2020年7月1日水曜日

Covid-19:なんでんかんでん”サイトカインストーム”と叫ぶ宗教に嵌まる方々への批判

小生、なんでもかんでも”サイトカインストーム”と叫ぶ宗教に対して批判的なのだが・・・
どこぞのえらい教授様たちを含め多くが、マスメディア上も、科学的文献上も、この言葉を使う昨今

この言葉を多用する意味合いがあるのか? はたまた、その定義は明確なのか?

我が意を得たり・・・の論説記事
Although the mechanisms of COVID-19–induced lung injury are still being elucidated, the term cytokine storm has become synonymous with its pathophysiology, both in scientific publications and the media
Absent convincing data of their effectiveness in COVID-19, drugs such as tocilizumab and sarilumab, which are monoclonal antibodies targeting interleukin (IL)-6 activity, are being used to treat patients; trials of these agents typically cite the cytokine storm as their rationale (NCT04306705, NCT04322773). 
A critical evaluation of the term cytokine storm and its relevance to COVID-19 is warranted.

Is a “Cytokine Storm” Relevant to COVID-19?
Pratik Sinha, et al.
JAMA Intern Med. Published online June 30, 2020. doi:10.1001/jamainternmed.2020.3313


Cytokine storm has no definition. :“サイトカインストーム”には定義がない


SARS-CoV-1によって引き起こされたSARSの流行の間、Cytokine stormという用語は特徴として記述され有害な転帰と関連しているとされた。そして、COVID-19のいくつかの初期の症例シリーズでは、いくつかの血漿サイトカインのレベルが正常範囲を超えて上昇したことが報告されている。しかし、ほとんどの症例では、ARDS患者の以前のコホートにおける血漿中サイトカイン濃度よりも低い値を示している

proinflammatoryサイトカインであるインターロイキン-6は、急性炎症反応およびサイトカインの嵐と称されるものにおける重要なメディエーターである。COVID-19,患者の5つのコホート(それぞれ100人以上の患者)とARDS患者の3つのコホートで報告されているIL-6レベルをまとめたもの
ARDSのhyperinflammatory phenotypeは、proinflammatory cytokineレベルの増加、ショックの発生率の増加、および有害な臨床転帰によって特徴づけられる。しかしながら、ARDSのhyperinflammatory phenotypeの患者におけるIL-6レベルの中央値は、重度のCOVID-19患者におけるレベルよりも10~200倍高い。



・・・・・(中略)
デキサメタゾンがCOVID-19とARDS患者の生存率を改善する可能性があるという報告があることを考えると、これらの効果がARDSの表現型間で異なるかどうか、また循環性高炎症性サイトカイン反応がないにもかかわらず起こるかどうかを判断すべきである。もしそうであれば、デキサメタゾンに関する追加情報は、肺におけるCOVID-19に対する局所炎症反応を研究することの重要性をさらに立証するであろう。

これらの理由から、サイトカインストームという用語は、COVID-19 ARDSにおいて誤解を招く可能性があるしっかりとした生物学的診断を受けていない、定義が不十分な病態生理学的実体を取り入れることは、この異質な患者集団をどのように管理するのが最善であるかについての不確実性をさらに高めるだけである。推測されるサイトカインの嵐における循環メディエーターの上昇の症状は、発熱、頻脈、頻呼吸、低血圧につながる内皮機能障害と全身性炎症である可能性が高い。このような一連の症状は、全身性炎症反応症候群として知られる重症患者の治療において長い歴史があり、何十年にもわたって敗血症の定義に用いられてきた。敗血症における単一のサイトカインを標的とした介入も、残念ながら長い間失敗してきた歴史がある。サイトカインの嵐という言葉はドラマチックなイメージを連想させ、主流派や科学メディアの注目を集めているが、現在のデータはその使用を支持するものではない。新しいデータがそうでないことを証明するまでは、サイトカインストームとCOVID-19との関連性は、ティーポットの中の嵐に過ぎないかもしれない。





OPTIMIZE-HF レジストリ:心房細動+心不全(HFpEFも)ジギタリス製剤死亡率低下しないが再入院リスク低下

2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン
https://www.j-circ.or.jp/old/guideline/pdf/JCS2020_Ono.pdf

ジギタリス製剤 ジゴキシンもしくはメチルジゴキシンが使用される.ジ ギタリス製剤は強心薬作用も併せもち,心機能の低下した 頻脈性心房細動例で使用されることが多い.ただし,欧州 のガイドラインでも示されているように,第 1 選択薬と してではなく,あくまでも第 2 選択薬としての使用である. ジギタリス製剤は安静時の心拍数減少効果は認めるが,運 動時の減少効果は弱い.J-RHYTHM Registry のサブ解析ではジギタリスは単独では予後に影響を及ぼさないと いう結果であったが,欧米からは心房細動例で長期使用す ると死亡率が高くなることが示されている  .その ため,長期使用は極力避けるべきである. ジゴキシン,メチルジゴキシンともに腎排泄の薬剤であ るため,腎機能低下例に投与すると,ジギタリス中毒をき たすことがある.定期的に血中濃度を測定して至適濃度に なるよう薬剤量を調節する必要がある.

 心房細動・頻拍・心機能低下例使用に関して、あいかわらず評価の低いジギタリス製剤
選択的β1の次の薬剤としてはやはり重要なのでは?

HFrEF and HFpEF 心不全 & 心房細動での検討

Medicare-linked OPTIMIZE-HF registry

 56人のベースライン特性(平均年齢79歳、女性55%、アフリカ系アメリカ人7%)を考慮して、ジゴキシンを開始した患者884人のハザード比と95%信頼区間(CI)を算出した。
  ジゴキシンを開始した患者884人と、ジゴキシンを開始しなかった患者884人の転帰について、ハザード比と95%信頼区間(CI)を算出した。
このデータは、ジゴキシンの投与開始は心不全の再入院リスクの低下と相関しているが、HFrEF、HFpEFおよび心房細動を有する高齢の入院患者の死亡率とは関係がないことを示している。

ジゴキシンは心不全における血行動態を改善し、心房細動における心拍数をコントロールすることが知られている。ジギタリス調査グループ(DIG)試験では、ジゴキシンは死亡率には影響しなかったが、心房細動を伴わない心不全患者の心不全入院リスクを低下させた。1997年、FDA(食品医薬品局)は、心不全患者における症状の改善と心不全に関連した入院や救急医療のリスクの低減、および慢性心房細動患者における心室拍数のコントロールを目的として、ジゴキシンを承認した。しかし、心不全および心房細動患者を対象としたジゴキシンの無作為化比較試験は実施されていない。

心房細動患者におけるジゴキシンの使用に関する観察研究からは、死亡および心不全による入院のリスクが高いことが示唆されている。

これらの知見から、心不全患者の約3分の1を占める心不全・心房細動患者におけるジゴキシンの使用に懸念が生じていた。

 本研究の目的は、駆出率が低下または温存された心不全患者(HFrEFおよびHFpEF)と心房細動を有する心不全患者におけるジゴキシンの投与開始と転帰との関係を検討


Digoxin Initiation and Outcomes in Patients with Heart Failure (HFrEF and HFpEF) and Atrial Fibrillation
Steven Singh,  et. al
Am J. Med. Published:June 27, 2020DOI:https://doi.org/10.1016/j.amjmed.2020.05.030
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(20)30528-3/fulltext


背景
ジゴキシンは心不全入院のリスクを低下させるが,ランダム化比較試験の設定では心房細動を伴わない心不全患者の死亡率には影響しない。心房細動患者におけるジゴキシンの使用に関する観察研究では、予後不良のリスクが高いことが示唆されている。心不全と心房細動を有する患者におけるこの関連性についてはあまり知られていないが、本研究の目的はこれを検討することであった。
方法
メディケアリンクのOPTIMIZE-HFレジストリに登録されている心不全と心房細動を有する入院患者1768人を対象に、56人のベースライン特性(平均年齢79歳、女性55%、アフリカ系アメリカ人7%)とバランスをとって、退院前のジゴキシン投与開始に関する観察的傾向スコアマッチ研究を行った。ジゴキシンの投与を開始した患者884人と開始しなかった患者884人を比較して、転帰に関するハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を推定した。
結果
30日死亡率、2年死亡率、4年死亡率のHR(95%CI)はそれぞれ0.80(0.55-1.18;p=0.261)、0.94(0.87-1.16;p=0.936)、1.01(0.90-1.14;p=0.729)であった。 
心不全の再入院に関するそれぞれのHR(95%CI)は、0.67(0.49~0.92;p=0.014)、0.81(0.69~0.94;p=0.005)、0.85(0.74~0.97;p=0.022)であった。 97; p=0.022)、 
全死因再入院は0.78(0.64-0.96; p=0.016)、0.90(0.81-1.00; p=0.057)、0.91(0.83-1.01; p=0.603)であった。 
これらの関連は、左室駆出率が45%以下の患者と45%以上の患者の間で同質であった。


結論
HFrEFおよびHFpEFと心房細動を有する入院中の高齢患者において、ジゴキシンの開始は心不全の再入院リスクの低下と関連していたが、死亡率との関連はなかった。



イバプラジン(コララン)は洞調律時しか有効でない
https://medical-tribune.co.jp/news/2019/1115522319/

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