2019年7月4日木曜日

気管支拡張への抗生剤吸入療法:高bacterial load群でQOL改善効果

気管支拡張症における主な吸入抗生物質治療の根底にあるのは、bacterial loadが炎症を引き起こすことによるもので、抗生物質治療は症状を軽減するはずという考え

今までの抗生剤吸入療法のトライアルで、QOL改善示せなかったのは、bacterial loadを考慮しないトライアル設計に問題があったのではないか?




Airway Bacterial Load and Inhaled Antibiotic Response in Bronchiectasis
Oriol Sibila , et al.
All AJRCCM  Vol. 200, No. 1 | Jul 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201809-1651OC       PubMed: 31109172
https://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/


Studies 1 ・ 2:気管支拡張成人への前向き研究
Study 3 : post hoc analysis of a randomized trial of inhaled aztreonam.

定量的喀痰培養による分類 low (<<10 sup="">5  cfu/g), moderate (105–106 cfu/g), high bacterial load (≥107 cfu/g)


研究1、2、および3では、bacterial loadは生活の質の悪化および気道炎症の増加と関連する安定特性
研究3では、細菌負荷の高い患者は主要評価項目の改善を示し(Quality of Life–Bronchiectasis–Respiratory Symptoms Score at Week 4) 、アズトレオナムの優秀性を示した(9.7ポイントの平均差; 95%信頼区間、3.4-16.0; P = 0.003)。

Minimum Clinical Important Difference (MCID) を上回る増加達成患者割合は、bacterial loadの高い群のみで、4週目(63%対37%; P = 0.01)および12週目(62%対38%; P = 0.01)







投与量と期間は
A summary of these trials is provided in the on-line supplement. Patients received two 4-week cycles of double-blind inhaled treatment with AZLI 75 mg or placebo given three times a day, separated by 4 weeks off-treatment.



序文Google翻訳

細菌量の減少は症状と悪化の頻度を減少させるということです(3、4)。しかし、ほとんどの試験は気管支拡張症の主要評価項目に達していません。吸入されたアズトレオナムの2つの大規模第3相無作為化試験では、QOLの改善は見られませんでした(5)。噴霧化コリスチン(6)、乾燥粉末シプロフロキサシン(7、8)および噴霧化リポソームシプロフロキサシン(9)を含む他の複数の試験もまた、一貫して主要評価項目に達していない。新しい欧州呼吸器学会(ERS)のガイドラインでは、治療として吸入抗生物質療法を支持する強力な臨床的証拠は発見されていません(10)。広範囲のサブグループ分析にもかかわらず、気管支拡張症吸入抗生物質試験の間の矛盾の理由は説明されていません。
気道細菌負荷は気管支拡張症の病因の重要な要素である(11)。患者は様々な細菌性病原体に慢性的に感染し、その結果、持続的な呼吸器症状およびさらなる気道損傷を伴う、感染および炎症の悪循環を引き起こす(12)。以前の研究では、気道細菌負荷と気道および全身性炎症の両方との間の直接的な関係が実証されている(13、14)。いくつかの疾患にわたる複数の研究は、107コロニー形成単位(cfu)/グラムを超える「炎症性閾値」を示唆しており、ここで患者はより多くの炎症、より悪化した症状およびより深刻な増悪を示す(15-17)。全身および吸入抗生物質治療は細菌負荷を減らしますが、細菌負荷が最も高い患者では気道の減少と全身炎症の点で最大の利点があります(15)。しかし、吸入抗生物質に焦点を当てた最近の臨床試験では、吸入抗生物質反応がベースラインの細菌負荷によって予測されるかどうかについて検討されていません(5–8)。
それ故、我々は、より高い細菌負荷がより悪い気道炎症及び生活の質と関連し、従って最も高い細菌負荷を有する患者が吸入抗生物質治療から最も利益を得るであろうと仮定した。 

キノロンやアミノグリコシド系などの効果判定も同様変化するのだろうか?
以前からアミノグリコシド系の吸入治療は 吸入トブラマイシン(商品名:トービイ)は臨床応用されてはいるが、のう胞性線維症のみ適応で気管支拡張へは実質使用できないのだが・・・




アザクタムと言えば、エーザイのアズトレオナム(アザクタム)の略号がAZTだったので、株やってる連中の妄想で、エイズ治療薬AZTと勘違いしてエーザイの株が上がった逸話があるのだが・・・それを思い出す。




COPDへの新たな治療ターゲット?:カテプシンS


Protein Phosphatase 2A Reduces Cigarette Smoke–induced Cathepsin S and Loss of Lung Function
Declan F. Doherty , et al.
AJRCCM, Vol. 200, No. 1, Jul 01, 2019
https://doi.org/10.1164/rccm.201808-1518OC       PubMed: 30641028
https://www.atsjournals.org/doi/full/10.1164/rccm.v200erratum1


Rationale: CTSS (cathepsin S) は cysteine protease で、COPD患者のBALF中・血中に高濃度に存在

Objectives:  CTSSがタバコ喫煙誘因COPDの病因と関連し、upstream signalingのtargetingが疾患予防となるか

Methods: CTSS expressionを動物・ヒト組織とCOPD細胞モデルで検証
Ctss−/− miceを長期タバコ喫煙暴露し、強制オシレーションと呼気測定
動物にPPA2活性(protein phosphatase 2A) chemical modulatorを投与


Measurements and Main Results: 喫煙暴露後のマウス肺でのCTSS発現促進と活性増加を見いだした。Ctss-/- miceで喫煙暴露炎症、気道過敏性、気腔拡大、肺機能低下抵抗性あり。
CTSS expressionは、健常ヒト非喫煙者とCOPDドナーからの分離気管支上皮細胞、探求由来マクロファージでPP2Aによりnegativeに調節されている
PP2A expressionあるいは活性調整、silencer siRNAや、化学的阻害、activatorで、急性喫煙暴露後肺内の炎症性反応やCTSS expressionやactivityをマウスにおいて調整できる
PP2A activity enhancementはマウスにおいて慢性喫煙由来COPD予防できた


Conclusions: この研究から、COPDで生じるPP2A活性の減少が肺内CTSS発現増加に寄与、それから肺機能障害をもたらすことを示している。
 PP2A活性を増強することは、CTSS活性を低下させそして煙誘発性肺疾患に対抗するための実行可能な治療アプローチを示すかも。








低LDL血症と脳内出血の関連性

中国北部の疫学研究で、低LDL血症と脳内出血(ICH)の関連性報告



Low-density lipoprotein cholesterol and risk of intracerebral hemorrhage: A prospective study
Ma C, et al
Neurology 2019; DOI: 10.1212/WNL.00000000000078.
https://n.neurology.org/content/early/2019/07/02/WNL.0000000000007853

2006年ベースラインにて卒中・心筋梗塞・がんを有しない96,043名(平均年齢 51.3歳)
 current cohort study

血中LDL-C濃度評価 2006年、2008年、2010年、2012年評価

累積LDL-C平均濃度をこの期間の全ての評価可能LDL-C測定値から計算
脳内出血はカルテレビューにて確認

フォローアップ9年間、ICH発生753

ICH-リスクはLDL濃度 70-99 mg/dLと100以上で同等

一方、LDL 70 mg/dL未満では、70-99 mg/dLに比べICH発症高リスク ; 補正ハザード比1.65 (95% 信頼区間 [CI] 1.32–2.05) for LDL-C concentrations of 50 to 69 mg/dL)、 50mg/dL未満 2.69 (95% CI 2.03–3.57)



最近のスタチンのメタアナリシスでは、スタチン治療とICHリスクに関し関連性として有意性を認めないと筆者等も記載

PCSK9阻害剤の2つのトライアルでも出血性卒中リスク増加を認めてない。同様にIMPROVE-ITやFOURIERトライアルでも有意性相関は認めない。

だが、これらの知見は、基本1.0年間から6.0年間の報告であり、サンプルサイズとして出血リスク少なすぎて正規相関前提の帰無仮説検証でよいのかという基本的疑問が呈せられる。

LDL低下を煽りすぎることは善なのだろうか? 「悪玉」コレステロールと果たしてホントに言い切って良いのだろうか?





noteへ実験的移行

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