2016年7月20日水曜日

2型糖尿病:血糖降下薬剤クラス比較 メトホルミンが第1選択である妥当性確認


成人2型糖尿病において、現在使用可能な9種類の血糖降下薬剤を単独あるいはその組み合わせで心血管疾患・全原因死亡率リスクを検討したところその差を認めなかった
メトホルミンは薬剤クラス毎のHbA1cレベルにおいてひけをとらず、同等もしくは低下有意であった。
あらゆる薬剤がメトホルミン追加時にその有効性を増す。
これら知見から、ADA推奨のメトホルミン単独使用を初期治療として推奨し、その上で患者特異的に追加薬剤を選択することは妥当と考えられた



Comparison of Clinical Outcomes and Adverse Events Associated With Glucose-Lowering Drugs in Patients With Type 2 Diabetes
A Meta-analysis
Suetonia C.
Palmer, et. al.
JAMA. 2016;316(3):313-324. doi:10.1001/jama.2016.9400.
https://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2533506
301の臨床トライアル(1,417,367患者・月);単剤投与 177トライアル(56,598名);メトホルミンに追加薬剤(dual therapy)109トライアル(53,030名);メトホルミン+SU剤への追加 29トライアル(10,598名)

心血管および全死亡率に関して、monotherapyとして、dual therapyとして、triple therapyとしてのdrug class間の有意差認めず
メトホルミンに比べ、SU剤 (standardized mean difference [SMD], 0.18 [95% CI, 0.01 to 0.34])、チアゾリジン系(SMD, 0.16 [95% CI, 0.00 to 0.31])、DPP-4阻害 (SMD, 0.33 [95% CI, 0.13 to 0.52])、α-glucosidase inhibitor (SMD, 0.35 [95% CI, 0.12 to 0.58]) monotherapyはHbA1cより高値
SU剤  (odds ratio [OR], 3.13 [95% CI, 2.39 to 4.12]; risk difference [RD], 10% [95% CI, 7% to 13%]) と basal insulin (OR, 17.9 [95% CI, 1.97 to 162]; RD, 10% [95% CI, 0.08% to 20%]) は低血糖オッズ比大きく増加 
メトホルミン追加時、薬剤はHbA1c値同様の時、SGLT-2阻害剤は低血糖オッズ比最小  (OR, 0.12 [95% CI, 0.08 to 0.18]; RD, −22% [−27% to −18%]) 
メトホルミンやSU剤追加時においては、GLP-1受容体アゴニストは、低血糖オッズ最小  (OR, 0.60 [95% CI, 0.39 to 0.94]; RD, −10% [95% CI, −18% to −2%])



某国の糖尿病学会はいつまでもメトホルミンを第1選択として認めない。
あの学会は最初のスタンスとは異なり、ことある度、糖質制限を節操もなく推奨し始めてきている。反省という言葉をしらないのは、この国の官僚や政治家と共通したなにかがあるのだろう・・・

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