2019年2月28日木曜日

マスト細胞:肺線維症の進展に関与

IPF経過中好酸球増加

Mechanical stress-induced mast cell degranulation activates TGF-β1 signalling pathway in pulmonary fibrosis
Shimbori C, et al. Thorax 2019;0:1–11.
doi:10.1136/thoraxjnl-2018-211516



実験的あるいはヒト肺線維症の線維性細胞外マトリックス(fibrotic ECM)のマスト細胞への影響検討

IPF肺において、マスト細胞数増加し重症度(FVC減少)と関連
血中tryptase値はIPFで増加し、FVCと逆相関

TGF-β1有機性肺線維症モデルで、chymase-陽性、tryptase陽性マスト細胞の線維肺への集積観られた
肺組織を脱細胞化し、骨髄・腹膜由来マスト細胞をreseedすると正常ECMに比べTGF-β1多く遊離
(活性化TGF-β1:骨髄由来マスト細胞(BMMC)-DL vs BMMC-TGF-β1 p=0.0005、
腹膜マスト細胞(PMC)-DL vs PMC-TGF-β1 p=0.0003、
総TGF-β1:BMMC-DL vs BMMC-TGF-β1 p=0.001)

肺の器械的進展は、マスト細胞脱顆粒を生じる;マスト細胞stabiliserは脱顆粒抑制(ヒスタミン :対照 vs doxantrazole p=0.004、β-hexosaminidase: 対照 vs doxantrazole 差平均=1.007, 95% CI 0.27000 to 1.744, p=0.007)、TGF-β1活性化(pSmad2/Smad2: 対照 vs doxantrazole p=0.006)

Cromoglycateはラットの肺線維化減衰(コラーゲン: phosphate-buffered saline (PBS) vs cromoglycate p=0.036, 線維領域 PBS vs cromoglycate p=0.031)





序文:(いつもの手抜きGoogle翻訳)

特発性間質性肺炎の最も一般的な形態である特発性肺線維症(IPF)は、原因不明の慢性かつ致命的な疾患です。ニネタニブとピルフェニドンは最近、IPF治療のためにいくつかの国で承認されました。 IPFの治療において重要なマイルストーンを提供する一方で、これらの治療法は減速することに限定されますが、病気の進行を止めることはありません。

したがって、IPFの細胞性および分子性の病因に焦点を当てて、より的を絞った治療法が必要とされているが、それはよく理解されていないままである。 IPFは、進行性の線維芽細胞および筋線維芽細胞の増殖ならびに細胞外マトリックス(ECM)の広範な無秩序な沈着を特徴とし、その結果肺胞構造が破壊される。線維芽細胞および筋線維芽細胞は、ECMの過剰な沈着の原因となるマトリックス産生細胞である。この異常で無秩序なECM沈着は、肺の構造的完全性を破壊し、異常な生体力学的および生化学的特徴を引き起こす。
線維性ECM内に形成された微小環境が2つの構造肺細胞の挙動に影響を及ぼしそして線維症の悪循環を形成するという証拠が増えている。

肥満細胞は骨髄中のCD34発現造血幹細胞に由来します。
ヒト肥満細胞は、不均一性を示し、そしてそれらのセリンプロテアーゼ含有量によって、トリプターゼのみ、キマーゼのみ、またはトリプターゼ陽性およびキマーゼ陽性の両方の肥満細胞として分類される。 トリプターゼ陽性肥満細胞はげっ歯類粘膜型肥満細胞といくつかの性質を共有している。粘膜肥満細胞は通常、肺や腸の粘膜組織に見られ、主にトリプターゼを発現します。一方、げっ歯類の結合組織肥満細胞と特徴を共有するトリプターゼ陽性およびキマーゼ陽性肥満細胞は、主に腸粘膜下組織の結合組織、腹腔、周囲の血管および皮膚に見られます。しかしながら、組織分布はげっ歯類の場合ほど明確には画定されておらず、ほとんどのヒト組織は肥満細胞型の混合集団を有する。

肥満細胞は、アレルギー性疾患や急性炎症性疾患の主要なエフェクター細胞として最もよく知られていますが、肥満細胞は線維症と関連すると推測されています
肥満細胞を線維芽細胞と共培養すると、線維芽細胞の増殖、遊走、コラーゲン産生、α平滑筋アクチン(α-SMA)発現、およびトリプターゼ、ヒスタミン、ロイコトリエンおよびレニンによる線維芽細胞収縮が誘導されることが示されています。
 さらに、線維芽細胞は肥満細胞を養う幹細胞因子(SCF)を産生します9。これらの知見は肥満細胞と線維芽細胞の間の密接な相互作用を浮き彫りにしています。
キモトリプシンセリンプロテアーゼである肥満細胞由来のキマーゼも潜在性TGF-β1を活性化することができます。
TGF-βは、線維芽細胞の活性化および筋芽細胞への線維芽細胞分化の誘導を介した肺線維症の発症における最も強力な線維化促進因子の1つです。
したがって、キマーゼは、潜在的TGF - β1活性化を介して線維芽細胞増殖およびコラーゲン合成を誘導することができ、肥満細胞の活性化および脱顆粒は、直接的および/または間接的に組織線維症に寄与し得る。肥満細胞とIPFの関連は、古くからある研究と新しい研究の両方のトピックです。増加した数の肥満細胞がIPFまたは実験的肺線維症モデルにおいて線維性肺組織に存在することが長い間知られている。

それにもかかわらず、肥満細胞は、線維形成中の他の細胞ほど広くは研究されておらず、そして肺線維症の進行におけるそれらの役割は追求されていない。

本研究では、肥満細胞と線維性ECMとの相互作用および肺線維症発症における肥満細胞の病態生理学的役割の影響を評価した。線維性肺のマトリックス微小環境が肥満細胞の表現型と機能をどのように制御するかを理解することは、IPFの治療選択肢としてその細胞を標的とするための新たな機会を提供するかもしれません。

重症患者の高酸素血症毒性

酸素は上げれば良いってもんじゃないってのは昔っからなのだが・・・


The effect of hyperoxia on mortality in critically ill patients: a systematic review and meta analysis
Yue-Nan Ni†, et al.
BMC Pulmonary Medicine201919:53
https://doi.org/10.1186/s12890-019-0810-1

背景
重症患者の高酸素血症の意義研究は多くのconflictingな結果となっている。ICU入室患者の高酸素血症の影響を明らかにする研究

方法
電子データベースにてこICU入室成人患者の高酸素血症の役割について全ての研究を検索
プライマリアウトカムは死亡率。Randam-effect modelは補正オッズ比(aOR)の定量合成

結果
24トライアル同定、統計学的heterogeneityが高酸素血症、正常酸素血症で存在するのは、人工換気(I2 = 92%, P<0.01) 、心停止(I2 = 63%, P<0.01) 、外傷性脳外傷I2 = 85% , P< 0.01) 、心臓術後(I2 = 80%  , P=0.03)

正常酸素血症比較、高酸素血症は全患者で死亡率増加、サブグループとして、心停止(OR 1.30, 95% CI 1.08 - 1.57)、体外life support (ELS) (OR 1.44, 95% CI< 1.03 - 2.20)
Compared with normoxia, hyperoxia was associated with higher mortality in overall patients (OR 1.22, 95% CI 1.12~1.33), as well as in the subgroups of cardiac arrest (OR 1.30, 95% CI 1.08~1.57) and extracorporeal life support (ELS) (OR 1.44, 95% CI 1.03~2.02).


結論
高酸素血症はI重症患者の死亡率増加をもたらす、特に、心停止後及びELS患者では





「無知な医療者ほどサーチとかいうのを上げたがる」という田舎開業医のやぶにらみ


高酸素血症毒性に関する序文記述;上記医療関係者に言い聞かせましょう!
組織病理障害・間質性線維化・無気肺(脱窒素無気肺)・気管気管支炎、肺胞蛋白漏出・好中球浸潤、メカニカルな組織伸張による陽圧換気肺障害促進、心拍出量低下、冠動脈/心筋酸素消費量減少、多臓器フリーラジカル介在障害、感染防御免疫低下、抗酸化酵素・サイトカイン産生への種々影響、アポトーシス促進(一部高酸素による肺障害促進)など

  • Animal studies showed that hyperoxia is associated with adverse events such as histopathological injury, interstitial fibrosis, atelectasis, tracheobronchitis, alveolar protein leakage and infiltration by neutrophils [3]. 
  • Hyperoxia interacts with mechanical stretch to augment ventilator-induced lung injury [4]. 
  • Moreover, hyperoxia could also lead to a decline of cardiac output, [5] coronary blood flow and myocardial oxygen consumption, [6] and generate free radical-mediated damages in various organs [7]. 
  • Studies in human demonstrated that hyperoxia could impair the responsiveness of host defense to infections [8]. 
  • Hyperoxia may affect a variety of patients’ biological systems, such as antioxidant enzymes [9] and cytokine production [10] through excessive production of reactive oxygen species. 
  • Exaggerated apoptosis, in part through the death receptor-mediated signals, accelerates hyperoxia-induced acute lung injury [11]. 


”意味の乏しい”医療処置と院内発生合併症

low valueというとこの場合は、”意味の乏しい”医療処置ということになるのだろう
裏返せば、各手技、適応を明確に・・・ということに


Measuring hospital-acquired complications associated with low-value care
JAMA — Badgery-Parker T, et al. February 27, 2019

このコホートとdescriptive analysisにより9,330の"low-value use of seven procedures"エピソード評価

"low-value care"として7つを提示


意義の少ない処置 狭義定義 推奨ケア
変形性関節症または変性半月板裂傷に対する関節鏡洗浄および膝の創面切除術(CWA、EVOLVE、CWUS、NICE) 変形性関節症診断患者の膝関節鏡視下手術、靱帯のstrainや損傷診断無し、敗血症性(化膿性)関節炎診断無し、55歳、両性を含む 減量 理学療法/作業療法 疼痛軽減薬剤
平均寿命が限られている無症候性のハイリスク患者に対する頸動脈内膜剥離術(CWA、EVOLVE、CWC、CWUS) 卒中や局所神経症状(エピソード及びASA code 4-5、もしくは 75歳以上&ASA code 3)無し症例への頸動脈endarterectomy、18歳以上、両性、 最良となるべき内服加療
50歳未満の人の便秘に対する大腸内視鏡検査(CWC) 50歳未満の便秘診断患者、貧血診断無し、消化器系がんの家族・本人の既往無し、事前12ヶ月消化器系疾患のない場合へのcolonoscopy;18歳以上、最大年齢49歳;両性 アラーム徴候無しでは検査自体が必要ない
55歳未満の人々の消化不良のための内視鏡検査(CWC) 消化不良の診断があり、嚥下障害、鉄欠乏性貧血、その他の栄養性貧血、異常な体重減少、消化器系がんの個人歴または家族歴、または消化性潰瘍疾患の個人歴の診断なしの55歳未満の内視鏡検査12カ月。 18歳以上最大年齢、54歳。男女 Helicobacter pyloriを検査し、もしあれば治療。 治療が不要で症状が残る場合は、プロトンポンプ阻害薬をtry
腎臓下腹部大動脈瘤(CWC)の血管内修復 エピソード中の腹部大動脈瘤およびASAコード4〜5または75歳以上およびASAコード3の診断による動脈瘤の血管内修復。最低年齢、18歳。男女;緊急入院および緊急部門からの入場を除外する 介入なし
腎動脈血管形成術またはステント留置術(Technology Policy 21) 腎血管性高血圧症、腎動脈のアテローム性動脈硬化症、高血圧性腎臓病、または発症時の高血圧性心臓および腎臓病の診断を伴う血管形成術/ステント留置術、および線維筋形成異常または肺水腫の診断なし。最低年齢、18歳。男女 多要素内服治療
腰痛に対する脊椎固定術(CWA、CWC) 過去12カ月以内に坐骨神経痛、脊椎すべり症、脊椎異常、または脚の痛みの言及がなく、腰痛と診断された脊椎固定術。最低年齢、18歳。男女 保存治療



これらの処置に関わる院内発生harmを検証し、55エピソードの”意義乏しい”spinal fusion(脊椎固定術)、3,963エピソードの”意義乏しい”膝関節鏡

これら7つの手技は、一定数の患者へ有害性のためなされてはいけないもので、更なる付加的病院リソース消費増加を生じる。適切なサービスであろう他のケアに着手する遅れを生じることもある

descriptive analysis、225公的病院(オーストラリア、New South Wales)
2014年7月1日〜2017年6月30日まで、3つの病院の入院データ使用、low-value care1つ以上含む93,30のエピソード評価
low-value care関連有害性の測定は16のhospital-acquired complications (HACs):院内発症合併症
すべてのHAC関連比率、llow-value ccareによる平均滞在数のHACs有無による差、手技実践毎の差検証

結果:全体として、"low-value"careについて225病院、9,330のエピソード、以下の手技実践がHACs低率と関連

  • low-value 内視鏡 (4 [0.1%] エピソード; 95% CI, 0.02%-0.2%)
  • 膝関節鏡視下手術 (18 [0.5%] エピソード; 95% CI, 0.2%-0.7%)
  • コロノスコピー (2 [0.3%] エピソード; 95% CI, 0.0%-0.9%)


HACs高率は

  • low-value 脊柱固定 (4 [7.1%]  エピソード; 95% CI, 2.2%-11.5%)
  • 腹部大動脈瘤の血管内修復 (76 [15.0%]  エピソード; 95% CI, 11.1%-19.7%)
  • 頸動脈内膜剥離術  (21 [7.7%]  エピソード; 95% CI, 5.2%-10.1%),
  • renal artery angioplasty (15 [8.5%]  エピソード; 95% CI, 5.8%-11.5%).


多くの手技施行において、医療関連感染が最も多いHACとして検出され、全てのHACsの26.3%(95% CI, 21.8% - 31.5% )


renal artery angioplastyは、医療関連感染症率として 8.4% (95% CI, 5.2% - 11.4%)で観察された中では最も高率
7つ全ての"low-value"医療手技施行において、HACを有する患者は無い場合の2倍以上の入院期間となった
例えば、膝関節鏡視下手術では、HACs無し患者の入院期間は 1(IQR , 1 - 1)、HACの場合 10.5(IQR 1.0-21.3)日増加する




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