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2022年4月15日金曜日

ERS臨床実践ガイドライン:急性呼吸不全へのHFNC

 HFNCは、人工呼吸器に匹敵する総流量 60L/min.までの酸素吸気混合ガスを100%加湿化して投与すうし利点として、1)FiO2正確、2)解剖的死腔wash-out、3)上気道抵抗軽減、4)PEEP効果と肺胞リクルートメントの可能性、5)気道粘液線毛クリアランス維持(_https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/26/1/26_21/_pdf) ということだが、FiO2の正確性はどこまで厳格なのかやや疑問。そして、保険診療上ホントに酸素弁済されるのだろうか?かつて病棟があったとき人工呼吸でも一律10L/min.カットされて保険査定団体事務局へ殴り込んで行こうかと思ったことがある(行けばよかった、なぜなら、事務担当も査定担当医師も人工呼吸の酸素ブレンダーの仕組みさえしらなかったとのことを後で聞いた)。

グチグチいっているが、エビデンスに基づきHFNC を従来の酸素療法(COT)、非侵襲的人工呼吸(NIV)との使い分けしたいということになる

高流量鼻カニュラ(HFNC)は、急性呼吸不全(ARF)の早期非侵襲的管理に、従来の酸素療法(COT)や非侵襲的換気(NIV)と並んで用いられる呼吸補助装置である。HFNCの利点は、臨床的(例:患者の快適性および使いやすさ)および生理学的(例:高酸素化、肺胞の動員、加湿および加温、分泌物のクリアランス増加、デッドスペースの減少)であり、肺機能の悪化および気管内挿管を防ぐことができます .しかし、異なるARFシナリオにおいて、最も適切な非侵襲的呼吸補助の形態に関するエビデンスは限られている。HFNCはCOTやNIVと比較すると快適で忍容性が高いが、ARFにおける呼吸筋の負荷を軽減する能力はNIVによるものよりも低いかもしれない。さらに、HFNCとNIVのいずれでも不全の患者において非侵襲的呼吸補助を延長することは、挿管を遅らせ、病院での死亡率を悪化させる可能性があります [2, 5]。リスクと利益は、異なるシナリオ(例えば、低酸素血症および高CO2圧ARF、術後および抜管後ARF、コロナウイルス病2019(COVID-19)肺炎)で異なる場合がある。

欧州呼吸器学会(ERS)は、成人のARFにおけるHFNCについてエビデンスに基づく勧告を行うためにタスクフォースを設立した。

www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。


一般的な急性呼吸不全はHFNC優先というのが基本となった。COPD急性増悪関連・CO2蓄積呼吸不全はNIV優先に考慮。

問題は、呼吸器合併症と抜管困難関連



ERS clinical practice guidelines: high-flow nasal cannula in acute respiratory failure

Simon Oczkowski, et al.

European Respiratory Journal 2022 59: 2101574; 

DOI: 10.1183/13993003.01574-2021

https://erj.ersjournals.com/content/59/4/2101574


【背景】

 高流量鼻カニュラ(HFNC)は、急性期における非侵襲的な呼吸補助法として頻繁に用いられるようになったが、その使用を支持するエビデンスはごく最近出てきたものである。本ガイドラインは、急性呼吸不全(ARF)の成人患者において、他の非侵襲的な呼吸補助と並行してHFNCを使用するためのエビデンスに基づく推奨事項を提供するものである。

【材料と方法】

 欧州呼吸器学会タスクフォースパネルには、呼吸器学と集中治療医学の専門臨床医と方法論者が参加した。タスクフォースはGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)法を用いてエビデンスをまとめ、急性期の成人ARFの管理において従来の酸素療法(COT)および非侵襲的人工呼吸(NIV)と並んでHFNCを用いるための臨床勧告を策定した。

【結果】

 タスクフォースは8つの条件付勧告を作成し、 

1)低酸素血症ARFではCOTよりHFNCを 

2)低酸素血症ARFではNIVよりHFNCを 

3)NIVを中断している間はCOTよりHFNCを 

4)肺合併症リスクの低い術後患者ではHFNCかCOTを使用すべきと示唆した。 

5) 肺合併症のリスクが高い術後患者にはHFNCかNIVのどちらかを行う 

6) 抜管失敗のリスクが低い非手術患者にはCOTよりHFNCを行う 

7) 抜管失敗のリスクが高い患者には、NIVに相対・絶対禁忌がなければHFNCよりNIVを行う 

8) COPDと高炭酸ガス血症性ARF患者ではHFNC使用前にNIVを試行してみる。

【結論】

 HFNCは、成人のARFにおいて価値ある介入である。これらの条件付きの推奨は、臨床医がさまざまな急性期環境において患者に提供する最も適切な非侵襲的呼吸補助の形態を選択するのに役立つ。


2019年8月31日土曜日

急性呼吸不全:超音波は聴診器の代わりになるか?

急性呼吸不全:超音波は聴診器の代わりになるか?



Should point-of-care ultrasonography replace stethoscopes in acute respiratory failure?
BMJ 2019; 366 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.l5225 (Published 30 August 2019)

 肯定的意見:現時点の道具は、聴診器とレントゲン撮影だが、診断的正確性の限界はあるものの代替手段はなく、伝統的とも言える従来の医療業的観点から放棄困難となっている。市中肺炎を例にしてみても、聴診も胸部レントゲンも感度・特異性も劣る。聴診上のCrackleは感度 19-67%、特異度 36-96%、陽性尤度 2.3、陰性尤度 0.8で rule in/rule out使用は限定的。観察者間一致率も 72%でκ値 0.41。
胸部レントゲンは幾分かはマシで、一致率は 59%、包括的κ値 0.53(中等)
CTと比較したときに胸部レントゲン浸潤存在判断の感度はわずか43.5%
左室機能障害診断や他の急性呼吸不全診断においても従来のこれら技術は診断上poorと言わざる得ない。

一方、急性呼吸不全時の肺超音波はgood evidenceを呈する、ベッドサイドのseminal 2008 single centre studyでは急性呼吸不全重症患者の90.5%の診断上正確性示し、標準化され、再現性もあり、学習しやすく、教育もしやすい。
国際コンセンサスガイドラインでは質の高い入手可能エビデンスが強調され、最近の肺炎でのメタアナリシスでも感度88%、特異度 86%で、陽性尤度 5.37、陰性尤度 0.13でrule in/rule out上の有益。同様データが、気胸、左室機能障害、非心原性肺水腫で存在する。

結論:もはや適切かどうか言及する段階ではない、「常にこの方法を使うべきとき」
エビデンス上はレントゲン・聴診は肺超音波に劣る、これはエビデンスベースで確認されそれが拡大している

With established training pathways like Core Ultrasound in Intensive Care (CUSIC) and Focused Acute Medicine Ultrasound (FAMUS), it should be integrated into the assessment of acute respiratory failure.


否定的意見:

このケアを提供する法的義務と、そのようなケアが保留された場合の医療過失の結果を考えると、診断テストは、ケアの標準として臨床診療に導入する前に主要な要件を満たす必要があります。 急性呼吸不全を診断するためのポイントオブケア超音波検査は、有効性とコストという2つの理由で問題があります。
ベネフィットのある患者アウトカムが示されるべき
診断検査の有効性は診断的正確性を超越している。検査の真の価値は、臨床的思考や管理の変化、最終的には患者のアウトカム改善のための能力にある。特定の条件下で超音波検査が急性呼吸不全の原因を正確に診断することを示してはいるが、管理変更や患者転機改善効果は示されてない。気胸、肺炎、肺水腫に関し正確性90%を超えるとするが、解釈上注意が必要で、高度選択下集団で行われた研究で一般化はされてない。例えば気胸は外傷、重篤患者、気胸リスク患者のみで行われたもので有病率の高い状況での検討。肺塞栓などはCTに落ちる
ガチンコ研究
POC超音波が臨床的思考、臨床管理に影響をあたえるかのデータは乏しい。EDでは診断修正までの時間短縮、病棟では急性呼吸不全の治療変更、集中治療室では集約的心エコー、肺、下肢静脈超音波で全体的診断率を高めるが、これら集中治療研究では複雑な診断、診断の明確性が必要とされる患者を除外した。多くのICUコホートでは急性呼吸不全の主要ドメインであるはずのARDSは存在せず、この病態は肺炎、肺水腫と類似し、超音波検査では判別指数poorである。最重要なバリアは患者のアウトカム改善を示せてないこと。客観的な結果を標準治療プロトコールに使用されるよう、事前指定治療と結びつける検証が必要。



結局は積極的に使う方向で世の中動くんだよなぁ


Smallwood N, Dachsel M, Matsa R, Tabiowo E, Walden A. Focused acute medicine ultrasound (FAMUS)—point-of-care ultrasound for the acute medical unit. Acute Med 2016;15:193-6.28112288


 Diagnostic chest ultrasound for acute respiratory failure. Respir Med 2018;141:26-36. 



2019年6月3日月曜日

高流量式鼻カニュラ下の急性呼吸不全の予後指標 ROX指数

臨床活用としては簡便だし、有用性高いのでは?


An Index Combining Respiratory Rate and Oxygenation to Predict Outcome of Nasal High-Flow Therapy
 Oriol Roca , et al.
AJRCCM Vol. 199, No. 11 | Jun 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201803-0589OC       PubMed: 30576221
Received: March 29, 2018 Accepted: December 20, 2018

意義:急性低酸素呼吸不全への高流量式鼻カニュラ high-flow nasal cannula (HFNC) 中の重大な懸念は挿管の遅れを生じさせないこと

目的:指標の診断正確性評価: 用語 ROXで、パルスオキシメータによる酸素飽和度/FiO2の呼吸回数で割った比率)でHFNCアウトカム(挿管必要性の有無)を検証

方法:2年の多施設前ムコ観察コホート研究、HFNC肺炎患者を含めた検討
HFNC失敗・成功予測するROX指数のCox比例ハザードモデリングを通した同定

測定・主要結果:validation cohortに関してHFNC191名、そのうち挿管必要 68名(35.6%)
時間経過後とROX指数予測正確性増加 (area under the receiver operating characteristic curve: 2 h, 0.679; 6 h, 0.703; 12 h, 0.759)

HFNC開始後 2時間測定、6時間測定、12時間測定で、ROX値 4.88以上なら挿管リスク減少と一致して関連 (ハザード比, 0.434; 95% 信頼区間 0.264–0.715; P = 0.001  0.304; 95%  信頼区間 , 0.182–0.509; P < 0.00  0.291; 95%  信頼区間 , 0.161–0.524; P < 0.001)

HFNC開始 2時間後 2.88未満、、6時間後3.47未満、12時間後 3.85未満ならHFNC失敗の予測要素となる

12時間においては、治療失敗では、ROX指数の増加乏しい



指数要素間において、パルスオキシメータ値/FiO2による酸素飽和度は呼吸回数より比重が大きい

結論:急性呼吸不全ありの肺炎HFNC治療患者では挿管リスクの高低判別にROX指数が使える
Clinical trial registered with www.clinicaltrials.gov (NCT 02845128).

2019年3月22日金曜日

高流量鼻カニュラ酸素療法:挿管回避ベネフィット有り

高流量鼻カニュラ酸素療法:HFNC
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/003060771j.pdf



High flow nasal cannula compared with conventional oxygen therapy for acute hypoxemic respiratory failure: a systematic review and meta-analysis
B. Rochwerg , et al.
Intensive Care Medicine pp 1–10
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00134-019-05590-5

【背景】急性低酸素血症呼吸不全(患者のhigh flow nasal cannula (HFNC)安全性・有効性要約システミック・レビュー&メタアナリシス


【方法】MEDLINE, EMBASE,  Web of Science包括検索、通常ケア比較HFNCのRCT同定。データプール化、二分割アウトカムの相対リスク及び連続数アウトカムにおいては平均差、標準平均差を用いて要約的推定影響を95%信頼区間を用い報告。バイアスリスク評価はCochrane toolを用い、GRADE methodでpooled effect 推定値を明確化する

【結果】9 RCT (n=2093名の患者)
HFNC治療患者と通常酸素療法比較で死亡率差認めず (相対リスク [RR] 0.94, 95% 信頼区間 [CI] 0.67–1.31, moderate certainty)

対照群でのHFNCとの交叉比較にて、挿管必要リスク減少  (RR 0.85, 95% CI 0.74–0.99) 、酸素療法escalation ((対照群ではHFNCとの交差、またはいずれかの群で非侵襲的換気または侵襲的機械的換気の開始として定義)リスク減少し、HFNC-治療患者の方が優良  (RR 0.71, 95% CI 0.51–0.98)
ただし、両アウトカムとも不正確性・バイアスのリスク関連問題のため正確性は低い
HFNCはICU滞在期間への影響認めず  (平均差[MD] 1.38 days more, 95% CI -0.90 日〜 +3.66 日, low certainty)、入院期間への影響認めず (MD -0.85 日, 95% CI -2.07日 〜+ 0.37日 , moderate certainty)、患者報告快適さへの影響認めず (SMD -0.1295% CI 0.61 〜 +0.37 , very low certainty) 、患者報告呼吸困難への影響認めず (標準化平均差 [SMD] -0.16 , 95% CI 1.10 〜 +1.42 , low certainty).

治療合併症報告は報告によりばらつきあるが、HFNCにおいての有害性報告少ない


【結論】急性低酸素血症(呼吸不全)患者において、HFNCは気管内挿管必要性を減らすが、死亡率へのインパクトなし



2018年11月28日水曜日

免疫不全急性呼吸不全:High-Flow Nasal Oxygen治療の有益性明確にならず

急性呼吸不全患者への経鼻High-Flow Oxygen治療の標準酸素療法比較の有益性は FLORALI Study Group and the REVA Network(N Engl J Med 2015; 372:2185-2196)で明確化


しかし、 免疫不全患者の生存率は改善しているが、主にがん生存率改善、移植の拡大、免疫抑制剤など効果と思われるが、一方、免疫不全患者の急性低酸素血症=急性呼吸不全(AHRF:acute hypoxemic respiratory failure)は以前死亡率が高い。侵襲的人工呼吸(IMV)が予後として鍵を担っている。非侵襲的人工換気(NIV)の生存改善はRCTのエビデンスとしては利益性は早期の単施設研究以外報告されていない。
High-flow nasal oxygen therapyは径鼻的加温・加湿酸素投与だが、ベネフィットに関しては標準療法付加価値があるかは議論のあるところ。AHRFの無人工呼吸期間増加し、90日死亡率改善報告あるものの、免疫不全患者では確認されていない。

HIGH multicenter RCT にて、AHRF状態の重度免疫不全患者において標準的酸素療法と比較してhigh-flow oxygen therapyの28日死亡率改善仮説検証


Effect of High-Flow Nasal Oxygen vs Standard Oxygen on 28-Day Mortality in Immunocompromised Patients With Acute Respiratory Failure
The HIGH Randomized Clinical Trial
Elie Azoulay, et al.
JAMA. 2018;320(20):2099-2107. doi:10.1001/jama.2018.14282


介入:1:1ランダム化  continuous high-flow oxygen therapy (n = 388) or  standard oxygen therapy (n = 388)

主要アウトカムと測定項目
プライマリアウトカム:28日死亡率
セカンダリアウトカム:28日めの挿管・人工換気、挿管後3日目のPaO2:FiO2、呼吸回数、ICU・入院期間、ICU獲得感染、患者comfort、呼吸困難






778名ランダム化患者(年齢中央値, 64 [IQR, 54-71] 歳; 女性 259 [33.3%] )の内、776(99.7%)トライアル完遂
ランダム化時、呼吸回収中央値介入群と対照群:呼吸回数  33/min (IQR, 28-39) vs 32 (IQR, 27-38) 、 Pao2:Fio2 136 (IQR, 96-187) vs 128 (IQR, 92-164)
SOFAスコア中央値 両群 6(IQR, 4-8)

day 28の死亡率は群間差無し  (35.6% vs 36.1%; 差, −0.5% [95% CI, −7.3% to +6.3%]; ハザード比, 0.98 [95% CI, 0.77 to 1.24]; P = .94)

挿管率群間差無し (38.7% vs 43.8%; 差, −5.1% [95% CI, −12.3% to +2.0%]).

対照群に比較して、high-flow oxygen therapyランダム割り付け群は、PaO2:FiO2高値  (150 vs 119; 差 19.5 [95% CI, 4.4 to 34.6]) 、6時間後呼吸回数少ない  (25/min vs 26/min; 差, −1.8/min [95% CI, −3.2 to −0.2]).

ICU滞在期間、ICU獲得感染、入院期間、患者comfort、呼吸困難スコアに有意差なし  (8 vs 6 days; , 0.6 [95% CI, −1.0 to +2.2] 10.0% vs 10.6%; −0.6% [95% CI, −4.6 to +4.1], 24 vs 27 days; −2 days [95% CI, −7.3 to +3.3]),



重症免疫不全急性呼吸不全状態では、high flow oxygen theapyは標準酸素療法にくらべday 28死亡率改善せず



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