2015年6月4日木曜日

COPD入院患者:経口栄養補助食品にて入院日数減少、入院コスト減少、再入院確率減少

 oral nutritional supplementation (ONS)


Loch H. et al. Introductory to the ESPEN Guidelines on Enteral Nutrition: Terminology, Definitions and General Topics.  Clin Nutr 2006; 25:180–186.
Oral nutritional supplements (ONS) Supplementary oral intake of dietary food for special medical purposes in addition to the normal food. ONS are usually liquid but they are also available in other forms like powder, dessert-style or bars. Synonyms used in literature: sip feeds. 
http://espen.info/documents/engeneral.pdf

・・・というのが、経口補助食としてのONSの定義


Effect of Hospital Use of Oral Nutritional Supplementation on Length of Stay, Hospital Cost, and 30-Day Readmissions Among Medicare Patients With COPD
Julia Thornton Snider,et. al.
Chest. 2015;147(6):1477-1484. 


COPD診断された65歳以上で、ONSを提供された入院とPropensity-Scoreマッチさせ検討
ONS入院 1万322と、非ONS入院 36万8097、1対1対応作成

非補正比較では、ONS使用は、入院滞在期間延長  (8.7 days vs 6.9 days, P <0.0001)し、入院コスト増加させ ($14,223 vs $9,340, P <0.0001)るが、再入院率を減少させる (24.8% vs 26.6%, P =0.0116)

しかし、インスツルメント(操作) 変数解析では、ONS使用にて入院滞在期間1.9日間(8.8日間→6.9日間、21.5%)減少 (P <0.01);。入院コスト $1570($12,523→$10,953、12.5%)減少 (P <0.01)。30日内再入院確率13.1%減少 (0.34 → 0.29) (P <0.01)


インスツルメント変数解析では、傾向スコア解析で調整できない未測定交絡要素調整可能という利点があるそうで・・・





結局は、前向き検討が必要と思うけど・・・

肥満喘息成人:減量で気道過敏性、喘息重症度、喘息コントロール、肺機能、QOL改善と良いことだらけ・・・

平均BMI 45.7 という日本人では信じられない肥満なので、そのまんま、日本で適応して良いものか・・・




Effects of Weight Loss on Airway Responsiveness in Obese Adults With Asthma: Does Weight Loss Lead to Reversibility of Asthma?
Smita Pakhale , et. al.
Chest. 2015;147(6):1582-1590. doi:10.1378/chest.14-3105


背景:  肥満と喘息に関して共に疫学上増加が見られ重大な公衆衛生関心事である。喘息・肥満関連性は広く研究はされているが、減量の喘息重症度への影響は気道過敏性測定という面では関心が向けられていない。この研究目的は減量にて喘息を有する肥満成人の喘息重症度を軽減するかの検討

方法:  前向き、対照化、平行群研究で、喘息22名の肥満登録者(18歳〜75歳、BMI 32.5以上、AHR:FEV120%低下メサコリン濃度(PC)20<16mg br="">16名の登録被験者を3ヶ月生活行動減量プログラム継続し、対照を6名とした。
プライマリアウトカムは3ヶ月間のAHRの変化。肺機能、喘息コントロール、QOLをセカンダリアウトカムとする。


結果:  研究登録時、被験年齢平均±SDは 44±9歳、 女性 95%、平均BMI 45.7±9.2
3ヶ月後、平均減量体重 減量介入群 16.5±9.9kg、対照群は0.6kg±2.6kg
有意なPC20の改善 (P=0.009)、 FEV1 (P=0.009)、 FVC (P=0.010)、喘息コントロール (P < 0.001)、喘息QOL (P=0.03)
しかし、対照群では変化無し

身体活動性は介入群で有意に増加するも対照群で増加せず


結論:  肥満・喘息患者での減量は喘息重症度、AHR、喘息コントロール、肺機能、QOLを改善する。これらの知見は、住民での健康的肥満対策を行うことの重要性を示唆する。


今日入手した、喘息予防・管理ガイドライン2015には
体重コントロールで喘息症状や肺機能を改善することができる(エビデンスB)。肥満による上記気道閉塞や夜間の睡眠時無呼吸を喘息と見誤らないことも重要である(エビデンスC)
とあるが、引用文献は全て日本外!故に、日本人に於けるエビデンスは成書で確認できず

仮説:2型糖尿病病因に黄色ブドウ球菌が関与する ・・・ 今はやりのミクロビオームのお話

2型糖尿病においては、体重増加と肥満がその発症に関わり、黄色ブドウ球菌コロナイゼーション・一過性感染のリスクが高まる。黄色ブドウ球菌のSuperantigenは病原性と関連し、TSST-1が耐糖能異常をもたらす

筆者等は、 S. aureus SAg toxic shock syndrome toxin-1 (TSST-1)が、単独もしくはエンドトキシンと組み合わせで、ヒト脂肪細胞内に炎症惹起サイトカインIL-6、IL-8の産生促進効果を示した。


ヒトのミクロビオーム変化の健康への影響が話題だが、黄色ブドウ球菌コロナイゼーション増加や一過性感染というミクロビオームが、TSST-1を開始炎症惹起、Lipolysis、インスリン抵抗性を脂肪細胞で示し、耐糖能異常に関与する









炎症が2型糖尿病に重要な役割を果たし、肝内・骨格筋・脂肪組織内のインスリン抵抗性を誘導。SAgsが2型糖尿病発症を血中エンドトキシンと併せて、あるいは単独で関与するか検討。


モデル




Chronic Superantigen Exposure Induces Systemic Inflammation, Elevated Bloodstream Endotoxin, and Abnormal Glucose Tolerance in Rabbits: Possible Role in Diabetes
Bao G. Vu, et. al.
mBio vol. 6 no. 2 e02554-14




Chronic exposure to TSST-1 induces impaired glucose metabolism. (A) Blood glucose levels in two groups of rabbits (5/group) over time, as assayed weekly. Statistically significant differences were determined by two-way analysis of variance (ANOVA). (B) Relative pancreatic insulin transcript levels in the same two groups of animals, analyzed immediately after the glucose challenge test at the end of the 6-week experiment. Statistically significant differences were determined by Student’s t test. Error bars show standard deviations.





乳がん検診IARCワーキンググループ:50歳から69歳へ3年毎マンモグラフィー推奨

かつてTBS及びその関連メディアが30歳代女性にもマンモグラフィーを勧めていた愚・・・自社映画の売り込みのためという性根の腐りきった経営メディア・・・こいつらが正義面して偏った情報を垂れ流し
http://www.tbs.co.jp/pink-ribbon/torikumi/pdf/20100609.pdf


以下のワーキンググループ意見を見て、それを思い出した

そもそもに、日本人の根本的間違い概念・・・「検診=全て善」が官民に存在する。
これによって血税ばらまかれ、特定業者およびその出資者がの儲けとなり、かくれた有害性暴露される検診被験者たち。



WHO主導、16ヶ国、29の独立した専門家で40の研究の結論
50-69歳女性に対し、3年毎の検診を推奨するというNHS助言を支持する内容



Breast-Cancer Screening — Viewpoint of the IARC Working Group
Béatrice Lauby-Secretan, et. al.
for the International Agency for Research on Cancer Handbook Working Group
N. Engl. J. Med. June 3, 2015DOI: 10.1056/NEJMsr1504363


マンモグラフィーの部分を一部抽出

  • 50から69歳女性の乳がん死亡率減少 Sufficient
  • 70から74歳女性の乳がん死亡率減少 Sufficient
  • 40から44歳女性の乳がん死亡率減少 Limited
  • 45から49歳女性の乳がん死亡率減少 Limited
  • 女性が検診しなかった場合は発見されることがなく、生じることのない有害性を生じない乳がんを発見(過剰診断) Sufficient
  • ベネフィットがマンモグラフィーによる放射線がん死亡リスクを上回ることを広げた場合の50から74歳女性の乳がん死亡率減少 Sufficient
  • 結果が偽陽性である場合の短期的心理学的後遺症 Sufficient
  • 組織化されたマンモグラフィー検診プログラム募集参加した50から69歳女性ではネットのベネフィットあるか? Sufficient
  • 乳がん高頻度国での50-69歳の女性ではコスト・ベネフィットあるか? Sufficient
  • 低・中所得国でコスト・ベネフィット有るか? Limited

VADT: 2型糖尿病積極目標群 10年ほどの観察期間で重大心血管イベント減少・・・但し死亡率減少効果認めず

2型糖尿病において積極的目標の治療でなかなか心血管イベント改善効果認めないのは周知、糖尿病→心血管疾患進展までのタイムラグがあり、10年以上のある程度長い観察期間ならその効果がはっきりするのでは無いかという議論がある。

高齢2型糖尿病患者においても積極的目標コントロールは安全であると筆者等
しかしながら、究極の目標である死亡率の減少を手に入れることはできなかった。
積極的目標コントロールで得荒れたベネフィットの心血管疾患イベント17%減少効果は、過剰攻撃的治療とその境界との間に最適化が必要。体重増加をもたらさず、低血糖を引き起こさずという最適な状況のコントロールが必要で、ACCORDの最近の分析でも同様に非致死性イベントの減少効果が示された。しかしながら、オリジナルではそれは死亡率増加でオフセットされたという有名な結果。




1791名の退役軍人、フォローアップ中央値5.6年間のVeterans Affairs Diabetes Trialの報告は、血糖降下強化療法と標準療法とに重大心血管イベント率に差を認めないというものであった

ベースラインのHbA1c 9.5%
標準目標群:HbA1c 7.0〜7.9%
積極目標群:HbA1c 6.0%未満

10年フォローアップでは?

Follow-up of Glycemic Control and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes
Rodney A. Hayward,  et. al. ; for the VADT Investigators
N Engl J Med 2015; 372:2197-2206June 4, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1414266


フォローアップ中央値9.8年間で、積極目標コントロールではプライマリアウトカムリスクは対標準治療群より低い  (重大心血管イベントハザード比, 0.83; 95% 信頼区間 [CI], 0.70 to 0.99; P=0.04)、絶対的減少率 1千人年あたり8.6のリスク減少、 心血管死亡率では差を認めない:ハザード比 0.88; 95%CI, 0.64 to 1.20; p = 0.42)

総死亡率減少は明確でない  (強化療法ハザード比 , 1.05; 95% CI, 0.89 to 1.25; P=0.54; フォローアップ中央値 11.8 年間)


高齢者に対しても、HbA1c 6%未満という乱暴にも見える目標治療でも、10年以上のスパンとなると死亡率を増加させず重大心血管イベントを増加させるどころか減少させたということが意義深いのかもしれない。

ACCORD研究では比較的短期観察期間で死亡率増加を示したため、積極目標治療の短期的死亡率増加蓋然性は否定できないはず・・・




急性冠症候群:ゼチーアの上乗せ効果あるといえど・・・

エゼチミブ(ゼチーア)は真の臨床的ベネフィット証明できず、その存在意義に疑念さえ私は持っているが、スタチンへの上乗せ効果というややハードルの高いベネフィット示されたのなら、その意義再考してもよいのかもしれない。


プライマリエンドポイント(心血管死亡、非致死性MI、再入院必要不安定狭心症、血管再建、非致死性卒中) 
7年目のプライマリエンドポイントKaplan-Meierイベント率で シンバスタチン+エゼチミブ 32.7% vs シンバスタチン単独 34.7% 
絶対的リスク差 2.0パーセントポイント:ハザード比 0.936、95%信頼区間 0.89〜0.99 p=0.016

確かに、統計学的有意差はあるが、 ゼチーア 薬価1錠199.9円で7年間継続コストは・・・乱暴に換算すれば1人あたり51万円、2.0%の効果をえるため52554万円程度の薬剤コストが下支えすることになる。ただ、累積イベントじゃないのでこの推計はかなり乱暴・・・そのため、入院観察を除外などよりハードなアウトカムに限定し、累積イベントとコスト効果再検討して欲しいものだ・・・

Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes
Christopher P. Cannon,  et. al. . for the IMPROVE-IT Investigators
N. Engl. J. Med. June 3, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1410489





Ezetimibe or Statin? The Impact of IMPROVE-IT
Final results are published; should they alter practice?
http://www.medpagetoday.com/Cardiology/Atherosclerosis/51979

以下の疑念について

  • Should this trial be enough to change the American Heart Association/American College of Cardiology guidelines back to using a treatment target?
  • If so, should the former 70 mg/dL target become a 50 to 55 mg/dL target as achieved in the IMPROVE-IT intervention group?

議論が展開されている

noteへ実験的移行

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