2016年4月22日金曜日

変形性膝関節症では心血管疾患死亡増加

変形性膝関節症:Osteoarthritis(OA)は、関節の硝子軟骨の局所・進行性の減少を主とする、関節腔の減少、骨化、骨硬化のレントゲン的特徴を示す変化で、疼痛、腫脹・硬化を示す。 


Osteoarthritis and Mortality: A Prospective Cohort Study and Systematic Review with Meta-analysis
Nicola Veronese, et. al. Seminars in Arthritis & Rheumatism
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.semarthrit.2016.04.002


 電子的文献データベース+Progetto Veneto Anziani (PRO.V.A.) studyの新規データ

 PRO.V.A. study (N=2,927)では、いずれかの関節OAの存在(N=1,858) において、非OA比較では、CVD死亡率リスク有意増加せず (all-cause, HR=0.95; 95% CI: 0.77–1.15; CVD, HR=1.12; 95% CI: 0.82–1.54)



メタアナリシス、7研究、 OA: 10,018/non-OA: 18,541、12年間フォローアップにてOAの全原因死亡率リスク増加認めず  (HR=1.10; 95% CI: 0.97–1.25) 手


OAのデータ除くと、OAと死亡率に有意相関見られる  (HR=1.18; 95% CI: 1.08–1.28)



全原因死亡率高めるリスクは1)ヨーロッパでの研究、2)多関節OA、3 )OAレントゲン診断で見られる OAはCVD死亡率増加と関連  (HR=1.21; 95% CI: 1.10–1.34)



http://www.rheumatology.org/Portals/pdf
The classic criteria method for OA of the knee is based upon the presence of knee pain plus at least three of the following six clinical characteristics :
●Greater than 50 years of age
●Morning stiffness for less than 30 minutes
●Crepitus on active motion of the knee
●Bony tenderness
●Bony enlargement
●No palpable warmth
These criteria result in a sensitivity and specificity for OA of 95 and 69 percent, respectively.



日本でもガイドラインがあるのだが、この領域のいつものことで「診断の標準化がなされてない」・・・故に、診断は言ったもの勝ち



我が町:若年心臓突然死心配のための検診は意味があるのか?

ある地域で「保護者の希望があり、持久走前臨時健康診査を、校医に依頼」することが長年行われてきた。「 学校年間行事なのに、"臨時健康診査”とはいかに?」と食い下がったところ、やっと今年から行わないこととなったらしい。変な文面の通知が届いた。



学校保健安全法施行規則 (昭和三十三年六月十三日文部省令第十八号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S33/S33F03501000018.html
(臨時の健康診断)
第十条  法第十三条第二項 の健康診断は、次に掲げるような場合で必要があるときに、必要な検査の項目について行うものとする。 一  感染症又は食中毒の発生したとき。
二  風水害等により感染症の発生のおそれのあるとき。
三  夏季における休業日の直前又は直後
四  結核、寄生虫病その他の疾病の有無について検査を行う必要のあるとき。
五  卒業のとき。

こういう文面すら読んでない、教育委員会・各学校長・担当職員たちが存在する我が町
・・・で、検診内容は心電図やら心エコーやらではなく単に身体診察と問診のみというあきれるお話で、「教育関係者の目的はアリバイ的に診療をさせ医者に補償および責任転嫁のみを要求」するアホ役人発想


ところで、この学校関係者たちが心配する、若年者の心臓突然死を予測することの意義に関するエビデンスは存在するのだろうか?しかも、医師の直感や身体所見などというプリミティブな技法ではなく、科学的手法によるスクリーン(検診)技術でエビデンスは確立しているのであろうか?




Harms and benefits of screening young people to prevent sudden cardiac death
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1156 (Published 20 April 2016) Cite this as: BMJ 2016;353:i1156



キーメッセージ
・若年アスリート年次死亡率は、推定0.001%、スクリーニング目的はリスク状態にある心臓疾患発見のため 
・スクリーンされたうち30%までが、不要なはずの不安を生じ、過剰診断、過剰治療、スポーツ回避措置に繋がった 
・スクリーンは心臓突然死リスク約25%程度は検知できず、スクリーンのためのランダムトライアルもなされてない。 
・若年アスリートにおける心血管検診バランスにおいて、ベネフィットより有害性が多いと思われる

金と手間をかけた検診でさえ上記状況



表題は若年者とあるが、若年健康アスリートであり、より負荷の高い運動が想定される。学校行事程度の低リスクにおいて、あえて心臓突然死リスクのための検診を強要するとは鬼畜。校医なんてやめようかとおもってるが今年は一応引き受けた。全国ではさすがにこういうことはないのでしょうねぇ?

駆出率低下心不全:年齢・性別問わずβ遮断剤使用すべき

β遮断剤は心不全・左室駆出率低下症例では合併症・死亡率を減少させるが、年齢、性別というバイアスでの個別要素検討は十分ではなかったとのことでの検討



Effect of age and sex on efficacy and tolerability of β blockers in patients with heart failure with reduced ejection fraction: individual patient data meta-analysis
BMJ 2016; 353 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i1855 (Published 20 April 2016)

前向き、40−85歳個別データ、前向きデザイン・メタ解析、13833名、11トライアル、女性 24%

プラシーボ比較、β遮断剤は全年齢横断的に死亡率減少 
: ハザード比 年齢分布第1・4分位(年齢中央値 50歳) 0.66 (95% 信頼区間 0.53 to 0.83) 、第2・4分位(年齢中央値 60歳) 0.71 (0.58 to 0.87、第3・4分位(年齢中央値 68歳) 0.65 (0.53 to 0.78)、第4・4分位(年齢中央値 75歳) 0.77 (0.64 to 0.92)


年齢を連続変数とした場合有意相関無く(P=0.1)、死亡絶対的減少はフォローアップ中央値1.3年間で、4.3%(NNT 23)

心不全入院はβ遮断剤で有意減少するも、この効果は加齢と共に減少 (interaction P=0.05)


治療効果と性別の相関はどの年齢群でも認めない

薬剤中止は治療割り付け、年齢、性別と無縁に同様 (β遮断剤 14.4%  , プラシーボ 15.6% )




ISA+、非選択性β遮断剤使用症例を最近見たのだが・・・ 喘息合併だったので特に他β遮断剤へ変更願いたいと・・・ 依頼した

noteへ実験的移行

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