2014年1月31日金曜日

医者も、患者も、ドクター・ウィキペディアに相談 ;英語版に比べ、日本語版の貧弱さにも驚き

Doctor Googleから、Doctor Wikipedia・・・


Wikipediaのからくりから考えれば、誤謬性は不可避、信頼性も不確か。でも、米国医師たちの約半数がWikipedia情報を利用し、患者も診断後情報入手のため用いる。まれな疾患も閲覧される状況を生み出しているトップ100記事は平均年間190万回閲覧されている。


Doctor Wikipedia is top medical resource for patients and doctors
By Michelle Starr
January 31, 2014
http://www.cnet.com.au/doctor-wikipedia-is-top-medical-resource-for-patients-and-doctors-339346525.htm




上位トップ検索ページを、英語・日本語比較すると、その質量の差に驚く。


結核


クローン病

肺炎
多発性硬化症

糖尿病

痛風

髄膜炎

ダウン症

結核へのアクセス数比較


日本語版は、英語版の1/10強といったところか!




http://stats.grok.se/ja/201401/ダウン症 は1日50未満が多い。
一方、http://stats.grok.se/en/201401/Down_syndromeは、2桁違う!

これは、充実度が全然違うためだろう


ロシア人:ウォッカと超過死亡リスクの関連性

ロシアの成人は望外に死亡率が高い。ウォッカにより超過リスク原因として、事故・自殺・暴力といった外因死とアルコール関連性の高い内因性疾患(頭頸部・肝臓腫瘍、結核、肺炎、膵炎など)が考えられる。

冬季オリンピックが開かれ、注目が集まるロシア・・・重度飲酒の問題も注目


Alcohol and mortality in Russia: prospective observational study of 151 000 adults
Zaridze et al.
The Lancet, Early Online Publication, 31 January 2014
doi:10.1016/S0140-6736(13)62247-3


疾患既往無し喫煙男性、57,361名20年間推定死亡リスク
35-54歳
  • 週1ボトル未満 16%(95% CI, 15 - 17)
  • 週1-2ボトル 20% (18—22)
  • 週3ボトル以上 35% (31—39) ; trend p < 0·0001


55-74歳
  • 週1ボトル未満 50% (48—52)
  • 週1-2ボトル 54% (51—57
  • 週3ボトル以上 64% (59—69) ; trend p < 0·0001


両年齢群とも重度飲酒超過死亡は、8つの疾患と強く関連する


自己報告飲酒は変動性;週ウォッカ3ボトル以上数年後再インタビューでは1ボトル以上少なくなってたのが半数:185/321

そのような変動性は、この研究では、重度飲酒ハザードで減衰されるが、自己報告ウォッカ飲酒用でもその後のリスク推定能はやはり強力に残存する。

男性非喫煙・女性では、重度飲酒珍しく、絶対的超過リスクは同様のよう


ズブロッカ (*)、アブソルート (*)、ストリチナヤ (ウォッカ界の黒霧らしい)、バカルディスミノフスカイベルーガヴァンゴー ・・・ 唐辛子ウォッカ:ペルツォフカ


最重症COPDでも、少量オピオイドは安全に使用できる!

進行期COPD患者に対する緩和治療として、オピオイドが再考されている

ベンゾジアゼピン系や麻薬の添付文書には、「禁忌:重篤な呼吸抑制のある患者」と記載がある。

Review   
Palliation of dyspnoea in advanced COPD: revisiting a role for opioids 
Thorax 64:910-915 doi:10.1136/thx.2009.116699

最上位段階では、モルヒネ投与+不安緩和薬剤が推奨されているのである。


市井には、呼吸抑制があるんだから、モルヒネなどオピオイド使うのは危険という発想が根強くある。患者の症状緩和のため、これをたださなければならない。



Safety of benzodiazepines and opioids in very severe respiratory disease: national prospective study
BMJ 2014; 348 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g445 (Published 30 January 2014)
Cite this as: BMJ 2014;348:g445


最重症COPD患者へのベンゾジアゼピン・オピオイド安全性評価
デザイン 住民ベース長軸連続コホート

セッティング スウェーデンでの長期酸素療法指示センター

患者 2249名COPD長期酸素療法、スエーデン(2005年から2009年、国内Swedevox Register)

主要アウトカム測定 年齢・性別・動脈血液ガス分析・BMI、パフォーマンス状態、入院歴、合併症、併用薬剤補正後ベンゾジアゼピン・オピオイドの入院・死亡への影響

結果 入院:1681 (76%) 、死亡 1129 (50%)
ベンゾジアゼピン・オピオイドは、入院増加と相関せず: ハザード比 0.98 (95% 信頼区間, 0.87 to 1.10) 、 0.98 (0.86 to 1.10)

ベンゾジアゼピンは、死亡率増加と相関 (1.21, 1.05 to 1.39) し、量依存的

オピオイドは、死亡率と量依存的に相関:
低用量オピオイド(モルヒネ換算30mg/日以下)なら、死亡率増加と相関せず (1.03, 0.84 to 1.26) 、高用量では相関 (1.21, 1.02 to 1.44)

ベンゾジアゼピン・オピオイド低用量同時投与も入院、死亡と相関せず (0.86, 0.53 to 1.42) or mortality (1.25, 0.78 to 1.99)

相関性は、薬剤、高炭酸ガス血症にnaiveであり、補正されず




結論 COPD患者において、オピオイド低用量は、入院・死亡リスク増加と関連せず、重度呼吸器系疾患自覚症状改善のため安全であろう



ところが、日本の実情は、非がんCOPD患者の呼吸困難を無視した薬事行政がなされている。患者会などが怒るべき状況なのだ。

担がん患者の呼吸困難治療プロセスでは、モルヒネ投与に、抗不安薬追加が示されている。http://www.jspm.ne.jp/gmeeting/peace3/M-6a.pdf

だが、健保病名適用を見ると・・・

オプソ:中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
モルヒネ注射液

1. 皮下及び静脈内投与の場合
(1) 激しい疼痛時における鎮痛・鎮静
(2) 激しい咳嗽発作における鎮咳
(3) 激しい下痢症状の改善及び手術後等の腸管蠕動運動の抑制
(4) 麻酔前投薬,麻酔の補助
(5) 中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛 

 呼吸困難に対する適用は存在しない・・・日本の状況。


緩和ケアに、心不全、呼吸不全など内因性疾患を加えるべきだし、終末期ケアと考えられる症例はがんやHIVだけではないことを理解してない行政や施策立案者たちが悪性だ。

閉経後女性ホルモン投与緑内障リスク減少?

網膜ガングリオン細胞はエストロゲン受容体発現し、さらに、閉経後ホルモン投与と、眼球内圧減少の関連性が報告されていた。後顧的研究だと、エストロゲンを含む閉経後ホルモン投与にて、POAGリスク減少の可能性あり



The Potential Association Between Postmenopausal Hormone Use and Primary Open-Angle Glaucoma
Paula Anne Newman-Casey, et. al.
JAMA Ophthalmol. Published online January 30, 2014. doi:10.1001/jamaophthalmol.2013.7618

骨粗鬆症治療のブレイク・スルー?;Romosozumab:スクレロスチン・ヒト化モノクローナル抗体第2相治験

骨粗鬆症治療薬「フォルテオ皮下注キット600μg」(一般名:テリパラチド)は、recombinant parathyroid hormone (PTH [1-34]である。

国際的には、2002年骨粗鬆症治療として、2010年頃日本では上記薬剤として上梓されている。
Effect of Parathyroid Hormone (1-34) on Fractures and Bone Mineral Density in Postmenopausal Women with Osteoporosis
Robert M. Neer,  et. al.
N Engl J Med 2001; 344:1434-1441May 10, 2001


骨塩増加し、骨折リスク減少し、骨構造を改善・密とするアナボリック薬剤とされたが、安全性・有効性に疑問とされ、多薬剤の代替的使用に制限されている。ラットに於ける骨肉腫リスクと高コスト

McClungらの新レポートは、Romosozumabの第2相、多施設・ランダム化・プラシーボ対照化・平行群8グループ研究で、骨粗鬆症治療のブレイクスルーと解釈されるべき報告。

osteocyte-derived glycoproteinであるスクレロスチン:sclerostinへのヒト化モノクローナル抗体
Romosozumab in Postmenopausal Women with Low Bone Mineral Density
Michael R. McClung,  et. al.
N Engl J Med 2014; 370:412-420January 30, 2014
subcutaneous romosozumab 月1回 毎(at a dose of 70 mg, 140 mg, or 210 mg) or 3ヶ月1回毎 (140 mg or 210 mg)
vs 皮下プラシーボ あるいはオープンラベル active 比較子である経口アレンドロネート(70 mg/週1回) or 皮下teriparatide(20μg 連日

romosozumabは、腰椎骨塩増加と有意相関、210mg月1回投与 11.3%、プラシーボ - 0.1%、 アレンドロネート 4.1%、 テリパラチド 7.1%

romosuzumabは、総股部・代替頚部骨密度の骨塩大幅増加と相関し、骨形成マーカーのtransitory増加をもたらし、骨九州マーカーの持続的減少をもたらす。軽度、一般的非再発性注射部位反応が見られるが、副作用の群間差は同等。



ただ、1年以上投与した場合はどうか?脳神経麻痺、脊髄硬化などの骨合併症の可能性、治療反応性の変容は?他部位での骨密度の変化は?など多くの疑念は存在する。

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