2013年2月27日水曜日

うつへの介入:軽症ほど介入効果よろしい・・・というのは間違いらしい

初期うつにおける重症度が、低強度治療介による、ベネフィット影響

メタアナリシスによると、ベースラインでより重症の場合ほど、介入軽くても効果が大きい。逆に言えば、軽症うつは、介入効果に乏しい。

このトライアルでは、セラピスト誘導認知行動療法は、強度介入
軽度介入も、認知行動療法ベースの心理学的アプローチで、自己啓発本やインタラクティブなビデオやウェブサイトで、専門家の補助がほぼないもの

 
Influence of initial severity of depression on effectiveness of low intensity interventions: meta-analysis of individual patient data
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.f540 (Published 26 February 2013)Cite this as: BMJ 2013;346:f540

Beck Depression Inventoryもしくは Center for Epidemiologic Studies Depression Scaleで評価

低強度介入患者を参考にすると、多くはベースラインで中等度から重度

ベースライン重症度と治療効果に関し有意な相関 ( 相関係数 -0.1 95%CI, -0.19 - -0.0002)で重症ほど効果認める

全体的なeffect sizeは、軽度介入で -0.42(95% CI, -0.55〜-0.29)

"軽症、早期ほど、介入効果が良いはずだ・・・故に、早期発見・早期介入が対応の基本" ってのは、うつに関しては少なくとも間違いのようだ。

認知行動療法に関する社会資源を振り分ける上の参考になるのかもしれない


いじめ被害者・加害者:成人の精神疾患と関連

子供の頃いじめの傷は、大人になってからも残る。学校内の問題ではなく、社会の問題でもある。
広場恐怖(agoraphobiaは英語ではplace phobiaで、あきらかな誤訳と思う) 4.6倍
全般性不安 2.7倍
パニック障害 3.1倍

女性では、パニック障害 26.7(p < 0.001)
男性では、自殺傾向

いじめ側は、反社会的人格障害リスク


Adult psychiatric outcomes of bullying and being bullied by peers in childhood and adolescence
Copeland WE, et al 
JAMA Psychiatry 2013; DOI: 10.1001/jamapsychiatry.2013.504.

いじめ被害者と、いじめ側/被害者 は、若年成人の精神疾患率増加するが、小児の精神疾患率・家族関係悪化率も増加する

小児精神疾患問題・家族関係悪化補正後も、いじめ被害は、 広場恐怖の頻度増加と関連 (odds ratio [OR], 4.6 [95% CI, 1.7-12.5]; P < .01)、全般性不安 (OR, 2.7 [95% CI, 1.1-6.3]; P < .001)、パニック障害 (OR, 3.1 [95% CI, 1.5-6.5]; P < .01)と相関。

いじめ側/被害者とも、若年成人うつ増加と関連 (OR, 4.8 [95% CI, 1.2-19.4]; P < .05)、 パニック障害 (OR, 14.5 [95% CI, 5.7-36.6]; P < .001)、 広場恐怖 (女性のみ ; OR, 26.7 [95% CI, 4.3-52.5]; P < .001)、 自殺傾向 (男性のみ; OR, 18.5 [95% CI, 6.2-55.1]; P < .001)

いじめ加害者側は、反社会的人格障害リスク (OR, 4.1 [95% CI, 1.1-15.8]; P < .04)

Aldo-DHF研究:駆出率正常心不全に対しスピロノラクトン拡張能改善するも・・・

Aldo-DHF研究


プライマリアウトカムは、拡張能と心肺機能改善の2つ、前者は改善したが、後者は改善せず・・・6分間歩行距離においては減少

薬剤だけでは真の改善は見込めないのでは?

Effect of Spironolactone on Diastolic Function and Exercise Capacity in Patients With Heart Failure With Preserved Ejection FractionThe Aldo-DHF Randomized Controlled Trial
Frank Edelmann, et. al.
for the Aldo-DHF Investigators
JAMA. 2013;309(8):781-791. doi:10.1001/jama.2013.905.



重要性  拡張期心不全:Diastolic heart failure (ie, 駆出率正常心不全)は、確立した治療法のないが、コモンな病態であり、アルドステロン刺激がその病態進行に関与している可能性がある。

目的  駆出率温存型心不全での長期アルドステロン受容体遮断の有効性安全性評価。プライマリな目的は、スピロノラクトンのプラシーボ比較で、拡張性心機能と最大運動能力の改善が駆出率温存心不全患者でみられるかどうか

デザインとセッティング  Aldo-DHF トライアル、多施設、前向き、ランダム化、二重盲験、プラシーボ対照化トライアル、2007年3月から2012年4月、ドイツ、オーストリアの10施設、422の外来患者(平均年齢 67[SD, 8])年間、女性52%)、NYHA分類 II、IIIで、左室駆出率温存 50%以上、拡張期機能障害のエビデンスの存在

介入  患者をランダムに、スピロノラクトン1日1回 25mg (n=213)、 マッチングプラシーボ (n=209)に割り付け、12ヶ月フォローアップ

主要アウトカム測定  等化ランク共同プライマリエンドポイントとして、心エコー上の拡張期機能(E/e′) と心肺運動試験での最大運動能力(peak VO2)の12ヶ月時点での測定

結果 拡張期機能  (E/e′) は、スピロノラクトンで、12.7 (SD, 3.6) から 12.1 (SD, 3.7)へ減少、プラシーボでは 12.8 (SD, 4.4) から 13.6 (SD, 4.3) へ増加 ( 差補正平均, −1.5; 95% CI, −2.0 〜 −0.9; P < .001)

ピークの  VO2 は、スピロノラクトン vs プラシーボで、有意な差認めず ( 16.3 [SD, 3.6] mL/min/kg → 16.8 [SD, 4.6] mL/min/kg  vs  16.4 [SD, 3.5] mL/min/kg → 16.9 [SD, 4.4] mL/min/kg ; 差補正平均, +0.1 mL/min/kg; 95% CI, −0.6 to +0.8 mL/min/kg; P = .81)

スピロノラクトンは、リモデリング解消性に働く (左室量指標減少 ; 差, −6 g/m2; 95% CI, −10 〜 −1 g/m2; P = .009)、神経内分泌活性化改善  (N-terminal pro–brain-type natriuretic peptide 幾何平均比 , 0.86; 95% CI, 0.75-0.99; P = .03)
しかし、心不全症状・QOL改善せず
6分間歩行距離は軽度減少  (–15 m; 95% CI, –27 〜 –2 m; P = .03)

スピロノラクトンもまた、軽度血中カリウム値を増加 (+0.2 mmol/L; 95% CI, +0.1 〜 +0.3; P < .001)し、eGFR減少(−5 mL/min/1.73 m2; 95% CI, −8 to −3 mL/min/1.73 m2; P < .001) 、入院率への影響なし

結論・新知見  このランダム化対照トライアルにて、左室駆出率温存型の心不全患者では、アルドステロン受容体遮断剤長期使用で、左室拡張機能改善するが、最大運動能力、患者症状、QOLへ効果なし。
このAld-DHFトライアルでは、左室機能改善するかどうかが臨床的意義に関連するか、意味不明になっており、今後大規模な研究が必要となった。

E/e'
http://spo.escardio.org/eslides/view.aspx?eevtid=33&fp=1126

小サイズの腹部大動脈瘤サーベイランスは数年毎で良い

腹部大動脈瘤(AAA) 直径 3.0-5.4cm程度の分をモニターし、破裂前状況(ここでは5.5cm直径を超える状況)検知のための間隔検討


結論としては、サーベイランス間隔最適化に関し、AAAの臨床的受容される間隔としては、大部分の小サイズのAAAでは、数年毎で良い。

 Surveillance Intervals for Small Abdominal Aortic AneurysmsA Meta-analysis
The RESCAN Collaborators
JAMA. 2013;309(8):806-813. doi:10.1001/jama.2013.950

AAA成長率と破裂率を研究横断的に検討
直径0.5cm増加毎、年間平均増加率0.59(95% 信頼区間[CI], 0.51-0.66)mm増加
破裂率は係数 1.91(95% CI, 1.61-2.25)として増加

例えば、破裂10%減少のため には、3.0cmのAAAでは、男性における、5.5cm越えAAA成長リスクは、平均 7.4年(95% CI, 6.7-8.1)のサーベイランス間隔で十分

一方、5.0cmのAAAでは、8ヶ月(95% CI, 7-10ヶ月)間隔が、5.0cmAAA同定のために必要 

男性の破裂リスク1%減少のためには、必要サーベイランス間隔は、3.0cmAAAで 8.5 (95% CI, 7.0-10.5)年間、5.5cmAAAでは 17 (95% CI, 14-22)ヶ月となる。

禁煙:同意前提だが、quitlineへのほぼ強制参加で効率劇的改善

quitline:「電話による禁煙相談」と、厚労省サイトは 訳している
http://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kin-en-sien/izonshou/03.html

 電話による禁煙相談(Quitline)とインターネット・サービス
 電話による禁煙相談は、費用も安く、利用しやすい禁煙支援プログラムである。禁煙したい喫煙者は、匿名で電話によるサポートを受けることができ、その秘密は厳守される。夜や週末も相談を受け付けており、多くは無料または割引料金で電話をかけられる。
 電話相談は主に2つのアプローチを柱としている。ひとつは受動型(reactive)アプローチで、これは喫煙者が電話をかけるだけである。もうひとつ は積極型(proactive)アプローチで、電話をかけてきた相手に今度はカウンセラーから電話をし、電話で継続的なサポートを行うというものである。 積極型アプローチによる禁煙電話カウンセリングの効果と費用対効果は、現在では広く認識されている(US Department of Health and Human Services, 2000a)。受動型アプローチの電話カウンセリングの効果は、無作為化比較試験を行うのが困難なために実証しにくいという問題があり、現在は受動型支援 プログラムには他の評価方法を使うほうがよいと考える傾向にある。受動型支援の電話カウンセリングも効果があり、費用対効果の高い介入法と言える (Owen, 2000; WHO Europe)。

米国では、これをベースに禁煙指導がなされているわけだが・・・

いくつかの国内医療ベース禁煙イニシャチブとして、エビデンスベース治療の提供促進推奨されている。 もっとも注目されている例が、 5 As (Ask, Advise, Assess, Assist, Arrange) and Ask. Advise. Refer. (AAR) program。
不幸なことに、プライマリケア相談率は低く、そして、助言のための呼びかけに喫煙者の多くは応答しない。

同意前提の、quitlineへのほぼ強制参加で効率劇的改善という話らしい

Ask-Advise-ConnectA New Approach to Smoking Treatment Delivery in Health Care Settings ONLINE FIRST
Jennifer Irvin Vidrine, et. al.
JAMA Intern Med. 2013;():1-7. doi:10.1001/jamainternmed.2013.3751

AAC(Ask-Advise-Connect (AAC))アプローチで、治療喫煙者に関連する障壁に着眼した新しいデザイン作成目的

単一大都市圏の10の家庭医クリニックを2つにグループランダム化デザイン
介入群:AAC
対照群:AAR

AAC:クリニックスタッフは、受診時喫煙状態の電子カルテ評価・記録、簡単な禁煙アドバイスの訓練されている。 
名前と電話番号を同意の上quitlineに連日電送、そして、48時間以内にquitlineでproactiveに電話。 
AARクリニックでは、喫煙者はquitline参照カードを提供し、自身で電話するよう仕向ける。
全データを2月8日から12月27日収集

アウトカム測定:RE-AIM (Reach, Efficacy, Adoption, Implementation, and Maintenance) conceptual frameworkと治療登録者全員の比率ベースでインパクト調査

AACクリニック 7.8%、AARクリニック 0.6%(t4 = 9.19 [P < .001]; オッズ比, 11.60 [95% CI, 5.53-24.32])で、13倍もの差が生じた。

quitlineの重要性わかってるくせに、国は金出さない・・・

 

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