2012年11月2日金曜日

男性でも骨粗鬆症治療有効? ・・・ ゾメタ静注

男性に於ける骨折もまた重大な健康問題だが、有効な抗骨折治療の情報は限定的。ゾレドロン酸の有効性を多施設・二重盲検プラシーボ対照化トライアルで検討

1199名の原発性もしくは性腺機能低下症骨粗鬆症(50-85歳男性)
ゾレドロン酸(5mg)(商品名:Reclast)静脈注射 vs プラシーボ 12ヶ月間比較

Fracture Risk and Zoledronic Acid Therapy in Men with Osteoporosis
Steven Boonen, et. al.
N Engl J Med 2012; 367:1714-1723 November 1, 2012
新規形態計測上脊椎骨折は
ゾレドロン酸群 1.6% vs プラシーボ群 4.9%(24ヶ月間)
リスク減少67%(相対リスク 0.33;95%信頼区間、0.16 ~ 0.70; P=0.002)


プラシーボ投与男性に比べ、ゾレドロン酸投与男性は中等度・重症脊椎骨骨折少なく(P=0.03)、身長低下も少ない (P=0.002)

ゾレドロン酸投与患者は臨床的脊椎骨・被脊椎骨骨折少ないが、骨折数が少なく臨床的有意差に達しなかった。

ゾレドロン酸群で、骨密度高く、骨代謝回転率マーカー低下(P<0 .05=".05" br="br">
結果は、総テストステロン低値男性でも同様。

ゾレドロン酸とプラシーボ群は死亡頻度差は認めず (2.6% and 2.9%)、重篤な副事象にも差を認めない(25.3% and 25.2%)




臨床的有意な最小変化量MCID: 重度肺気腫の残気量指標



論文としては、重度肺気腫の残気量の臨床的に意義のある最小変化量(minimal clinical important difference, MCID)”のこと

The minimal important difference for residual volume in patients with severe emphysema
Jorine E. Hartman, et. al.
Eur Respir J 2012 40:1137-1141; published ahead of print 2012, doi:10.1183/09031936.00219111
different anchors and methodに基づくMID推定値は、RVで -0.31~0.43L、 ベースライン比較のRVパーセント変化では-6.1%~-8.6%、RV/TLCで-2.8~-4.0%



脱線するが・・・解説
 臨床的意義有る最小変化量:"Minimal Clinically Significant Difference"とは、“ the smallest difference that clinicians and patients would care about. ”と定義づけされている。
 特定のHRQL指標選択時最小の臨床的意義を見いだすことのできる最小限のスコアの差を確認しておくことは重要である。
  それは統計学的有意差を示す指標上の差が見いだされたとしても、もし、臨床的意義の差がそれ以上なら、その差は臨床的な意味は無い。
FEV1を例示するなら、50mlの改善は臨床的意義がある。だが、大規模研究でも、その差に到達していないものがある。
 同様に、HRQLスコアと健康状態でも同様の理解が必要。
"Minimal Clinically Significant Difference"は測定インストルメント固有で、特性の論理的分析・実験デザインなどのデータからも論理的な解析が必要である
http://qol.thoracic.org/sections/measurement-properties/minimal-clinically-significant-difference.html

Minimally Important Changes (MICs) は、分布に基づく方法と、anchorに基づく方法に分けられる。これらの方法の根本的違いを考察し、MICを、たとえば、標準誤差値(SEM)の標準偏 差0.5や標準誤差とする著者らもいれば、種々anchorに基づく、MICの多様性、疾患特性を強調する場合がある。分布に基づく方法論では単に最小検 知変化量(MDC:minimally detectable change)に基づくのみである。MIC評価に関して、anchor-based methodが望ましく、最小的意義のある定義によるもので、たとえばChronic Respiratory Disease Scaleなどの健康状態指標インスツルメントのスケールに基づくベンチマークを利用する。測定手段のMDCで、MIC検知可能かどうかの判断も可能とな る。
Health Qual Life Outcomes. 2006; 4: 54. Published online 2006 August 22.

臨 床的重要性評価に関して、2群治療間の最小の臨床的差である、”minimal clinically important difference (MCID) ”を定義した上で検討すること(臨床トライアルの問題点回避を:有意差・信頼区間、複合エンドポイント、群内分析・・・ 2010年 01月 28日)が重要である。

Minimal clinically significant difference (MCSD) は、従来、患者が個別レベルで改善したと知覚する状況で定義されることが多かった(Ann Rheum Dis 2007;66:iii40-iii41 doi:10.1136/ard.2007.079798 )。

呼吸器分野と運動系疾患・神経系疾患の研究ではMCSDが取り上げられることが多いと思う。

各肺疾患:6分間歩行距離(6MWD)の有効変化量感知可能最小差異:MID


特発性肺線維症:FVCのminimal clinically important difference 2011年 12月 15日

NTD(相手されない熱帯病)の治療は乏しいエビデンス根拠でなされてる

NTDを“顧みられない熱帯病”という訳は正しいのだろうか?


いつものごとく、" AND gov.jp"でグーグル検索すると、この訳が正しいようだ。




この稀が故に、RCTの俎上に登りがたい疾患の検討

疾患名は・・・
・ American trypanosomiasis : アメリカ・トリパノソーマ症
・ dengue : デング熱
・ echinococcosis : エキノコックス症
・ foodborne trematode infections : 食品媒介吸虫感染
・ human African trypanosomiasis : ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症
・ leishmaniasis : リーシュマニア症
・ leprosy : ハンセン病
・ lymphatic filariasis : リンパ管フィラリア症
・ onchocerciasis : オンコセルカ症
・ rabies : 狂犬病
・ geohelminth infections 
・ schistosomiasis : 住血吸虫症
・ trachoma : トラコーマ
他3種
・ dracunculiasis : メジナ虫症
・ Buruli ulcer : ブルール潰瘍
・ cysticercosis : 嚢虫症



Neglected tropical diseases: survey and geometry of randomised evidence
BMJ 2012; 345
http://www.bmj.com/content/345/bmj.e6512





971の検討可能ランダム化トライアル同定
以下の二つが多く
リューシマニア(184トライアル、被検 23039名)
geohelminth infections (160トライアル, 被検 46 887名)
以下2つが少ない
dracunculiasis (9トライアル, 被検 798 名)
Buruli ulcer (5トライアル, 被検 337 名)


グローバルな疾患と比べ、リンパ管フィラリア症はトライアルや被験者が少ない。企業基金によるトライアルは11%のみ
被験者100名未満の単一トライアルが、第1選択・第2選択治療のランダム化トライアルエビデンスとしてなされているのが、ブルール潰瘍、ヒト・アフリカ・トリパノソーマ症、アメリカトリパノソーマ症、嚢虫症、狂犬病、エキノコッカス症、New World皮膚リューシマニア症、食品媒介吸虫感染。
トライアル数40を越える10疾患の内、5つでは、第1選択vs第2選択治療のガチンコ比較されてない
 




メーカーが創薬上の施策として金出さない疾患では、薬剤トライアル数自体が少ない・・・ 

故に、poorなエビデンスで診療方針がなされている。

AEGIS トライアル:気管支鏡正常組織からでも肺がん診断類推可能?


気管支鏡から採取した細胞診上正常の bronchial epithelial cell (BEC)の遺伝子発現特性から肺がん保有・非保有鑑別の可能性検討

 AEGIS研究:前向き・症例対照・多施設トライアル(BEC採取)の330名(診断確定肺がん 240名、 対照 90名)
 
 Bronchial Airway Gene-Expression Testing Improves the Diagnostic Yield of Bronchoscopy for Lung Cancer: Results of the AEGIS Trial
Duncan Whitney et. al.
CHEST.2012;142(4_MeetingAbstracts):1025A-1025A. doi:10.1378/chest.1450411

 PCRベースの遺伝子発現検査(30遺伝子)の予測正確度検討で感度 77% (95% CI 71-83%)


遺伝子発現検査を伴う気管支鏡検査では、組み合わせ検査感度  94% (95% CI 91-97%)、特異度 73% (95% CI 67-79%)、そして単独検査・感度  74% (95% CI 68-80%) 、NPVは組み合わせで  0.85 (95% CI=0.80-0.90) 、気管支鏡単独で NPV=0.65 (95% CI=0.59-0.71)


 気管支鏡の診断上、局在・サイズ診断、細胞収集法、病理過程の検討に役立つ。それは癌病変に適切に到達した場合だが、この場合は正常組織からの類推も役立つということになる。
気管支鏡はある程度侵襲的な検査法なので、回数はなるべく少なくしたいという気持ちが被験者・検査者双方にあり、この検査法が臨床応用されればかなり朗報。



メモ:日本脳炎の予防接種死亡例 予防接種の安全性問題から薬事安全性の問題へ?




第7回厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会日本脳炎に関する小委員会資料 平成24年10月31日(水)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ndoo.html


日本脳炎の予防接種死亡例について
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ndoo-att/2r9852000002ndq5.pdf


・ 急激な心停止が考えられるため、ワクチンによるアナフィラキシーは考えにくい
・ 処方薬剤
(1) アリピプラゾール:副作用に心電図異常。本剤における治療中原因不明の突然死が報告されている。
(2) ピモジド製剤:SSRIとの併用禁忌。本剤による治療中、原因不明の突然死が報告されている。心電図異常に続く突然死も報告されているので、特にQT部分の変化があれば中止すること。
(3) 塩酸セルトラリン(SSRI):オーラップ投与中の患者には、QT延長を引き起こすことがあるので、投与禁忌であり併用禁忌。

noteへ実験的移行

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