2012年5月17日木曜日

アジスロマイシンと心血管死亡リスク:絶対的影響は少ないが、心血管疾患患者では考慮必要?

100万疾患経過中最大で超過死亡250程度というのをどうみるか? また、propensity -score マッチ化といえど、アジスロマイシン投与例はレジオネラ・オウム病などの重篤な肺炎が多く含みやすいはずだが、十分考慮されているのか?・・・考察が必要だろう。

心血管系疾患を有する患者では、アジスロマイシン投与に関して注意が必要という結論になっているようだ


急性肺障害:マクロライド抗生剤使用によりアウトカム改善 (2012年5月2日水曜日)

こういう報告もなされていたばかり・・・


いくつかのマクロライド系抗生剤は催不整脈性に働き、突然死リスク増加と関連が示されているが、アジスロマイシンは心毒性少ないと思われている。しかし、不整脈の出版報告に関してアジスロマイシンが心血管死リスク増加と関連するかもしれない報告がなされていた。


薬剤による死亡率・短期的心影響を検討するTennessee Medicaid cohort

アジスロマイシン群(347795処方)、propensity-score-matched person、アモキシシリン(1348672処方)、シプロキサン(264626処方)、レボフロキサシン(193906処方)比較



Azithromycin and the Risk of Cardiovascular Death
Wayne A. Ray,et. al.
N Engl J Med 2012; 366:1881-1890May 17, 2012
治療5日間中で、アジスロマイシン服用患者は、抗生剤未投与に比べ、心血管リスク増加(hazard ratio, 2.88; 95%信頼区間 [CI], 1.79 ~ 4.63; P<0.001)、全死亡率増加 (hazard ratio, 1.85; 95% CI, 1.25 ~ 2.75; P=0.002)

アモキシシリン服用ではこの期間中死亡リスク増加なし

アモキシシリン比較で、アジスロマイシンは心血管死亡リスク増加と相関 (hazard ratio, 2.49; 95% CI, 1.38 ~ 4.50; P=0.002)、全原因死亡とも相関(hazard ratio, 2.02; 95% CI, 1.24 ~ 3.30; P=0.005)、100万経過あたり47の超過死亡と推定;心血管による最大10分位リスク群では100万経過あたり245の超過死亡と推定


心血管リスクは有意にアジスロマイシンで、シプロキサンより高いが、レボフロキサシンよりは有意で無かった。

WARCEF研究:洞性心不全患者:ワーファリン vs アスピリン

洞性調律心不全患者に対し、ワーファリンとアスピリンどちら?

左室駆出率低下・洞性調律患者

ワーファリン(INR 2.0-3.5) vs アスピリン(325 mg/日)




Warfarin and Aspirin in Patients with Heart Failure and Sinus Rhythm
Shunichi Homma, et. al.
the WARCEF Investigators
N Engl J Med 2012; 366:1859-1869May 17, 2012

プライマリアウトカムは:虚血性卒中・脳内出血・全原因死亡までの期間
フォローアップ期間中(6年まで平均[±SD]、3.5±1.8) 
プライマリアウトカム率(100人年あたり)

    ワーファリン群 7.47イベント

    アスピリン群 7.93

    (ワーファリンのハザード比:0.93 95%信頼区間[CI]、0.79-1.10;P=0.40)

2治療群に包括的有意差認めず



時間変数化解析、ハザード比は時間推移で変化し、4年フォローアップ時ややワーファリンが好ましい状況だが、有意差は境界域(P=0.046)



アスピリン比較でワーファリンではフォローアップ期間を通して虚血性卒中有意減少(100人年あたり 0.72 vs 1.36 ; ハザード比, 0.52; 95% CI, 0.33 to 0.82; P=0.005)



重大出血率イベント(100人年あたり) ワーファリン群 1.78、アスピリン群 0.87(P<0.001)



脳内・頭蓋内出血率は2治療群間で有意差認めず (100人年あたり ワーファリン群 0.27 vs アスピリン群  0.22 P=0.82)



コーヒー:飲料で総死亡減少・各原因死亡減少 ;喫煙にて効果消去


原因・結果関連性は不明だが、コーヒー飲料量と総死亡率・原因死亡率は逆相関

Association of Coffee Drinking with Total and Cause-Specific Mortality
Neal D. Freedman, Ph.D., Yikyung Park, Sc.D., Christian C. Abnet, Ph.D.,
Albert R. Hollenbeck, Ph.D., and Rashmi Sinha, Ph.D.
N Engl J Med 2012; 366:1891-1904May 17, 2012

1995ー2008年間フォローアップ 5,148,760人年で、男性33732名、女性18784名死亡
年齢補正モデルでは、死亡リスクは、コーヒー飲料者で増加。
しかし、コーヒー飲料者は喫煙が多い、そして、喫煙状況・他の寄与要素補正後は、有意にコーヒー飲料と死亡率に逆相関認める。
コーヒー飲料(非コーヒー飲料比較)補正ハザード比は、
男性:
1日1杯未満   0.99 (95% confidence interval [CI], 0.95 to 1.04)
1日1杯 0.94(95% CI, 0.90 to 0.99)
1日2ー3杯 0.90 (95% CI, 0.86 to 0.93)
1日4ー5杯 0.88 (95% CI, 0.84 to 0.93)
1日6杯以上 0.90 (95% CI,0.85 to 0.96)(P<0.001 for trend) 
女性では、それぞれ、
1.01 (95% CI, 0.96 to 1.07)
0.95 (95% CI, 0.90 to 1.01)
0.87 (95% CI, 0.83 to 0.92)
0.84(95% CI, 0.79 to 0.90)
0.85 (95% CI, 0.78 to 0.93) (P<0.001 for trend)
心疾患死亡、呼吸器疾患、卒中、外傷・事故、糖尿病、感染症では逆相関、しかし、がんでは相関見られず。
サブグループでは類似、無喫煙歴・ベースライン健康状態良好対象者で同様。 

noteへ実験的移行

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