、統計学的有意相関


5研究で、自傷・自殺傾向を調査したが、一致した結果はない


Cyberbullyingの主な理由として、交友関係問題。女性は主に受け手側になることが多い。
反応は受け身的で、あまねくawareness や confidenceが足りない


ファッションによる健康被害:スキニージーンズ

スキニージーンズ、デニムパンツ、スキニータイツなど検索されるたぐいのぎちぎちのジーンズ類のお話だと思う(すきにーしろと言いたくなる爺さんたちには関係ない話だけど、医学的には関係ありそうだ)



ファッションというのの歴史は繰り返すそうだが・・・それによる弊害も繰り返すとのこと

歴史的に有害であったファッション: organ-squishing corsets, flammable hoop skirts, and asphyxiating stiff high collars - よくわからんけど、ぎちぎちの内臓圧迫コルセット、燃えやすいフープスカウト(南北戦争当時衣装が燃えやけど事故が起きたらしい)、窒息となりやすい硬い丈の高いカラー

最後はこういう奴かな?

(https://www.pinterest.com/pin/316870523757299205/)




30年前、タイト・ジーンズの弊害について報告されている

Tight-Jeans Meralgia: Hot or Cold?
Doreen Gateless, DO; John Gilroy, MD, FRCP(C)
JAMA. 1984;252(1):42-43. doi:10.1001/jama.1984.03350010022008.


今回、35歳女性が重度下肢浮腫のためオーストラリアの病院へ最終的に受診、かなりタイトなズボン(パンツと言わないといけないのかなぁ)で、それを切断せざる得なかった。
腓骨神経、脛骨神経の神経障害を呈していた。脛骨神経は、しゃがみこみ時出現していた。コンパートメント症候群としての脛骨神経はふくらはぎの筋肉のむくみにより圧迫し悪化したと思われる。
1980年代、Snug Denimによる鼠径靱帯神経圧迫後外側大腿皮神経障害の報告がある。
現在、彼女は足首、つま先の筋力低下あるも、還流障害はなく、大腿・膝の筋力正常となっている。ゆったりとした病院着をつけることが4日めで可能となったが、ファッションセンスは再発し、再入院・・・


Fashion victim: rhabdomyolosis and bilateral peroneal and tibial neuropathies as a result of squatting in 'skinny jeans'
Wai K, et al  J Neurol Neurosurg Psychiatry 2015.




RE-VERSE AD トライアル:Idarucizumab:プラザキサ(Dabigatran )特異的中和剤

NOACである、プラザキサ(Dabigatran )特異的中和剤

Idarucizumab for Dabigatran Reversal
Charles V. Pollack, Jr., et. al.
N. Engl. J. Med. June 22, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1502000


治験 Reversal of Dabigatran Anticoagulant Effect With Idarucizumab
https://clinicaltrials.gov/show/NCT02104947


数分以内に中和・・・4時間以内に100%




ダビガトランの特異的なヒト型抗体フラグメントであり、この薬剤だけを中和する


NOACの最大の問題点である、重大出血事故と緊急手術対応可能となれば・・・朗報
必然的に他NOACの販売も影響を与えることに

ただ、このトライアル最終報告2017年なのだが・・・

抗リウマチ剤と結核・非結核性抗酸菌症

生物学的製剤と呼吸器疾患 診療の手引き
http://fa.jrs.or.jp/guidelines/guidance_respiratory-disease.pdf


p59あたりにNTM症が記載されている。MAC症に関して積極的に治療すべしという印象を受けたが、検討数が少なく、菌種毎の検討ではさらに解析途上といったところだろう。






以下は、オンタリオ州、67歳以上の関節リウマチ患者住民ベースのNested Case-controlled研究

Increased risk of mycobacterial infections associated with anti-rheumatic medications
Sarah K Brode , et. al.
Thorax 2015;70:677-682 doi:10.1136/thoraxjnl-2014-206470

5万6千269名高齢RA患者のうち、結核発症 37例、 NTM症 211例、 各々の対照は10

結核、NTM症では共に抗TNF製剤でその尤度高い(未使用比較);
adjusted ORs (95% CIs)   5.04 (1.27 to 20.0) 、 2.19 (1.10 to 4.37)


免疫抑制作用強力な、アラバ(レフルノミド)や他の抗リウマチ剤でもTB、NTM症との関連高い
一方、経口ステロイドやヒドロキシクロロキン(現時点では日本未承認)は、NTM症と関連性が高い


NTM症を結核症とともに調査している。やはり共にBio製剤でのリスク増加は確か。しかし、若干薬剤により影響差もありそう


NTM診断治療意思決定にはスキルが必要という実感があるが、

noteへ実験的移行

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