50歳以上において、疼痛発症後、3年ほど後に、不眠が現れる。その原因の半数以上が、疼痛による身体活動性制限、社会的活動減少に起因・・・
高齢者の不眠のうち、足腰が痛いという場合は、こういうのが関連してるのかもしれない。
Impact of musculoskeletal pain on insomnia onset: a prospective cohort study
Rheumatology (2015) 54 (2): 248-256.
doi: 10.1093/rheumatology/keu283
First published online: August 14, 2014
目的. 疼痛は、リウマチ疾患の中で最も多い所見で、特に高齢者に多く、不眠症合併で、健康アウトカム悪化をもたらす。不眠のproactive preventionにより、疼痛及びリウマチ病態の包括的disease burdenを減少させることができるかもしれない。それら情報を得るため、この研究では、疼痛、身体制限を調査し、社会的参加縮小を、不眠発症により予測、あるいは不眠発症が関与しているか検討。
方法. 前向きコホート研究を、6676名の50歳以上、ベースライン及び3年フォローアップ後アンケート完遂例で行い。被検者をACRクライテリアにて無し(none )、幾分あり(some)、かなりあり(widesupread)に分けた。
ロジスティック回帰を行い、ベースライン疼痛と、3年次の不眠オンセットの間の相関を検討。Path解析は、身体制限、社会参加減少を介入として検討。
結果. Some [補正オッズ比 (AOR) 1.57 (95% CI 1.15, 2.13)] 、widespread [2.13 (1.66, 3.20)] 疼痛は、3年時点での不眠リスク増加と関連。補正としては、年齢、性別、社会経済階層、教育、不安、うつ、睡眠及び合併症により行った。
身体制限、社会的参加減少の組み合わせで、不眠発症と“some pain”は68%まで説明、“widespread pain"は、66%まで説明可能。
結論. ベースラインの疼痛程度と3年後の不眠発症の関連性は量依存的影響であり、身体制限や社会的活動減少によるものが過半。
高齢者の身体活動制限や社会的参加を促すことで、合併不眠を緩和し、疾患全体の広がりを緩和することとなるだろう。