非英語母国語・低中所得国家において、集中的なe-Learningカリキュラムで、EBM教育効果の改善が認められるという報告
ご承知の通り、日本は、低中所得国では無いが、開業医や勤務医だけで無く、国家の医療行政を司る人間、指導的立場にいる医師たちを含め、EBMを一時的流行にしてしまい、いまでは、製薬メーカー大規模トライアルの宣伝だけが残渣として存在するような状況。
本来は、医師会や大学病院などの教育機関が、実践的EBM教育を不断に行うべきはずだったのだが・・・
日本ではEBMは根付かないどころか、自己利益誘導的な場面でしかEBMという言葉を使わない連中が増えてきた・・・
Effectiveness of a Clinically Integrated e-Learning Course in Evidence-Based Medicine for Reproductive Health TrainingA Randomized Trial
Regina Kulier, et. al.
JAMA 2012;308(21):2218-2225. doi:10.1001/jama.2012.33640
【序文】 エビデンスベースを修練的に行う臨床のため、EBM教育が臨床的にintegrateされるべきである。低中所得国家では、EBM訓練臨床指導者が乏しく、EBM教育のため割ける時間に乏しく、英語外の言語のデータベースへのアクセスの悪さが問題になる。
【目的】 WHO Reproductive Health Library (RHL)を組み入れた臨床上のintegrated e-learning EBM courseの、知識、スキル、教育環境への効果を伝統的EBM教育と比較
aching.
【Design, Setting, and Participants】 国際的なクラスターランダム化トライアル、2009年4月から2010年11月まで、7ヶ国の低中所得国家(アルゼンチン、ブラジル、コンゴ、インド、フィリピン、南アフリカ、タイ)で、産婦人科卒後教育について行った
教育訓練単位として
・RHL使用e-moduleから構成される実験的な臨床的integrated course 、学習活動性・訓練者評価(31 クラスター, 123 名登録)
・対照:RHL導入した自己学習EBMコース (29 クラスター, 81 名登録)
EBM教育訓練facilitatorは、すべての教育ユニットで、利用できる。
コースは8週間、ベースライン評価とコース完遂後4週後評価
24の実験クラスター(98名登録)、22の対照クラスター(68名登録)完遂
【Main Outcome Measures】 プライマリアウトカムは、EBM知識(スコアレンジ、0-62)、スキル(スコアレンジ、0-14)
セカンダリアウトカムは教育環境(5ポイント Likert scale 1 [一致性高い] ~ 5 [不一致性高い])
【結果】 ベースラインでの年齢、トレーニング年数、EBM関連への考え方、知識は同様。
トライアル後実験群では知識スコア高度 (対照群 38.1 [95% CI, 36.7 to 39.4] vs 実験群43.1 [95% CI, 42.0 to 44.1]; 補正後較差, 4.9 [95% CI, 2.9 to 6.8]; P < .001)
スキルはも高度 (8.3 [95% CI, 7.9 to 8.7] vs 9.1 [95% CI, 8.7 to 9.4]; 補正後較差, 0.7 [95% CI, 0.1 to 1.3]; P = .02)
教育環境全般スコア改善に差は認めない (6.0 [95% CI, −0.1 to 12.0] vs 13.6 [95% CI, 8.0 to 19.2]; 補正後較差, 9.6 [95% CI, −6.8 to 26.1]; P = .25)が、全般的 relationships と support項目に関しては平均的改善(−0.5 [95% CI, −1.5 to 0.4] vs 0.3 [95% CI, −0.6 to 1.1]; 補正後較差, 2.3 [95% CI, 0.2 to 4.3]; P = .03) あり
EBM適応機会に関してもスコア改善有り (0.5 [95% CI, −0.7 to 1.8] vs 2.9 [95%, CI, 1.8 to 4.1]; 補正後較差, 3.3 [95% CI, 0.1 to 6.5]; P = .04).
【結論】 LMIC群において、生殖医療に関する臨床的な集中的e-Learning EBMカリキュラムのほうが、自己学習的EBMコースに比べ、知識・スキルスコアが高度と成り、教育環境の改善が見られる。