2018年9月7日金曜日

褐色脂肪組織(BAT)発現関連H19遺伝子 imprintingは母から・・・


long noncoding RNAs (lncRNAs) はまだ不明瞭
だが、 褐色脂肪細胞組織(BAT)は母体で発現し、imprinting IncRNA H19は寒冷刺激で活性化し、肥満で減少する

LincRNA H19 protects from dietary obesity by constraining expression of monoallelic genes in brown fat
Nature Communicationsvolume 9, Article number: 3622 (2018)
https://www.nature.com/articles/s41467-018-05933-8


解説:
https://www.sciencedaily.com/releases/2018/09/180906100438.htm


gene H19の機能を新発見、我々の遺伝子の1%
片親からimprintingという現象で独占的に発現し、体重減少、細胞増殖に関わる
問題は妊娠中にgenome imprintingされるわけで、母由来が大きく関与


さらには、父由来に遺伝子が、白色脂肪組織の増生と関連し、胃や大腿、腰背部に見いだされた


確かに、父・息子の背格好は似てくる

一方、母からは、肥満保護作用がimprintingされるわけで・・・

スタチン使用有益性:75歳以上では糖尿病無ければ不要、糖尿病存在しても90歳以上は不要

後顧的研究だから、文句つけ放題だけど・・・


74歳超で2型糖尿病なしの場合、スタチン治療は動脈硬化性心血管疾患や全原因死亡減少を示さない。動脈硬化性心血管疾患の頻度がスタチン使用提案閾値リスクを超えていたとしても同様。 
糖尿病の存在は、スタチン使用が統計学的に動脈硬化性心血管疾患頻度減少や全原因死亡減少率減少と統計学的有意である。ただ、85歳以上でその効果は減弱し、90歳以上でその効果は消失する。




Statins for primary prevention of cardiovascular events and mortality in old and very old adults with and without type 2 diabetes: retrospective cohort study
BMJ 2018; 362 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k3359 (Published 05 September 2018)
Cite this as: BMJ 2018;362:k3359

スペイン,2006-15年、Catalan primary care system(SIDIAP)
後顧的コホート研究

結論だけ

46,864名(平均年齢 77歳;女性 63%;フォローアップ中央値 5.6年間)


糖尿病なし・スタチン治療で
75-84歳では、動脈硬化性CVD 減少 ハザード比 0.94 (95% 信頼区間 0.86 to 1.04)、全死亡率 0.98 (0.91 to 1.05)
85歳以上では、各々  0.93 (0.82 to 1.06) 、 0.97 (0.90 to 1.05)

糖尿病患者・スタチン治療で
75-84歳では、動脈硬化性CVD 減少 ハザード比  0.76 (0.65 to 0.89)
85歳以上では、各々 0.82 (0.53 to 1.26) 、1.05 (0.86 to 1.28),


同様に、 スプラインを用いた連続スケールでの年齢の効果分析は、74歳糖尿病なしの被検者での動脈硬化性心血管疾患および全原因死亡への有益なスタチン効果の欠如が裏付けられている。糖尿病患者では、動脈硬化性心血管疾患および全原因死亡への予防的効果示され、85歳以上ではその効果は減弱し、90歳以上では消失。


COPD健康状態に関するMCIDのシステマティック・レビュー/メタアナリシス 治療効果でしか使えない現状

HRQoLや機能評価におけるMCIDについては治療効果検証では意味がある数字が存在するが、自然経過など悪化の方のMCID評価されたツールは存在しないというのは目からうろこであった







序文に、MCIDの解説
臨床的明瞭な変化を意味する閾値、Jaeschkeらの定義:問題ある副作用無く、コスト増大無く、患者管理を変化しうるという条件の下ベネフィットとして患者が知覚しうる、対象ドメインのスコア最小差”で、MCIDは、介入や薬物治療後、対照と比較した上で臨床的明確な変化を患者のパーセンテージで比較したもので、サンプルサイズの決定、臨床的評価に用いられる。MCIDが不当に高ければ治療介入などの過小評価、低すぎれば過大評価を導く。健康状態評価とそのMCIDがCOPDにおいて特に注目されるのは医師にとってはスパイロメトリ指標、血液ガス分析などだが、患者にとってはQOLと無関係。QOLは患者の満足・不満足で個別観点から重要。HRQOL指標、身体機能、メンタル機能の標準化法としてMCIDは重要。
測定方法としては、 anchor-based、distribution-based、opinion-based アプローチがあり、それぞれ賛否ある。anchor-based、distribution-basedの複合が用いられることが推奨されている。COPDにおけるHRQOLおよび健康状態ツールのMCID報告多くし、様々な説明がそれぞれの著者からなされている。

多くの研究で最近updateが乏しく、MCID methodologyの質評価も、triangulationもなされてない。COPD以外ではPROsや機能評価のMCID研究盛んで、システマティック・レビューや要約、質検証などなされている。
そこで、様々なHRQoL指標のMCIDエビデンスをシステマティック・レビューし、方法論としての質評価を行い、メタアナリシスとしてトライアンギュレーション:triangulation(三角測量)検証




Clinically relevant differences in COPD health status: systematic review and triangulation
ERJ Express. Published on August 23, 2018
as doi: 10.1183/13993003.00412-2018

12種類のCOPD HRQoLと健康状態ツール、MCIDmethodology、質、推定値を含む、21研究

例えば、CAT, CCQ, (SF)CRQ, eDiary, EQ-5D, FT, QOLRIQ, SF-6D, SF-36, SGRQ, VSRQ

全般的質やバイアスリスクは、平均的〜良の評価で、1つはexcellent、2つはpoor



トライアンギュレーション: MCIDs:改善指標

  • COPD Assessment Test (CAT) −2.54
  • Clinical COPD Questionnaire (CCQ)  −0.43
  • St. George's Respiratory Questionnaire (SGRQ) −7.43

セッティングの違いand/orフォローアップ期間の構造差を伴わない検証であった


他のツールでは検討数が少なく、種類多すぎて検討できず


悪化に関するMCIDの研究は、すべてのツールにおいて、乏しく、存在しないといえる



気管支拡張症:その曖昧さ そりゃ臨床トライアルがうまくいかないはずだ・・・

ERS そろそろなので、そろそろ騒がしくなると思われ・・・


そもそも呼吸器系の病名は曖昧なのが多い
慢性気管支炎がその代表だが、
気管支拡張症も形態病理所見なのか病態診断名なのか治療上の診断名なのかはっきりしない・・・まぁその種の切り口




「気管支拡張症」という病名は局所的・永続的な気道拡張で、様々な疫学的、臨床的、レントゲン的、機能的、微生物学的な意味Iではかなり異なる異質な疾患群
「気管支拡張症」という病名では、生物学や治療応答を考慮されない、すなわち、根本のエンドタイプをが考慮されない。本来なら、免疫不全、ciliary dyskinesia、感染(細菌感染、非結核性抗酸菌など)で、潜在的治療ターゲットとなるべきなのである。
気管支拡張という臨床的phenotypeに限定された以前の研究が治療可能性をミスリードしている可能性ある。
気管支拡張症の主な治療目標は、症状改善、急性増悪予防、肺機能減少、そして死亡率低下であるが、軽度の影響しか与えていない。例えば、抗生剤吸入療法は少しばかりの急性増悪、QOL改善で、気道感染以外のendotypeの病因的役割が示唆された。
さらに、併存する気道疾患が多く、喘息、COPD併存が50%程度まで存在する。

"treatable trait"という概念は 2016年,AgustiらによりERJ誌で提案。
現在の気道疾患病名は不正確で、overlapや経験治療を誘発しているとし、biomarker-directed approachで、臨床的phenotypeやendotypeの認識が個別化治療オプションとして臨床アウトカム改善に直結する可能性があるとした。
"treatable trait"の元の原稿では、喘息、COPDの診断ラベル患者について特に言及しているようである。


  • COPD-気管支拡張overlap(BCO)
  • 喘息-気管支拡張overlap(ACO)
  • 全ての疾患合併:ABCO


この主張に対して、喘息やCOPDという疾患自体が種々endotypeの塊で欠陥だらけ、さらに、欠陥を増やすだけと主張

ただ、このアイディアは認めていて
気道感染が気管支拡張の治療可能な特性の一つに過ぎず、上気道感染、好酸球増加、真菌アレルギーやその合併などの"treatable trait"を引き起こす症例には気道感染治療が効果あるはずもない。故に、そういう症例を"treatable trait"を考慮すべきと

Treatable traits in bronchiectasis
European Respiratory Journal 2018 52: 1801269; 
DOI: 10.1183/13993003.01269-2018


びまん性汎細気管支炎を無視しているのはさすがです。ERJ (皮肉・・・)


このようなphenotype-endotypeの報告があるが・・・こういうのは治療開発につながるのだろう・・・phenotypeだけで研究もどきやってても治療にはつながらないのかもしれない

COPDの"慢性粘液過剰産生”において 鍵となる"miRNA-mRNA ネットワーク"(miRNAとmRNAの統合解析)が存在するらしい
 miR-134-5p, miR-146a-5p and let-7 family, along with their potential target genes including KRAS and EDN1, as potential key miRNA–mRNA networks regulating CMH in COPD.
microRNA–mRNA regulatory networks underlying chronic mucus hypersecretion in COPD
European Respiratory Journal 2018 52: 1701556;
 DOI: 10.1183/13993003.01556-2017


noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note