2012年5月22日火曜日

POCO:シグモイドスコピー利用検診のがん発生率、死亡率

前立腺癌、肺癌、大腸癌、卵巣癌スクリーニング試験、すなわちPLCO試験のうち、 シグモイドスコピーを利用した検診

対照としての“通常ケア”は、医師の通常治療であり、この群でも約50%が何らかの検診を受けている。
故に、無検診群というわけではなく、さらに、この差が開くことを意味する・・・と筆者ら。
 
コロノスコピーは大腸全体をカバーし、医師には好まれるが、麻酔や緩下剤処置を必要であり、コストも高くなる。$150-300 vs $1,000-2,000となる。



Colorectal-Cancer Incidence and Mortality with Screening Flexible Sigmoidoscopy
Robert E. Schoen, et. al.
the PLCO Project Team
NEJM May 21, 2012 (10.1056/NEJMoa1114635)

1993-2001年、154900名の男女(55-74歳)
3-5年のシグモイドスコピー繰り返し vs 通常ケア


77445登録者をランダムにスクリーニング(介入群)割り付けたうち、83.5$がベースラインでフレキシブル・シグモイドスコピー、54.0%が3-5年毎検診

11.9年フォローアップ中央値の後、結腸直腸癌頻度は、
介入群(1012例) 1万人年対 11.9
通常ケア群(1287)1万人年対 15.2
21%リスク減少(相対リスク、0.79;95%信頼区間[CI], 0.72-0.85; p<0.001)

遠位側がんの頻度で特に有意で、介入群 479 vs 通常ケア群 669;相対リスク 0.71;95%CI、0.64-0.80;P<0.001
近位側がんでは、512例 vs 595例;相対リスク 0.86;95%CI 0.76-0.97;P=0.01
直腸結腸がん死亡率は、1万人年あたりの介入群(252死亡)で 2.9、 通常ケア群で3.9(341死亡)、26%減少(相対リスク 0.74;95%CI 0.63-0.87;P<0.001)

遠位側大腸がん死亡率は50%減少(介入群 87死亡 vs 通常ケア群 175死亡;相対リスク、0.38-0.64; P<0.001);近位側大腸がん死亡率は影響を受けない(143 , 147 ;相対リスク, 0.97; 95% CI, 0.77 - 1.22; P=0.81)

STEMI症例でのカテーテルラボ立ち上げの空振り ・・・ 1/3

カテーテル・ラボを迅速にactivationすることがSTEMIのアウトカム改善に寄与するが、数多くの偽陽性的activationをもたらすこととなる。

カテーテルラボ立ち上げの空振り(false-positive activation)は定義として、“ any patient taken to the catheterization laboratory who lacked a thrombotic total or subtotal coronary artery occlusion and had Thrombosis in Myocardial Infarction (TIMI) grade III flow in all vessels”、具体的には、偽陽性STEMI activationとして、“血管造影上責任病変認めない、もしくは、臨床的、心電図、バイオマーカーデータ評価による病変を認めないもの”


STEMIを考えPCIをお粉あれた患者の解析

ONLINE FIRST
Prevalence and Factors Associated With False-Positive ST-Segment Elevation Myocardial Infarction Diagnoses at Primary Percutaneous Coronary Intervention–Capable CentersA Report From the Activate-SF Registry
James M. McCabe, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-8.


411STEMI activationのうち、146(36%)が偽陽性activation

構造的な心疾患・心不全が偽陽性activationのもっとも多い診断

心電図上の左室肥大(補正オッズ比[AOR, 1.93; 95%CI-3.59; P=0.04)、不法薬物使用既往(AR 2.67; 95%CI, 1.13-6.26;p=.02)は独立して、STEMI activationの偽陽性オッズ増加と関連。
BMI増加は偽陽性activation現症と関連(AOR, 0.91; 95% CI, 0.86-0.97; P = .004)し、狭心症症状も同様(AOR, 0.28; 95% CI, 0.14-0.57; P < .001)。

U.S. Preventive Services Task Force:前立腺がんPSA検診推奨せず


U.S. Preventive Services Task Forceの前立腺癌検診推奨ステートメント


Screening for Prostate Cancer: U.S. Preventive Services Task Force Recommendation Statement
Virginia A. Moyer, MD, MPH, on behalf of the U.S. Preventive Services Task Force
http://www.annals.org/content/early/2012/05/21/0003-4819-157-2-201207170-00459.full

結論は USPSTFは、前立腺癌のためのPSAベースの検診を推奨しない(grade D recommendation).



上記、推奨ステートメント発表に際し、U.S. Preventive Services Task Forceの医療専門委員トップが、前立腺癌検診のためのPSAルーチン検査行うべきではないと述べている。

情報ソース: U.S. panel recommends against PSA tests for screening prostate cancer in men of all ages May 21, 2012

http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-57438590-10391704/u.s-panel-recommends-against-psa-tests-for-screening-prostate-cancer-in-men-of-all-ages/?tag=contentMain;contentBody


さて、今回も、PSA検診続行の愚挙を重ねるのか? ・・・ 日本

PSA検診に関して「厚生省・研究班(前立腺がん検診ガイドライン)」と「日本泌尿器科学会」の対立の歴史がある。日本泌尿器科学会は、USPSTF推奨論拠を崩すだけの独自エビデンスをもってるとはとうてい思えない。これでも、無視をつづけるなら、たんなる業界エゴと批判を受けるだろう。



参考:科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
PSA検査:推奨グレードI

    前立腺特異抗原(PSA)検査は、前立腺がんの早期診断をする上で有用な検査です。しかし、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が現状では不十分であるため、現在のところ対策型検診として実施することは勧められません。
    任意型検診として実施する場合には、死亡率減少効果が未だ確定していないこと、利益の可能性と、過剰診断を含む不利益について適切に説明する必要があります。適切な説明に基づく受診については個人の判断に委ねます。
    今後引き続き、死亡率減少効果に関する評価研究が必要である。特に欧米とは罹患率等が異なるわが国において、前立腺がん死亡をエンドポイントとした質の高い研究(個人の受診歴に基づく、無作為化比較対照試験、大規模コホート研究、症例対照研究など)の実施を勧めます。
http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/zenritsusengan.html


【蛇足】

日本の専門家というのはなんでも“むら社会”を作り、その“むら”を守ろうとして、詭弁やごまかしを繰り返す。 検診分野は比較的医療の世界に比 べ、マスコミから好意的に扱われているためか、ガラパゴス化している日本の検診システムを批判することは少ない。一部週刊誌がときに扱う程度である。
岡田正彦教授(新潟大学)に共感・同意する部分多し :がん検診 2012年2月15日水曜日

間寛平さんが、PSA検診の広告塔となってることに、危機感を感じる。 2011年 01月 04日

アメリカがすべて正しいというわけではないが、少なくとも、日本の検診施策政策上の意思決定は稚拙すぎる。 東大などを頂点とする意見がそのまんま採用され、批判に対しても、かれらが一喝あるいは無視することで無視される。
(e.g. NGSP、JDSに関する混乱 ・・・ 糖尿病学会と行政立案者は同一人物が関与してるのに・・・ 2012年3月23日)

市中肺炎抗生剤投与期間・入院期間3つの重点臨床的パス

市中肺炎抗生剤投与期間・入院期間3つの重点臨床的パス

The 3-steps of the critical pathway
(1) early mobilization of patients :早期離床
早期離床とは、入院当初、床上水平からアップライト位へ20分間少なくとも変化させ入院中日毎運動性を拡大と定義
(2) use of objective criteria for switching to oral antibiotic therapy :抗生剤投与法変更客観的クライテリア
臨床的改善があり、客観的クライテリアに合致(経口摂取維持可能、バイタルサイン(体温 37.8度以下、呼吸数24/分以下、昇圧剤無し収縮期血圧90mmHg以上8時間以上)安定、急性増悪重大合併症(心不全、COPD)and/or septic metaqstasisがないなら、IVから経口抗生剤変更クライテリアとなる。
(3) use of predefined criteria for deciding on hospital discharge :退院決定の事前定義クライテリア
経口抗生剤スウィッチクライテリアに合致、ベースラインメンタル状態、室内空気による適切な酸素化(PaO2 60mmHg、あるいは酸素飽和度90%以上)慢性低酸素状態、慢性酸素治療受けてるモノに対しては、ベースライン値に PaO2あるいはパルスオキシメトリ-測定値が戻ること。


ONLINE FIRST:Effect of a 3-Step Critical Pathway to Reduce Duration of Intravenous Antibiotic Therapy and Length of Stay in Community-Acquired PneumoniaA Randomized Controlled Trial
Jordi Carratalà, et. al.
Arch Intern Med. 2012;():1-7.

入院滞在期間中央値
3ステップ群: 3.9日間 vs 通常ケア群 6日間 (差, −2.1 日間; 95% CI, −2.7 ~ −1.7; P < .001)

静注抗生剤投与期間
3ステップ群 :2.0日間 vs 通常ケア群 4.0日間  (差 −2.0 日間; 95% CI, −2.0 to −1.0; P < .001)

通常ケア群に副作用多し (4.5% vs 15.9% [差, −11.4 パーセント; 95% CI, −17.2 ~ −5.6 パーセント; P < .001])

その後の再入院、症例致死率、患者満足度に有意差認めず


プロカルシトニンガイド抗生剤投与の有効性・安全性


プロカルシトニンガイド治療により、下気道感染患者への有効性を維持しつつ、安全に抗生剤使用を減らすことができる・・・という報告。



Effectiveness and Safety of Procalcitonin-Guided Antibiotic Therapy in Lower Respiratory Tract Infections in “Real Life”: An International, Multicenter Poststudy Survey (ProREAL)
Werner C. Albrich, et.al.
the ProREAL Study Team
Arch Intern Med. 2012;172(9):715-722

14のスイス、フランス、USのセンターの観察サーベイランス研究で、1759名の成人下気道感染(LTRI)、EDあるいは外来患者       対象

メインアウトカムは30日内の抗生剤送気管、PCTアルゴリズムアドヒアランス、退院時副事象的医学的アウトカム

LRTI最終診断 86.4%、市中肺炎(CAP) 53.7%、COPD急性増悪 17.1%、気管支炎 14.4%


研究プロトコールコンプライアンス率68.2%
診断によりばらつきあり、気管支炎 81.0%、COPD 70.1%、CAP 63.7%

コンプライアンス:研究アルゴリズム使用施設 入院 86.1% vs 外来 65.9%
それに対し、未経験施設60.1%

コンプライアンス:スイス 75.8%、 フランス 73.5%、US 33.5%

多因子解析にて、PCTアルゴリズム準拠の場合5.9日間、準拠せず7.4日間

入院時抗生剤中止ガイダンスアルゴリズム準拠、早期中止でも副事象イベント増加と関連せず



COPD・喘息で、肺炎を鑑別する場合CRPが有効で、4.8mg/dL程度を目安に? 2011年 07月 04日

小児感染症の診断/除外検査:CRP,プロカルシトニン、検尿の組み合わせが一番 2011年 06月 10日

プロカルシトニンをガイドにした気道感染治療により抗生剤処方減少に成功 2008年 10月 15日

血中プロカルシトニン/胸水プロカルシトニンによる予後推定のの可能性 2009年 03月 27日

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note