2018年11月27日火曜日

高血圧基準値:下げれば良いもんでもない

あったり前だと思うのだが・・・

本来、ベネフィットを有しない対象者まで含むこととなる。

ただ、10年リスクで評価して良いかどうかは?



Association of hypertension cut-off values with 10-year cardiovascular mortality and clinical consequences: a real-world perspective from the prospective MONICA/KORA study
Seryan Atasoy ,et al.

European Heart Journal, ehy694, https://doi.org/10.1093/eurheartj/ehy694
Published: 21 November 2018  Article history

目的:住民ベース・コホートにおいて、Stage 1(S1)高血圧(収縮期血圧 130-139 mmHg、あるいは、拡張期血圧 80-89 mmHg)を、Stage 2(S2)カットオフ(140/90 mmHg以上)と比較して降圧カットオフ値を設定した場合の臨床的価値検証

方法と結果
 MONICA/KORA prospective study:11,603名(男性 52%、女性 48%;平均年齢 47.6歳)から、高血圧頻度と関連心血管イベント評価

S1カットオフ採用で34%→63%に高血圧頻度増加
S2高血圧の24%が治療不十分判断になる

フォローアップ10年間(70,148 人年)で、 致死性CVDイベント 370

補正CVD特異的1000人対死亡率は、正常高血圧に比較して、S2高血圧 1.61 [95% 信頼区間(CI) 1.10–2.25] 、S1高血圧 1.07 (95% CI 0.71–1.64)

Cox比例ハザードモデルでは、S2とCVD死亡率有意関連性 (1.54, 95% CI 1.04–2.28, P = 0.03)、相反リスクの存在でも相関(1.47, P = 0.05)
しかし、S1高血圧では統計学的有意性に到達せず (0.93, 95% CI 0.61–1.44, P = 0.76)

S2被検者のうち、治療患者では非治療患者に比べうつ気分存在が有意に多い  (47% vs 33%) (P < 0.0001)

結論:血圧カットオフ値を下げることは確かに高血圧患者を増加するが、CVD死亡率のより低い対象者を多く含むこととなる
加え、治療患者はうつ気分増加の蓋然性増加の可能性、これはネガティブ感情のラベリングを反映したものと考えられる


最後が胸を打つw


動脈硬化性疾患一次予防:30年ベネフィットアプローチが10年リスクアプローチより優る

吹田スコアは 10年間リスク
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/006484.html

より長期のしかもベネフィットアプローチに変えた方がより予防可能性が高まる




一次予防のためのスタチン治療選択として、"30-year benefit approach"と”標準リスクに基づくアプローチ”で比較


標準スタチン使用適格性のために、NNT<7 p="">現在の推奨レベルでは適合とされないLDL-C高値若年者ではこのアプローチで同定することは一次予防のためのスタチン使用適合性決定にとってより最適なアプローチと言えるのでは?


A Long-term Benefit Approach vs Standard Risk-Based Approaches for Statin Eligibility in Primary Prevention
George Thanassoulis, et al.
JAMA Cardiol. 2018;3(11):1090-1095. doi:10.1001/jamacardio.2018.3476
https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/article-abstract/2706611

10年間ベネフィットアプローチ

横断研究 National Health and Nutrition Survey (NHANES) data set

10年動脈硬化リスクと、動脈硬化性心血管疾患の10年、30年間絶対的リスク減少(10年間ARR、30年間ARR)計算

5660万名の米国民を代表する1688名
スタチン適合性 CVR10 7.5%に基づく場合 9.5%、10-年間 ARR 2.3%に基づく場合 13.0%、 30-年間 ARR 17.5%

10年間リスク、10年間ベネフィット、30年間ベネフィット、それぞれのアプローチとも、ベネフィット可能性低い患者を避けるためにはベネフィットアプローチがより良い。


10年間ARR 閾値 2.3%以上の場合  (平均年齢, 56 [95% CI, 54-57] 歳; 女性比率 22% [95% CI, 10%-34%] )に比べ、30年間ARR閾値 15%以上に基づくスタチン適合性合致のものはより若年 (平均年齢, 50 [95% CI, 48-52] 歳) で、より女性が多い(43% [95% CI, 26%-59%])


10年間ARR閾値 2.3%以上推奨では、平均リスク 9.3%[95% CI, 8.3%-10.2%]、平均LDL 110 [103-118] mg/dLで、それに比べ、
30年間ARR閾値 15%以上に基づくスタチン適合性合致のものは、10年間リスク低く(平均リスク4.7% [95% CI, 4.4%-5.1%]) 、LDL-C高値 (149 mg/dL [95% CI, 142-155 mg/dL)

10年、30年における予防的な動脈硬化性心血管疾患イベントは、30年間ベネフィットアプローチが最も多く (10年時点 296 000 、30年時点 203万) 、10年間リスク評価に基づくアプローチが最も少ない(10年次点 204,000、30年時点118万)




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