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2021年1月25日月曜日

剖検研究:心障害は微小血栓と補体C3活性化と関連



以下の報告の序文

COVID-19患者の心筋損傷の原因はこれまで体系的に解明されていない。 様々な病態生理学的機序が仮説として提唱されているが、その中には、ウイルスによる心臓への直接的な侵入や免疫介在性の心筋損傷による心筋炎、ストレス性心筋症、II型心筋梗塞を引き起こす心筋の需給ミスマッチ、サイトカインストームと高凝固性による心外膜冠血栓症、肺塞栓症、微小血管血栓症のリスク上昇などが含まれる。 最近、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)と心原性ショックで死亡した若い女性の症例を報告したが、COVID-19を有する入院患者では、このような心筋微小血栓の有病率は報告されていない。 COVID-19感染者における心臓損傷の正確な性質を理解することは、COVID-19感染者に対する公衆衛生戦略、診断検査、新たな治療試験に影響を与える可能性がある。ここでは、イタリアのベルガモで流行していたCOVID-19の全盛期にCOVID-19で死亡した入院患者40人の心臓解剖を分析したことを報告

先走っているが結論の一部

COVID-19に感染しているSTEMI患者と感染していないSTEMI患者の心外膜血栓吸引液と比較して、微小血栓の組成が明瞭で、フィブリンと末端補体のレベルが高いことを発見した。 SARS-CoVはSARS-CoV-2と密接に関連しているが、最近のSARS-CoVの研究では、疾患の悪化は補体C3の活性化と関連していることが明らかになった。MASP-2の活性化は、C3コンバーターゼの生成とMAC(C5b-9)の活性化につながる。さらに、MASP-2の欠失またはMASP-2-Nタンパク質の相互作用をブロックすることによって、MASP-2結合モチーフの変更は、肺損傷を減衰させた。これらのデータは、ヒトのプロテオミクス研究と一緒に、コロナウイルス感染症は、複数の補体経路の活性化に関連付けられていることを示唆している。 

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Microthrombi As A Major Cause of Cardiac Injury in COVID-19: A Pathologic Study

Dario Pellegrini, et al.

Originally published22 Jan 2021https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051828Circulation. ;0

https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051828

https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.051828


背景:心筋損傷はCOVID-19の入院患者に多く見られ、予後の悪化を示唆している。しかし、SARS-CoV-2に関連する心筋損傷のメカニズムや種類は不明である。

方法:イタリアのベルガモでコロナウイルス疾患2019(COVID-19)で死亡した入院患者40例の心臓を系統的に病理学的に解析し、心臓損傷の病理学的機序を明らかにした。急性筋細胞壊死の有無に応じて心臓を分割し、心臓損傷の根本的な機序を決定した。

結果:40例の心臓のうち14例(35%)では、主に左心室に心筋細胞の壊死が認められた。

壊死が認められた被験者は、壊死が認められなかった被験者と比較して、女性であること、慢性腎臓病を有していること、入院までの症状の発現期間が短いことなどの傾向がみられた。

重度の冠動脈疾患(すなわち、75%以上の断面狭窄)の発生率は、壊死の有無で有意差はなかった。心筋細胞壊死のあった3/14例(21.4%)では、壊死面積が1cm2以上の急性心筋梗塞の証拠を示したが、11/14例(78.6%)では、局所性(0.05mm2以上の面積で1cm2未満の20個以上の壊死性心筋細胞)の心筋細胞壊死の証拠を示した。

壊死を認めた11/14例(78.6%)に心臓血栓が認められ、2/14例(14.2%)には心外冠動脈血栓が認められ、9/14例(64.3%)には心筋の毛細血管、動脈、小筋肉動脈に微小血栓が認められた。

COVID-19陽性の剖検例から得られた心筋微小血栓とCOVID-19例から得られた心筋内血栓とを比較し、また、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)を呈したCOVID-19非感染患者とCOVID-19感染患者の一次経皮的冠動脈インターベンションの際に吸引された血栓とを比較した。微小血栓は、COVID-19陰性者の心筋内血栓と吸引血栓に比べて、フィブリンと末端補体C5b-9の免疫染色が有意に高かった。COVID-19陽性と陰性のSTEMI患者から吸引された血栓の成分には有意な差はなかった。




結論:心筋細胞壊死の最も一般的な病理学的原因は微小血栓であった。微小血栓は、COVID-19陰性者の心筋内血栓と、COVID-19陽性および陰性のSTEMI患者から吸引された冠動脈血栓とでは、組成が異なっていた。COVID-19感染の心臓への影響を打ち消すためには、個別化された抗血栓戦略が有用であると考えられる。


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2020年12月12日土曜日

病的心リモデリングに関係するIgE、FcεR1:抗IgE抗体にて治療可能性

  • 心不全などの慢性的なpressure overloadによりIgE高値誘発 → さらに受容体側の高親和性受容体である、FcεR1の方も有意に増加
  • 抗IgE抗体(オマリズマブ)によるAngII誘発心筋緩和の可能性も示唆


心筋リモデリングにおいて喘息でおなじみの機序関係


Role of IgE-FcεR1 in Pathological Cardiac Remodeling and Dysfunction

Hongmei Zhao, et al.

Originally published11 Dec 2020

https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.047852Circulation. ;0

https://www.ahajournals.org/doi/abs/10.1161/CIRCULATIONAHA.120.047852

血清IgE値は、心不全(HF)患者と、 transverse aortic contraction (TAC) chronic angiotensin II (Ang II) infusionによる慢性的な圧力過負荷によって誘発された2つのマウス心疾患モデルにおいて有意に上昇した。

 興味深いことに、FcεR1の発現レベルは、ヒトおよびマウスの心不全モデルにおいても有意に上昇していた。FcεR1ノックアウトによるIgE-FcεR1経路の遮断は、TACまたはAng IIによる病的な心臓リモデリングおよび/または機能不全を緩和した。

 抗IgE抗体(臨床薬であるオマリズマブを含む)もまた、Ang II誘発の心臓リモデリングを有意に緩和した。骨髄移植実験では、IgE誘導心筋リモデリングは非骨髄由来の細胞を介して媒介されることが示された。

FcεR1は cardiomyocytes (CMs)cardiac fibroblasts (CFs)の両方で発現していることがわかった。培養ラットCMでは、IgE誘発CM肥大と肥大マーカー発現はFcεR1を枯渇させることで消失した。


培養ラットCFでは、FcεR1欠損によりIgE誘発CF活性化およびマトリックス蛋白質産生も阻害された。

RNA-seqおよびシグナル伝達経路の解析から、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)が重要なメディエーターであることが明らかになり、TGF-βを阻害することで、IgE誘発心筋細胞の肥大および心筋線維芽細胞の活性化がin vitroで緩和された。


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2020年5月22日金曜日

COVID-19剖検所見:DAD主体 中枢神経系関与少ない

COVID-19の剖検10例では、急性・器質化DAD(diffuse alveolar damage)が主な組織所見で、侵襲性人工呼吸使用有無に変わらず共通した所見

  • 門脈周囲のリンパ球浸潤は非特異的炎症形態だが存在する
  • 心筋・心外膜の病変は全身性炎症を示唆するのか、心筋炎を示唆するのかは不明
  • 中枢神経系病変は認めず


Postmortem Examination of Patients With COVID-19
Tina Schaller, et al.
JAMA. Published online May 21, 2020. doi:10.1001/jama.2020.8907
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2766557?guestAccessKey=7a571320-ff91-4834-bc1d-7542aa5dbe58&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=052120
May 21, 2020

研究方法
2020年4月4日から4月19日の間に、University Medical Center Augsburg (Germany)で死亡した重度の急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の患者に対して連続剖検。
検死は、 published best practiceに従って行われた。 肺、心臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、胸水、脳脊髄液(CSF)からの検体評価。剖検鼻咽頭、期間、気管支swab、胸水、CSFでRT-PCRによるSARS-CoV-2検証

結果
死亡したCOVID-19の連続患者12人のうち、死後の検査は10人。 中央値の年齢は79歳(範囲、64-90歳) 7人の患者が男性 すべての症例は入院時に鼻咽頭綿棒によってSARS-CoV-2に陽性反応 入院から死亡までの期間の中央値は7.5日(範囲、1〜26日)
最も頻繁な初期症状には、発熱、咳、呼吸困難が含まれ、9人の患者では、主に中下の肺野における ground-glass opacityを呈する浸潤影が胸部X線で検出。
患者は併存疾患数中央値 4(範囲、0〜6)、心血管疾患が最多。
既存の構造肺損傷(例えば、肺気腫)は2人の患者に見られた。
解剖時または死亡前に中央血管で血栓塞栓性イベントは誰も無かった

侵襲性換気を受けていない6人の患者を含むすべての症例において、様々な病期を呈する(急性呼吸窮迫症候群の病理組織学的関連性がある)disseminated diffuse alveolar damageが主要な組織学的所見であった。diffuse alveolar damageは全肺葉で検出されたが、中下肺に不均一に優位分布。hyaline membrane形成を伴う滲出性早期急性diffuse alveolar damageの徴候、肺胞内浮腫、血管周囲リンパ・形質細胞浸潤を伴う肺胞隔壁肥厚が一致した所見。
器質化stageのdiffuse alveolar damageは、線維芽細胞増生を伴い、一部線維化し、肺胞細胞の過形成により間質性肥厚と肺胞の虚脱を生じることとリンパ球のpatchyな分布が主な所見

器質化diffuse alveolar damageの部分では反応性骨性・扁平上皮異形成も観られる

完全にできあがった線維化は患者1で顕著で、ほぼ完全に肺胞実勢栂破壊されている。
患者5では、軽度の好中球浸潤が観られ二次感染あるいは誤嚥の可能性示唆

患者4と2では、各々、軽度リンパ球性心筋炎:myocarditisとepicarditis徴候があり
感組織では微小な門脈周囲リンパ球形質細胞浸潤と線維化の徴候あり

他の器官には形態学的に検出可能な病理はなかった。

具体的には、脳炎や中枢神経系血管炎の徴候は見つからなかった。

解剖時に、SARS-CoV-2は依然としてすべての患者の気道で検出可能であった。
PCRは、胸水で陽性であったが、すべての脳脊髄液試料において陰性であった。


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この研究には、単一のセンターからの少数の症例や直接ウイルス臓器感染の証拠の欠落を含む制限がある。

COVID-19の肺組織学的特徴は、重症急性呼吸器症候群4および中東呼吸器症候群などの他のベタコロナウイルス感染によって引き起こされる疾患で観察されたものに似ている。 



2019年4月16日火曜日

SGLT2i:心筋虚血時ブドウ糖代謝→ケトン体/FFA/BCAA代謝利用へ代謝シフト

SGLT-2阻害剤、エンパグリフロジン(ジャディアンス)はブタモデルにおいて心筋代謝をブドウ糖から他のエネルギー効率の良い代謝、ケトン体・遊離脂肪酸・BCAAへシフトさせ、血糖降下作用外で心筋保護作用を示す。







Empagliflozin Ameliorates Adverse Left Ventricular Remodeling in Nondiabetic Heart Failure by Enhancing Myocardial Energetics
Carlos G. Santos-Gallego, et al.
Journal of the American College of Cardiology Volume 73, Issue 15, April 2019
DOI: 10.1016/j.jacc.2019.01.056
http://www.onlinejacc.org/content/73/15/1931

背景 2型糖尿病対象のEMPA-REG OUTCOME (Empagliflozin Cardiovascular Outcome Event Trial上のエンパグリフロジンの心へのベネフィットは血糖降下作用だけでは説明できない

目的 仮説:エンパグリフロジン心へのベネフィットは、心筋fuel metablosimとして糖からケトン体へswitchingして、心筋エネルギー産生改善効果をもたらすのではないか?

方法 心不全を非糖尿病豚(n=14)で左前下行枝近位2時間バルーン閉塞にて誘発。動物をランダム化2ヶ月(エンパグリフロジン vs プラシーボ)。心MRIと3-Dエコーにて評価。
心筋metabolite consumptionを冠動脈及び冠状静脈洞から疑似採血採取にて解析。
心筋サンプルで分子学的評価。非心筋梗塞豚と比較。


結果 両群とも同じ初期心筋障害であったが、エンパグリフロジン群では対照群に比較し、2ヶ月後障害的remodeling緩和(左室筋量、左室拡張減少、左室sphericity減少)
左室収縮機能(左室駆出率、心臓超音波-評価strain)改善、neurohormonal activationも改善。
非心筋梗塞と比較した対照群では心筋ブドウ糖消費増加し、主にそれは嫌気的解糖によるもので、一方遊離脂肪酸及びBCAA利用減少
エンパグリフロジン治療豚はブドウ糖消費せず(心筋ブドウ糖摂取及びブドウ糖関連酵素の減少)、代わりに、ケトン体、遊離脂肪酸、BCAA利用へswitchがなされた(3つの代謝対の心筋摂取増加、これら酵素の発現・活性亢進し、これがケトン体/遊離脂肪酸/BCAA代謝増加を示唆)
エンパグリフロジンは心筋ATP contet増加し、心筋仕事効率促進した

結論 非糖尿病ブタモデルでエンパグリフロジンは不利な心筋リモデリングや心不全を緩和を示し、心筋fuel utilizationをブドウ糖利用からケトン体、遊離脂肪酸、BCAA利用へswitchし、心筋のenergeticsを改善し、不利な左室リモデリングを緩和する




”健常心筋のエネルギー源は主に脂肪酸のβ酸化に依存していますが、虚血や低酸素状態になるとブドウ糖を利用した解糖系へ移行 ”する。
この研究で代謝機構の変化、すなわち "fuel hypothesis":SGLT2iの心筋保護作用メカニズムが示唆。心不全での"glucocentric metabolism"という不適合(maladaptive)があり、それを改善するメカニズムの説明の一つとなるらしい



HPVワクチンをめぐる日本の"失われた8年"と、私たちが検証すべきこと

「子宮頸がんワクチン」という呼び方に、以前から違和感があります。 HPVワクチンが子宮頸がん予防に重要であることは間違いありません。日本では女子への定期接種として導入され、子宮頸がん予防を中心に説明されてきたため、この名称が広まった経緯も理解できます。 しかし、このワクチンが...