2013年6月2日日曜日

健康ライフスタイル(食の健康、無喫煙、定期的運動)は記憶能力と関連、意外と若年・中年でも記憶障害多く、不健康行動と関連

健康的行動は、アルツハイマー病や認知症のリスク低下と関連する報告があるが、寄与リスクについてはその知見は少ない。ポジティブなライフスタイル選択と、中年、特に若い頃の訴えの寄与リスクの知識は少なく、そして、後年の問題の指標となりうるか?


健康ライフスタイルのインパクトを調査、18-99歳までの1万8千5百名超の国内調査

多くの年齢世代で、健康食、非喫煙、定期的運動は、自己報告記憶能力と関連する。
加齢とともに記憶障害の報告は当然増えるが、、健康的行動習慣は、高齢(60-99歳)に多く、中年(40-59歳)、若年(18-39歳)より多い。

これは、ステレオタイプな、加齢ほど、他者依存・衰弱増加という話と相反する話である。

加えて、予想より若年者での記憶障害率が高かった。これは、若年者でも健康教育が必要であることを示唆する。

Healthy behavior and memory self-reports in young, middle-aged, and older adults - Corrigendum
Gary W. Small, et. al.
International Psychogeriatrics / Volume 25 / Issue 06 / June 2013, pp 991-991
高齢者は、中年・若年成人より健康行動となりやすい。
加齢とともに記憶障害の報告、若年 14%、 中年 22%、 高齢 26%で、健康行動(Healthy Behavior Index)と逆相関。
健康食は、記憶自己報告良好性と相関し、年齢と関連なし。
一方、喫煙なしは、若年・中年での記憶報告と関連し、定期的運動と記憶に関しては中年・高齢で相関。

真菌:クリプトコッカス男性高感染率の理由 ・・・ 男性マクロファージがだらしない

男性の方が、クリプトコッカス症発症頻度多いことが知られている。

Cryptococcus neoformansの性差感受性の違い

男性では、CD4+ T リンパ球数増加にかかわらず、男性の死亡リスク高い。
男性の免疫反応が有効じゃないことが想定され、ビルレンス表現型としては、女性から分離のCnは倍加タイムが長く、より、Capsular glucoronoxylomannan(GXM)放出量が多かった。テストステロンの存在は、検査室株・28の臨床分離株でのGXM遊離の高値 と関連。これは17-βエストラジオールとは関連無し。

貪食能を検討したところ、4分離株培養後、女性のマクロファージは、男性マクロファージのよりCnの貪食性高い。男性マクロファージは真菌量が多く、Cnにより細胞死している。

結果、Cnへの性別間のマクロファージの違いが男性のクリプトコッカス感染率の高値 の一理由付け


The Role of Host Gender in the Pathogenesis of Cryptococcus neoformans Infections.
McClelland EE, Hobbs LM, Rivera J, Casadevall A, Potts WK, et al. (2013)
PLoS ONE 8(5): e63632. doi:10.1371/journal.pone.0063632


男って弱い生き物だ・・・

糖尿病・心不全患者へのメトホルミンの安全性・有効性

心不全状況下での、メトホルミン安全・有効性に関する議論

システマティック・レビューと非トライアルエビデンス

心不全・糖尿病患者において、メトホルミンは、少なくとも他の経口血糖降下薬、対照はほとんどSU剤と比較し、安全で有効。他のトライアルデータが出現するまでは少なくとも、心不全・2型糖尿病患者の選択法考えられる。もちろん、腎機能障害やアルコール問題摂取例・シックデー・脱水・周術・高齢者などに配慮した適正使用が前提だが・・・

糖尿病心不全患者における、メトホルミンと、合併症・死亡率間相関の対照化研究の包括的研究

Comparative Safety and Effectiveness of Metformin in Patients With Diabetes Mellitus and Heart Failure
Systematic Review of Observational Studies Involving 34 000 Patients
Dean T. Eurich, et. al.
Circulation: Heart Failure. 2013; 6: 395-402 Published online before print March 18, 2013, doi: 10.1161/​CIRCHEARTFAILURE.112.000162 
2名のレビューアーが独立に、引用・抽出データ同定、質評価。リスク推定は適切なら抽出化・プール化。包括的安全性測定としては全原因死亡・全原因入院。
9つのコホート研究;ランダム化対照トライアル同定なし。
多く(5/9)研究は2010年出版、研究の質は良好。
メトホルミンは対照と比較し、研究質高い。 
メトホルミンは、対照(SU剤がほとんど)と比べ、死亡率減少と関連:23% vs 37% (プール化補正リスク推定: 0.80; 0.74-0.87:I2 = 15%: p < 0.001) 
左室駆出率減少症例での、メトホルミンではリスク増加認めず (死亡率プール化補正リスク推定値 : 0.91; 0.72–1.14; I2=0%; P=0.34)、 また、心不全なし・CKD患者でも増加認めず  (プール化リスク推定値  0.81; 0.64–1.02; P=0.08) 
メトホルミンは、全原因入院に関し軽度減少と相関 ( プール化補正リスク推定 : 0.93; 0.89–0.98; I2=0%; P=0.01) 
メトホルミンは、乳酸アシドーシス増加と相関せず

メトホルミンみたいな安価な薬剤は、製薬メーカーはまともに新たな治験しないため、不勉強な者には目立たない薬剤であるが、、2型糖尿病治療の根本と言えるNKPDSの存在。
しかし、日本では、かつての乳酸アシドーシス懸念が臨床家の脳内に浸透しているためもあり、なかなか普及しないとみているが、最近は、ちょっと変わったようで、結構、高用量処方も浸透しているようだ。むしろ、糖尿病専門医の方が遅れてるような感じ。

まだエビデンスの乏しいDPP4阻害剤に比べれば、安全性懸念は少ないはずなのだが・・・

N社の降圧剤トライアルで観察されるとおり、新薬では、大学などの指導的役割医師たちに多くの利益提供がなされている。結果、ガイドラインなどもゆがんでいる。各学会に自浄効果など期待できない。メトホルミンの使用頻度極端に少ないことは、ゆがみの顕在化の一つ。

ATS ガイドライン:閉塞型無呼吸・非業務運転の居眠り運転事故リスク

 睡眠時無呼吸症候群は、日本では、SASとされるが、閉塞型無呼吸だけを検討対象に限定することが多く、閉塞型無呼吸(OSA)ということで記載されることが大部分。てんかんと同様、大きな事故があった後のみ、報道され、国民や行政の関心もその時だけ。
("無呼吸 運転 .go.jp"でググれば、国のやる気のなさが自明となる)

ATS(呼吸器学会系)で、この臨床実践ガイドラインが形成されている。日本では、免許・運転可否判断は都道府県毎に方針がなされているようだが、日本睡眠学会会員だけがこの判断決定するように内規規定されている地区がある。矛盾を感じつつ・・・

日本の居眠り運転調査 として、
睡眠時無呼吸症候群における居眠り運転事故調査
国際交通安全学会誌 vol. 35 No. 1 平成22年6月
http://www.iatss.or.jp/common/pdf/publication/iatss-review/35-1-03.pdf
"無呼吸症候群では、居眠り運転事故のオッズ比は2.52、愛知医科大学の調査では、5以上のOSAでは約9名に一人が居眠り運転事故歴、高度眠気16点以上では、事故率22.6%"というもの。寄与要素調査が不十分なためか、事故確率予測因子の解析が今ひとつと感じてた。以下のガイドライン見ても、国際的にも、医師がその後の居眠り運転事故を予測することは困難なようだ。
運転可否判断根拠に関して、さほどクリアカットなものではない

ガイドラインアップデートが掲載されていたので・・・紹介


American Thoracic Society Documents
An Official American Thoracic Society Clinical Practice Guideline: Sleep Apnea, Sleepiness, and Driving Risk in Noncommercial Drivers
A 2012 Update
http://www.thoracic.org/media/press-releases/resources/Strohl.pdf


【背景】眠気は、自動車事故の20%まで 関連し、特に、高速道路では影響が大きい。閉塞型無呼吸(OSA)は、昼間の眠気の原因と成り、居眠り運転リスクを2-3倍にする。
このガイドラインの目的は、1994年ATSのアップデートであり、眠気、睡眠時無呼吸、運転リスクに関する記載目的

【結果】
・ 運転リスク減少のためのOSA確認・CPAP治療を、無治療より、強く推奨し、これは中等度品質エビデンスで確認されている。

・弱い推奨だが、迅速診断評価・治療開始を推奨し、覚醒薬物やCPAPエンピリック治療を運転リスク減少のために使用することには反対する。

・ 同じく弱い推奨で、品質のかなり低いエビデンスしかないが、追加的項目として、ラフに運転リスクを決定すること、眠気の原因をさらに追求すること、過剰眠気のリスク教育、臨床医に法律啓蒙することなども推奨示唆。


【結論】
• 閉塞型無呼吸症候群(OSA) versus 閉塞型無呼吸症候群非該当(non-OSA)では、交通事故の包括的リスク 2-3倍増加するが、個別のリスク推測は不正確な状況。

・高リスクドライバーとは、中等・重度昼間眠気と、以下、不注意事故、あるいは眠気によるニアミス、疲労、不注意状況のあるもの

・交通事故・同等のイベントが無い場合、無呼吸患者に関し、運転許可制限するには十分なエビデンスは存在しない。


・OSA治療で、シミュレーション運転でのパフォーマンス改善し、運転での眠気リスク・眠気による運転事故リスク減少するだろう。


・高リスクドライバーのOSA患者において、患者・家族へのタイムリーな診断評価・治療・教育は、睡眠関連事故の発生頻度減少に寄与する。

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