2012年3月16日金曜日

ニコチン作動性アセチルコリン受容体変異:COPDより、喫煙習慣に、より影響を与える


Nicotinic Acetylcholine Receptor Variants Are Related to Smoking Habits, but Not Directly to COPD
Simona E. Budulac, et. al.
PLoS ONE 7(3): e33386. doi:10.1371/journal.pone.0033386



ニコチン作動性アセチルコリン受容体(nAChRs)のSNPs GWA研究


homozygote (CC) s569207 宿主は、野生型(TT)と比べ、禁煙率高い (OR (95%CI) = 1.58 (1.05–2.38))

homozygote (TT) rs1051730 宿主は、野生型(CC)と比べ、禁煙率少ない (0.64 (0.42; 0.97))

SNPsの無い場合、喫煙者では、年毎のFEV1減少と有意に相関。

nAChR regionのSNPsは喫煙習慣と関連するが、喫煙者・喫煙既往者での年毎のFEV1減少とは有意に関連せず。
このことは、COPDのSNPsの意義というのは、肺機能への直接作用より喫煙習慣による者だろうと言うことを示唆した。




急性心筋梗塞:トロポニンI閾値 ;トロポニンTからトロポニンIへ?

Implications of lowering threshold of plasma troponin concentration in diagnosis of myocardial infarction: cohort study
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1533 (Published 15 March 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e1533 


急性冠症候群疑い例2092名の検討

トロポニンI濃度   
 <0.012 µg/L  988   (47%)
0.012-0.049 µg/L  352  (17%)
≥0.050 µg/L  752  (36%)

心筋梗塞診断を99パーセンタイルとすると、診断数 752→1104 47%増加する

1年目では、トロポニン濃度 0.001-0.049μg/L患者は、 <0.012 µg/Lの濃度の患者似比べ、死亡、再梗塞による再入院増加 (13% v 3%, P<0.001; odds ratio 4.7, 95% 信頼区間 2.9 to 7.9)

トロポニン ≧  0.050 µg/Lに比べて、トロポニン 0.012-0.049 µg/L では、リスク特性は高いが、診断・検査・治療と進む場合は少ない。


sensitive troponin I assayの開発

癌生存者にアルツハイマー型認知症(AD[)少ない、ADに癌少ない



がん生存者はアルツハイマー病リスクが少ない。
アルツハイマー病患者は、がん発生リスク少ない。

Inverse association between cancer and Alzheimer’s disease: results from the Framingham Heart Study
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1442 (Published 12 March 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e1442
10年フォローアップにおいて、221名のアルツハイマー型認知症診断
癌生存者はアルツハイマー型認知症リスク少ない(年齢・性別・喫煙補正 ハザード比 0.67, 95%信頼区間 0.47 to 0.97)

喫煙関連癌生存者で、喫煙非関連癌生存者より、リスクは少ない  (0.82, 0.57 to 1.19)

アルツハイマー型認知症リスク減少とは逆に、癌関連喫煙者生存者は卒中リスク増加する  (2.18, 1.29 to 3.68)

nested 症例対照解析では、アルツハイマー型認知症登録者では、参照群より、その後の癌のリスクが少ない   (0.39, 0.26 to 0.58)
アルツハイマー型認知症でも、認知症でも同様  (0.38、 0.44)


がんと神経変性疾患の関連について、共有する、いくつかの同じ遺伝子や生物学的経路、細胞サイクル変性や異常活性化などがある。これらの経路のシグナル化の結果、反対のエンドポイントをもたらすことも考えられる。癌はコントロール制御不能下の細胞増殖、変性疾患ではアポトーシス細胞死であり、細胞周期や蛋白フォールディングに2つの役割をはたす、p53、Pin1などがいずれにも関与する。両疾患の生化学的関連の理解が次の治療的限界への鍵となるのかもしれない・・・とポエム的解説。

白米食えば糖尿病になりやすい

コメ食えば糖尿病リスク増加させる、豆のほうがHDLを高め血圧低くする 2011年 09月 02日
http://intmed.exblog.jp/13440982/


類似報告ということになる。


White rice consumption and risk of type 2 diabetes: meta-analysis and systematic review
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1454 (Published 15 March 2012) Cite this as: BMJ 2012;344:e1454

前向きコホートのrandom effects modelを用いたプール化解析

4-22年フォローばらつきの352384名の登録者のうち、2型糖尿病13284発症

アジア人種(中国人、日本人) は西洋人種に比較して白米消費圧倒的に多い
 (毎日3-4サービング vs 1-2サービング/週)


プール化相対リスクは、アジア人種白米摂取最低カテゴリーとの比較で最高カテゴリーでは  1.55 (95% 信頼区間l 1.20 to 2.01)
一方、ヨーロッパ人種では、  1.12 (0.94 to 1.33)(P for interaction=0.038)

住民全体では、量反応メタアナリシスにより、1日の白米サービング数増加後と、2型糖尿病の相対リスク増加  1.11 (1.08 to 1.14) (P for linear trend<0.001)

Dose-response relation between white rice intake and risk of type 2 diabetes.

DPP-4阻害剤:2型糖尿病治療 システマティック・レビュー ;効果に疑問!

副作用が目立たないため、馬鹿売れしている、DPP-4阻害剤

システマティック・レビューをみると、効果に疑問が残る。


予想されていたとは言え、効果の割に売れすぎ! ・・・ と、現時点では結論づけできるだろう。
しかし、日本では、メトホルミン・バッシングもあり、GLP-1アゴニストも注射剤、SU剤は二次無効・インスリン感受性悪化ということで、現実には無難な選択となる。


dipeptidyl peptidase-4 (DPP-4) 阻害剤の有効性安全性評価に関わるシステマティック・レビューとメタアナリシス

Dipeptidyl peptidase-4 inhibitors for treatment of type 2 diabetes mellitus in the clinical setting: systematic review and meta-analysis
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.e1369 (Published 12 March 2012)



19研究27の報告、DPP-4阻害剤へランダム化割り付け、他の血糖降下薬剤への割り付け6745名の比較
プライマリアウトカムのバイアス包括的リスクはレポート群では少なく、9つで不明、14ではメトホルミンを単剤比較。
DPP-4阻害剤はHbA1cの減少軽度 (荷重平均差  0.20, 95% 信頼区間 0.08 ~ 0.32) 、体重への減少も軽度(1.5, 0.9 ~ 2.11)。

セカンドライン治療としては、HbA1c低下比較では、DPP-4阻害剤はGLP-1よりは劣る   (0.49, 0.31 ~ 0.67)、そして、ピオグリタゾンと同様 (0.09, −0.07~~ 0.24) 、しかし、HbA1c低下を目標とする場合のSU剤を上回ることは無い (risk ratio in favour of sulfonylureas 1.06, 0.98 ~ 1.14)

DPP-4阻害剤はSU剤、ピオグリタゾンに比べ、体重特性に関し良好   (weighted mean difference −1.92, −2.34 ~ −1.49、 −2.96, −4.13 ~ −1.78)、だが、GLP-1アゴニストとは比較できない  (1.56, 0.94 ~ 2.18).

どの治療群でも、DPP-4は、単剤比較としてのメトホルミン比較、あるいは、セカンドラインとしてのピオグリタゾン、GLP-1アゴニストとの比較でも、低血糖に関して最小限

メトホルミン併用の、DPP-4阻害剤 vs SU剤比較の 大多数のトライアルで、SU剤より低血糖リスク増加。

 ピオグリタゾンよりDPP-4阻害剤は重篤な副作用頻度は少ない。

吐気、下痢、嘔吐頻度はメトホルミン併用やGLP-1アゴニスト併用で多い。

咽頭喉頭炎、上気道感染、尿路感染リスクは、DPP-4 阻害剤と他の比較要素に関し差は認めない。





多剤との比較だが、ピオグリタゾン+メトホルミンの方が、DPP-4阻害剤+メトホルミンより良好なのが目立つ。



携帯電話(800-1900MHz帯伝播):子宮内暴露により神経発達障害・行動異常を来すことが明らかに!


Fetal Radiofrequency Radiation Exposure From 800-1900 Mhz-Rated Cellular Telephones Affects Neurodevelopment and Behavior in Mice
Tamir S. Aldad, et. al.
Scientific Reports 2,Article number:312  Published 15 March 2012 

 神経行動疾患が子供で増加しているが、その病因の詳細は不明。
出生前の携帯電話しようと子供のhyperactivityの関連性が問題提起されているが、radiofrequency(ラジオ波:RF) radiation暴露の神経発達への直接作用は不明である。

マウスモデルで、子宮内での携帯電話からのRF暴露の成人での行動に影響を与得たという報告。

子宮内暴露マウスは、hyperactiveになり、object recognition、light/dark boxとstep-down assayを用いた手段で判断する記憶障害が示された。

miniature excitatory postsynaptic currents (mEPSCs) のwhole cell patch clampで神経発達プログラム化の変容を示した。

暴露マウスは、用量依存的に、前頭前部皮質のlayer V錐体ニューロンへのグルタミン作動性シナプス伝達を障害する。

ということで、携帯電話電磁波暴露による子宮内での神経病理的作用が示された。


マウス実験の知見ということで、ヒト・非ヒトでのさらなる研究が必要だろうが、妊娠中の人あるいはその周辺の人は携帯電話使用に関して配慮が必要であろう。




Yale大学の研究者たちのマウス実験での結果で、直接ヒトに応用出来る話かどうかは不明だが、胎児期というのは脳の発達に重要な時期である。胎生期時期により、また暴露レベルにより様々な影響があるだろうが、妊娠中の女性たち、あるいは、周囲の人間は、携帯電話電磁波の胎児への影響について配慮する必要がある。ミュート(マナーモード)にしていても、ネットサービスを利用していても、携帯電話はactiveであり、電磁波暴露を浴びていることを認識すべきだろう。

ADHDとの関連性に関して一部寄与している可能性があることをYale大学研究者はコメントしている。

情報ソース:http://spectrum.ieee.org/tech-talk/consumer-electronics/portable-devices/cell-phone-radiation-leads-to-hyperactive-offspring-in-mice

全米:反たばこ・メディアキャンペーン

喫煙関連肺・口頭部がん、心臓発作、卒中へ焦点をあてた広告は3月19日から開始され、12週間様々なメディアでなされる。
米国CDC主導で5400万米ドルをかけた初の米国全土向け取り組み。

先月、連邦裁判で、たばこ会社からの要求で、パッケージ画像強制は却下されていたので、この話は終わったのかと思っていたが・・・


CDC launching graphic anti-smoking ad campaign
http://www.latimes.com/business/la-fi-smoking-ads-20120315,0,1234726.story

 





動画など
http://foxnewsinsider.com/2012/03/15/video-photo-cdc-launches-graphic-anti-smoking-campaign/



Anti-Smoking Ads Pull No Punches
By Joyce Frieden, News Editor, MedPage Today
http://www.medpagetoday.com/PrimaryCare/Smoking/31672
Published: March 15, 2012




この取り組みの根拠は、2003-2003年のメディアキャンペーンで一定の効果があったためとされる

Antismoking Media Campaign and Smoking Cessation Outcomes, New York State, 2003-2009
http://www.cdc.gov/pcd/issues/2012/11_0102.htm

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禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note