2013年10月12日土曜日

循環血液量減少性ショック:死亡率に関して、コロイド優越 (vs クリスタロイド)

コロイド・クリスタロイド論争マニアがいるんじゃないかと思うくらい長く続く論争

論文ねつ造騒動まで
Boldtスキャンダル:コロイド・”コロイド v クリスタロイド論争2011年 03月 05日
重度敗血症で、コロイド(HES含有)で90日間死亡率増加・腎置換療法必要性増加という報告
コロイド・クリスタル論争:重度敗血症 HES製剤はリンゲルに比べ死亡・腎置換療法リスク増加 2012/06/28


一方、体液喪失性ショック症例検討の、以下の論文では、コロイドの方が90日間死亡率は低く、腎置換療法・人工呼吸無し生存期間に関しても有意性を認めるようだが、解釈上注意が必要という結論。

Effects of Fluid Resuscitation With Colloids vs Crystalloids on Mortality in Critically Ill Patients Presenting With Hypovolemic Shock
The CRISTAL Randomized Tria
JAMA. Published online October 09, 2013. doi:10.1001/jama.2013.280502

コロイド:gelatins, dextrans, hydroxyethyl starches, or 4% or 20% of albumin
クリスタロイド:  isotonic or hypertonic saline or Ringer lactate solution

多施設ランダム化臨床トライアル:症例は敗血症、外傷、hypovolemic shock(外傷無し、敗血症無し)
プライマリアウトカムは28日以内死亡
セカンダリは90日死亡率、腎臓置換治療・人工呼吸・昇圧剤治療無しの生存

28日内死亡、コロイド 359 ( 25.4 % ) vs クリスタロイド 390 ( 27.0 % )
relative risk [RR], 0.96 [95% CI, 0.88 to 1.04]; P = .26)


90日内死亡、 コロイド 434  ( 30.7) vs クリスタロイド 493 ( 32.2% )
  (RR, 0.92 [95% CI, 0.86 to 0.99]; P = .03)

 <img src="http://jama.jamanetwork.com/data/journals/jama/0/m_joi130081f2.png">

腎置換療法 コロイド 156 ( 11.0 %) vs クリスタロイド (181 (12.5%)
(RR, 0.93 [95% CI, 0.83 to 1.03]; P = .19)


7日間までは、コロイド群の方が人工呼吸無し生存期間長い (平均 : 2.1 vs 1.8 日間, ; 差平均, 0.30 [95% CI, 0.09 to 0.48] 日間; P = .01)、28日間までの検討でも同様 (平均: 14.6 vs 13.5 日間; 差平均, 1.10 [95% CI, 0.14 to 2.06] 日間; P = .01)

7日間までは昇圧剤無し生存期間差あり  (平均: 5.0 vs 4.7 days; 差平均, 0.30 [95% CI, −0.03 to 0.50] 日間; P = .04) 、28日間までも同様 (平均: 16.2 vs 15.2 日; 差平均, 1.04 [95% CI, −0.04 to 2.10] 日間; P = .03)

<hr>基礎病態に対する、テーラーメイド化された輸液管理法が検討されるべきなのだろうか・・・



【国民栄養調査】NHANES調査の実態は過小申告に基づくもの、特に肥満者の自己申告は信用できない ・・・ こんなものを健康施策の根拠としてはならない

NHANES I(1971-1974)と、NHANES 2009-2010を比較して、生理学的な信頼できるエネルギー摂取比率と自己報告エネルギー摂取と、推定基礎代謝比を評価したところ、自己報告過小評価の実態が申告であることが分かった。

これの基づき様々な健康施策などなされている現状、調査対象者たちの実態と異なる報告により誤った解釈や施策誘導がなされている可能性がある。


"Validity of U.S. nutritional surveillance: National Health and Nutrition Examination survey caloric energy intake data, 1971–2010"
Archer E, et al
PLoS One 2013; DOI: 10.1371/journal.pone.0076632.

自己記憶に基づく報告、reported energy intake (rEI) 、すなわち、報告されたエネルギー摂取量(日本向けにはカロリー摂取量となるだろうか)と、推定基礎代謝率(BMR)値の比率、すなわち、rEI/BMRは男女それぞれ 1.31 (95% CI: 1.30 - 1.32 )、1.19 ( 1.18 - 1.20)
男女記憶に基づく不一致率は1日あたり−281、−365 kcal( 95% CI: - 299 〜 - 265、  -378 〜 - 351)
上記ごとく、カロリー摂取過少申告明らか
もっとも大きい不一致率は、肥満者(BMI 30以上)のそれで、 男女 それぞれ、 - 716 、 −855 kcal/日 
 米国男女(20−74歳) rEI/BMR > 1.35 というインチキ報告と推定される比率


39年間に及ぶNHANESの歴史において、reported energy intake (rEI) は、回答率女性67.3%、男性 58.7%で、生理学的に考慮すれば、信用できないデータである。測定法改善されたNHAES II以降、過少申告は軽度減少し、rEI人為的増加はあるが、その後の調査の信頼性改善は微々たるもの。 

上記結果以外に、調査法の限界もあり、米国栄養調査に関するこういう手法では、カロリー摂取に関する住民傾向推能力や経験的サポートによる食に関する健康問題公衆衛生施策作成に関して極めて限界がある。


日本のはもっとあやしぃ

【国民健康・栄養調査】
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/gaiyo/k-eisei.html

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