2013年12月4日水曜日

COPDだけでなく、喘息症例でも、高用量吸入ステロイドは肺炎・下気道感染リスク増加させる

COPD:吸入ステロイドは重度肺炎発生リスク増加 フルチカゾンが明確 2013/11/01
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/11/copd.html



 Inhaled Corticosteroids and the Risk of Pneumonia in People With Asthma: A Case-Control Study
Tricia McKeever, , et. al.
Author and Funding Information
Chest. 2013;144(6):1788-1794. doi:10.1378/chest.13-0871 


吸入ステロイドはCOPD患者の肺炎リスクと関連する
喘息でもリスク増加と関連する、しかも、投与量依存的に、肺炎・下気道感染リスクと関係する。
寄与リスク補正後、ICS(1000 μg以上)の高用量では、事前90日間ICS使用しなかった場合に比べ、2.04倍リスクを増加させる


まぁ、適量投与がのぞましいわけで、患者任せのSMARTなんてとんでもない

食事性ビタミンD不足は中年以降の脳内ニトロソアミン・ストレスと関連・・・認知症促進と関連する可能性

ビタミンDの既知作用は、骨健康維持であり、他臓器・組織へも重要な役割をしているという情報も増えている。ビタミンD欠乏は高齢者での認識が広がり、中年・高齢加齢状況において、血中ビタミンDの変動が果たすその役割が注目されている。

そんな中、ビタミンD不足が、高齢者の脳機能・構造へ影響及ぼす可能性がラットの実験から判明した。

Dietary vitamin D deficiency in rats from middle to old age leads to elevated tyrosine nitration and proteomics changes in levels of key proteins in brain: Implications for low vitamin D-dependent age-related cognitive decline
Free Radical Biology and Medicine Volume 65, December 2013, Pages 324–334

F344ラット27匹を3群に分け、等カロリーでのビタミンD低含量(餌 100 IU/kg)、対照(餌 1000IU/kg)、高含量(餌 10,000kg)を12月齢マウスで投与開始し、4−5ヶ月継続。

食事性VitD介入の、後部脳皮質での、酸化、一酸化窒素ストレス影響を比較。

低VitD群は、対照・高含量VitD全体的に、3−ニトロチロシン増加。


3−ニトロソチロシンは、NF-κB経路及びNF-κB介入iNOSトランスクリプトの調整異常をもたらす、これは、核内へのNF-κBトランスロケーションやiNOS増加により示唆される所見である。

Proteomics techniqueによりこれらの影響に関する可能性メカニズムを考察。


低VitD群において、他の2群に比べ、いくつかの脳蛋白増加で有意増加
6-phosphofructokinase、triose phosphate isomerase、 pyruvate kinaseがそのうち3つで、解糖系と直接関連。
他に、peroxiredoxin-3 と DJ-1/PARK7は、peroxidase活性を有し、ミトコンドリアに存在。

Peptidyl–prolyl cis–trans isomerase A (cyclophilin A))、蛋白folding、蛋白キナーゼ・ホスファターゼの調整、免疫調整、細胞シグナル化、レドックス状況と関連。

これらの結果、食事性ビタミンD低下は有意にニトロソアミンストレスに清、中年以降高齢の認知機能低下と関連する可能性がある。




ニトロチロシン(3-nitrotyrosine: 3-NT)は、パーオキシナイトライトによる主要なタンパク質ニトロ化修飾物の一つであり、 ニトロ化ストレス(nitrosative stress)マーカーとして広く用いられています。これまでにアルツハイマー、パーキンソン氏病、 多発性硬化症、脳卒中などの神経疾患をはじめ、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、冠動脈疾患、高血圧症など数多くの疾患との 関連性が報告されています。

benign obesityの否定:健康的肥満は存在しない → メタボ概念の肯定じゃないからね・・・役人さん・マスメディア・学会関係者さんたち

これも今年featureした「肥満=病気」という流れの報告なのだろう。
参考: 肥満は依存症という病気? 2013/07/17

ここの"metabolically healthy "とは、
 as defined by the presence or absence of components of the metabolic syndrome by Adult Treatment Panel III or International Diabetes Federation criteria.

代謝的健康な正常体重被験者に比べ、肥満者では、長期的アウトカムの悪化リスク増加が見られる、それは、代謝的異常が無い場合でもリスク増加。


Are Metabolically Healthy Overweight and Obesity Benign Conditions?:
A Systematic Review and Meta-analysis
The Myth of Healthy Obesity
Caroline K. Kramer,  et. al.
Ann Intern Med. 2013;159(11):758-769. 
doi:10.7326/0003-4819-159-11-201312030-00008


8研究 (n = 61 386; 3988 イベント)で、全原因死亡率 and/or 心血管イベントを評価。

代謝的健康肥満者は、代謝的健康正常体重者に比べ、イベントリスク高く、フォローアップ10年以上研究に限定しても同様。

代謝的非健康群では、同様のリスク:正常体重  (RR, 3.14; CI, 2.36 to 3.93)、体重過多 (RR, 2.70; CI, 2.08 to 3.30)、肥満 (RR, 2.65; CI, 2.18 to 3.12)

日本の“メタボ”は、諸外国のメタボリックシンドロームとさらに乖離していく・・・ wikipedia日本語の解説は秀逸

上記論文のメタボリック的異常基準には、軽症高血圧、脂質異常、空腹時血糖異常を含む。故に、「システマティック・レビューを元に考察すれば、非肥満・代謝異常群でも、全死亡率/心血管リスク増加と関連」ということで、メタボリックシンドローム概念が重要なんてことにはならない!




心不全患者の貧血治療:システマティック・レビュー 輸血閾値はリベラルに!、鉄剤投与は症状改善! EPO剤は有害な可能性

心疾患患者での貧血治療についてのシステマティック・レビュー


・リベラル輸血方針:ヘモグロビン値閾値 10 g / dL
・厳格輸血方針:貧血症状もしくは医師の判断決定閾値 ヘモグロビン値 8 g / dL

結論から言えば、輸血閾値を高めに設定、すなわち、なるべく輸血しない方針の厳格な輸血方針では、死亡率を改善しない。しかし、大規模トライアルが必要。
鉄剤注射は心不全・鉄欠乏患者の症状緩和に役立つが、これも今後検討が必要。
エリスロポイチン系薬剤では、軽度・中等度症例ではベネフィット認めず、むしろ、深部静脈血栓系の副作用のリスクが高まる


Treatment of Anemia in Patients With Heart Disease: A Systematic Review
Devan Kansagara, M, et.al.
Ann Intern Med. 2013;159(11):746-757. doi:10.7326/0003-4819-159-11-201312030-00007 


6トライアル・26観察研究からの低エビデンスによると、リベラルな輸血プロトコールでは、非積極的プロトコール比較で、短期的死亡率改善を示せず (combined relative risk among trials, 0.94 [95% CI, 0.61 to 1.42]; I2 = 16.8%)
しかし、死亡率減少が、急性冠症候群小トライアルで示された (1.8% vs. 13.0%; P = 0.032)

うっ血性心不全・冠動脈性心疾患30日死亡率(輸血:レベラル方針 vs 厳格方針)

同患者群における心血管系イベント比較(輸血:レベラル方針 vs 厳格方針)

中強度エビデンス3つの鉄注射トライアルでは、心不全患者で、短期的運動耐用能・QOL改善が見られた。



17トライアル中等度・強度エビデンスでは、エリスロポイエチン産生刺激薬剤にて、ベネフィット一致した所見見られず、しかし、有害性、静脈血栓塞栓見られる

とんでもシステマティック・レビュー:ビタミンCが喘息発作、気道過敏性を改善する

Dr. ポーリングのおかげで、様々な(インチキを含む)サプリメント産業の父と私は思う。
感冒に対するビタミンCなどが代表的。

以下の、とんでも論文の存在が、さらに、ビタミン剤への嫌疑をふかめるのだが・・・

Allergy, Asthma  Clinical Immunologyって、一定のIFのあるジャーナルだと思う、たまたま、問題レフリーにあたってしまったのか 。
P値が小さければ、出版バイアス否定できるというとんでも内容の論文がそのままスルーされ、出版されてしまっている。

この程度検討文献数及び症例数(9名〜41名)だと、Cochraneなどでは、明確な結論出さないはずだし、まともなレフリーなら、Funnel Plotなどの出版バイアスツールチェックを要求するはずだ。ひどすぎる文献を見てしまった。

喘息発作、気道過敏性に関するビタミンC投与の効果のシステマティック・レビュー

結論の一部に、ビタミンC投与により、喘息発作、気道過敏性へのベネフィットを認めたとある。喘息患者での個別ベースでのビタミンCは、気道感染起因した場合、筆者等の結論だと、是認。


Vitamin C and common cold-induced asthma: a systematic review and statistical
analysis
Allergy, Asthma  Clinical Immunology 2013,9:46
doi:10.1186/1710-1492-9-46
http://www.aacijournal.com/content/pdf/1710-1492-9-46.pdf



このレビューは、出版バイアスに関する検討が足りなすぎる。
そもそも、検討ベースの症例数が少なすぎ、プラシーボ対照も検討文献に含まれる。
結論に同意しかねる内容となっている。

何より、この文献には、すごい変な記載が存在する。
Publication bias might be a problem in the case where a few studies have been published. However, publication bias cannot reasonably explain the remarkably small P-values found in each of the three studies reviewed here. Furthermore, publication bias cannot explain findings that are not published in the original study reports. Therefore, publication bias cannot explain the association between the PC20 level on the common-cold day and the adjusted vitamin C effect (Figure 1). This systematic review was done by one person and one person might have a higher error rate in the extraction of data than a group. However, only three studies are included and the extracted data were several time compared against the original study reports.It is unlikely that errors would have remained. 
P値が小さいため、出版バイアス考えられない・・・だと!

作為的出版バイアスなどはP値無関係に出現し、むしろ、異常なP値の時、出版バイアスが考えられるはず。


すさまじい報告だ!

医学生:学習態度と成績全般の相関性 産婦人科ローテーション学生を対象に・・・

 出席率が90%到達してないって、どんなにアメリカの医学生は怠けてんだ


 出席しないようなのは、元々、試験成績悪く、不合格オッズ比が高い・・・その時点で落第させてもかまわないのでは・・・

 テレビなどで講義にでてないことを自慢する馬鹿どもをよく見かけるが・・・ごく一部の天才をのぞけば無駄な自慢。医学部という所はさほどの天才を必要としない。まじめな学習態度が一番だと思う。



メディカルスクール4年生での8週間婦人科・産科した場合、臨床訓練出席・チュートリアルベース学習出席という学生の姿勢は、試験成績と、全体的に、相関する。


教育者側の規則、方針、経済的問題もあろうが、医学生の態度が、医学生のアカデミックパフォーマンスにとって重要な要素である。しかし、臨床学習環境内でその評価がなされてない現状がある。

ペーパーベースで学生側の態度をログ記録し、試験成績と比較する


Student Attendance and Academic Performance in Undergraduate Obstetrics/Gynecology Clinical Rotations
Richard P. Deane, M,  et. al.
JAMA. 2013;310(21):2282-2288. doi:10.1001/jama.2013.282228.


平均出席率89%(range, 39%-100% [SD, 11%], activity n=57/64)
男子学生(出席率 84%)、最終学年試験不合格(出席率 84%)者では、成績が悪い。

出席率と全体成績は正相関 (r = 0.59 [95% CI, 0.44-0.70]; P < .001)

臨床ベースの出席、チュートリアル・ベース出席とも、成績全体と相関する( r = 0.50 [95% CI, 0.32-0.64]; P < .001、r = 0.57 [95% CI, 0.40-0.70]; P < .001)

この関連性は、学生の性別、年齢、出身、最終学年試験不合格歴・ローテーションタイミング補正後も持続

出席率80%以上の学生のみ、全体成績60%以上の判別グレードが見られる。

判別グレードオッズは、出席率10%増加毎増加 (adjusted odds ratio, 5.52; 95% CI, 2.17-14.00)

試験失敗の多くは、出席率80%未満が多い (6/10 students; 60%)

出席率80%以上での試験不合格補正オッズ比は0.11  (95% CI, 0.02-0.72)


私事だが、ポリクリの初っぱなが産婦人科だった。ポリクリ最終試験というのがあり、国家試験以上に難しいと先輩たちから伝えられ、必死に勉強した思いである。学年最初の合格者は私1人であった(えへん!)。だが、その教授がその年の3月に定年退官となり、その試験がなくなってしまったいう・・・オチがついた。

がん緩和ケア常識の嘘:コミュニケーション訓練では、患者や家族の感じる質の改善効果無く、むしろ、うつ状態を悪化

日本人・日本の悪いところは、物事を善悪2分割に考えること、そして、善に基づく行動は全て効率的で結果的に悪いものをもたらさないと考え、そのように、行政施策もなされてしまうところ


がん終末期ケア・緩和ケアに対して、主にコミュニーションスキルを向上させる目的に講習会が全国でなされ、それに基づき、診療報酬上の優遇もなされている

果たして、それは、患者・家族のためになってるのだろうか?
生兵法 故に、逆に、患者のうつ症状を悪化させるとしたら・・・

科学的検証をおざなりにした、愚策となってる可能性・・・科学的検証をおこたった壮大な無駄がここにも存在




終末期ケア・コミュニケーションは、コアな臨床スキルである。 simulation-ベースの訓練によりスキル改善するが、患者報告側の効果は不明であった。

南カリフォルニア・ワシントン大学:内科 391名、NP 81名をランダム割り付け(2007から2003)

ランダムトライアルにて、シミュレーションベースコミュニケーション訓練により、標準教育と比べ、終末期ケアのコミュニーション改善を認めず終末期ケアの質の改善にもつながらなかった。むしろ、患者のうつ症状悪化をもたらした


Effect of Communication Skills Training for Residents and Nurse Practitioners on Quality of Communication With Patients With Serious Illness
A Randomized Trial
J. Randall Curtis,  et. al.
JAMA. 2013;310(21):2271-2281. doi:10.1001/jama.2013.282081

プライマリアウトカムは、コミュニケーション質の患者評価報告(QOC; mean rating of 17 items rated from 0-10, with 0 = poor and 10 = perfect)
セカンダリアウトカムは、患者報告EOLケア質( QEOLC; mean rating of 26 items rated from 0-10) とうつ症状(assessed using the 8-item Personal Health Questionnaire [PHQ-8]; range, 0-24, higher scores worse) と家族報告 QOC と QEOLC 

患者1866名(回答率 44%)、家族 936(回答率 68%)

介入により、QOCやQEOLCに有意な相関認めず

介入後患者QOCやQEOLCの平均値は、それぞれ、  6.5 (95% CI, 6.2 to 6.8) 、8.3 (95% CI, 8.1 to 8.5) 、対し対照では、 6.3 (95% CI, 6.2 to 6.5) と 8.3 (95% CI, 8.1 to 8.4)

補正後、対照との介入比較で、患者、家族におけるQOCスコア有意差無し (患者本人 差, 0.4 点 [95% CI, −0.1 to 0.9]; 家族 差P = .15 , 0.1 [95% CI, −0.8 to 1.0]; P = .81)

患者、家族に於けるQOLCスコアも有意差無し (患者本人 差, 0.3 点 [95% CI, −0.3 to 0.8]; P = .34、家族 0.1 [95% CI, −0.7 to 0.8]; P = .88)

介入後訓練者の患者において、介入によりうつスコアを有意に増加させた  (平均スコア, 10.0 [95% CI, 9.1 to 10.8],  vs 対照  8.8 [95% CI, 8.4 to 9.2])  ; 補正モデルによる介入効果は 2.2 (95% CI, 0.6 to 3.8; P = .006)






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