2015年10月31日土曜日

マクロライド(アジスロマイシン、エリスロマイシン、クラリスロマイシン)第一妊娠期投与でも先天異常リスク増加認めず

マクロライドは先天性心疾患リスクと関連づけられていたが、その知見は曖昧なままだった。この点について、Quebec Pregnancy Cohort (1998-2008)、13万5千859の妊娠事例での検討


Use of macrolides during pregnancy and the risk of birth defects: a population-based study
Anick Bérard1,  et. al.
PDS, Article first published online: 29 OCT 2015
DOI: 10.1002/pds.3900


寄与候補要素補正後、第一妊娠期、major congenital malformations (MCMs)に関して
azithromycin (RR = 1.19, 95%CI: 0.98, 1.44; 120 exposed cases)
erythromycin (RR = 0.96, 95%CI: 0.74, 1.24; 66 exposed cases)
clarithromycin use (RR = 1.12, 95%CI: 0.99, 1.42; 79 exposed cases) 

統計学的な有意差無し


同様、心血管奇形に関して相関性認めず




ペニシリン系とともに、マクロライドは一般においても、妊娠中においても最も用いられている薬剤で、妊娠中安全性懸念あり、関心の高い話題


COPD-LUCSS-DLCOスコア:COPD肺癌リスク指標

COPD-LUCSS
BMI < 25:1点
Pack-years > 60:2点
年齢 > 60 :3点
レントゲン学的気腫 yes:4点
6以下と7以上にわける ・・・ 肺癌予測としんて

Lung Cancer in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease. Development and Validation of the COPD Lung Cancer Screening Score
http://www.atsjournals.org/doi/abs/10.1164/rccm.201407-1210OC#.VjQTGYTh1Bx


このレントゲン・気腫判定をDLCOに置き換える・・・

Identification of COPD patients at high risk for lung cancer mortality using the COPD-LUCSS-DLCO
Juan P. de-Torres, et. al.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-1868



レントゲン気腫評価の代わりに、DLcoを用いたCOPD-LUCSSで、肺がん死亡リスク評価。

60歳超、Pack-Year 60超、DLCO 60未満が肺癌診断と相関


COPD-LUCSS-DLCO リスクカテゴリー
低リスク 0−3
高リスク 3.5 − 8

高リスク・カテゴリーでは、肺癌死亡リスク 2.4 倍 (95% CI: 2.0-2.7)


日本ではCTよりDLCOの方が敷居が高いと思う 

2015年10月30日金曜日

BDNF単一遺伝子変異と成人・小児肥満

脳由来神経栄養因子: BDNF Brain-derived neurotrophic factorの単一遺伝子変異が、小児・成人の肥満に影響を与える


Human Obesity Associated with an Intronic SNP in the Brain-Derived Neurotrophic Factor Locus
Zongyang Mou, et. al.

Cell Reports, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.celrep.2015.09.065





ヒト視床下部BDNF発現は 44 BDNF SNPsと関連し、rs12291063のminor C alleleは、腹側内側視床下部BDNF発現低下と相関 (p <0.001) し、成人、小児コホートの肥満と関連する (p values < 0.05)rs12291064の major T alleleは、transcriptional regulator、heterogeneous nuclear ribonucleoprotein D0B、 T alleleによるtransactivation阻害によるknockdownと結合能を示した。T→C置換で結合とtransactivationは阻害される。


 rs12291063 CC genotype肥満者で、BDNF augmentationのターゲット治療の可能性示唆

NIH researchers link single gene variation to obesityVariation in the BDNF gene may affect brain’s regulation of appetite, study suggests.




UCAS Japanなど:未破裂動脈瘤破裂予測因子 80歳以上、動脈瘤径、IC-PC部位


UCAS Japan
http://ucas-j.umin.ac.jp/




日本人70代以上の、未破裂脳動脈瘤:unruptured cerebral aneurysms (UCAs)の破裂リスク


Risk of rupture of unruptured cerebral aneurysms in elderly patients
Tomohito Hishikawa,  et. al. ; For UCAS Japan and UCAS II Investigators
Published online before print October 28, 2015,
doi: http:/​/​dx.​doi.​org/​10.​1212/​WNL.​0000000000002149
Neurology 10.1212/WNL.0000000000002149

Unruptured Cerebral Aneurysm Study of Japan [UCAS Japan]、UCAS IIと慈恵医科大学の前向き研究
動脈瘤サイズ 6.2 ± 3.9 mm
動脈瘤破裂 3.6%(フォローアップ中央値 990日間、平均 802.7日間
多変量解析にて有意な因子
・動脈瘤直径  (HR, 3.08; 95% CI, 1.35–7.03, p = 0.007 for 7–9 mm; HR, 7.82; 95% CI, 3.60–16.98, p < 0.001 for 10–24 mm; and HR, 43.31; 95% CI, 12.55–149.42, p < 0.001 for ≥25 mm)
・IC-PC動脈瘤 (HR, 2.45; 95% CI, 1.23–4.88, p = 0.011)
・80歳以上  (ハザード比[HR], 2.02; 95% 信頼区間[CI], 1.16–3.49, p = 0.012)


ロサルタン(ARB):CT確認肺気腫での進行抑制効果?

Allison Lambert, MD( Johns Hopkins)のCHEST 2015での報告らしい

ロサルタンではプラシーボ対照と比べCOPD患者の改善効果認めなかったが、一部サブセットでは、6ヶ月後気腫安定化、プラシーボでは3%の進行が見られたのと対照的(P=0.042)

解剖的解析でもロサルタンでの肺上葉で有意な改善を認め (P=0.049)、12ヶ月後でもベースライン気腫患者での安定性継続するも有意差認めなくなった。




ARB Therapy May Slow Emphysema Progression
Disease stabilization observed for up to 12 months
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/CHEST/54386




Marfanでのロサルタンの効能を考えれば確かに有効性あっても不思議ではない


COMPAREトライアル:マルファン症候群大動脈径拡大抑制効果 ロサルタン
http://kaigyoi.blogspot.jp/2013/09/compare.html



2015年10月29日木曜日

2型糖尿病の死亡率は、一般住民に比べ、超過死亡リスク高いが、
その程度は若年ほど、糖尿病コントロール不良ほど、腎合併症多いほど影響が大きい


Excess Mortality among Persons with Type 2 Diabetes
Mauro Tancredi,  et. al.
N Engl J Med 2015; 373:1720-1732October 29, 2015

2型糖尿病・糖のコントロールレベルや腎合併症での全原因死亡、心血管死亡の超過リスクは不明。
登録ベース研究で、糖コントロール・腎合併症ごとのリスクを評価

Swedish National Diabetes Register(1998年1月1日開始)
一般から5つの対照をランダム選択し、年齢、性、国ごとにマッチ化
平均フォローアップは、糖尿病群 4.6年間、 対照群 4.8年間
糖尿病群 77,117/435,369 (17.7 %)対照群 306,097/2,117,483 (14.6 %)(adjusted hazard ratio, 1.15; 95% confidence interval [CI], 1.14 to 1.16)

心血管疾患死亡率糖尿病 7.9%対照 6.1%(adjusted hazard ratio, 1.14; 95% CI, 1.13 to 1.15). 


全原因死亡・心血管死亡超過リスクは、若年ほど、糖コントロール不良ほど、腎合併症重症ほど増加。
55歳未満で、HbA1c 6.9%以下の死亡ハザード比は  1.92 (95% CI, 1.75 to 2.11)一方、75歳以上でのハザード比は 0.95 (95% CI, 0.94 - 0.96)

微量アルブミン尿症患者においてHbA1 6.9%以下での対照群比較ハザード比は 55歳未満 1.60 (95%CI, 1.40 - 1.82)75歳以上 0.76 (95% CI, 0.75  - 0.78),65-75歳 死亡リスク有意に減少  (ハザード比, 0.87; 95% CI, 0.84 - 0.91)


なかなか感慨深い表である





75歳以上では、HbA1c 7%以下、正常・微量アルブミン尿、eGFR 45であれば許容的な感じ。逆に、74歳以下は HbA1c 7%未満が必要なのでは?75歳未満は微量アルブミン尿消失・eGFR 60以上を目指したい・・・というおおざっぱな意見




初期7年間と、後期7年間で分けて評価


全原因死・心血管死補正ハザード比、年代、年齢カテゴリー毎
Models 2 と 3.

Cox回帰に基づく分析
model 2 : timed-updated ageと性別補正で、0−1、1−5、5−10、10−20、20年間以上の糖尿病毎層別化
model 3 : 誕生国(スウェーデン、それ以外)、教育レベル、合併症病歴毎


COPD:呼吸困難関連心理的cueは前頭前皮質領域拡大と関連


訳しにくいので、そのままで・・・
vigilance : 警戒、用心: 何かが起こるのを待っていたり、 計器の異常がないか監視する状況のよう. な持続的な監視的注意のことcue : 手がかり(心理学)



COPD患者の情緒・心理特性と脳の構成・構造上の変化、すなわち、環境上のcueと関連するビジランスと特異的fMRI上PFC拡大



Dyspnea-Related Cues Engage the Prefrontal Cortex:
Evidence From Functional Brain Imaging in COPD
Mari Herigstad,  et. al.
Chest. 2015;148(4):953-961.
背景: 呼吸困難は、COPDによる機能障害の主要素。COPDにおいて、環境上のcue、例えば階段昇りを望んでる場合などが、呼吸困難と関連することとなり、身体活動開始前でさえ呼吸困難のトリガーとなる。  
このようなcue、心理学的(手がかり)に関連する脳の活動性はCOPD患者と健康対照者により差があり、結果、emotionalメカニズムの関与を反映しているのではないかと仮説された。

研究方法:  functional MRI (FMRI)を用い、COPD患者41名と健常年齢マッチ化対照とを呼吸困難関連word cueによる脳の反応を検討。これらの所見と、自己アンケートスコアを結びつけ、臨床的明瞭指標とのFMRIタスクを関連づけた。このアプローチは、身体的暴露なしの疼痛プロセシングの脳ネットワーク反応性の同定可能とした研究から適合化した方法である

結果: COPD患者は、言語cueのVAS(visual analog scale)と相関している内側前頭前皮質と前帯状皮質の活性化と関連。この活性化は、患者のうつ、疲労、呼吸困難vigilanceの質問評価の反応と相関。
前島部、外側前頭前皮質、楔前部の活動性は、VAS呼吸困難度と関連するが、アンケートとは相関せず。

結論: この知見は、脳の情緒回路拡大がCOPDにおける呼吸困難関連cueの解釈に重要である示唆し、うつ、疲労、vigilanceにより影響される
顕著なcueへの反応が高度化することで慢性疼痛、喘息の症状知覚亢進と関連し、上記メカニズムがCOPDで明らかなことも示唆される。


2015年10月28日水曜日

BELT研究:黒人成人喘息 ICS+LABA vs ICS+チオトロピウム 効果・安全性差を認めず

黒人喘息に関して、ICS/LABAが必ずしもLABA/チオトロピウムよりすぐれているというわけではないということが示された。


黒人は喘息有病率2倍、ER受診・入院発生率も2倍、死亡率も2−3倍という不均衡な高リスク群。喘息に抗コリン作動性薬剤が有効という報告も増加し、特に気道閉塞、脈拍低い症例などでは有効ではないかという示唆もある。また、黒人ではβ受容体の遺伝子多様性により副事象との関連性も報告されていた。

だが、今回の報告で、吸入ステロイド(ICS)治療中の黒人成人では、LABA追加と、チオトロピウム追加では、喘息急性増悪までの期間は変わらない。ADRB2のArg16gly locusの遺伝子多様性に影響されない。





Anticholinergic vs Long-Acting β-Agonist in Combination With Inhaled Corticosteroids in Black Adults With Asthma
The BELT Randomized Clinical Trial
Michael E. Wechsler, et. al.  ; for the BELT Investigators
JAMA. 2015;314(16):1720-1730. doi:10.1001/jama.2015.13277.



【必要性】  LABAの有効性と安全性に疑念あり、黒人に対する不均等なLABAリスク存在する

【目的】  喘息黒人成人ICS使用者へのチオトロピウム vs LABAsの有効性・安全性比較
β2アドレナリン作動受容体(ADRB2)遺伝子のArg16Glyのアリル変異が治療反応性に影響を与えるかの検討


【デザイン・セッティング・被験者】 多施設(n = 20)、オープンラベル、並行群、プラグマティックランダム化臨床トライアル (2011年3月から2013年7月まで)、米国内中等度・重度喘息黒人被験者


【介入】 National Heart, Lung, and Blood Institute guidelineにおける step 3 もしくは 4で、治験登録可能、受け入れ可能な対象者
吸入ステロイド+
・チオトロピウム 1日1回 (n = 532)
・LABA 1日2回 (n = 538)
18ヶ月フォローアップ

genotypingを受けた患者では、ベースライン、1、6、12、18か月受診、月毎アンケート

【主要アウトカムと測定】
プライマリアウトカムは、急性増悪までの期間
悪化定義は、経口・非経口外ステロイド投与必要イベント

セカンダリアウトカムは、患者報告アウトカム:Asthma Quality of Life Questionnaire,
Asthma Control Questionnaire [ACQ]、 Asthma Symptom Utility Index, and Asthma Symptom-Free Days questionnaire)
+ スパイロメトリ (FEV1)、 rescue medication use、喘息悪化、副事象イベント


【結果】 LABA + ICS vs tiotropium + ICS において、初回急性増悪までの期間差、認めず

急性増悪/人年は、 0.42 vs 0.37 (発生率比 , 0.90 [95% CI, 0.73 to 1.11], log-rank P = 0.31)


FEV1 12か月で差認めず(0.003 L for LABA + ICS vs −0.018 L for tiotropium + ICS; 群間差, 0.020 [95% CI, −0.021 to 0.061], P = 0.33) 、18ヶ月時点でも同様 (−0.053 L vs −0.078 L; between-group difference, 0.025 [95% CI, −0.045 to 0.095], P = 0.49)


ACQスコアでは、18ヶ月時点で群間差認めず (ベースラインからの変化量 −0.68 for LABA + ICS vs −0.72 for tiotropium + ICS; between-group difference, 0.04 [95% CI, −0.18 to 0.27], P = 0.70)


他の患者報告アウトカムも群間差認めず





Arg16Gly ADRB2 alleleは、効果群間差に影響与えず (初回急性増悪までのハザード比 , 0.84 [95% CI, 0.47 to 1.51] for Arg/Arg vs 0.85 [95% CI, 0.63 to 1.15] for Arg/Gly or Gly/Gly, P = 0.97)




以上のトライアルの結果を日常臨床にどう結びつけるか・・・特に、日本人としては解釈困難だなぁ


必ずしも、スピリーバ・レスピマットの安全性は完全払拭されてない。
”スピリーバ=絶対的安全”ということではなく、悪vs悪の比較・・・と言わざるえないのでは・・・


2015年10月27日火曜日

広島・長崎の放射線被爆:小児期被爆と甲状腺機能障害の関連性見出せず

福島の報告からか、放射線の影響報告に外国メディアも関心示しているようで・・・


Autoimmune thyroid diseases and thyroid dysfunction in Hiroshima and Nagasaki atomic-bomb survivors exposed in childhood
Imaizumi M, et al
ITC 2015; Short Oral Communication 89.

これのオーラルセッション報告


解説記事; A-Bomb Survivors With Low Radiation Exposure Have Low Thyroid Risk  ;60 years after Hiroshima and Nagasaki, thyroid risk appears nil
http://www.medpagetoday.com/MeetingCoverage/ATA/54277?xid=nl_mpt_DHE_2015-10-26&eun=g252454d0r

広島・長崎の核爆弾被爆日本人において、他の一般住民より、甲状腺疾患発生多くはない


2007年から2011年、2668名の結果を、長崎市の公益財団法人 放射線影響研究所の今泉 美彩 氏の報告で、被爆当時10歳未満全例調査


甲状腺中毒 1.3 %
甲状腺機能低下症 4.8 %
甲状腺関連抗体 21.5 %


非被爆一般住民と比率差なし



今泉「10 Gyレベルの放射線被爆では甲状腺機能低下を示すだろうが、5Gy未満の中等以下での影響、機能障害や自己免疫性甲状腺疾患については議論上のテーマ」と一般記事に記載


こういうのは、日本のメディアではまず報道されないと思うので・・・あえて記載


関連:福島:職業的放射線被曝と白血病の関連性結びつけるのは時期尚早では・・・という報道上の意見 
http://kaigyoi.blogspot.jp/2015/10/blog-post_87.html

軽度認知機能障害高齢者(75歳以上)への降圧剤中止は、認知機能・心理・日常機能へ影響なし

16週間フォローアップ時点での二重盲検アウトカム評価住民ベースランダム化トライアル、オランダの128GP実施研究


軽度認知機能障害高齢者(75歳以上)において降圧剤中止は血圧値以外の改善を示さない


Effect of Discontinuation of Antihypertensive Treatment in Elderly People on Cognitive Functioning—the DANTE Study Leiden A Randomized Clinical Trial
Justine E. F. Moonen, et. al.
JAMA Intern Med. 2015;175(10):1622-1630. doi:10.1001/jamainternmed.2015.4103.


386名、75歳以上の軽度認知障害(MMSEスコア 21-27):重篤な心血管疾患認めず
Discontinuation of Antihypertensive Treatment in Elderly People (DANTE) Study Leidenで、降圧治療登録者(2011年6月26日から2013年8月23日まで(フォローアップは2013ねん12月16日まで)
ITT解析


介入:降圧治療中止(n=199)、継続(n=186)

主要アウトカム測定:包括認知組み合わせスコア(プライマリアウトカム)、セカンダリアウトカムは認知ドメイン、Geriatric Depression Scale–15、Apathy Scale、 Groningen Activity Restriction Scale (functional status)、 Cantril Ladder (quality of life)

結果:
対照群(降圧治療継続群)176名と比べ、介入群(降圧治療中止群)180名では、収縮期血圧、拡張期血圧増加  (差, 7.36 [3.02 to 11.69] mm Hg; P = 0.001、 2.63 [0.34 to 4.93] mm Hg; P = 0.03)

包括組み合わせ認知スコアでは差を認めず (0.01 [−0.14 to 0.16] vs −0.01 [−0.16 to 0.14]; difference, 0.02 [−0.19 to 0.23]; P = 0.84)

介入群と対照群では、セカンダリアウトカムに差を認めず
・3つの認知機能ドメインの組み合わせスコア (記憶障害, −0.07 [−0.29 to 0.15; P = .52], , 遂行機能障害 0.08 [−0.12 to 0.29; P = .43],  , 精神運動速度, −0.85 [−1.72 to 0.02; P = 0.06])
・ symptoms of apathy (0.17 [−0.65 to 0.99; P = .68])
・ うつ (0.14 [−0.20 to 0.48; P = .41])
・ functional status (−0.72 [−1.52 to 0.09; P = .08])
・ quality-of-life score (−0.09 [−0.34 to 0.16; P = .46])

副事象は同等




重大心血管イベント発生率に関しても触れてほしかった




2015年10月26日月曜日

ホットドックの14%に異物問題、2%にヒトのDNA


Clear Labs Launches Clear Food to Bring the Power of Genomic Sequencing to Food Consumers
http://www.prweb.com/releases/2015/10/prweb13037005.htm





345のホットドックとソーセージの14%に異物問題があり、サンプルの2%にヒトのDNA混入している










http://www.clearfood.com/food_reports/2015/the_hotdog_report



そんなに気にしない、私。この前もコンビニのサンドイッチに髪の毛混入してたが、除去して食べた。


禿治療:JAK-STAT局所薬物阻害



以前、JAK阻害剤の効果について触れた
尋常性乾癬と脱毛症の一石二鳥治療:トファシチニブ(ゼルヤンツ) 2014年6月22日



JAK-STAT局所投与での治療効果の報告


一般向け解説はこれが詳しいかな?
http://microcapmagazine.com/2015-10-25-blocking-enzymes-in-the-hair-follicles-promotes-hair-growth


ヘアサイクル(毛周期)は、「成長期(アナゲン期)」→「退行期(カタゲン期)」→「休止期(テロゲン期)」に分けられる
http://www.nig.ac.jp/labs/MamDev/japan2/research/research06.html

テロゲン期(休止期)における停止した状況にある毛周期にととまったままで毛嚢のアナゲン期(成長期)へ入れないため、脱毛が生じるのも禿の一因。


マウスやヒトの皮膚にJAK・STAT小分子抑制剤を局所投与し、アナゲン期に急性突入、結果、毛髪出現に繋がることが示された。

JAK抑制は、毛芽細胞のような毛嚢の鍵となる細胞の活性化に関与し、ヒト培養細胞でも、皮膚乳頭突起でも誘導的な影響が観察された。



Pharmacologic inhibition of JAK-STAT signaling promotes hair growth
Sivan Harel, et. al.
Science Advances 23 Oct 2015: Vol. 1, no. 9, e1500973 
DOI: 10.1126/sciadv.1500973



禿治療の情報収集に熱心な私である


2015年10月23日金曜日

地中海式ダイエット:遵守すると脳容積や脳領域容積改善、肉食は脳容積悪化、魚食は改善

地中海式ダイエット:Mediterranean-type diet (MeDi)は、米国内推奨健康食パターンだが、高齢者のMRI上の脳容積と脳構造と関連

平均年齢80.1歳、認知症無し老人 674名の横断研究



Mediterranean diet and brain structure in a multiethnic elderly cohort
Yian Gu,  et. al.
Neurology 10.1212/WNL.0000000000002121P
ublished online before print October 21, 2015,


相対的MeDiアドヒアランス低値(0−4)群に比べ、アドヒアランス高値群(5−9)では、総脳容積(TBV)、総灰白質容積(TGMV)、総白質容積(TWMV)はそれぞれ13.11 (p = 0.007)、5.00 (p = 0.05)、 6.41 (p = 0.05)  mL大きい
魚摂取量多い (b = 7.06, p = 0.006) ほど、肉摂取すくないt (b = 8.42, p = 0.002) ほど、TGMV大きい
肉摂取量の少なさと、TBVの大きさは相関 (b = 12.20, p = 0.02)

魚摂取量の多さと、平均皮質厚(mCT)は相関 0.019 mm (p = 0.03)


帯状皮質、頭頂葉、側頭葉、海馬の容積、上前頭回のCTは、食事要素と関連




テレビ見てたら、肉食をやたら勧める場面に遭遇多数

テレビ見るほど、馬鹿になるってのはホント

2015年10月22日木曜日

妊娠中抗生剤投与はそのこどもの肥満、過体重に発生に寄与

いずれにせよ、妊娠中抗生剤投与はそのこどもの肥満、過体重に発生を増加させる。

そして、肥満に関しては生下時体重重い方が、過体重に関しては生下時体重が軽い方が影響大きいという影響のばらつきがある



Prenatal exposure to systemic antibacterials and overweight and obesity in Danish schoolchildren: a prevalence study
A Mor, et. al.
International Journal of Obesity (16 July 2015) | doi:10.1038/ijo.2015.129


9886名の学童
うち、抗細菌剤の出生前暴露 3280(33%)

暴露関連標準化発症率比(性別特異的補正頻度比)は 過体重 1.26 (95% 信頼区間 (CI): 1.10–1.45)  、肥満 1.29 (95% CI: 1.03–1.62)

女児では、標準化発症率比は 過体重 1.16 (95% CI: 0.95–1.42) 、 肥満 1.27 (95% CI: 0.89 to 1.82)
男児では、標準化発症率比は、過体重 1.37 (95% CI: 1.13–1.66)  、 肥満 1.29 (95% CI: 0.96–1.73)


過体重についての標準化発症率比について、生下時体重3500g未満は、それ以上に比べ、関連性高い(aPR: 1.30, 95% CI: 1.05–1.61、1.18, 95% CI: 0.95–1.46)

逆に、肥満についての標準化発症率比では、3500g以上の方は、それ未満に比べ、肥満との関連高い  (aPR: 1.35, 95% CI: 1.00–1.81、 1.16, 95% CI: 0.82–1.65)



microbiotaの概念が広がったため、この種の報告も不思議ではなくなった

非扁平上皮・非小細胞肺癌:ニボルマブ vs ドセタキセル

PD-1(Programmed cell death 1)研究は、日本の研究者たちが主役的役割を果たしている。そして、ニボルマブの悪性黒色腫及びそれ以外の癌への開発順調のため、某メーカーの株価が・・・


ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体  fully human IgG4 programmed death 1 (PD-1) immune-checkpoint–inhibitor antibodyのオープンラベル・ランダム化国際的第三相治験

非扁平上皮・非小細胞肺癌への治験


有効性・安全性は、ニボルマブ圧倒



Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer
Hossein Borghaei, et. al.
N Engl J Med 2015; 373:1627-1639October 22, 2015

包括的生存率中央値は、 
ニボルマブ 292名 12.2 ヶ月 (95% 信頼区間 [CI], 9.7 to 15.0)
ドセタキセル 290名 9.4 ヶ月 (95% CI, 8.1 to 10.7)
(死亡ハザード比, 0.73; 96% CI, 0.59 to 0.89; P=0.002)


1年時点での包括的生存率は、
ニボルマブ 51% (95% CI, 45 to 56)
ドセタキセル 39% (95% CI, 33 to 45)


追加フォローアップにて、包括生存率(18ヶ月時点)
ニボルマブ 39% (95% CI, 34 to 45)
ドセキタキセル 23% (95% CI, 19 to 28)  (P=0.02)



ニボルマブの無進行生存率は、ドセキタキセルを凌駕せず (それぞれ、2.3ヶ月、4.2ヶ月)、 1年後無進行生存率はニボルマブはドセタキセルより高率 (19%、 8%)


ニボルマブは、PD-1リガンドの腫瘍細胞膜発現の事前設定レベル (≥1%, ≥5%,  ≥10%) 毎のサブグループでも同断的にドセタキセルより有効性あり



治療関連副事象イベント grade 3−4は、ニボルマブ 10%、ドセタキセル 54%


2015年10月21日水曜日

スタチンとED

台湾のPropensity matched コホート研究

スタチン治療使用者は、ED発症リスク減少 (HR, 0.75; 95% CI, 0.63-0.90, p = 0.002)

Statin Use and Incident Erectile Dysfunction - A Nationwide Propensity-Matched Cohort Study in Taiwan
Chian-Ying Chou, et. al.
International Journal of Cardiology 
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.ijcard.2015.10.012







Statins and male sexual health: a retrospective cohort analysis.
Davis R, et. al.
J Sex Med. 2015 Jan;12(1):158-67.

こちらは結論として、スタチンによる男性性機能への相関性認めず

急性腰痛症:薬剤追加必要なし、筋弛緩剤も、アセトアミノフェンも、オピオイドも追加効果無し

急性腰痛症に薬剤追加必要なし、筋弛緩剤も、アセトアミノフェンも、オピオイドも追加効果無し



Naproxen With Cyclobenzaprine, Oxycodone/Acetaminophen, or Placebo for Treating Acute Low Back Pain
A Randomized Clinical Trial
Benjamin W. Friedman, et. al.
JAMA. 2015;314(15):1572-1580. doi:10.1001/jama.2015.13043.

腰痛(low back pain : LBP)は米国ERで250万人超受診。
NSAIDs、アセトアミノフェン、オピオイド、筋弛緩薬などの薬剤とその組み合わせが使用される。

ED受診、1週間後、3ヶ月後の機能的アウトカムを比較
(1)ナプロキセン+プラシーボ
(2)ナプロキセン+シクロベンザプリン(日本では未承認の中枢性筋弛緩薬;米国では線維筋痛症や顎関節症に処方される。筋弛緩作用:5-HT2受容体拮抗薬
(3)ナプロキセン+オキシコドン/アセトアミノフェン
3つにランダム化・10日間投与

非外傷性・非神経根性LBP2週間未満

ランダム化二重盲検3群


Roland-Morris Disability Questionnaire (RMDQ) 5超(24項目アンケート、LBPと、関連機能障害)

主要アウトカム項目:RMDQ ED受診から1週間後の間



3群住民統計指標同等、ベースラインのRMDQスコア中央値は、プラシーボ、シクロベンザプリン群、オキシコドン/アセトアミノフェン群で、 20 (中間4分位 [IQR],17-21)、 19 (IQR,17-21)、 20 (IQR,17-22))



1週間フォローアップ時点で、平均RMDQ改善は、プラシーボ群 9.8、シクロベンザプリン群 10.1、オキシコドン/アセトアミノフェン群 11.1


平均RMDQ改善度群間差は、シクロベンザプリン群 vs placebo 0.3 (98.3% CI, −2.6 to 3.2; P = .77)、 オキシコドン/アセトアミノフェン群 vs placebo, 1.3 (98.3% CI, −1.5 to 4.1; P = .28)、オキシコドン/アセトアミノフェン群 vs vs シクロベンザプリン群, 0.9 (98.3% CI, −2.1 to 3.9; P = .45)






日本に流布する貼付剤も検討したらどうだろう? 


同じJAMA誌で理学療法介入の価値の乏しさ示されている
腰痛への理学療法早期介入は統計学的に意味はあるが臨床的意味はすくない 2015年10月14日

検討さえされてない柔道整復は・・・

福島:職業的放射線被曝と白血病の関連性結びつけるのは時期尚早では・・・という報道上の意見

厚労省によると、東京電力福島第一原子力発電所で防御装備下で、15.7 millisieverts (mSv) 被爆した41歳建設労働者

本来、放射性物質を扱う労働者での基準は50mSv未満なのだが、一貫性に欠く行政判断を驚く記事


A Fukushima Worker Has Been Diagnosed With Cancer Linked to the Disaster
By Kanyakrit Vongkiatkajorn
https://news.vice.com/article/a-fukushima-worker-has-been-diagnosed-with-cancer-linked-to-the-disaster
October 21, 2015 | 6:25 am


David Brenner (director of the Center for Radiological Research at Columbia University in New York City)
「米国内では、平均的に、自然放射線暴露・医療用放射線暴露で4mSv年間暴露」
「統計学的に15mSvの量では白血病発症あり得ない」
「がんと放射線の影響に関してはその影響評価困難」
「福島において、包括的に癌リスク増加していると判断するには時期尚早」
「白血病、甲状腺癌において、最低4年を超さないと影響出現しないはず」


Edwin Lyman
「日本政府が放射線被爆の量少なくてもがんとの関連性を認めたことの方が重大」


NHKによれば、白血病2014年発症した原発事故労働者に対する政府補償として判断したものと思われる


善意なのかもしれないが、逆手にとって、原発事故の事実と反した批判の材料に使われるだろう・・・ プロパガンダに洗脳された人たちによって・・・

日本政府・役人の甘さが裏目に出なければ良いのだが・・・

アメリカがん協会の乳がん検診ガイドライン

2015年アップデート

米国連邦タスクフォースでは、40歳までとした従来からの検診推奨開始時期を50歳としたが、これと異なる推奨となっている



Breast Cancer Screening for Women at Average Risk
2015 Guideline Update From the American Cancer Society
Kevin C. Oeffinger,  et. al.
JAMA. 2015;314(15):1599-1614. doi:10.1001/jama.2015.12783.


ACS(American Cancer Society)は、乳がん平均リスク女性では、45歳時点で定期検診マンモグラフィーを受けるべき  (strong recommendation)


45−54歳女性は年毎検診受けるべき  (qualified recommendation)


55歳以上では、2年毎検診に移行、もしくは、年次検診継続機会を有すべき  (qualified recommendation)


女性は、40−44歳では、年次検診機会を設けるべき (qualified recommendation).


女性は、包括的健康状況良好で、余命10年以上とされる場合のみマンモグラフィー継続すべき  (qualified recommendation)


ACSは、平均リスク女性での乳がん検診のための clinical breast examination(CBE:視触診による乳がん検診)はいずれの世代でも推奨しない  (qualified recommendation)

2015年10月17日土曜日

【抗酸化≠善・酸化ストレス≠悪】酸化ストレスが癌増殖抑制的に、抗酸化作用が増殖促進的にはたらく ・・・ 場合もある


抗酸化物質は健康に良いとされているが、マウスにおいて癌増殖促進的に働くことが見いだされたと報告


元々、抗酸化物質というのは、やっかいで、酸化物質がないときは、そのものがprooxidant作用を示す
抗酸化物質だけを大量にとると酸化促進物質として溜まる 2011年 06月 09日


にもかかわらず、相変わらず、テレビやラジオ(生島・・・)やその辺の週刊誌やゴミ雑誌に、抗酸化作用が全て善であるかの如く、インチキ専門家たちがサプリメント販売促進のため、ゴミ情報をまき散らしている現状




酸化ストレスが癌の遠隔転移を抑制しているというマウスの実験結果





Oxidative stress inhibits distant metastasis by human melanoma cells
Elena Piskounova, et. al.
Nature (2015) doi:10.1038/nature15726 Published online 14 October 2015


固形がん細胞は通常血液に入り全身へ播種するが、理由不明なのだが遠隔転移に乏しいことがある。ヒト・メラノーマで患者により転移病歴と、そのメラノーマ細胞の NOD-SCID-Il2rg−/− (NSG) マウス における転移能は低かった。
メラノーマが皮下腫瘍形成する細胞を高頻度検出確認し他が、静脈内・脾臓内移植後ではその比率は低下、特に、転移所見乏しいメラノーマでは目立った。
血液内・腹腔内メラノ−場細胞は、皮下腫瘍内で確立した培養ラインでは、酸化ストレス認めなかった。
転移形成あるメラノーマは転移の間に可逆性メタボリック変化を示し、持続的酸化ストレスへの能力増加し、これは葉酸系のn NADPH-generating enzymeに依存して増加した。

抗酸化物質は遠隔転移をマウスにおいて促進した。

同じマウスで皮下腫瘍の増殖に有意な影響をあたえない形で、低投与量メトトレキサートで抑制された葉酸経路、 ALDH1L2 knockdown、 MTHFD1 knockdown いずれも遠隔転移抑制

酸化ストレスは、in vivoにおいてメラノーマ細胞による遠隔転移を抑制する



プロパガンダ好きな馬鹿は、”善悪2等分”が大好き!



善玉コレステロールとか悪玉コレステロールなんて・・・もとは同じなのに”未来永劫に善玉は善玉と”ミスリードされ、リポ蛋白などの動的変化の理解を妨げている。良いネーミングだと自画自賛している始末。


”抗酸化作用=善”という誤解をひろげた犯人は・・・

米国FDA:DPP4阻害剤(オングリザ)+SLGT2阻害剤(フォシーガ)合剤承認認めず

サクサグリプチン(オングリザ(DPPIV阻害剤))+ダパグリフロジン(フォシーガ(SGLT2阻害剤))合剤の承認を遅らせることとなった。
各々の薬剤は承認されているため、異例とも言える
さらに、新たなる治験を要求されれば承認は年単位で遅れる可能性ある。

SGLT2阻害薬エンパグリフロジン(ジャディアンス)とDPP-4阻害薬リナグリプチン(トラゼンタ)の合剤(商品名Glyxambi)は米国FDAで承認済み





Deals | Fri Oct 16, 2015 6:12am EDT Related: HEALTH, REGULATORY NEWS, BREAKINGVIEWS
AstraZeneca diabetes drug combination faces delay after FDA rebuff
LONDON | BY BEN HIRSCHLER


http://www.reuters.com/article/2015/10/16/us-astrazeneca-diabetes-idUSKCN0SA0F620151016







降圧剤や糖尿病なども合剤多く発売されており、米国FDAの一貫性に疑問も呈されそうだが、なにかあったのだろうか?


合剤に問題があるのか、組み合わせに問題があるのか?はっきりしてもらわないと、処方組み合わせ慎重にならざる得ない。

2015年10月15日木曜日

Whitehall II研究:座位と生命予後関連無し

心血管疾患既往無しの男性3720名、女性141名のWhitehall II コホート



Apple Watchなんか 座り続けると怒られるのだが・・・




座位時間と寿命・・・関連無し



Associations of sitting behaviours with all-cause mortality over a 16-year follow-up: the Whitehall II studyRichard M. Pulsford , et. al.
Int. J. Epidemiol. (2015) doi: 10.1093/ije/dyv191
First published online: October 9, 2015



座位時間(仕事、余暇、TV視聴時間、TV以外余暇時間、仕事・余暇組み合わせ)と共役要素(1997-99年)



Cox proportional hazards modelで座位時間(時間/週)と死亡リスクを検討

フォローアップは、死亡日までか、鉗子終了日までか、2014年7月31日


 
フォローアップ8万1373人年  (平均フォローアップ期間 15.7 ± 2.2 年間)・450名死亡記録

5つの座位指標と、死亡率リスクの相関性認めず
補正モデルでも、moderate to vigorous physical activity (MVPA)を含む共役要素補正モデルでも同様



2015年10月14日水曜日

2型糖尿病:メトホルミンに加える治療薬は・・・ SU剤 vs DPP4阻害剤

2型糖尿病に対して欧米ではメトホルミンが基軸。では、次にadd-onする薬剤は?


Effects on Clinical Outcomes of Adding Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors Versus Sulfonylureas to Metformin Therapy in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus
Shuo-Ming Ou, et. al.
Incorporating New Medications in Diabetes Care
Ann Intern Med. Published online 13 October 2015

2009−2012年の20歳以上、2型糖尿病
1万89名のpropensity scoreマッチ化ペア比較


add-on治療としてのDPP-4阻害剤は、add-on治療SU剤と比較して、以下のリスク低下と相関 
全原因死 (ハザード比 [HR], 0.63 [95% CI, 0.55 to 0.72])
MACEs (HR, 0.68 [CI, 0.55 to 0.83])
虚血性卒中 (HR, 0.64 [CI, 0.51 to 0.81])
低血糖 (HR, 0.43 [CI, 0.33 to 0.56]) 

しかし、心筋梗塞リスクや心不全入院とは相関せず



にしても、心臓疾患と糖尿病治療・・・簡単にはいかない

農業労働:COPD有病率高い、アクティビティー、地域、診断クライテリアに依存

私らの地域のためにあるような論文だなぁ



農業労働者のCOPD頻度は非農業労働対照に比べ頻度が高く、農業のアクティビテーに依存した頻度を有する。そして、地域、クライテリアにも依存する。




Prevalence and risk factors for COPD in farmers: a cross-sectional controlled study
Alicia Guillien, et. al.
European Respiratory Journal 
DOI: 10.1183/13993003.00153-2015 Published 9 October 2015


40−75歳の 917名の非農業者、3787名の農業者の横断研究
呼吸器症状、タバコ暴露、職業歴(直接暴露測定なし)、肺機能
GOLDクライテリア(拡張剤使用後 FEV1/FVC < 0.70)かLLN正常下限未満かを使用

GOLDクライテリアに従うと、COPD有病率(95%信頼区間;CI)は、農業者 5.1% (4.4–5.8%)、対照 2.9% (1.8–4.0%)(p=0.005)。
LLNクライテリアだと、3.1% (2.5–3.6%) 、 1.5% (0.7–2.3%)(p < 0.01)

年齢、性別、喫煙状態補正後COPDクライテリアは両方とも、対照と耕種農業では同様。
対照に比較して、4つのジョブカテゴリー、すなわち、牛飼育、豚飼育、家禽飼育、2種以上の家畜飼育農家で、COPD高頻度。


牛肥育農業者のうち、フランシュ=コンテ地域圏のみGINAクライテリアもLLNクライテリア診断COPD頻度高い。



南アジア:母体体脂肪量・高血糖が生下時体脂肪へ影響を与え糖尿病発症しやすい?

インド系が主だと思うが、南アジア系の移民が増えて、Caucasianに比べ、UK、カナダなどで注目されているようだ


対白人で、南アジア系の新生児肥満状態の民族差がその後の2型糖尿病になりやすさと関連しているのではないかと考察している
母体の体脂肪量増加、母体の高血糖による影響が大で、子供は低体重だが、皮下脂肪厚大で、内臓脂肪もおそらく大となり、生下時よりこの体組成変化がその後の糖尿病発症のしやすさと関連あるのではないかと・・・


What accounts for ethnic differences in newborn skinfold thickness comparing South Asians and White Caucasians? Findings from the START and FAMILY Birth Cohorts
S S Anand ,et. al.
International  Journal  of  Obesity advance online publication, 29 September 2015; 
doi:10.1038/ijo.2015.171

790名の妊娠女性、南アジア系401名、白人コーカシアン 389名
南アジア系は白人に比べ、若年 (30.1 vs 31.8 歳 , p < 0.001)、妊娠BMI低値(23.7 vs 26.2 , p< 0.0001)、妊娠糖尿病率高い( 21% vs 13 % , p=0.005)


満期産新生児では、南アジア系体重低値  (3283 vs 3517g, P=0.0001)、 皮下脂肪厚:skinfold thickness は高値(11.7 vs 10.6mm; P=0.0001) 、ウェスト径大(31.1 vs 29.9cm, P=0.0001)

新生児皮下脂肪厚のリスク要素は、南アジア民族性、母体血糖、母体体脂肪量と相関 (標準化推定 (s.e.): 0.24, 0.079, 0.14; P< 0.001 ,p=0.04, P=0.0002)


同じく、コーカシアン白人と比べ、糖尿病になりやすい日本人を含めた東アジア人も同様の影響があるのでは?

ICU急性呼吸不全&免疫不全:非侵襲性人工呼吸は酸素療法より28日目死亡率改善しない

臨床実地的に多大な影響を与えそう、特に化学療法中発症の呼吸不全に対して・・・



急性呼吸不全ICU入室免疫不全患者において、早期非侵襲的人工換気は、通常の酸素療法比較にて28日目の死亡率減少に寄与しない


Effect of Noninvasive Ventilation vs Oxygen Therapy on Mortality Among Immunocompromised Patients With Acute Respiratory Failure
A Randomized Clinical Trial
Virginie Lemiale, et. al.; for the Groupe de Recherche en Réanimation Respiratoire du patient d’Onco-Hématologie (GRRR-OH)
JAMA. Published online October 07, 2015. doi:10.1001/jama.2015.12402


多施設ランダム化トライアル、374名の重症免疫不全患者(84.7%が造血系あるいは固形腫瘍治療中):フランス・ベルギーの28ICU







Probability of Survival at Day 28
Probability of survival and subgroup analyses of the risk of day-28 mortality Kaplan-Meier estimates of the probability of day-28 mortality in immunocompromised patients with acute respiratory failure receiving either early noninvasive ventilation or oxygen only. Statistical test used the log-rank test.

腰痛への理学療法早期介入は統計学的に意味はあるが臨床的意味はすくない

腰背部痛、頚部痛など運動器系疼痛を含め、理学療法だけでなく、薬物、代替治療に関しても、臨床的有意最小変化量:MCIDで再評価する必要があると思う。


”統計学的有意差≠臨床的意義”ということが未だに周知されてない。

統計学的有意差があれば全て意味があるという誤解は、払拭できてない。研究者が(勝手に打ち立てた)帰無仮説が否定されたに過ぎないという意味しか無いのだが・・・。



Early Physical Therapy vs Usual Care in Patients With Recent-Onset Low Back Pain
A Randomized Clinical Trial
Julie M. Fritz, et. al.
JAMA. 2015;314(14):1459-1467. doi:10.1001/jama.2015.11648.



【序文】 腰痛、Low back pain (以下、LBP)は、プライマリケアでコモンなもの。ガイドラインでは理学療法へ後に照会することが推奨されている。

【研究目的】 早期理学療法(マニピュレーション、運動)が、通常のケアに比べ、decision ruleとして、LBP-フィッティングをもって患者のディスアビリティを改善するという点でより有効か評価

【デザイン、セッティング、被験者】
220名の被験者を有するランダム臨床トライアルで、2011年3月から2013年11月まで登録。直近6ヶ月間にLBP治療を行ってない、18歳から60歳(平均年齢 37.4歳、[SD, 10.3歳])、Oswestry Disability Index (ODI)スコア 20以上、16ヶ月未満の有症状期間、72時間内の膝より遠位症状無しをプライマリケア受診フォローアップ登録。



【介入】全員教育を受ける。早期理学療法(n=108)は、4つの理学療法セッション〜成り、通常ケア (n = 112)は、初めからの4週間は介入追加無し


【主要アウトカム・測定項目】
プライマリアウトカムは、3ヶ月時点でのODIスコア変化 (range : 0 - 100 : 高値ほどディスアビリティ悪化を示す; minimum clinically important difference, 6 ポイント)
セカンダリアウトカムは、フォローアップ4週後、1年後ODIスコア、疼痛強度の変化。
4週、3ヶ月、1年フォローアップ後の、Pain Catastrophizing Scale (PCS) スコア、 fear-avoidance belief、 quality of life、 patient-reported success、 health care utilization

【結果】
1年フォローアップ完遂207名(94.1%)
共役変数解析にて、早期理学療法は3ヶ月後のディスアビリティーにおいて通常ケアより相対的改善を示す  (平均 ODI スコア: 早期理学療法群, ベースライン:41.3 [95% CI, 38.7 to 44.0] →  3ヶ月後:6.6 [95% CI, 4.7 to 8.5] ; 通常ケア, ベースライン:40.9 [95% CI, 38.6 to 43.1] → 3ヶ月後:9.8 [95% CI, 7.9 to 11.7] ; 群間差, −3.2 [95% CI, −5.9 to −0.47], P = .02)
4週間後、ODIスコア有意差有意差ある(群間差, −3.5 [95% CI, −6.8 to −0.08], P = .045])も、1年後フォローアップ時点では有意差無し (群間差, −2.0 [95% CI, −5.0 to 1.0], P = .19)

4週間、3ヶ月、1年フォローアップ時点での疼痛強度改善見られず (群間差, 4週間フォローアップ時点−0.42 [95% CI, −0.90 to 0.02] ; 3ヶ月フォローアップ時点 −0.38 [95% CI, −0.84 to 0.09] ; 1年フォローアップ時点 −0.17 [95% CI, −0.62 to 0.27]  )

PCSスコアは、4週時点、3ヶ月時点で改善するも、1年フォローアップ時点では改善無し (群間差, 4週フォローアップ時点 −2.7 [95% CI, −4.6 to −0.85] :3ヶ月フォローアップ時点 −2.2 [95% CI, −3.9 to −0.49] ; 1年フォローアップ時点 −0.92 [95% CI, −2.7 to 0.61] )
どの時点でも医療受診に関して差を認めない

【結論・知見】発症間もないLBP成人において、早期理学療法はディスアビリティーの統計学的有意な改善を認めるも、この改善度合いは軽度で、通常ケアに比較して、臨床的有意最小変化量:MCIDを満たしてない。



早期リハビリテーションが全て善ではない・・・早期リハビリテーションが必要というなら地道に、MCIDを示す臨床トライアル結果を提示するしかない


2015年10月13日火曜日

生まれ月による成長。学業影響 ・・・ 胎生期日照・ビタミンDの影響?

子宮内ビタミンD暴露をカーカーとして、誕生月は、広範囲の健康に関するアウトカムと相関するかも・・・と、筆者等の主張


Puberty, Seasonality, Epidemiology, Vitamin D, Sunlight
Season of birth is associated with birth weight, pubertal timing, adult body size and educational attainment: a UK Biobank study
Felix R. Day, et. al.
DOI: 10.1016/j.heliyon.2015.e00031
Cite as: Heliyon 1 (2015) e00031

生下時体重、初潮年齢、身長は、BMIと異なり、誕生月と有意に関連する
6-7-8月生まれは、多シーズン生まれに比べ、体重、思春期正常、成人身長が高値
12-1-2月生まれは、これらアウトカムに関して直接反対。


2極比較
低体重 : 2月生まれ vs 9月生まれ オッズ比[95% 信頼区区間 (CI)] 1.23 [1.15–1.32], P = 4.4 × 10−10)
早期成熟 : 9月生まれ vs 7月生まれ 1.22 [1.16–1.28], P = 7.3 × 10−15)
短躯 : 12月生まれ vs. 6月生まれ 1.09 [1.03–1.17], P = 0.006)



上記相関は、2nd トリメスターの総日照時間と相関するも、出生後3ヶ月間とは相関しない。

体重

月経




身長





教育到達度との相関性も見いだされる; 秋 生まれvs 夏生まれの16歳での教育継続性 (P = 1.1 × 10−91) 、学位到達レベル (P = 4 × 10−7)



しかし、他のアウトカムと異なり、8月 vs 9月生まれの差は始業開始に依存している。


誕生月と16歳時教育レベル( full-time education)の関連性


いわゆる、"fetal programming"仮説を支持し、誕生日の季節の子供の成長・発達への影響をリファインし拡充した検証となった。 いろいろ寄与要素あろうが、ビタミンD暴露仮説も可能性として存在する

2015年10月10日土曜日

ランナーズ・ハイ 内因性カンナビノイド系作用が関与:抗不安・鎮痛効果






A runner’s high depends on cannabinoid receptors in mice
Johannes Fussa, et. al.
PNAS www.pnas.org/lookup/suppl/doi:10.1073/pnas.1514996112/-/DCSupplemental.


運動は、報酬的現象であり、長距離ランナーは特に「ランナーズ・ハイ」と呼称される、多幸感、不安緩和、沈静、麻酔作用を伴う。
一般的には、内因性エンドルフィンのベネフィット効果とされるが、ランニング運動は、βエンドルフィン(オピオイド)とアナンダミド(内因性のカンナビノイド受容体リガンド(内因性カンナビノイド)、endocannabinoid)の血中濃度増加をもたらす。

マウスを対象に、薬物学的、分子遺伝学的、行動的研究を行い、
不安緩和効果は、forebrain GABAergic neuronの内因性カンナビノイド受容体1(CB1)に依存

鎮痛は、末梢性CB1、CB2受容体の活性化に依存することが判明
内因性カンナビノイド系が、ランナーズ・ハイの2つの主要効果においてクリティカルな役割を果たしていることが示された。

鎮静は、カンナビノイド・オピオイド受容体遮断に影響されず、
多幸感は、マウスモデルでは検討できず



某地元マラソンはずれた ちくしょー





2015年10月8日木曜日

Remote Limb Ischemi Preconditiong(RIPC ):心臓手術に効果無し?


Remote Limb Ischemi Preconditiong(RIPC )とは・・・

Sublethal ischemia has also been shown to upregulate protective mechanisms in remote tissues. A brief period of ischemia (5-10 min) in the hind limb of mammals induces self-protective responses in the brain, lung, heart and retina. The effect is known as remote ischemic preconditioning (RIP). 
Brandli, A. Remote Limb Ischemic Preconditioning: A Neuroprotective Technique in Rodents. J. Vis. Exp. (100), e52213, doi:10.3791/52213 (2015).




前向き二重盲検多施設ランダム化対照トライアル

プライマリエンドポイントは、退院までの、死亡、心筋梗塞、卒中、急性腎不全
セカンダリエンドポイントは、プライマリエンドポイント項目を90日まで延ばしたもの


A Multicenter Trial of Remote Ischemic Preconditioning for Heart Surgery
Patrick Meybohm,et. al. for the RIPHeart Study Collaborators
N Engl J Med 2015; 373:1397-1407October 8, 2015



1403名をランダム化、フル解析は1385名(RIPC 692名、sham-RIPC 693名)

組み合わせエンドポイント発生率に群間有意差なし
  (99 名 [14.3%] in the RIPC group 、 101 [14.6%] in the sham-RIPC group, P=0.89)

個別項目でも同様
死亡   (9 p名[1.3%] 、 4 [0.6%]; P=0.21)
心筋梗塞  (47 [6.8%] 、 63 [9.1%], P=0.12)
卒中  (14 [2.0%] 、 15 [2.2%], P=0.79)
急性腎不全  (42 [6.1%] and 35 [5.1%], P=0.45)






肥満手術後の自傷・自殺リスク増加


カナダ・トロントのSunnybrock研究施設において、8815名研究(2006年から2011年)、3年間フォローアップ、女性81.4%、80.1%35歳以上、胃バイパス98.1%

フォローアップ中、111名158回の自傷イベント
35歳以上、低収入、田舎ほど多い

術前メンタル疾患罹患者では93%とかなり高率に自傷行為を行う


Self-harm Emergencies After Bariatric SurgeryA Population-Based Cohort Study
Junaid A. Bhatti, et. al.
JAMA Surg. Published online October 07, 2015.


 全体的に術後自傷救急事案は有意に増加 3.63 per 1000 patient-years) vs術前 (2.33 / 1000 人年)、発生比 (RR)  1.54 (95% CI, 1.03-2.30; P = .007)


35歳超  (RR, 1.76; 95% CI, 1.05-2.94; P = .03)、低収入(RR, 2.09; 95% CI, 1.20-3.65; P = .01)、田舎居住(RR, 6.49; 95% CI, 1.42-29.63; P = .02)

最もコモンな自傷方法は、企図的過量服用(72.8%)

手術前5年間において、メンタル疾患では、147イベント、93.0%と高率




メカニズムは書かれてないようだが・・・


報道:
http://www.upi.com/Health_News/2015/10/07/Study-Weight-loss-surgery-linked-to-suicide-self-harm/4871444244287/

身体活動量と心不全リスク:現在推奨の運動量はすくなすぎる?

2008年米国の運動推奨値は、500MET分/週だそうだ。

日本風に言えば、週わずか8.3MET時・・・早足で2時間程度の運動ということで、そもそもこの推奨値が異常にすくない

その4倍ほどの運動だと、心不全イベントリスク減少するという・・・



Dose Response Relationship Between Physical Activity and Risk of Heart Failure: A Meta-Analysis
Ambarish Pandey, et. al.
CIRCULATIONAHA.115.015853 Published online before print October 5, 2015, doi: 10.1161/CIRCULATIONAHA.115.015853





ベースラインの身体活動(PA)と心不全(HF)発生率を含む18歳超の前向きコホート研究

PAとHFリスクのカテゴリー化量反応関係をrandom effects modelで評価

一般化最小自乗回帰モデルで、PPA (MET-min/week) と HF risk を定量的関係をA推定値報告を横断的に評価

12の前向きコホート研究(HFイベント数 2万203、37万460名被検、女性 53.5$、フォローアップ中央値 13年間)

PA最高値は有意にHFリスク減少と相関 [Pooled Hazard Ratio (HR)Highest vs. lowest PA: 0.70 (0.67-0.73)]

レジャータイムPA無しの被験者に比べ、ガイドライン推奨PAレベル (500 MET-min/week, 2008 US Federal Guidelines)到達推定被験者ではHFリスク軽度減少 [RR: 0.90 (0.87 - 0.92)]

逆に、ガイドライン最小レベルのPA 2倍の場合は、より明確なリスク減少有り(0.81(0.77 - 0.86)])、4倍でも明らか(0.65 (0.58 - 0.73))




一方で、こういう議論もある・・・

ジョギング:寿命延長 男性6.2年、女性5.6年 でも、週1時間~2.5時間が最適
http://kaigyoi.blogspot.jp/2012/05/6256.html




2015年10月7日水曜日

SCANDIVランダム化臨床トライアル:憩室穿孔に対する腹腔鏡下洗浄

穿孔性憩室炎への腹腔鏡下洗浄法がS状結腸切除術にとって代わる?

今回、否定的な報告


Laparoscopic Lavage vs Primary Resection for Acute Perforated DiverticulitisThe SCANDIV Randomized Clinical Trial
Johannes Kurt Schultz,et. al.; for the SCANDIV Study Group
JAMA. 2015;314(13):1364-1375. doi:10.1001/jama.2015.12076.

腹腔鏡下腹膜洗浄  (n = 101) 、結腸切除 (n = 98)をコンピュータ作成センター層別ブロック選択。糞便性腹膜炎は、腹腔鏡下 15名、結腸切除 13名

プライマリアウトカムは、90日内重度術後合併症  (Clavien-Dindo score >IIIa) 
セカンダリアウトカムは、他の術後合併症、再手術、手術時間、術後入院期間、QOL 


プライマリアウトカムは、腹腔鏡洗浄  31/101 名 (30.7%) 、開腹群 25 / 96  (26.0%) (difference, 4.7% [95% CI, −7.9% to 17.0%]; P  = .53)


90日死亡率は有意群間差認めず  (14 名 [13.9%]) vs 11 名 [11.5%]; 差、 2.4% [95% CI, −7.2% to 11.9%]; P  = .67).

糞便性腹膜炎でない症例において、再手術率は、腹腔鏡洗浄群で高い (15 / 74名 [20.3%]) vs 4/ 70 名 [5.7%]; 差, 14.6% [95% CI, 3.5% to 25.6%]; P = .01)

 手術時間は、腹腔鏡下洗浄処置群が有意に短いが、術後入院期間、QOLでは両群有意差無し

腹腔鏡処置群ではS状結腸癌見逃し4例
 

北米ACOSOG Z6051・オセアニアALaCaRT:腔鏡下直腸癌手術非劣性示せず

2つのトライアルにて、腹腔鏡下直腸癌手術非劣性示せず

ACOSOG Z6051 trial :北米
ALaCaRT trial :オセアニア





Effect of Laparoscopic-Assisted Resection vs Open Resection of Stage II or III Rectal Cancer on Pathologic Outcomes: The ACOSOG Z6051 Randomized Clinical Trial 
James Fleshman, et. al.
JAMA. 2015;314(13):1346-1355. doi:10.1001/jama.2015.10529

ACOSOG Z6051 は、カナダ・米国35センター、2008年から2013年、Stage II、IIIの直腸癌 462名比較。プライマリアウトカムは、”circumferential radial margin (CRM) greater than 1 mm, distal margin without tumor, and completeness of total mesorectal excision (TME)”の組み合わせで、非劣性境界を6%とした
切除成功率は、腹腔鏡と開腹群で同等 (81.7% vs 86.9%)、そして、新規アプローチの非劣性は示せなかった (difference, −5.3%; P = .41 for noninferiority)
平均手術時間は、開腹より腹腔鏡下の方が長い  (266.2 vs 220.6 minutes; P<001)
入院期間に差を認めず   (7.3 vs 7.0 days)、同様30日内再入院(3.3% vs 4.1%)、重症合併症 (22.5% vs 22.1%).に差を認めなかった
腹腔鏡下患者で開腹変更は11.3%



Effect of Laparoscopic-Assisted Resection vs Open Resection on Pathological Outcomes in Rectal Cancer: The ALaCaRT Randomized Clinical Trial 
Andrew R. L. Stevenson, et. al.
JAMA. 2015;314(13):1356-1363. doi:10.1001/jama.2015.12009.

肛門縁15cm内のT1からT3の475名、オーストラリアとニュージーランド24ヶ所での治療、2010-2014年。半数術前放射線療法施行。
手術成功を「complete TME, a clear circumferential margin (1 mm), and a clear distal resection margin (1 mm)」と定義。非劣性限界を8%。
腹腔鏡194名、開腹208名で成功率はそれぞれ82.0%vs89.0%;リスク差、-7.0%;非劣性 P=0.38
腹腔鏡から開腹への手術法変更率9%
 




結腸癌では腹腔鏡手術の安全性、生存率非劣性しめされていたので驚きをもって受け取られているとの報告




閉経後ホルモン治療:治療開始1年間心血管死亡リスク増加、中止後も増加

閉経後ホルモン治療というのは対象を選択すれば良いのだろうが、なかなかやっかいな代物だ

治療開始直後1年間は、心血管死亡リスク増加に苛まれ、中止後も心血管死亡リスク増加するという現象


年毎に開始中断を繰り返す、annual HT discontinuation法というのはとても危険な手法の可能性あり


Increased cardiovascular mortality risk in women discontinuing postmenopausal hormone therapy
Tomi S. Mikkola, et. al.
JCEM First Published Online: September 28, 2015
DOI: http://dx.doi.org/10.1210/jc.2015-1864

閉経治療1年内に、心血管死亡リスク有意に増加  (標準化死亡率 ; 95% 信頼区間 1.26; 1.16–1.37)

フォローアップ1年超過すると、減少する(0.75; 0.72–0.78)


閉経治療初年内卒中死亡リスクは増加  (1.63; 1.47–1.79するも、その後はリスク減少する(0.89; 0.85–0.94)


ホルモン治療利用者と比較でさえ、心血管死(2.30; 2.12–2.50)、卒中死 (2.52; 2.28–2.77)リスクは増加する


60歳未満でホルモン治療中止女性では、60歳以上では見られない心血管死亡リスク増加する(1.94; 1.51–2.48)



2015年10月6日火曜日

カルバペネム耐性腸内細菌 (CRE)

 Carbapenem-resistant Enterobacteriaceae (CRE) は、臨床的・公衆衛生上の問題で世界レベルのお話。死亡率高く、治療オプションが限定されている。

故に、疫学的情報が重要


尿路が主感染源
介護施設や長期入院施設が供給源となっている可能性が高い
heterogeneityの存在、サーベイランスエリアによりCREの種類も発生頻度も多様ということは、コントロール上ローカルな疫学が重要であることを示唆



Epidemiology of Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae in 7 US Communities, 2012-2013
Alice Y. Guh, et. al.
JAMA. Published online October 05, 2015. 


481名、599のCRE症例のうち、尿中分離 520 (86.8%; 95% CI, 84.1%-89.5%) 、血液中分離68 (11.4%; 95% CI, 8.8%-13.9%)
年齢中央値は、66歳(95%CI, 62.1〜65.4歳)、 女性 284 (59.0%; 95% CI, 54.6%-63.5%)
年次総CRE頻度は、人口10万人対 2.93 (95% CI, 2.65-3.23)
CRE標準化頻度は、ジョージア(1.65 [95% CI, 1.20-2.25]; P<0.001)、メリーランド(1.44 [95% CI, 1.06-1.96]; P = .001)、ニューヨーク(1.42 [95% CI, 1.05-1.92]; P = .048)で有意に多い 
コロラド (0.53 [95% CI, 0.39-0.71]; P < .001)、ニューメキシコ (0.41 [95% CI, 0.30-0.55]; P = .01)、オレゴン(0.28 [95% CI, 0.21-0.38]; P<0.001)ですくない

多くは、入院前  (399/531 [75.1%; 95% CI, 71.4%-78.8%]) 、留置デバイス (382/525 [72.8%; 95% CI, 68.9%-76.6%])

退院から長期ケア施設への他院後例 180 / 322 (55.9%; 95% CI, 50.0%-60.8%)

死亡症例  51 (9.0%; 95% CI, 6.6%-11.4%) 、
正常滅菌部位からCRE分離は  25 / 91  (27.5%; 95% CI, 18.1%-36.8%)


188分離検査中、carbapenemase産生 90 (47.9%; 95% CI, 40.6%-55.1%)




CDC:
http://www.cdc.gov/HAI/organisms/cre/

2歳未満での吸入ステロイド投与は身長の伸びを遅らせる

乳児での吸入ステロイド投与は慎重に


Stunted Growth after Inhaled Corticosteroid Use during the First 24 Months of Life
Antti Saaria,d, et. al.
ESPE Abstracts (2015) 84 FC4.5 


目的と仮説:ICSの乳児線形成長速度へのインパクト

方法:住民ベースコホート 6391名男児、6091名女児、身長と体重測定プライマリケア・データ
両親の身長、誕生から24ヶ月までの薬物追跡集積


目標身長(TH)からの年齢に対する身長の偏位と身長の伸び速度(HV)を計算し、年齢中央値24ヶ月齢時点(IQR 24-26ヶ月)でのz-スコア(zTH、zHV)で表現
乳児のICS(フルチカゾンとブデソニド)暴露、非暴露で、母親、周産期、身体計測、医薬品要素を共役要素として比較。


ICS暴露乳児は、非暴露乳児より慎重短い (補正zTH 、 zHV 差 、それぞれ −0.16 (95% CI −0.22 to −0.11,  P<0.001)、 −0.28 (−0.37 to −0.19, P < 0.001))



この影響は、12ヶ月齢までのブデソニド暴露後特に深刻 (zTH −0.31 (−0.46 to −0.16) 、 zHV −0.34 (−0.58 to −0.09))
6ヶ月超継続する (zTH −0.63 (−0.89 to −0.37) 、 zHV −0.70 (−1.13 to −0.27))

2015年10月5日月曜日

運動薬:スタートラインに!

1992年にGSKが開発した、GW501516 これがメタボリックシンドローム治療への薬剤となるかもしれない

PPAR受容体アゴニスト で、PGC-1α酵素をCo-activatorとして、カロリー消費に向かう
ラットでは脂肪細胞代謝亢進、抗肥満作用、2型糖尿病防御作用が示され、cholesterol transporter ABCA1の発現亢進作用有りLDL低下、HDL増加作用を示す




一般・マスメディア向け
http://www.ifreepress.com/exercise-pill-an-achievable-goal-scientists-say/
http://www.apextribune.com/researchers-are-looking-into-exercise-simulating-pills/211154/



Review : Switch to Standard View
Exercise Pills: At the Starting Line
Shunchang Li
DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.tips.2015.08.014





運動せずに、運動と同じ効果を示す薬・・・ 運動せずに、爽快感とか得られるのだろうか?

2015年10月3日土曜日

特発性肺線維症:予後指標 Gender-Age-Physiology (GAP) Index stage

事故調査委員会が本格的に指導したが、急変の多い肺線維症・間質性肺炎においても予後提示は重要な課題となるはず
 
Gender-Age-Physiology (GAP) Index stageの予後指標としての評価


Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Gender-Age-Physiology Index Stage for Predicting Future Lung Function Decline
Margaret L. Salisbury,  et. al.
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-0530


GAP病期指標は、2年間において、肺機能年次減衰と相関せず

病期計算後、6ヶ月間のFVC、DLCO10%減少は死亡、移植に関して独立した因子である (FVC HR=1.37, DLCO HR 1.30, both p≤0.03)


肺機能経時的減少を示すGAP 2の患者は、GAP 3の患者と、無イベント生存率として同等:59.3% (CI95% 49.4-67.8) versus 56.9% (CI95% 42.2-69.1)


Staging of idiopathic pulmonary fibrosis: past, present and future
Martin Kolb, Harold R. Collard
Eruopean Respiratory Review  Published 1 June 2014

Gender-Age-Physiology (GAP) Index stage

2015年10月2日金曜日

45から64歳までの中年(初期高齢者)の飲酒習慣とその後の卒中リスク

今までの報告と同様で目新しさは感じないが・・・45から64歳までの中年(初期高齢者)の飲酒習慣とその後の卒中リスクについて検討



Midlife Alcohol Consumption and the Risk of Stroke in the Atherosclerosis Risk in Communities Study
Sara B. Jones, et. al.
STROKEAHA.115.010601
Published online before print September 24, 2015
45-64歳対象のAtherosclerosis Risk in Communities studyの12433名の非飲酒者と飲酒者比較

自己報告非飲酒者は3分の1、週3ドリンク以下39%、4-17ドリンク 24%、重度飲酒 5%。

フォローアップ(中央値 22.6年間)中、虚血性卒中 773、脳内出血(ICH) 81

虚血性卒中に対し、軽度・中等度アルコール摂取は、発症率と相関せず(ハザード比; 0.98;95% CI、 0.79-1.21、 1.06、0.83-1.34)
 重度飲酒者は非飲酒者に比べ31%発生率増加  (ハザード比, 1.31; 95% CI, 0.92–1.86)


ICHに対し、 中等度・重度飲酒者は頻度増加  (ハザード比, 1.99; 95% CI, 1.07–3.70)、軽度飲酒は関連性認めず



科学性が要求される論文でいつまでもドリンク単位が用いられる不思議
米国では1ドリンクあたり14g、英国では 8gという混乱



いつもながら思うけど・・・25度焼酎5合を1週間程度まで・・まぁ無理

2015年10月1日木曜日

GOLD Stage 0のみならず、喫煙既往・現行喫煙者においても、臨床的・画像的病的状態にある

現行喫煙は当然だろうが、喫煙既往でも気腫病変やair trappingが著明という状況で、正常とはいえない。疾患と呼んでいいのかもしれない。




Clinical and Radiologic Disease in Smokers With Normal Spirometry
Elizabeth A. Regan, et. al.; for the Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) Investigators
JAMA Intern Med. 2015;175(9):1539-1549. doi:10.1001/jamainternmed.2015.2735.


【序文】 スパイロメトリ上の気流制限がユニバーサルにCOPD決定に用いられている。現行・既往喫煙ではあるが気流制限のない場合疾患無しと見なされている。


【目的】COPDのスパイロメトリ上のクライテリア合致しない、現行・既往喫煙者での喫煙関連疾患(GOLD 0)の臨床的・レントゲン的な証拠を同定


【デザイン、セッティング、被験者】  Genetic Epidemiology of COPD (COPDGene) 横断研究、スパイロメトリ、胸部CTスキャン、6分間歩行距離、アンケート完遂。
被験者は米国内21サイト、ローカル居住区域から登録。
GOLD 0群(n= 4388)FEV1/FVC  0.7未満 及び FEV1 予測比 80%以上) を、GOLD 1群(n=794)、COPD群 (n=3690)、非喫煙者群(n=108)と比較
登録は2008年1月から開始、2011年7月までで終了。


【主要アウトカムと測定項目】 身体機能障害、呼吸器症状、CT異常、呼吸器系薬剤使用、呼吸特異的QOL減少



【結果】 呼吸関連障害1つ以上見つかったのGOLD 0群の54.1% (2375 of 4388)
GOLD 0では、QOL指標としてのSGRQ総スコア平均は非喫煙者に比較して悪化:17.0 [18.0] vs 3.8 [6.8] for the never smokers; P< 0.001)
同様6分間歩行距離低下
CT気腫・気道壁肥厚所見はGOLD 0の42.3%  (127 of 300)

FEV1予測比%分布および平均は低値だが、一般住民正常範囲内


現行喫煙者は呼吸器症状増加と相関し、喫煙既往者の方が、より気腫・air trappingが多い。

加齢に応じて禁煙増加し、CT所見は増加する

 呼吸障害を有する症例では、薬物治療使用尤度高く、薬剤使用は疾患増悪と相関する。



【結論と知見】 スパイロメトリCOPDでない喫煙者でも肺疾患・障害は存在する。
これらの知見を踏まえれば、3500万人の55歳超の米国内現行喫煙者・喫煙既往者で、疾患の存在障害の存在が認識されていないということになる。肺およびヒトへの慢性喫煙の影響は、スパイロメトリ単独では認識困難な状況である。







”Current smoking was associated with more respiratory symptoms, but former smokers had greater emphysema and gas trapping. ”の後半記載間違いかなと思うくらい、ショッキング。たばこを吸いたくない、禁煙を思い立つほどの呼吸器症状の存在を意味しているのか?



低ニコチン含量たばこへの切り替え・・・禁煙代替として合理的

禁煙指導に関して、低ニコチン含量シガレットへの変更には否定的なコメントを発していたが、見直さなければならないのかもしれない。

あくまでも禁煙が基本だろうが、せめて低ニコチン含量シガレットへの変更もどうしても禁煙できないあるいはその意思がない対象者への代替指導はその効果において是認されるという報告。

(でも、低ニコチン含量シガレットの方が、ニコチン外の有害物質多いというクレームもあるのだが・・・通常のシガレットに比べ、ニコチン含量すくないシガレットは有害性がすくないというのは間違いというのは事実らしい。このことを知った上での代替方法とすべきである)



Randomized Trial of Reduced-Nicotine Standards for Cigarettes
Eric C. Donny, et. al.
N Engl J Med 2015; 373:1340-1349October 1, 2015
DOI: 10.1056/NEJMsa1502403

二重盲検平行群ランダム化臨床トライアル:2013年6月から2014年7月まで10ヶ所治験


18歳以上、1日5本以上の喫煙者、現行禁煙意図なし


通常のブランドのシガレットと6種類の調査対象シガレットのうち1つをランダム化割り付け
 調査対象シガレット二は、ニコチン含量 15.8mg/gから0.4mg/gの段階的量を含む
 プライマリアウトカムは、6週間の喫煙本数


総数840名をランダム化、780名が6週間研究完遂
6週間、1日喫煙本数平均は、通常ブランド・シガレットもしくは15.8mg/g含むシガレット割り付け群(22.2、21.3シガレット)より、よりすくないニコチン含量である2.4、1.3、0.4mg/gシガレットで、すくない (16.5, 16.3、14.9シガレット数)


5.2mg/gシガレット割り付け群では、1日あたりの平均数は20.8シガレット数/日で、対象シガレット喫煙対象者の平均数と有意に差を認めない



低ニコチン含量シガレットは、対照シガレットと比べ、ニコチンの暴露および依存性減少。さらに、喫煙からの離脱に際しての喫煙希求すくない。これは呼気CO濃度増加も無く、総数としてのPuff量増加も認めない。このことは、代償的影響最小限であることを示唆する。
副事象イベントは群間において全般的軽度で同等

noteへ実験的移行

禁煙はお早めに! 米国における人種・民族・性別による喫煙・禁煙での死亡率相違|Makisey|note 日常生活内の小さな身体活動の積み重ねが健康ベネフィットをもたらす:VILPA|Makisey|note