2013年1月9日水曜日

高齢者では、アスパルテームなどの人工甘味料飲用で“うつ”増加

American Academy of Neurology年次総会発表予定報告
情報ソース: http://www.medpagetoday.com/Geriatrics/Depression/36761

Honglei Chen ( National Institutes of Health in Research Triangle Park, N.C.)らによれば、
26万3925名を登録し、1995-1996年の飲料水飲用をレビューし10年以降、2000年以降のうつ診断を調査。うつ発症 11311名。

甘味飲料を、毎日4缶のむと、 うつリスク30%増加(オッズ比 1.30 95%CI 1.17-1.44 、P<0.001)。しかも、人工甘味料ダイエットドリンクでもうつ増加という大規模前向き研究の結果

ダイエットソーダによる、うつリスク増加は、31%(OR 1.31、95%CI 1.16-1.47)
レギュラーソーダによる、うつリスク増加は、22%(OR 1.22、95%CI 1.03-1.45)

コーヒー4杯摂取は、約10%ほどうつリスク減少(OR 0.91、95%CI 0.84-0.98、p<0.001)

ソーダと比較し、4缶・4杯以上のフルーツポンチ飲用は、38%もうつ診断尤度増加(OR 1.38、 95%CI 1.15-1.65 p<0.001)
さらに、フルーツポンチ飲用なしに比べ、ダイエットフルーツポンチではうつのリスク51%増加(OR 1.51、95%CI 1.18-1.92)
("diet fruit punch"をググると、いわゆる人工甘味料ベースの果汁などの混ぜ物が検索される)
一方、普通の糖を加えたフルーツポンチだと、8%(OR 0.79-1.46)のみ増加で有意差認めず。

ダイエット・アイスティー(e.g. http://www.liptontea.com/product/detail/141485/diet-green-tea-lemon 日本でも類似飲料よく見掛ける、人工甘味料による甘みづけティー飲料)でもやはり通常の糖甘味アイスティーと比べ打つリスク高い (OR 1.25, 95% CI 1.10 to 1.41 vs OR 0.94, 95% CI 0.83 to 1.08)

成分で検討すると、アスパルテーム多いほど35%増加 (OR 1.36, 95% CI 1.29 to 1.44)し、カフェイン高摂取では17%減少(OR 0.83、0.78-0.89)


人工甘味料関連


特保ペプシ:科学的根拠が薄いのに日本国行政が認め推奨したと全米が驚いた H24/11/19
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/11/blog-post_19.html

・・・・正しくは、“驚き、あきれた”。


糖化飲料量と虚血性心疾患・中間パラメータの関連性明らか H24/03/13
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/03/blog-post_2104.html
人工甘味料入り飲料消費は、CHDと有意な相関認めず
糖加飲料摂取では、TG、CRP、TNFr1、 TNFr2の増加。  HDL, Lp(a)、 leptin減少 (p values < 0.02)などの変化をもたらすが、人工甘味料では認めない。

非栄養甘味料:AHA・ADA ステートメント ・・・ 上乗せして使っても効果無いよ! H24/07/11
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/07/ahaada.html
““カロリー・ゼロ商品”と消費をあおっても、減量につながらない”


ダイエットソーダ連日飲用だと卒中リスク5割増し 2011年 02月 10日
http://intmed.exblog.jp/12085795/


人工甘味料・減塩補助人工添加物は細菌感染を考え食の安全を考えなければならない 2007年 10月 30日
http://intmed.exblog.jp/6376369/
1990年 英国で、hazelnut yoghurtに人工甘味料であるaspartameを砂糖に代替して使用したところ、食品由来のボツリヌス症が大発生した。
「ヒト宿主内の消化とそれに関わる前の、こういった添加物の病原性細菌増殖の役割に関して情報が少ない。」と彼らは述べている。


肺非小細胞肺癌:β遮断剤により転移抑制に伴う生存率改善効果?

 放射線療法を受けた肺がん(非小細胞肺癌)に対するβ遮断剤は、局所再までの生存期間以外の、遠隔転移までの生存期間、疾患再発までの生存期間、包括生存率を改善する。

故に、原発性腫瘍への影響より、転移への影響が主と考えられる生存期間改善だと著者ら。


"Improved survival outcomes with the incidental use of beta-blockers among patients with non-small cells lung cancer treated with definitive radiation therapy" Wang HM, et al
Ann Oncol 2013; DOI: 10.1093/annonc/mds616.

放射線治療を受けた、7222名の非小細胞肺癌

単変量解析でβ遮断剤服用(n=155)では 遠隔転移までの生存期間:distant metastasis-free survival (DMFS)(p< 0.01)、 疾患再発までの生存期間:disease-free survival (DFS)(p<0.01)、 包括生存率:overall survival (OS)(p=0.01)改善
しかし、局所再発までの生存率:locoregional progression-free survival (LRPFS)改善せず

年齢補正、Karnofskyパフォーマンススコア、組織型、併用化学療法、放射線量、総腫瘍量、高血圧、COPD、アスピリン使用補正多変量解析では、β遮断剤服用は、有意にDMFS [hazard ratio (HR), 0.67; P = 0.01]、DFS (HR, 0.74; P = 0.02)、OSCAR (HR, 0.78; P = 0.02)と関連
β遮断剤使用と、LRPFSの相関認めず (HR = 0.91, P = 0.63)


高齢者:β遮断剤は微小脳梗塞予防的働きがある? H25/01/08

乳がん・下部消化管検診 ・・・ 平均余命10年以上ある対象者が望ましい

日本の検診に関する知見では、偽陽性に関わる有害性を悉く無視している。一方、海外一流ジャーナルの記事はこの有害性を主眼にする論文が多い。日本の検診の可否検討の主張・材料は検診主体者のみが行い、そのデータの開示が乏しい。利益相反性の問題を追及すべき分野である。

以下の論文は、乳がん・下部消化管に関し、 その被験者が平均余命3-5年程度の場合、その検診の意義は乏しいというもの


検診後ベネフィットまでのタイム・ラグ検討
1万人検診毎に2.8名の直腸結腸がんの死亡回避できるが、このベネフィットは年数を経過する毎安定増加し、15年で1万名毎検診して23名の直腸結腸がん死亡回避。
これを一般化すれば、1人の直腸結腸がん死亡回避のため5千名検診が必要で、4.8年間必要、1千名検診の場合10.3年間必要。

同様に、乳がんに関して、1万名の検診で5.1名の死亡回避し、15年間までに死亡率へのベネフィットは増加し、1万名の検診にて19名の乳がん回避。
一般化すれば、1人の乳がん死亡死亡回避のため5千名検診が必要で、1千名あたり1人の死亡回避のため10.7年間必要。

検診には偽陽性による過剰・不要な治療が有害性として存在する。
乳がん・下部消化管がん検診では平均余命10年超が望ましく、 平均余命3-5年ではその意義は少ない。


Time lag to benefit after screening for breast and colorectal cancer: meta-analysis of survival data from the United States, Sweden, United Kingdom, and Denmar
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8441 (Published 8 January 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:e8441
目的 乳がん・直腸結腸がん検診に於ける生存的ベネフィットが見られるまでの期間のプール化・定量推定

研究デザイン 住民ベースの生存率のメタアナリシス、乳がん・直腸大腸癌の住民検診受けた群と受けなかった群ランダム化対照トライアル。トライアルはCochrane Collaboration及びUSPSTFレビューによる品質保証

セッティング 米国、デンマーク、UK、スウェーデン
対象住民 40歳超の選別された患者

プライマリアウトカム測定項目 検診住民群と対象住民群比較の乳がん・直腸結腸がん死亡までの期間

介入 直腸結腸がん検診のための便潜血検査、乳がん検診のためのマンモグラフィー

結果 5つの乳がん、4つの直腸結腸がん研究を検討


乳がん検診に関し、5千名の検診あたり1人の死亡回避のため、期間が3.0年間(95%信頼区間 1.1-6.3年間)経過している。
検討研究平均横断的には、1千名検診して1人乳がん死回避のために10.7年間(95%信頼区間 4.4-21.6年間)経過。



直腸結腸がん検診では、5千名の検診あたり1人の死亡回避のため、期間が4.8年間(2.0-9.7年間)経過。
検討研究平均横断的には、1千名検診して1人乳がん死回避のために10.3年間(95%信頼区間 4.4-21.6年間)経過。

検診による5千名に1人名の直腸結腸がん死亡回避のため、4.8年間(2.0-9.7年間)必要で、平均横断的には、1千名に1人の直腸結腸がん死亡回避のため、10.3年間 (6.0 - 16.4)必要。


結論 10年間超の生存余命期待する必要がある。
検診ガイドラインへ"time lag"考慮することにより、検診のリスク・ベネフィットが明確化推進されることになる。

卵摂取増えても冠動脈疾患、卒中増加に影響なし! ただ、リスク要素群毎の研究必要

卵は動脈硬化悪化させる; 卵黄×年は心血管リスク増加と相関
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/08/blog-post_17.html

これは、1施設研究で、しかも、臨床検査結果をアウトカムとする研究

故に、臨床的ガイドラインを左右するほどのインパクトをもつものではない

以下は、メタアナリシスなため、臨床的なインパクトをもつと思う。

全般的には 卵の摂取量は、冠動脈疾患・卒中に影響を及ぼすエビデンスは存在しない。しかし、糖尿病などのリスク要素を持つ場合は考慮すべきであるが、却って、脳出血予防的に働くことも考えられる。

Egg consumption and risk of coronary heart disease and stroke: dose-response meta-analysis of prospective cohort studies
BMJ 2013; 346 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8539 (Published 7 January 2013)
Cite this as: BMJ 2013;346:e8539
17の報告を含む、8つの記事(冠動脈性心疾患 9、卒中 8)をメタアナリシスとして採用

冠動脈性心疾患 3 081 269 人年、 冠動脈性心疾患 発症 5847
卒中 4 148 095人年、 発症 7579


卵摂取と、冠動脈・卒中リスクのカーブ線形相関のエビデンス認めず (非線形: P=0.67 、 P=0.27)
1日ずつ1個の卵摂取増加すると、冠動脈要約相対リスクは 0.99 (線形 : 95% 信頼区間 0.85 to 1.15; P=0.88) で、研究間のheterogeneity無し(P=0.97, I2=0%)

卒中に対しては、卵1日1個増加する毎の複合相対リスクは、 0.91 (線形 0.81 to 1.02; P=0.10)で、研究間のheterogeneity認めず (P=0.46, I2=0%)

糖尿病群サブグループにて、卵摂取最高vs最小群比較の冠動脈疾患相対リスクは 1.54 (1.14 to 2.09; P=0.01)

加えて、卵最大摂取群では、出血性卒中発症リスクは25%(0.57 to 0.99; P=0.04) 低い

結論:卵摂取量増加は必ずしも冠動脈疾患・卒中リスクと相関せず。
糖尿病患者においては、冠動脈性心疾患増加させる可能性有るが、逆に、脳出血減少の可能性がある。
サブグループ研究が必要。



RCT:変形性膝関節症へのビタミンD投与は無効 ・・・ 疼痛スコア悪化・膝機能の可能性も・・・

有痛性変形性膝関節症に対し、ビタミンDは疾病進行抑制に役立たないどころか、症状・機能面で悪化をもたらす可能性がでてきた。


“骨を丈夫にするからビタミンD”補給を!なんて、膝痛患者には言わないように!


"Effect of Vitamin D Supplementation on Progression of Knee Pain and Cartilage Volume Loss in Patients With Symptomatic Osteoarthritis: A Randomized Controlled Trial"
McAlindon T, et al
JAMA 2013; 309 (2): 155-162.

有症状変形性膝関節症146名(平均年齢 62.4歳[SD 8.5歳]、女性 57名、白人 115(79%))へのcholecalciferol(ビタミンD3)とプラシーボの2年のランダム化プラシーボ対照化二重盲検臨床トライアル

介入:経口コレカルシフェロール 2000 IU/d投与、36 ng/mL超になるよう増量

プライマリアウトカムは、膝痛重症度((Western Ontario and McMaster Universities [WOMAC] pain scale, 0-20: 0, no pain; 20, extreme pain)、軟骨減少容積 (WOMAC function scale, 0-68: 0,  no difficulty; 68, extreme difficulty)、軟骨厚、骨髄病変、レントゲン上の関節スペース幅

研究完遂 85%
血中25-OHビタミンD 濃度は、治療群 平均16.1 ng/mL(95% CI, 13.7-18.6)で、プラシーボ群では平均 2.1 mg/mL(95% CI, 0.5-3.7)(P<.001)

ベースライン膝痛比較では治療群のほうが対照群より軽度悪化 (平均, 6.9; 95% CI, 6.0 - 7.7 vs  5.8; 95% CI, 5.0 - 6.6) (P = .08)

ベースライン膝機能比較では、さらに治療群の方が有意に悪化 (平均, 22.7; 95% CI, 19.8 - 25.6 vs 18.5; 95% CI, 15.8 - 21.2) (P = .04)

膝痛は両群で減少:治療群 平均 −2.31 (95% CI, −3.24 - −1.38)、プラシーボ群 平均−1.46 (95% CI, −2.33 - −0.60)で、どの期間でも有意差無し

軟骨容積比率は両群で同様に減少 (平均, −4.30; 95% CI, −5.48 - −3.12 vs 平均, −4.25; 95% CI, −6.12 - −2.39) (P = .96)

どのセカンダリエンドポイントでも差を認めず


気になるのは平均WOMAC疼痛スコアがビタミンD投与群で悪化していること!




25-OHビタミンD 濃度の表記がngとmgが混在してる。おそらく ng/mLのほうが正しいと思うが・・・

noteへ実験的移行

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