2018年7月6日金曜日

COPDとfrailty

The Relationship Between COPD and Frailty
A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies
CHEST July 2018, vol. 154 No.1 21-40
https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.014 |
【背景】Frailtyは老人ではcommonで、生理学的予備能減少とストレッサーからの脆弱性が特徴。Frailtyは、COPDを含めいくつかの慢性疾患での予後や治療アプローチの変容をもたらす。FrailtyとCOPDの関連性をシステマティックにレビュー


【目的】研究のゴールは、COPDとfrailty、pre-frailtyの相関性評価のためのシステマティック・レビュー、メタアナリシス



【方法】システマティック・レビュー、メタアナリシスガイドラインに基づく優先レポートアイテム、2002年1月1日〜2017年10月6日までのPubMed、Web of Science、Embase検索。研究の質は Newcastle Ottawa Scaleで評価。2名の評価者が独立してそれぞれの研究をrating。バイアスリスク 低:7超、中等:5−7、高:5未満

Pooled estimateをrandom effect model、Mantel-Haenszel weightingで検証

Homogeneity (I2) 、 publication bias 評価

【結果】27研究トータルで選別、横断研究 23、長軸調査 3つ、両方 1つ

COPDにおける pre-frailtyのpool化頻度は 56%(95% 信頼区間: 95%CI, 52 - 60; I2 = 80.8%)、fraityは 19% (95% CI, 14-24; I2 = 94.4 %)




COPD患者はfrailtyオッズ2倍増加 (pooled OR, 1.97 [95% CI, 1.53-2.53]; I2 = 0.0%)

3つの長軸研究ではheterogenousな目的、方法で、COPDとfrailtyの両者双方向性相関認めた





【結論】Frailtyとpre-frailtyはCOPD患者では半数以上みとめ、COPD高齢者は2倍のfrailtyオッズ比。これはCOPD患者でのfrailty必要性と2つの病態の同時存在が新たな負の影響を与えるという臨床的に示唆を与える。
長軸研究でCOPDとfrailtyの一時的検討から今後この関連性明確のため新たな研究が必要で、COPD治療がfrailty発症抑制をもたらすかなども検証必要。




Trial Registry
PROSPERO registration No.: 58302; URL: https://www.crd.york.ac.uk/prospero/







エディトリアル:https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(18)30547-6/fulltext

"Frailty"は、加齢と共に生じる生物学的機能喪失・機能障害で、ホメオスタシス・バランスの喪失であり、定義としては、" progressive age-related cumulative decline in many physiological systems during a lifetime, which confers extreme vulnerability to stressors and increases the risk of a range of negative health outcomes.";障害に於ける多生理学的システムの進行性加齢関連累積的減衰で、ストレッサーへの極端な脆弱性と一定範囲へのネガティブな健康アウトカムのリスク増加をもたらす
(Eur J Intern Med. 2017; 45: 84–90t , J Am Med Dir Assoc. 2013; 14: 392–397 )
進行性で、しばしば不可逆的になる場合もあり、進行は遅くなる場合も前駆として、prefrailtyなどが回復の治療対象となる


frailty phenotypeは、研究者、臨床家、政策担当者にとって、個人・家族・システム・社会へのコスト増大にからむ問題で、大きな関心が持たれている。コストは転倒、骨折、インフルエンザワクチン有効性低下、推奨治療・薬物継続尤度低下、ADL依存増大、入院、施設入所、生存率低下など
70歳超全員frailtyチェックをすべきとする学会存在し、呼吸器病態を有するこれ医者では意義が大きく、ルーチン篩分けで、COPDや胚移植患者のような進行性肺疾患では早期スクリーニングが重要。いくつかの臨床的パラメータがリスク同定、モニターのため用いられる、例えば、喫煙状況、意図しない体重減少、エネルギー低消費、併発症、6分間歩行距離、握力、COPD急性増悪回数など。
無数の研究でfrailty関連研究するも、frailty同定・治療のベネフィットを示す報告は少なく、研究価値のあるものは乏しい。しかし、そもそもfraityという病態は動的な変化を有するわけで、prefrailや健常への可逆性の可能性はあるはず。

COPDでのfrailty頻度は Fried criteriaで 20%、prerailtyは 58%
ベースラインfrailtyにより呼吸器障害発症尤度増加の可能性を示唆
加え、COPDの診断はfrailty statusのprefrailtyや健常への改善尤度低下と関連

COPD患者の呼吸リハビリテーション研究によると、frailtyを有し、リハビリテーション完遂した症例に、そのリハビリテーション・ベネフィットが生じやすい

リハビリテーション前frailtyに該当した症例の60%がfrailty状態でなくなった

疾患に焦点をあてた医療モデルでは太刀打ちできない複雑さがあり、多併発症、polypharmacy、障害などの関与によりfrailtyが存在する。

症状慢性化、障害、死亡の可能性の場合、frailtyのuniversal/standardized同定が治療・ケア改善をもたらし、治療とケアの優先性の誠実な議論の根拠となる







心筋梗塞心原性ショック:ノルアドレナリン vs アドレナリン投与

ボスミン(アドレナリン)の御用向きは、ACLS、アナフィラキシーショック・喘息など
ノルアドレナリンに冠して、日本のガイドラインでも心原性ショックでノルアドレナリン記載されていると思う。


意外なのは、“エピネフリン(アドレナリン)とノルエピネフリン(ノルアドレナリン)の共通点は多いが、心筋梗塞時心原性ショックでは互換性がない”と今更感があるが、実地的立証がなされてなかったよう・・・


57名の患者で2つの昇圧剤を使用し同様の昇圧、CI増加をもたらしたが、エピネフリンは不応性難治性ショック発生増加をもたらす。

意外だが・・・

心原性ショックを伴う心筋梗塞へ、種別毎昇圧剤には特異的作用があるのだろうが、比較トライアルなされて折らず、介入データ無かったとのこと
前向き二重盲検多施設ランダム化研究比較

Epinephrine Versus Norepinephrine for Cardiogenic Shock After Acute Myocardial Infarction
Journal of the American College of Cardiology
Volume 72, Issue 2, July 2018
DOI: 10.1016/j.jacc.2018.04.051
http://www.onlinejacc.org/content/72/2/173

プライマリ有効性アウトカム:cardiac index evolution
プライマリ安全性アウトカム:occurrence of refractory CS
Refractory CS <不応性心原性ショック>定義:低血圧持続、終末臓器還流不全、高乳酸血症、 inotrope や vasopressor 高投与

結果:57名を2つの研究arm(エピネフリン、ノルエピネフリン)にランダム化
プライマリ有効性エンドポイントとして、心拍出量指標効果<ベースライン0時間→72時間>で同様 (p = 0.43)
主要安全性エンドポイントにて、不応性ショック頻度エピネフリン群で多い (10 of 27 [37%] vs. norepinephrine 2 of 30 [7%]; p = 0.008) 、そのため早期このトライアル中止となった
心拍(2時間後→24時間後)は有意にエピネフリン群で高いが、ノルエピネフリンでは変化無し (p < 0.0001)





代謝変化のいくつかはノルエピネフリンに比べ、エピネフリンで好ましくない結果があり、2時間→24時間にて、心臓double product増加  (p = 0.0002)、乳酸アシドーシス増加   (p < 0.0001)



結論:急性心筋梗塞による心原性ショック患者において、エピネフリンは、ノルエピネフリンと同様の動脈圧や心拍出指数増加を示す昇圧効果があるが、治療不応性ショック頻度が多くなる
  (Study Comparing the Efficacy and Tolerability of Epinephrine and Norepinephrine in Cardiogenic Shock [OptimaCC]; NCT01367743)




ACLSでも以下注意書きが書かれている
https://acls-algorithms.com/acls-drugs/acls-and-epinephrine/
Epinephrine should be used with caution in patients suffering from myocardial infarction since epinephrine increases heart rate and raises blood pressure. This increase in HR and BP can increase myocardial oxygen demand and worsen ischemia.

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