2018年10月1日月曜日

尿中アルブミンとCOPD発症リスクの関連性

肺の微小血管機能障害はCLRD(慢性下気道疾患)病態に直接関係し、ラットでの肺血管内皮細胞生存障害が肺の肺胞壁細胞のアポトーシスや気腫と関連するという報告あり、一方、血管内皮機能のメディエーターとしてceramideが気道閉塞、気道炎症・肺過膨脹に関連することがヒト・マウスモデルで確認され、画像ベースの微小血管マーカーでは網膜血管、心筋血管床、肺微小血管が成人肺機能・COPD重症度と関連する報告が異論ありながら存在する。一方、アルブミン尿は腎臓の血管内皮細胞障害のバイオマーカーで、全身の微小血管機能障害とも相関する。

never-smokerでも、尿中アルブミン/CrとCLRDイベントの関連性有意で、COPD発症のメカニズム上血管内皮傷害の役割が推定されるかも・・・



Albuminuria, Lung Function Decline, and Risk of Incident COPD: The NHLBI Pooled Cohorts Study
AJRCCM Articles in Press. Published on 28-September-2018 as 10.1164/rccm.201803-0402OC
https://doi.org/10.1164/rccm.201803-0402OC     
PubMed: 30261735


6ヶ所の米国住民ベースコホート
尿中アルブミン/Cr比 スポット検査
入院・死亡関連CLRD(慢性下気道疾患)発生を adjudication and/or administrative criteriaで分類

スポット検査時 肺機能悪化なし 10,961名 平均年齢 60歳、非喫煙者 51%、アルブミン尿 5.6mg/g、平均 FEV1低下 年間 31.5mL
ln-アルブミン尿 SDに対し、FEV1減少 2.81% (95% 信頼区間l [CI], 0.86-4.76%; P=0.0047)加速、同様 FEV1/FVC減少   (95% CI, 4.43- 17.62%; P=0.0011)加速、スパイロメトリ定義中等度・重度 COPD発生ハザード増加 15% (95% CI, 2-31%, P=0.0021)

イベントフォローアップ 14,213被検者あたり、ln-アルブミン尿 SD毎 COPD-関連入院/死亡率ハザード比増加 26%(95% CI, 18-34%, P<0 .0001="" nbsp="" span="">


喘息イベントは有意相関無し

現行喫煙・糖尿病・高血圧・心血管疾患無しの被検者でも同様相関


結論:米国民において、アルブミン尿は肺機能低下加速と関連し、スパイロメトリ定義COPD、COPD-関連イベント発生と相関



ACE阻害剤とスタチンの認知症予防への可能性

あらためて・・・ということになるのだろうか?認知症治療(予防)一般に言えることだが、介入からその臨床的アウトカム差異発現まで随分な時間がかかり、利益こそが命題の企業側がトライアルをするには困難な分野である。これこそ国家的・国際的な行政レベルの取り組みが必要な臨床研究分野であろう。
メーカーの利益をくすねて、行政の財政的・人的負担を減らそうとばかりする厚労省や財務省じゃ・・・こういう発想は出てこないのだろうが・・・


RAS系

  • ARBよりACE阻害剤の方に機序的説得力があり、脂溶性ACE阻害剤が再度クローズアップ? トランドラプリルだが、先発品販売中止してしまっている(https://e-mr.sanofi.co.jp/-/media/EMS/Conditions/eMR/di/information/preran_201711.pdf?la=ja-JP)。おそらく、薬効可能性を宣伝するところもないのだろう。


  • スタチン
    • 脂溶性スタチンとしては、アトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、シンバスタチン(リポバス)、フルバスタチン(ローコール)
    • 水溶性で気を吐いているロスバスタチン(クレストール)


    Connecting the brain cholesterol and renin‐angiotensin (RAS) systems. Potential role of statins and RAS‐modifying medications in dementia
    B. Petek  M , et al.
    Journal of Internal Medicine, 28 Sep. 2018 8 https://doi.org/10.1111/joim.12838
    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/joim.12838?af=R


    脳内の"RASおよびコレステロール代謝経路"は、全身性のcounterpartから自律しており、コレステロール代謝物27-ヒドロキシコレステロール(27-OHC)を介して相互に関連している。このシステムは、アミロイド-βカスケード、血管機構、グルコース代謝、アポトーシス、神経炎症および酸化ストレスから、記憶および認知症の病因に寄与する。


    これらの治療と認知と認知症のリスクとの関係を調べた以前の研究では、一貫性のない結果出逢った。だが、この薬剤の血液脳関門浸透定義は困難で、認知作用機序は明確に確立されていない。

    疫学的研究・臨床的研究ともバイアス潜在が明らかで、reverse epidemiology、適応バイアス、薬剤暴露定義問題、投与量の不明確性・変化性、アウトカムと薬剤の不適切グループ化など存在


    脳コレステロールおよびRAS代謝の現在の知識、およびこれらの経路が神経変性に影響を与えるメカニズムを要約






    noteへ実験的移行

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