2012年2月8日水曜日

心筋梗塞後ショック低体温法の可能性

Stegman BM, Newby LK, Hochman JS, Ohman EM. Post-myocardial infarction cardiogenic shock is a systemic illness in need of systemic treatment. Is therapeutic hypothermia one possibility? J Am Coll Cardiol 2012; 59:644-647.
心筋梗塞後心原性ショックに対する低体温法は、生理学的なベネフィットを有する可能性、機能や血行動態改善、心筋ダメージ減少、持続する低灌流によるend-organの障害の減少。 心筋梗塞後ショックと虚血・再灌流傷害の動物モデル、ヒト心原性ショックの少数の症例シリーズにて、その治療戦略の可能性に期待が持てる。 仮説として、全身性低体温療法は、心筋梗塞後心原性ショック患者の合併症・死亡率を減少する可能性があり、新しい治療として世界的に利用される可能性がある。


離乳:スプーン離乳より、baby-led wearing (BLW)が望ましい


離乳法(weaning method) 


baby-led weaning (赤ちゃん主導型離乳:BLW) v.s. traditional spoon feeding(従来のスプーン離乳法)


Baby-led weaning は多くの乳児に適しており、(1)離乳・食事量に関する母親の不安減少、(2)母の食事提供スタイルに影響与え、コントロール少なくて済む。しかし、子供の好き嫌いが健康関連アウトカムへ影響を与えないか不安な面がある。
食事の好み、BMI、 偏食について影響を検討。

Nutrition & metabolism
Baby knows best? The impact of weaning style on food preferences and body mass index in early childhood in a case–controlled sample
BMJ Open 2012;2:e000298 doi:10.1136/bmjopen-2011-000298 

  • 離乳開始時期の無数の研究があるが、離乳手段による食事傾向、健康への影響研究は少ない.
  • Baby-led weaning は、多くの乳児にとって好ましく、離乳・食事を与えることへの母への不安を軽減し、母親の食事の世話の手間が少なくてすむ
離乳は、炭水化物のような栄養としてブロックを形成して与えることで食べ物の好みに対し思考に影響を与える。 BLWは、小児期に健康な食事志向を形成に重要であり、肥満予防に役立つかもしれない。


”食事ピラミッド”の底のような、健康栄養成分ブロックを構築した形で、炭水化物の好みに影響を与えるやりかたで、ポジティブに影響を与える。

参照: 米国栄養ガイドシンボル:ピラミッド型からプレート型へ 2011年 05月 31日

心不全患者:専門医の方がジェネラリストより予後良好 検査・治療の質が上

カナダの研究者たちが、診療医師のタイプで、心不全患者のアウトカムが影響を受けるか検討。


Comparison of processes of care and clinical outcomes for patients newly hospitalized for heart failure attended by different physician specialties.
Am Heart J 2012; 163:252-259.

多変量階層モデル化にて、generalist治療患者は、心臓専門医治療に比べ、30日死亡率リスク高く (odds ratio [OR] 1.50, 95% CI 1.18-1.91)、1年死亡率 (OR 1.29, 95% CI 1.10-1.50),、そして1年間死亡・再入院組み合わせリスクも高い

DNR(蘇生措置拒否)を有する患者では、これらの相異は、減少する。

心臓専門医が関与する患者はより心臓に関する診断検査、たとえば心エコーが多く、エビデンスに基づく特定薬物治療、たとえばβ遮断剤の使用率が高い。 


心臓専門医はβ遮断剤を多く使用: 79.4% vs 67.3%
ACE阻害剤やARB使用率の差は無い





なんでもかんでもGPってわけにはいきませんね。

心不全という疾患患者数が多く、ある程度、診断治療の知識も普及してある疾患なのに・・・

state-of-the-art: 前糖尿病状態とメタボリックシンドロームと心血管リスク


STATE-OF-THE-ART PAPER
Pre-Diabetes, Metabolic Syndrome, and Cardiovascular Risk
J Am Coll Cardiol, 2012; 59:635-643, doi:10.1016/j.jacc.2011.08.080
http://content.onlinejacc.org/cgi/content/abstract/59/7/635


Pre-diabetes(前糖尿病状態) は、正常血糖より増加しているが、糖尿病診断基準まで満たさない状態。IFGとIGT状態で検出。IGTは経口血糖糖負荷試験で検知され、2型糖尿病のリスク要素。
IFGとIGTが共に存在する場合は、 さらに影響が大きく、メタボリックシンドロームと関連する。
肥満が Prediabetesやメタボリックシンドロームにつながるかそのメカニズムの理解は不充分だが、共通土壌にあることは確か。
インスリン抵抗性は共通要素であり、肥満に伴う全身性炎症は別の要素の可能性がある(Insulin resistance is a common factor; systemic inflammation engendered by obesity may be another.)

Pre-diabetesは、微小血管疾患へのminor impactのみで、血糖降下薬剤は糖尿病への移行を遷延するが、長期薬剤アプローチが微小血管発症まで遅らせるかは不明。

Pre-diabetesにおける微小血管疾患予防のための薬剤アプローチは評価の段階にない。

Pre-diabetes は、特定の大血管疾患防御的効果があるが、この関連性の多くはメタボリックシンドロームを介するものだろう。

心血管疾患予防への臨床的アプローチとして選択されたものは、メタボリックリスクすべてを治療するものでなければならない。

Pre-diabetes 及びメタボリックシンドロームにとって、好ましいアプローチはライフスタイル介入、特に減量、運動である。

薬剤治療を取り入れ、メタボリックシンドロームが存在する場合、まず考えるべきは心臓疾患予防。
コレステロールと血圧が主なターゲットである。




入れ墨・ピアスによるC型肝炎ウィルス感染伝播


Transmission of Hepatitis C Virus Infection Through Tattooing and Piercing: A Critical Review
Clin Infect Dis. (2012) doi: 10.1093/cid/cir991 First published online: January 30, 2012


入れ墨は、職業的になされる場合と友人・家族・刑務所内で施される場合がある。
職業的になされているのが合法的なのかどうか分からないが、職業的になされた場合にC型肝炎感染リスクがないというエビデンスはないと書かれている。
米国内新規HCV感染は1万8千名で、多くは共有ヘロイン注射によるものだが、20%が原因不明で、リスク要素候補として、入れ墨がある。
特に、刑務所内の入れ墨、prison tatooの存在について関心が向いている。

上記報告は、入れ墨とともに、ピアスについても記載されている。

入れ墨とピアスは若年者のうちに特に増加しているが、C型肝炎ウィルス(HCV)感染リスクについて評価及び文献上の知見が少ない。
Meta-analysis of Observational Studies in Epidemiology (MOOSE) guidelineを用いてHCV感染リスクを検討。
professional parlorから入れ墨・ピアスを受けたときにHCV感染リスク増加するかどうかの明確なエビデンスは、入れ墨and/orピアス特異的には存在しない。
しかし、HCV感染リスクは重要で、特に高リスク群においては、補正オッズ比 2.0-3.6で、刑務所あるいは友人からの処置によるものではリスクが高い。
予防的には、刑務所、自宅、他の衛生的でない場所での入れ墨やピアス作成によるHCV感染伝播を防ぐ必要性がある。

入れ墨、ピアスに関し、若年者に、HCV感染防御のための衛生的環境下での施行必要について教育する必要がある。



アメリカ人の9割が塩分とりすぎで、主犯はパン



パンは危険な食べ物 2006年 12月 03日
これが冗談ではなくなった ?



パン食というのは健康的な代物ではない。塩分含有量としては目立たない(http://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/salt.html)が、
毎日食べるということで影響が大きく、また、製品毎のばらつきもあり、中には、高塩分含有製品も存在する。



やっと、アメリカ人の気付いたのか?

アメリカ人の10人中9名が塩のとりすぎ

その主犯はポテトチップスやポップコーンでなく、パンのスライス、ディナーロール

Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)
Vital Signs: Food Categories Contributing the Most to Sodium Consumption — United States, 2007–2008 February 7, 2012 / 61(Early Release);1-7

TABLE 1. Ranked population proportions of sodium consumed,* by selected food categories and age groups — What We Eat in America (WWEIA), National Health and Nutrition Examination Survey, United States, 2007–2008
Rank
Food category§
Age group (yrs)
≥2
2–19
2–5
6–11
12–19
≥20
20–50
51–70
≥71
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
% (SE)
1
Breads and rolls
7.4 (0.2)
6.9 (0.4)
6.5 (0.5)
7.8 (0.6)
6.5 (0.4)
7.5 (0.2)
7.2 (0.3)
7.8 (0.4)
9.6 (0.3)
2
Cold cuts/cured meats
5.1 (0.3)
4.4 (0.4)
3.4 (0.5)
4.3 (0.4)
4.9 (0.7)
5.3 (0.3)
5.5 (0.5)
4.6 (0.2)
6.0 (0.5)
3
Pizza
4.9 (0.2)
7.3 (0.4)
4.8 (0.7)
7.2 (0.6)
8.2 (0.7)
4.1 (0.2)
5.0 (0.4)
3.0 (0.4)
1.7 (0.2)
4
Poultry
4.5 (0.2)
5.5 (0.4)
5.5 (0.4)
4.7 (0.4)
6.0 (0.6)
4.2 (0.3)
4.5 (0.3)
3.9 (0.3)
2.7 (0.3)
5
Soups
4.3 (0.3)
4.0 (0.2)
5.3 (0.9)
3.6 (0.4)
3.9 (0.4)
4.4 (0.4)
4.2 (0.4)
4.6 (0.7)
5.7 (0.7)
6
Sandwiches
4.0 (0.3)
4.4 (0.3)
3.5 (0.3)
3.9 (0.3)
5.0 (0.5)
3.9 (0.3)
4.5 (0.3)
3.2 (0.6)
3.7 (0.5)
7
Cheese**
3.8 (0.2)
3.8 (0.3)
4.2 (0.4)
3.7 (0.3)
3.9 (0.4)
3.8 (0.2)
3.9 (0.2)
3.5 (0.2)
1.8 (0.3)
8
Pasta mixed dishes††
3.3 (0.2)
3.8 (0.4)
4.0 (0.6)
4.0 (0.5)
3.7 (0.4)
3.1 (0.2)
3.4 (0.4)
2.4 (0.5)
2.9 (0.3)
9
Meat mixed dishes
3.2 (0.3)
2.1 (0.4)
§§
2.2 (0.5)
1.9 (0.4)
3.6 (0.3)
3.5 (0.3)
3.6 (0.7)
4.2 (0.7)
10
Savory snacks¶¶
3.1 (0.2)
4.4 (0.3)
3.4 (0.2)
4.6 (0.4)
4.6 (0.6)
2.8 (0.2)
2.8 (0.2)
3.0 (0.4)
1.6 (0.2)
Mean daily sodium consumption (mg) (SE)
3,266(40)
2,957 (53)
2,245 (54)
2,944 (72)
3,310 (70)
3,372 (48)
3,568 (58)
3,239 (73)
2,658 (77)
Unweighted no. of participants in sample
7,227
2,544
662
901
981
4,683
2,280
1,549
854



Where's the sodium? There's too much in many common foods.
http://www.cdc.gov/Features/VitalSigns/Sodium/


CDCにおいて、

  • アメリカ人の約90%は推奨より多くナトリウム摂取
  • ナトリウムを平均1200mg/日減らすことで、医療コストを、年間 200億米国ドル節減できる
  • 食べ物の種類—ナトリウムの40%超は、以下の10種類: パン・ロールパン、冷凍カット・塩漬け肉(惣菜、包装されたハム・ターキーなど)、ピザ、生・加工鶏肉、スープ、サンドイッチ(チーズバーガーなど)、チーズ、パスタ料理、肉を混ぜた料理(トマトソース入りのミートローフなど)、スナック(チップス、pretzel、ポップコーンなど)
  • 食べ物のブランドの影響も大きい;同じ種類の食べ物でもブランドで、ナトリウムの量が異なる。たとえば、チキンヌードルスープでも840mg/サービングのばらつきがある
  • 食物由来のナトリウムの約65%は、小売店からの購入した食品由来で、ナトリウム量を減らすためにはこの分が重要。約25%がレストランだが、レストランの食品ではどの程度のナトリウムが含まれるか教えてもらうのは困難。
  • アメリカ人は1日平均3300mgのナトリウムを摂取。U.S. Dietary Guidelineでは、1日2300mg/日にナトリウム制限推奨、成人の10名中6名が1500mg/日減らさなければならない状況。

Eating Less Sodium is A Challenge.

ナトリウム制限するには、食品中のナトリウムに着眼すること。
cottage cheese や turkey breast luncheon meatといった高塩分食品に着眼することと
パンのような毎日の食品に注意することが大事。 






npr:http://www.npr.org/blogs/thesalt/2012/02/07/146522310/to-hold-the-salt-its-time-to-hold-the-bread


Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Usual sodium intakes compared with current dietary guidelines---United States, 2005-2008. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2011 Oct 21; 60(41):1413-7 Adobe PDF file [PDF - 968KB].

COPD:呼吸リハビリテーション critical walk speedへの効果


The Effect of Pulmonary Rehabilitation on Critical Walk Speed in Patients With COPD
A Comparison With Self-Paced Walks
Published online before print July 21, 2011, doi: 10.1378/chest.11-1059
CHEST February 2012 vol. 141 no. 2 413-419 


ウォーキングはCOPD患者の運動リハビリテーション使用 されている。歩行能力は、enduranceとspeed、2つのパラメーターの双曲線相関関係にある

一つのパラメータである、critical walk speed (s_critical)は、無制限に耐容可能な最大スピード

この研究の目的は、  (1) critical speedに基づく呼吸リハビリテーションの効果  (2) 自己ペースウォーキング選択に基づくcritical speedの比較。


リハビリテーション前後のCOPD患者のcritical speed測定
4つの高強度、一定スピードテスト 30mコースの耐用度検査
双曲線関係パラメータをスピードによる耐容非線形回帰で計算

被験者は出来るだけ自己ペース歩行を完遂; (1) 出来るだけ長く、 (2) “通常”と“早い”速度、(3) 6-min walk test



12名被験者  (FEV1 [SD], 41 [16] % predicted; FEV1/FVC, 41 [12])


ベースラインで、 critical speed (65 [12] m/min) は、自己ペース、通常、6-min walk speedで有意差無し  (65 [12], 67 [14], and 63 [15] m/min)


リハビリテーション後、critical speedの増加、6-min speedの増加見られたが、自己ペース、通常、fast speedでの変化を認めなかった

ソーダなどのソフトドリンクも喘息・COPDのリスク要素

ソーダなどのソフトドリンクは肥満・心臓疾患に対し、悪影響を及ぼす。これに、COPDや喘息への悪影響も加わる? オーストラリアの研究。



Association between soft drink consumption and asthma and chronic obstructive pulmonary disease among adults in Australia
ZUMIN SHI, ELEONORA DAL GRANDE,ANNE W. TAYLOR,TIFFANY K. GILL,ROBERT ADAMS,GARY A. WITTERT

Respirology Volume 17, Issue 2, pages 363–369, February 2012


16歳以上の 16 907 名の登録者で、11.4%が人生の半分ソフトドリンク連日飲用

ソフトドリンク飲用高レベルは、喘息、COPDと正の相関。

全体から言えば、毎日0.5Lを越える飲用の場合、喘息 13.3%、COPD 15.6%



多変量解析にて、社会住民統計・ライフスタイル要素補正後、
ソフトドリンク0.5L/日を越える場合は、飲用しない人と比べ、オッズ比

喘息で  1.26 (95% confidence interval (CI): 1.01–1.58)
COPDで 1.79 (95% CI: 1.32–2.43)





横断研究なので、解釈には、注意が必要。

肥満と、喘息との関連性が、上記説明上なされている。

COPDに関しての説明が苦しいが、肥満という脂肪蓄積ではなく、エネルギー摂取量との関連性が考察される。喫煙はCOPDの主要リスク要素だが、気道閉塞に関して50%までしか説明要素とならない。このことから、未知のメカニズムが働いているのかもしれない。

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note