2018年1月25日木曜日

減量治療:空腹対応薬剤のみでは不十分、craving対応薬剤必要 :Lorcaserin 単独 vs Phentermine との合剤比較RCT

肥満の臨床に関して、”飢餓・空腹”と"craving"の要素を区別することは重要だそうで・・・

スイーツとやらを無性にほしがる人々、飲酒後ラーメンをほしがる人たち・・・それをcravingと呼ぶ


日本では エーザイ関連の薬剤になりそう
 http://www.eisai.co.jp/news/news201652.html

lorcaserin
Lorcaserin hydrochloride(一般名、米国製品名「BELVIQ」)について
 Lorcaserinはアリーナ社創製の新規化合物であり、選択的に脳内のセロトニン2C受容体を刺激することにより摂食を抑制し、満腹感を促進すると考えられています。本剤は、米国において、Body Mass Index(BMI)が30kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の体重に関連する合併症を有するBMIが27kg/m2以上の成人患者様の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法として、2012年6月に米国食品医薬品局(FDA)より承認


phentermine
 Phentermine(一般名)は米国FDAによって1959年に承認された抗肥満薬です。脳内でノルアドレナリンやドパミンの放出を促進して食欲を抑える薬剤として、肥満症に対する短期治療の適応を有し、米国では抗肥満薬で最も広く使用されている薬剤です。


この説明だと、以下の論文の解説と異なる


hungry(空腹感)は誰しも経験するので分かるが、cravingはわかりにくい
Development and Validation of the Food-Craving Inventory
Obesity First published: February 2002
食への希求そのものが全て食パターンの異常をもたらすわけではない。
Weingarten and Elston の定義:(i.e., “an intense desire to consume a particular food or food type that is difficult to resist”):抗しがたい特定の食べ物、食物タイプへの強い欲求)、認知的、情緒的(駆り立てる場合、動機に繋がる場合)内的経験
FCIは2つのサブカテゴリに分け:食物毎特異的な、主観的cravingと摂食、前者は47の種類の主観的craving頻度を評価、後者のbehavioralなsubscaleで、その程度を測定
Subjective. Over the past month, how often have you ex- perienced a craving for the food? 1   
never, 2   rarely, 3   sometimes, 4   often, and 5   always/almost every day. 

Behavioral. Of those times in the past month during which you craved a particular food, how often did you “give in” to the craving and eat the food? 
1   never, 2   rarely (once or twice), 3   sometimes, 4   often, and 5   always/almost every time.





Effect of Lorcaserin Alone and in Combination with Phentermine on Food Cravings After 12-Week Treatment: A Randomized Substudy
Candida J. Rebello, et al.
Obesity
First published: 24 January 2018Full publication history
DOI: 10.1002/oby.22094  View/save citation
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/oby.22094/full






解説記事から
https://www.medpagetoday.com/endocrinology/obesity/70706

lorcaserin と phentermineの併用は、食欲軽減に役立つ

過体重/肥満者に、lorcaserin 10mg 1日2回で、12週後食欲低下 (food craving inventory score -0.65, 95% CI -0.75 to -0.55)
lorcaserin 10m 1日2回に、phentermine併用で、12週間にわたる食欲低下効果有効

Lorcaserin と phentermine 15 mg 1日2回で, -0.75 (95% CI -0.84 to -0.65) drop in food craving inventory score
Lorcaserin  と phentermine 15 mg 1日2回で、さらに低下  (-0.84, -0.95 to -0.74)

phentermineが承認されたとき、空腹抑制のみと考えられたが、単に飢餓コントロールだけでなく、cravingの抑制、即ち、“空腹と関連しない”食への動機を抑制すると著者等

確かに、「空腹でない時、大食らいした後、デザートが現れるとそれをおいしく食べてしまう」

phentermine と lorcaserinの併用は、肥満への薬物療法は、空腹への対応だけでなく、"craving"減少効果を伴うものと考えたいとのこと


BMI30以上、27-29.9までの肥満、過体重 235名、多施設二重盲験
多くは高血圧、脂質異常の併発
除外クライテリアは、MAO阻害剤直近使用、心血管疾患、血圧高値、うつ直近既往・現行症状、薬剤必要なほどの他精神的異常
個別化カウンセリング(中等度30分以上連日運動のインストラクション、カロリーを推定エネルギー必要量より-600 kcal減少のインストラクション)
"Food craving" をベースライン、4週目、8週目、12週目にモニター (Food Craving Inventory and the Control of Eating Questionnaire)
"food craving"の変化はベースラインから12週めで、高脂肪、sweets、炭水化物/でんぷん、ファストフード・脂肪を含むfood categoryに詳細化、さらに、チョコレート、乳製品、フルーツジュースなどの特異的な食品にきめ細かく分ける。


ベースラインに比べ、治療群ではFood Craving Inventoryのサブスケール全てが横断的に減少した
High fats: -0.5 (lorcaserin only), -0.6 (combo once daily), -0.59 (combo twice daily)
Sweets: -0.70, -0.87, -1.03
Carbs/starches: -0.73, -0.76, -0.83
Fast-food fats: -0.69, -0.82, -0.98

lorcaserin単独治療に比べ、併用では有意に、味付けの濃い(savory:塩味がきいた)食品への欲求が低下し、craving (Control of Eating Questionnaire)頻度も12週目減少
locarcaserin+phentermine 15 mg 1日2回で、lorcaserin単独治療に比べ、全種類のcraving減少有意だが、フルーツ・フルーツジュースは例外

シクロフィリンA(CyPA):COPD炎症性バイオマーカーの可能性

Cyclophilin A(CyPA)は,大腸菌からヒトに至る生物 に存在し,細胞質に大量に存在する蛋白質である .CyPA は,そもそも免疫抑制剤 cyclosporin A(CsA)の特異的 リガンドとして発見され ,ポリペプチドのプロリンのア ミド結合のシスからトランスヘの異性化を触媒する活性
(peptidyl prolyl isomerase(PPIase)活性)を有する. さらに,細胞性シャペロンとしてもよく知られている .  CyPA は,HIV-1 のアセンブリーの時点でカプシド蛋白質 に特異的に結合することによって ,粒子中におよそ Gag 蛋白質の 1/10 程度取り込まれ,CsA によってその取り込 みが阻害されることが知られている .
http://jsv.umin.jp/journal/v55-2pdf/virus55-2_273-280.pdf



The clinical implication of serum cyclophilin A in patients with chronic obstructive pulmonary disease
Zhang M,  et al.
International Journal of COPD
Published 19 January 2018 Volume 2018:13 Pages 357—363
DOI https://doi.org/10.2147/COPD.S152898
https://www.dovepress.com/the-clinical-implication-of-serum-cyclophilin-a-in-patients-with-chron-peer-reviewed-article-COPD

Cyclophilin A(CyPA)は、炎症性刺激で調整される分泌型分子。COPDの病態に炎症は重要な役割を果たす
93名の急性増悪COPD患者を登録し、回復期に再評価
血中CyPAは健康対照者に比べ回復期COPD患者で増加、急性増悪ではさらに増加
IL-6、metalloproteinase-9、hsCRPと急性増悪期、回復期に相関
さらに、FEV1%予測値、FEV1/FVCとCOPD回復期に逆相関


血中CyPAはCOPD炎症性バイオマーカーの可能性あり、COPDの炎症重症度判定指標の可能性





Cyclophilin Dは、唯一といって良い既知permeability transition pore(PTP) opening主要調整因子のため治療ターゲットとなっている
Mitochondrial permeability transition in cardiac ischemia–reperfusion: whether cyclophilin D is a viable target for cardioprotection?
Cellular and Molecular Life Sciences
August 2017, Volume 74, Issue 15, pp 2795–2813

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